NOTE 113 · 営業の実践ノート
「ご容赦ください」の意味と使い方:使う場面・合わない場面と、お許しください・ご了承くださいとの違い
公開:2026年10月3日/更新:2026年10月4日
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「ご容赦ください」は、「ゆるしてください」「大目に見てください」と、相手に願う言い方です。返事が遅くなる、品切れになるかもしれない、といった行き届かない点を、先に断っておく場面に合います。すでに起きた大きな迷惑には、この言葉だけでは足りません。お詫びの言葉と、起きたこと、これからの対応が先です。この記事では、辞書の語釈から言える範囲で、近い言葉との違いと、メールや案内文の例を、説明用の例として並べます。
これから送る連絡一通について、許してもらいたいことが「これから起きるかもしれないこと」か「すでに起きたこと」かを分け、前者なら理由と代わりにできることを添えて一文を書く。
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こんなときに 返事が遅れそうなとき、希望に応えられないときに、「ご容赦ください」と書いてよいか迷うとき。
- 1
許してもらいたいことを、一つ書き出す
- 2
これから起きることか、すでに起きたことかを分ける
- 3
理由と、代わりにできることを一文ずつ書く
- 4
「ご容赦ください」の形を一つ選び、すでに起きたことなら、お詫びを先に書く
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
「ご容赦ください」の意味:先に、許しを願う言い方
出張の前に、取引先へ「返信が遅くなります」と伝えたい。そのとき、「申し訳ございません」と書くのは、まだ何も起きていないのに大げさな気がする。かといって、何も添えないのも気が引ける。こういう場面で使えるのが、「ご容赦ください」です。
「容赦」は、デジタル大辞泉(コトバンク)に、1つ目の意味として「ゆるすこと。大目に見ること。」とあります。2つ目の意味は「手加減すること。控え目にすること。」で、用例に「容赦なく追及する」が挙がっています。「ご容赦ください」で使うのは、1つ目の意味です。
形も確かめます。文化審議会答申「敬語の指針」(平成19年2月2日・文化庁)は、24ページで、尊敬語の一般的な形の例に「お(ご)……くださる(例:読む→お読みくださる,指導する→御指導くださる)」を挙げています。「ご容赦ください」は、この形で、相手に頼む言い方です。
合わせると、「ご容赦ください」は、「(行き届かない点を)ゆるしてください、大目に見てください」と相手に願う言葉です。
この言葉が合うのは、まだ起きていないこと、起きるかもしれないことを、先に断る場面です。先に断っておくと、相手は、その前提で予定を組めます。返事が翌日になると分かっていれば、急ぎの用件は電話にする、と相手の側で選べるからです。何も言わずに返事が遅れると、相手は、届いていないのか、後回しにされたのかが分かりません。
使う場面と、合わない場面
使う場面を、4つに分けます。次の表は一例です。
| 場面 | 許してもらいたいこと | 一緒に書くこと |
|---|---|---|
| 行き届かない点がある | 急いで作った資料に、整っていない所がある。長いメールになった | どこが整っていないか。いつ整えた版を送るか |
| 返事が遅くなる | 出張や休みで、すぐ返信できない | いつからいつまでか。急ぎのときの連絡先 |
| 品切れ・数に限りがある | 希望の数をそろえられないことがある | 次の入荷の見込み。分かる範囲で |
| 対応できないことを断る | 時間外の配送、対象外の修理など、受けられない依頼 | 受けられない理由。代わりにできること |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
どの場面でも、「ご容赦ください」だけで終わらせないのがこつです。許してもらうお願いは、相手に我慢を頼むことです。理由と、代わりにできることがあると、相手は、我慢する範囲が分かります。
合わない場面:すでに起きた大きな迷惑
納期に遅れた、金額を間違えて請求した、約束の時刻に行けなかった。こうした、すでに起きて、相手が困っていることには、「ご容赦ください」は合いません。
