NUSSI’S SALES NOTEウッシの営業ノート

NOTE 114 · 営業の実践ノート

「ご放念ください」の意味と使い方:行き違い・取り下げ・誤送信の文例と、言い換え、言われたときの返事

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「ご放念ください」は、「そのことは、もう気にかけないでください」と相手に伝える言い方です。行き違いになった連絡、取り下げた依頼、同じメールを二度送ったとき、相手のお詫びへの返事などで使います。ただし、宛先を間違えたメールや、個人情報・ほかの会社の資料を含む誤送信は、「ご放念ください」と送って済ませる場面ではありません。会社の決まりと、上司への報告が先です。この記事では、辞書の語釈で意味を確かめ、場面ごとの文例と言い換えを、説明用の例として並べます。

今日できるようになること

気にしないでほしい連絡一件について、どの連絡か(日時と件名)・なぜ不要になったか・相手がすでに動いていたらどうするかを書き、送る文を一つ作る。

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こんなときに 行き違いの連絡や、取り下げたい依頼があり、相手にどう伝えればよいか迷うとき。

この順番で進めよう
  1. 1

    気にしないでほしい連絡を、日時と件名で特定する

  2. 2

    中身に、個人情報やほかの会社の情報がないかを見る(あれば上司へ)

  3. 3

    不要になった理由と、相手が動いていた場合の扱いを書く

  4. 4

    合う言い方を一つ選び、どの連絡のことかが分かる文にして送る

会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。

「ご放念ください」の意味:気にかけないでください

催促のメールを送った直後に、相手の返事が昨日のうちに届いていたと気づく。このままでは、相手は「届いていなかったのか」と、もう一度送ろうとします。こういうとき、相手の手を止めてもらう言葉が、「ご放念ください」です。

「放念」は、デジタル大辞泉(コトバンク)に「気にかけないこと。心配しないこと。放心。」とあり、用例に「どうぞ御放念ください」が挙がっています。精選版 日本国語大辞典(コトバンク)も、「心にかけないこと。心配しないこと。」としています。

つまり、「ご放念ください」は、「そのことは、もう気にかけないでください。心配しないでください」と相手に伝える言い方です。相手が「返事をしなければ」「対応しなければ」と抱えている用件を、手放してもらうために使います。

似た字の言葉に「失念」があります。同じ辞書に「うっかり忘れること。ど忘れ。物忘れ。」とあり、用例は「約束を失念して失礼しました」です。「失念」は、自分がうっかり忘れたときの言葉で、相手に「気にしないで」と頼むときの言葉は「放念」です。語釈を比べると、取り違えずに済みます。

この言葉を使うときに大事なのは、何を気にかけなくてよいのかを、相手が特定できることです。「先ほどのメールはご放念ください」だけでは、相手は、どのメールのことかを探すことになります。日時と件名を書きます。

使う場面:4つ

営業の仕事で使う場面を、4つに分けます。次の表は一例です。

場面起きていること一緒に書くこと
行き違い催促を送ったが、相手はすでに対応していた。入れ違いで、同じ用件のメールが重なったどの連絡か。見落としたのがこちらなら、短いお詫び
取り下げた依頼見積や日程の候補を頼んだが、こちらの事情で要らなくなった取り下げること。理由。相手が進めていた分の扱い
誤って送ったメール(中身に問題がないもの)同じメールを二度送った。書きかけで送ったどちらが正しい版か。正しい版を添える
相手のお詫びへの返事相手が、返事の遅れや小さな手違いをわびてきたこちらは困っていないこと。次の用件

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

書く順番は、どの場面でも同じです。

  1. どの連絡のことかを書く(送った日時、件名)
  2. どうなったかを一文で書く(行き違いだった、不要になった、など)
  3. 「ご放念ください」と伝える
  4. 相手がすでに動いていた場合のことを書く(お礼、お詫び、進んだ分の扱い)

4つ目が、抜けやすい所です。こちらが「気にしないでください」と書くまでのあいだに、相手はもう調べはじめているかもしれません。相手の時間を使わせたのなら、その分への言葉が要ります。何も書かないと、相手の作業をなかったことにした形になります。

とくに、こちらの都合で依頼を取り下げるときは、「ご放念ください」より前に、取り下げることと、お詫びを書きます。相手が見積の準備を進めていたなら、どこまで進んでいたかを聞き、その分をどうするかは上司に相談します。

