NOTE 23 · 経験から学ぶ ·
業務改善の進め方:相手の仕事を知ることから始めよう
「この仕事、もっと楽にできそう」。そう思っても、いきなり変え方を伝えると、相手が戸惑うことがあります。まずは直近の一件を聞き、どこで手が止まるのかを一緒に整理しましょう。
こんなときに 社内や顧客の業務について相談され、どこから改善を考えればよいか迷うとき。
- 1
直近の一件を聞く
- 2
手順と待ち時間を分ける
- 3
問題を一つ書く
- 4
了承を得て小さく試す
- 5
負担と結果を一緒に確認する
この経験・事例について
ウッシ本人への取材をもとにした記事です。業務を引き受けて変えた経験と、案件確定までの時間は本人の振り返りです。聞き取り例・比較表・実践手順は初心者向けに編集した説明用の例で、当時の会話の再現ではありません。
「変えてください」の前に、仕事を知る
「忙しくて、ほかの仕事をする余裕がない」「上司からは、こう言われている」。こうした言葉を聞いたとき、すぐに新しいツールを勧めても、話は進まないことがあります。何に時間がかかり、何を守るためにその作業をしているのかが、まだ分からないからです。
ウッシが取材で話していたのは、まず相手の立場で話を聞き、自分が中に入って一時的に業務を引き継ぎ、やり方を変えてから返すという進め方でした。
「他人ごととして聞くのではなく、自分ごとのように聞く」
「その仕事は無駄です」と指摘すれば、長く担当してきた人には、これまでを否定されたように聞こえるかもしれません。だから、変える前に仕事の事情を知る。ここが出発点です。
初心者がいきなり業務を丸ごと引き受ける必要はありません。まずは担当者の了承を得て、一件の流れを一緒に確認しましょう。
聞くのは、不満の大きさより直近の一件
「何が大変ですか?」だけでは、話が広がって整理しにくいことがあります。直近で対応した依頼を一件選び、順番に聞いてみてください。次の会話は練習用の例です。
- 入口:「直近の依頼は、どこから届きましたか?」
- 手順:「受け取った後、誰に何を確認しましたか?」
- 待ち時間:「返事を待って止まったところはありましたか?」
- やり直し:「同じ内容を、別の人にも説明しましたか?」
- 理由:「その確認を省くと、何に困りますか?」
最後の質問が大切です。二重に見える確認でも、料金の決裁や現場の安全確認など、必要な役割があるかもしれません。聞いた事実と、自分が考えた原因を分けてメモします。
相手には「負担がかかっているところを、一緒に整理したいです」と目的を伝えると、何を聞きたいのかが共有できます。
人への不満を、作業の問題に書き換える
ウッシは、関係者それぞれの言い分を聞き、問題点を書面にして、改善案と一緒に角が立たない言い方で伝えていました。書き出すと、大きく感じていた問題が、具体的な確認事項として扱えるようになります。
ただし、担当者の負担まで「大したことがない」と決めないこと。書面は、不満を小さく扱うためではなく、どこを変えるかを話し合うために使います。
| 聞こえてきた不満 | 確かめたい作業の問題 | 小さく試せる改善案 |
|---|---|---|
| 営業が返事をくれない | 確認先と回答期限が共有されているか | 依頼に担当者と希望回答日を添える |
| 何度も同じ説明をしている | 依頼内容が人ごとに別々に届いていないか | 認められた共有場所に、一件の情報をまとめる |
| 上司によって言うことが違う | 誰が最終判断するか決まっているか | 判断が必要な項目と確認先を一枚にする |
表は説明用の例です。原因は聞き取りで確かめてから記入し、未確認ならそのまま「未確認」と残します。
一件だけ試し、作業時間と待ち時間を分けて比べる
ウッシの経験では、顧客からのメール依頼を全体へ共有し、AIで見積もりのたたき台を作り、営業が修正して社長が決裁する流れを整えました。工期やスケジュールの案も検討し、空きがなければ営業が調整していたそうです。
以前は一週間ほど決まらない場合もあった案件が、おおまかに30分ほどで全体を確定できるようになったといいます。これは本人が振り返った一例です。全案件の平均値や、同じ時間短縮を保証する数字ではありません。
初心者なら、まず「依頼情報のまとめ方」のような一部分を、担当者と責任者が合意した範囲で試しましょう。AIや新しいツールの導入は、それが必要だと分かってからで十分です。
- 試す案件と変える手順を一つ決める。
- 元の進め方で、どこに時間がかかったか記録する。
- 一件だけ新しい手順で進める。
- 手戻りや担当者の負担も含めて、続けるか相談する。
比較では、手を動かした「作業時間」と、返答を待った「待ち時間」を分けます。案件の難しさや確認する人数が違えば、その違いも書きます。単に「早くなった」だけで成果を決めないためです。
顧客情報を外部のAIに入力する場合は、会社で認められた利用範囲を確認してください。見積もりや工期は、担当者が内容を確認してから確定します。
仕事を返すときは、使う人と一緒に確かめる
新しい手順を作った人には簡単でも、受け取った人には分からない点が残ることがあります。実際に一件操作してもらい、「困ったら誰に聞くか」「例外の依頼はどうするか」まで確認しましょう。
取材では、効率化して生まれた余力を別の業務へつなげた話もありました。ここで示す初心者向けの進め方は、まず改善前後の負担を本人と確かめ、次に任せる仕事は役割と必要な支援を相談して決める、というものです。
今日の一歩は、大きな改革案を出すことではありません。一件の流れを聞き、「この理解で合っていますか」と担当者に確認することです。改善案がまとまったら、相手が社内で説明できる資料の作り方へ進みましょう。
YOUR TURN
一件の仕事を、書き出してみよう。
手元に用意するもの
直近の依頼一件、担当者への質問、確認できる作業記録。
記入例を見る(説明用)
事実:依頼を受けた後、営業へ料金、現場へ日程を別々に確認している。時間:未確認。仮説:同じ説明が重なっているかもしれない。試す案:次の一件で、認められた共有場所に依頼内容と確認先をまとめる。事前に相談する相手:担当者と責任者。確認日:その一件の回答後。結果:実施後に記入。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
事実と推測が分かれ、担当者と仕事の流れを確認できた。次に相談する相手と確認することが一つ決まった。
うまく進まなかったときは?
話が広がったら直近の一件に戻ります。意見が食い違ったら、誰が悪いかを決めず、共通の依頼記録を見ながら順番を確認します。試す権限がなければ、シートを先輩や責任者への相談資料にしましょう。