理由は、言葉の中身にあります。「詫びる」は、同じ辞書に「自分の非を認めて、相手の許しを請う。あやまる。」とあります。お詫びには、自分の非を認めることが入っています。「容赦」の語釈は「ゆるすこと。大目に見ること。」で、非を認める意味は入っていません。迷惑をかけた相手に「ご容赦ください」だけを送ると、非を認めないまま、許すことだけを求めた形になります。
惜しい例:「納品が一日遅れました。ご容赦ください」
良い例:「◯月◯日(◯)お届けのお約束が、一日遅れました。申し訳ございません。原因は、当社の出荷の手配の誤りです。本日◯時に、お届けを済ませております。今後は、出荷の前日に、手配の内容を二人で確認いたします」
どちらも説明用の例です。良い例は、お詫びの言葉、起きた事実、原因、今の状況、これからの対応の順に書いています。お詫びの連絡は、送る前に上司へ報告します。順番と文例は、お詫びメールの書き方にまとめています。
相手から苦情を受けた場面で、自社に非があるかどうかがまだ分からないときは、お詫びの範囲を分けます。分け方は、クレーム対応の基本にあります。
お許しください・ご了承ください・申し訳ございません・ご勘弁くださいとの違い
近い言葉を、辞書の語釈で比べます。「 」の中は、デジタル大辞泉(コトバンク)の文をそのまま写したものです。
| 言い方 | 元の言葉と語釈 | 語釈から言えること |
|---|---|---|
| ご容赦ください | 容赦:「ゆるすこと。大目に見ること。」 | 大目に見てもらう。行き届かない点を、先に断るときに合う |
| お許しください | 許す:「過失や失敗などを責めないでおく。とがめないことにする。」 | 過失や失敗を、とがめないでもらう。起きた失礼に対して使える |
| ご了承ください | 了承:「事情をくんで納得すること。承知すること。承諾。」 | 事情を納得して、受け入れてもらう。許す・許さないの話ではない |
| 申し訳ございません | 申し訳ない:「言い訳のしようがない。弁解の余地がない。相手にわびるときに言う語。」 | 相手に頼む言葉ではなく、わびる言葉。起きた迷惑には、これが先 |
| ご勘弁ください | 勘弁:「他人の過失や要求などを許してやること。堪忍。」 | 過失を許してもらうほか、要求を受けられないときにも使う |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
取り違えやすい所を、3つ挙げます。
「ご容赦」と「ご了承」:許してもらうのか、受け入れてもらうのか
対応できないことを断るとき、どちらも使われます。分ける基準は、相手が期待していたかどうかです。「土曜と日曜は、出荷を休んでおります」のように、決まりを知らせるなら、受け入れてもらう話なので「ご了承ください」です。相手から「土曜に届けてほしい」と頼まれて断るなら、期待に添えないことを許してもらう話なので、「ご容赦ください」が合います。
知っておいてもらうだけの連絡は、また別の言葉になります。「ご承知おきください」の意味と使い方にまとめています。
「申し訳ございません」は、頼みではなく、お詫び
「ご容赦ください」は、相手に「許して」と頼む言葉です。「申し訳ございません」は、自分がわびる言葉です。向きが逆です。起きた迷惑には、わびる言葉を先に書きます。そのうえで「何とぞご容赦くださいますよう、お願い申し上げます」を足すかどうかは、会社の文例や上司の指示に合わせます。
なお、同じ辞書の補説は、「申し訳ありません」「申し訳ございません」と言うことについて、「一概に誤りとは言えない。」としています。
「ご勘弁ください」は、断るときにも使う言葉
「勘弁」の語釈には、「過失」のほかに「要求」が入っています。辞書の用例にも「保証人になる話は―してもらった」とあり、頼まれごとを断る場面で使われる言葉だと分かります。
「ご容赦ください」と「ご勘弁ください」のどちらが丁寧か、取引先に使ってよいかを決めた説明は、上の辞書の語釈にはありません。「敬語の指針」にも、「容赦」「勘弁」という言葉は出てきません。公的な決まりは見当たらないので、会社の文例と、先輩が取引先へ送った文面に合わせます。
手紙で見かける「ご海容ください」は、同じ辞書に「海のように広い寛容な心で、相手の過ちや無礼などを許すこと。主に手紙文で用いる。」とあります。メールより、改まった手紙で使う言葉だと、辞書から分かります。
形:「何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます」