誤送信のとき:「ご放念ください」だけで済ませない場面

間違えて送ったメールに、「先ほどのメールはご放念ください」と追って送る。こういう使い方がありますが、中身によっては、これで済ませない場面があります。先に、送ったメールの中身を見ます。

送ったもの先にすること相手に伝えること(一例)
同じメールを二度送った。書きかけで送った(宛先は合っている)正しい版を用意する先の一通はご放念ください。正しい版はこちらです
金額・日付・数量を誤った資料を送った(宛先は合っている)上司に報告し、正しい資料を用意する誤りの箇所と正しい内容。先の資料は破棄をお願いします
宛先を間違えた。ほかの会社あての資料を添付した。個人情報が入っていた自分で追って送る前に、すぐ上司へ報告会社の決まりと、上司の指示に従う

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

3行目が、「ご放念ください」で済ませない場面です。理由は2つあります。

1つ目は、言葉の意味です。「放念」は、語釈のとおり「気にかけないこと」です。メールや添付を消してもらう、という意味は入っていません。相手が気にかけなくなっても、相手の受信箱には、ほかの会社の資料が残ります。

2つ目は、決める人です。ほかの会社の情報や個人情報が外に出たとき、誰に・何を・どう連絡するかは、会社が決めることです。新人が自分の判断で「ご放念ください」と送ると、会社として必要な対応が抜けることがあります。

上司には、いつ・誰あてのメールを・誰に送ったか、本文と添付に何が入っていたかを伝えます。相手に送るお詫びと削除のお願いの文面は、お詫びメールの書き方の「メールを誤送信した」に例があります。宛先の欄(To・CC・BCC)を間違えたときの動きと、公的な資料で確かめられる範囲は、CCとBCCの違いにまとめています。

2行目の、宛先は合っているが資料に誤りがあった場合も、「ご放念ください」だけでは足りません。誤った資料が相手の手元に残り、後でそちらが使われるおそれがあるからです。次の章の「破棄をお願いいたします」を使います。

言い換えと使い分け

近い言い方を並べます。語釈は、デジタル大辞泉(コトバンク)からの引用です。

言い方元の言葉と語釈向く場面(一例)
ご放念ください放念:「気にかけないこと。心配しないこと。放心。」行き違い。取り下げ。重ねて送ったメール
ご放念いただければ幸いです(同じ言葉を、自分の気持ちを述べる形にしたもの)取引先や上司への、個別のメール
お気になさらないでください気にする:「心にとめて不安に思う。心配する。」相手のお詫びへの返事。電話や対面
破棄をお願いいたします破棄:「破り捨てること。」誤った資料や古い版が、相手の手元に残るとき
撤回いたします(取り下げます)撤回:「いったん提出・公示したものなどを、取り下げること。」こちらから出した依頼や提案を、やめるとき

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

使い分けの基準は、相手の手元に、何が残るかです。

  • 残るのが「気がかり」だけなら、「ご放念ください」「お気になさらないでください」。
  • 残るのが「紙やファイル」なら、「破棄をお願いいたします」。「破棄」の用例は、辞書に「不要な資料を―する」とあります。
  • 残るのが「頼まれた仕事」なら、先に「取り下げます」と事実を伝え、そのうえで「ご放念ください」。

「お気になさらないでください」の「なさる」は、文化審議会答申「敬語の指針」(平成19年2月2日・文化庁)の24ページに、尊敬語の特定の形の例として「なさる(←する)」と挙がっています。「気にする」の「する」を、相手を立てる形にした言い方です。「ご放念ください」より、ふだんの言葉に近いので、電話や対面でも言いやすい形です。

「ご放念ください」が取引先や上司に失礼かどうかを決めた公的な基準は、見当たりません。辞書の語釈に使う相手を限る説明はなく、「敬語の指針」にも、この言葉は出てきません。「ください」の形が気になるときは、「ご放念いただければ幸いです」「ご放念くださいますよう、お願いいたします」に変えます。

言葉を選びにくいときは、してほしいことを、そのまま書く方法もあります。「先ほどの依頼は、不要になりました。ご対応には及びません」という形です(説明用の例です)。相手が次に何をすればよいかが、いちばん早く伝わります。