「ご容赦」の後ろに付ける形で、調子が変わります。次の表は一例です。
| 形 | 特徴 | 向く場面(一例) |
|---|---|---|
| ご容赦ください | 相手に直接頼む形。短い | 案内文や注意書き。社内への連絡 |
| ご容赦くださいますよう、お願い申し上げます | お願いの形にする | 取引先へのメール。書面の案内 |
| 何とぞご容赦くださいますよう、お願い申し上げます | 「何とぞ」で、願う気持ちを強める | 相手の不便が大きいとき。改まった書面 |
| ご容赦いただけますと幸いです | 自分の気持ちを述べる形。やわらかい | 小さな行き届かなさを、個別のメールで断る |
| ご容赦願います | 短く、事務的 | 掲示や、社内の事務連絡 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
「何卒(なにとぞ)」は、同じ辞書に「相手に強く願う気持ちを表す。どうぞ。どうか。」とあり、用例に「何卒お許しください」が挙がっています。強く願う言葉なので、小さなことに毎回付けると、どれが大事なお願いかが分かりにくくなります。一通に一回、いちばん許してもらいたい所に使います。
「平に」という言葉もあります。同じ辞書に「相手に懇願するさま。なにとぞ。どうか。」とあり、用例は「平に御容赦を願います」です。意味は「何とぞ」と近いことが、語釈から分かります。
「幸いです」を付ける形の強さの選び方は、「幸いです」の意味と使い方にまとめています。
文例:メールと案内文
4つの例です。どれも説明用の例で、内容は自分の会社の決まりに合わせて書き換えます。
1. 返事が遅くなる(メール)
◯月◯日(◯)から◯日(◯)まで、出張のため、メールの確認が夜のみとなります。
ご返信が翌営業日になる場合がございます。ご容赦くださいますよう、お願い申し上げます。
お急ぎの際は、[部署名]の[氏名](電話:[番号])までご連絡ください。
いつからいつまで、どうなるか、急ぎのときはどうすればよいか、の3つを書いています。代わりに受ける人の名前と連絡先は、本人と上司に確かめてから書きます。
2. 急いで作った資料を送る(メール)
お打ち合わせに間に合うよう、取り急ぎ、概要のみをまとめた資料をお送りします。
図と数字の出どころは、まだ入れておりません。行き届かない点は、ご容赦ください。
整えた版は、◯月◯日(◯)までにお送りします。
どこが足りないかを先に書いています。相手は、足りない所を自分で探さずに済みます。ただし、数字の誤りは「行き届かない点」ではありません。金額や数量は、急ぎでも見直してから送ります。
3. 品切れ(案内文)
数に限りがあるため、ご注文が重なった場合は、お届けまでに日数をいただくことがございます。
何とぞご容赦くださいますよう、お願い申し上げます。
お届けの見込みは、ご注文の翌営業日に、メールでお知らせいたします。
大勢に向けた案内文の例です。相手が次にいつ・何で知らされるかを、最後に書いています。
4. 対応できないことを断る(メール)
このたびは、ご相談をいただき、ありがとうございます。
あいにく、土曜日のお届けは、配送の便がなく、お受けすることができません。ご希望に添えず、申し訳ございません。何とぞご容赦ください。
金曜日の午後、または月曜日の午前でしたら、お届けできます。ご都合をお聞かせいただけますでしょうか。
断る理由、お詫び、代わりの案の順です。相手の頼みを断るので、ここでは「申し訳ございません」を先に書き、その後ろに「ご容赦ください」を置いています。代わりの案で終えると、相手は次の返事を書きやすくなります。
迷いやすい判断と、送ったあと
判断1:取引先や上司に、「ご容赦ください」を使ってよい?
上の辞書の語釈に、使う相手を限る説明はありません。「敬語の指針」にも、この言葉は出てきません。基準は、相手が誰かより、許してもらいたいことの大きさに合っているかです。小さな行き届かなさを先に断るなら合います。相手がすでに困っていることなら、相手が誰でも、お詫びが先です。
判断2:理由は、どこまで書く?
基準は、相手が予定を立てるのに要る分だけです。「出張のため」「配送の便がないため」で足ります。社内の事情や、ほかの取引先の名前は書きません。書いてよいか迷う理由は、先輩に「この理由は、取引先にそのまま伝えてよいですか」と聞きます。
判断3:相手から「ご容赦ください」と届いたら?