文例と、言われたときの返事

どれも説明用の例です。件名は、元のメールへの返信の形にすると、相手が、どの連絡のことかを見つけやすくなります。

1. 行き違い(催促の後で、相手の返事に気づいた)

[会社名] [担当者名]様

[自社名]の[氏名]です。

昨日の夕方にいただいたご返信を、私が見落としておりました。失礼いたしました。

本日◯時ごろにお送りした「お見積もりのご回答のお願い」のメールは、ご放念ください。再送のお手間は不要です。

いただいた内容で、手配を進めます。

見落としたのは自分なので、先に短くお詫びを書いています。最後の一文で、相手の返事が届いていて、話が進んでいることを伝えています。相手がいちばん知りたいのは、ここです。

2. 取り下げ(こちらの事情で、依頼が要らなくなった)

◯月◯日(◯)にお願いしておりました、追加のサンプルのお手配の件です。

当社の事情で、今回は見送ることになりました。こちらからお願いしておきながら、申し訳ございません。

すでにご準備を進めていただいている場合は、状況をお聞かせいただけますでしょうか。まだでしたら、この件はご放念ください。

取り下げること、お詫び、相手が動いていた場合の扱い、の順です。「ご放念ください」を、相手がまだ動いていない場合に限って書いています。相手がすでに準備を進めていたら、その分をどうするかを上司に相談してから、もう一度連絡します。

3. 同じメールを二度送った

先ほど、同じ内容のメールを二通お送りしてしまいました。失礼いたしました。

◯時◯分にお送りした、添付のない一通は、ご放念ください。添付のある一通が、正しいものです。

二通のうち、どちらが正しいかを、時刻と特徴で書いています。

4. 相手のお詫びへの返事

ご返信をありがとうございます。お忙しい中、ご対応いただき、助かりました。

遅れの件は、どうぞお気になさらないでください。

いただいた日程のうち、◯月◯日(◯)◯時でお願いいたします。

相手がわびてきたとき、返事に「ご放念ください」と書いても、意味は通ります。ここでは、ふだんの言葉に近い「お気になさらないでください」にして、お礼を先に置きました。すぐ次の用件に進むと、相手は、本当に気にされていないと分かります。

相手から「ご放念ください」と言われたとき

返事は、短くて構いません。何をやめるのかを、自分の言葉でくり返します。

承知いたしました。本日◯時にいただいた「お見積もりのご依頼」の件は、取りやめとして扱います。

また必要になりましたら、お声がけください。

くり返すのは、取り違えを防ぐためです。相手の「先ほどのメール」が、自分の思っているメールと違うことがあります。

すでに作業を進めていたときは、責める調子にせず、事実だけを伝えます。「途中まで作成したお見積もりがございます。念のため保管しておきますので、必要になりましたらお知らせください」のような形です(説明用の例です)。費用や在庫に関わる所まで進んでいたなら、返事の前に上司へ相談します。

迷いやすい判断と、送ったあと

判断1:自分のミスで手間をかけたとき、「ご放念ください」だけでよい?

基準は、相手の時間を使わせたかどうかです。相手が、こちらの誤ったメールを読んで調べた、返事を書いた、ということがあれば、お詫びが先です。「ご放念ください」は、相手に「気にしないで」と頼む言葉で、こちらがわびる言葉ではありません。「お手間をおかけし、申し訳ございません」と書いてから、放念をお願いします。

判断2:「ご放念ください」と送ったあと、同じ依頼がまた必要になったら?

基準は、取り下げたことを、なかったことにしないです。「先日、取り下げをお願いした件ですが、あらためてお願いできますでしょうか。二度お手間をおかけし、申し訳ございません」と、経緯を一文で書きます(説明用の例です)。前と同じ条件でよいのか、変わった所があるのかも書きます。取り下げと再依頼をくり返すと、相手は動きにくくなります。取り下げる前に、上司に「この依頼、取り下げてよいですか」と確かめておくと、くり返しを減らせます。

判断3:送ってすぐ誤りに気づいた。追いかけて送るのは、どのくらい急ぐ?

中身に問題がなく、宛先も合っているなら、気づいた時点ですぐ送ります。相手が動きはじめる前に届けば、相手の手間が減るからです。宛先や添付に誤りがあるなら、急いで自分で送らず、すぐ上司へ報告します。急ぐのは、相手への連絡ではなく、上司への報告です。

判断4:電話で話したほうがよいのは、どんなとき?

基準は、相手が、今まさに作業をしていそうかどうかです。「今日中に」と頼んだ依頼を取り下げるなら、メールより先に電話をします。相手が席にいなければ、伝言を頼み、メールも送ります。電話の言い方は、「先ほどお願いした件、こちらの事情で不要になりました。もう進めていただいていましたか」と、相手の状況を聞く形にします(説明用の例です)。

失敗1:どのメールのことかを書かず、相手が別の依頼を止めた

その場では:気づいたら、すぐ連絡します。「先ほどの私の書き方が分かりにくく、失礼いたしました。取り下げたのは、◯月◯日の『サンプルのお手配』の件です。『お見積もり』の件は、引き続きお願いいたします」と、やめるものと、続けるものを並べて書きます(説明用の例です)。

後の記録:「『先ほどのメール』とだけ書いた。同じ日に二通送っていた。次からは、日時と件名を書く」と、次の手順の形で残します。

失敗2:誤送信に、自分の判断で「ご放念ください」と送ってしまった

その場では:今からでも、すぐ上司へ報告します。隠すと、会社が取れる手が減ります。伝えるのは、誤って送ったメールの内容、送った相手、そのあと自分が追って送った文面、の3つです。その先の連絡は、上司の指示を待ちます。自分でもう一通送ることは、しません。

後の記録:「添付に、ほかの会社の資料が入っていたのに、自分で追って送った。次からは、追って送る前に、宛先と添付を見て、問題があれば先に報告する」と書きます(説明用の例です)。報告の順番は、営業で失敗したときにまとめています。

失敗3:相手が進めていた作業を、確かめずに取り下げた

その場では:相手から「もう手配していました」と返ってきたら、まずお詫びとお礼を伝えます。進んだ分をどうするか(受け取るのか、費用はどうなるのか)は、その場で答えず、「確認して、本日中にご連絡します」と伝えて、上司に相談します。

後の記録:「取り下げの前に、相手の進み具合を聞かなかった。次からは、『すでに進めていただいていますか』を先に聞く」と書きます(説明用の例です)。

今日やることは一つです。気にしないでほしい連絡一件について、どの連絡か・なぜ不要になったか・相手がすでに動いていたらどうするかを書き、送る文を一つ作ってください。

YOUR TURN

自分の一件で、書いてみよう。

手元に用意するもの
気にしないでほしい連絡(送ったメール)の控え。その後に届いた相手のメール。会社の、メールの誤送信についての決まり(あれば)。

記入例を見る(説明用)

気にしないでほしい連絡=今日の午前、A社の佐藤様に送った「お見積もりのご回答のお願い」というメール/不要になった理由=行き違い。佐藤様の返事は、昨日の夕方に届いていた。自分が受信箱を見落としていた/中身の確認=催促の文だけ。添付なし。個人情報やほかの会社の情報は入っていない。宛先も佐藤様だけで合っている/相手がすでに動いていた場合の扱い=佐藤様が、返事をもう一度送ろうとしているかもしれない。「再送は不要です」と書く。見落としたことを、短くお詫びする/送る文と、使う言い方=「昨日いただいたご返信を、私が見落としておりました。失礼いたしました。今朝お送りした『ご回答のお願い』のメールは、ご放念ください。再送のお手間は不要です」。

入力は自動保存されません。ページを移動する前に保存してください。保存した内容は他の人に自動送信されません。

CHECK

ここまでできたら、次へ。

どの連絡のことかが日時と件名で書いてあり、中身を確かめたうえで、不要になった理由と、相手が動いていた場合の扱いを入れた文になっている。

うまく進まなかったときは?

中身に問題がないか自分で決められなければ、送る前に、上司に「このメールを、この方に送りました。ご放念くださいと送ってよいですか」と、送ったメールを見せて聞く。どの言い方がよいか迷うなら、「先ほどの件は不要になりました。ご対応には及びません」と、してほしいことをそのまま書く。

NEXT NOTE

次に読むなら

お詫びメールの書き方を確かめる宛先の欄の使い分けを確かめる「ご容赦ください」の使い方を確かめる