相手が先に断ってきた、ということです。困らないなら、「承知いたしました。ご事情、理解いたしました」と短く返します。困ることがあるなら、黙って受け入れず、困る点を一つ書きます。「◯日の午前に使う予定でした。前の日に一部だけ受け取ることはできますか」のような形です(説明用の例です)。相手を責める言葉は足しません。
判断4:同じ相手に、何度も「ご容赦ください」と書いている
先に断る連絡が続くなら、言葉より、段取りを見直す合図です。基準は、同じ理由が二回続いたかです。「返信が遅れる」が続くなら、返信の時間を一日の予定に入れる、不在のときの代わりの人を決める、という手を上司に相談します。相談するときは、「A社への返信が、今月二回、翌日になりました。不在のときの受け方を決めたいです」と、事実と回数を添えます(説明用の例です)。
失敗1:起きた迷惑に、「ご容赦ください」だけで送った
その場では:相手の返事を待たずに、上司へ報告します。送った文面を見せ、追ってお詫びをする方法(電話か、メールか、誰からか)を決めてもらいます。追う連絡では、「先ほどのメールは、お詫びの言葉が足りておりませんでした。申し訳ございません」と、言い訳を足さずに伝え、起きたことと、これからの対応を言います(説明用の例です)。
後の記録:「遅れた後なのに、先に断るときの言葉で書いた。次からは、書く前に、相手が今もう困っているかを一行書く」と、次の手順の形で残します。
失敗2:断ったあと、相手が困ったままになった
その場では:「ご容赦ください」で断って、代わりの案を書かなかったときに起きます。気づいたら、こちらから連絡します。「先日はご希望に添えず、失礼いたしました。別の方法を確認しましたので、ご案内します」と伝え、できることを一つ示します(説明用の例です)。できることがないなら、上司に相談してから連絡します。
後の記録:断った内容、相手が本当に困っていたこと、代わりに出した案の3つを書きます。次に同じ頼みが来たとき、最初から代わりの案を添えられます。
失敗3:先に断った期限も、守れなかった
その場では:「翌営業日に返信します」と書いて、それも過ぎたなら、もう先に断る場面ではありません。お詫びの連絡になります。遅れたことをわび、今の状況と、次にいつ返事をするかを伝えます。
後の記録:「できる日を、余裕なく書いた。次からは、予定表を見て、確かに空いている時間を入れてから日付を書く」と残します(説明用の例です)。上司には、遅れた事実と、伝え直した期限を報告します。報告の順番は、営業で失敗したときにあります。
今日やることは一つです。これから送る連絡一通について、許してもらいたいことが「これから起きるかもしれないこと」か「すでに起きたこと」かを分け、前者なら、理由と代わりにできることを添えて一文を書いてください。
依頼や誘いを断るメールの書き方は、お断りメールの書き方と文例にまとめています。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
これから送る連絡の下書き。相手の希望や期限が分かるメール。自分の予定表(いつなら対応できるかを書くため)。
記入例を見る(説明用)
許してもらいたいこと=A社の佐藤様からの問い合わせに、今週はすぐ返信できない/これから起きることか、すでに起きたことか=これから起きること。◯月◯日(◯)から◯日(◯)まで出張で、メールを見られる時間が夜だけになる/理由=出張で外出が続くため。行き先や用件は書かない/代わりにできること=急ぎの用件は、同じ課の鈴木が受ける。鈴木の連絡先を書いてよいか、鈴木本人と上司に確かめる(未確認)。自分からの返信は、翌営業日の午前中までにする/使う形と、先に書く言葉=「ご返信が翌営業日になる場合がございます。ご容赦くださいますよう、お願い申し上げます」。まだ迷惑は起きていないので、お詫びの言葉は先に置かない。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
許してもらいたいことが一つ書いてあり、これから起きることか、すでに起きたことかを分けて、理由と代わりにできることを添えた一文になっている。
うまく進まなかったときは?
すでに起きたことか、これからのことかが決まらなければ、「相手は今、もう困っているか」を考える。困っているなら、お詫びが先。代わりにできることが書けなければ、先輩に「この件、いつまでなら対応できると書いてよいですか」と、下書きを見せて聞く。