NOTE 148 · 営業の実践ノート
リードタイムとは:納期との違いと、営業が納期を答える前に確かめること
公開:2026年10月3日
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リードタイムとは、ある作業を始めてから終わるまでにかかる期間のことです。営業の仕事では、注文を受けてから品物を納めるまでにかかる期間を指して使うことが多い言葉です。納期が「約束した日」であるのに対し、リードタイムは「かかる期間」です。この記事では、辞書の語釈、内訳の例、納期を答える前に確かめることを説明します。日数は、すべて説明用の例です。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 相手に「いつ届きますか」と聞かれて、その場で答えられなかったとき。先輩の言う「リードタイム」が、何から何までの期間か分からないとき。
- 1
相手の希望日と、何のためにその日なのかを聞く
- 2
在庫・製造や仕入の日数・配送・休みの日を、担当に確かめる
- 3
確かめた結果を、期間ではなく日付と条件で答える
- 4
答えた納期と、確かめた相手を記録する
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
リードタイムとは:始めてから終わるまでにかかる期間
相手から「これ、いつ届きますか」と聞かれて、会社に戻って先輩に聞く。「リードタイムは2週間くらいかな」と言われたけれど、何から数えて2週間なのかが分からない。営業を始めて間もないころに、よくある場面です。
辞書では、リードタイムは次のように説明されています。
- 「所要時間。調達期間。生産では、製造命令が出てから製品が完成するまでの期間のこと。また、在庫管理では、注文を出してから、注文品が得られるまでの期間をさす。」(デジタル大辞泉「リードタイム」)
- 「発注から納品まで,あるいは発注から次の発注までの時間をいう。」(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「リードタイム」)
共通しているのは、「何かを始めてから、終わるまでにかかる期間」という点です。ただ、語釈を読むと、始まりと終わりが場面によって違うことが分かります。作る現場では「製造命令が出てから製品が完成するまで」、在庫の管理では「注文を出してから、注文品が得られるまで」です。
営業の仕事では、「注文を受けてから、相手に納めるまでにかかる期間」の意味で使うことが多い言葉です。ブリタニカの「発注から納品まで」を、売る側から見た形です。
ここで気をつけることが一つあります。同じ「リードタイム」でも、話す人によって、数え始めと数え終わりが違います。倉庫の人は「出荷まで」、作る担当の人は「完成まで」の意味で言っていることがあります。先輩や担当の人から日数を聞いたら、「それは、何から何までの日数ですか」と聞き返してください。この一言を省くと、配送の日数が抜けたまま相手に答えることになります。
納期との違い:約束した日と、かかる期間
リードタイムとよく並んで出てくるのが、納期です。辞書の説明は次のとおりです。
| 言葉 | 辞書の説明 | 一言で言うと |
|---|---|---|
| リードタイム | 「所要時間。調達期間。」(デジタル大辞泉「リードタイム」) | かかる期間(◯日間) |
| 納期 | 「税金や商品などを納める時期。また、その期限。」(デジタル大辞泉「納期」) | 納める日・期限(◯月◯日) |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
精選版 日本国語大辞典も、納期を「税金、商品などを納入する時期・期日。また、その期限。」(精選版 日本国語大辞典「納期」)としています。納期は「日」や「期限」で、リードタイムは「期間」です。
二つの関係は、こう考えると分かりやすくなります。リードタイムは、納期を決めるための材料です。注文が決まった日からリードタイムの分だけ先へ数えると、納められる日が出ます。その日を相手と約束したものが、納期です。
なぜ分けて考えるのか。相手は、納期の日付をもとに、自分の予定を組むからです。作業の人を集める日、次の工程を始める日、お客様へ渡す日。こちらが「2週間くらいです」と期間で答えると、相手は「今日から2週間」と受け取り、こちらは「注文をいただいてから2週間」のつもりでいる、というずれが起こります。
「営業日」と「日」を取り違えない
日数を数えるときは、数え方もそろえます。営業日は、辞書で「会社や商店などが業務を行っている日。また、それを数える単位。」(デジタル大辞泉「営業日」)と説明されています。休みの日を数に入れない数え方です。
「5日」と「5営業日」では、間に休みが入ると届く日が変わります。しかも、休みの日は会社によって違います。自社、仕入先、運送の会社、相手の会社の4つで、休みがずれていることがあります。だから、相手に答えるときは、日数ではなく日付にします。日付にしてしまえば、数え方の違いは起こりません。
リードタイムの内訳:どこで何日かかるのか
リードタイムは、一つのかたまりではありません。いくつかの段階の日数を足したものです。次の表は、仕入れて売る場合の一例です。段階の分け方も日数も、会社と商品によって違います。日数は説明用の例です。
| 段階 | 何をするか | 日数の例 | 聞く相手(一例) |
|---|---|---|---|
| 手配 | 注文の内容を社内に通し、仕入先へ注文を出す | 1営業日 | 事務の担当・上司 |
| 製造・仕入 | 作る。または、仕入先から品物が届くのを待つ | 5営業日 | 作る担当・仕入先 |
| 検品 | 届いた品物の数や状態を調べる | 1営業日 | 倉庫の担当 |
| 配送 | 出荷して、相手の所へ届ける | 2営業日 | 配送の担当・運送の会社 |
| 合計 | 注文を受けてから、相手に届くまで | 9営業日 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
検品は、辞書で「品物・製品を検査すること。」(デジタル大辞泉「検品」)とされています。数が合っているか、傷がないかを、出す前に調べる作業です。
この例では、1+5+1+2で9営業日です。もし品物が自社の倉庫にあれば、仕入れを待つ5営業日が要らなくなり、4営業日になります。同じ商品でも、在庫があるかどうかで、リードタイムは大きく変わります。先輩の言う「だいたい2週間」は、どの場合の話なのかを確かめる理由が、ここにあります。
内訳を知っておくと、もう一つ良いことがあります。短くしてほしいと頼まれたときに、どの段階なら相談できそうかを、社内に聞けるようになります。ブリタニカ国際大百科事典も、物流の話として、「受注から品揃え,配送先ごとの仕分け,積降ろしなどの時間の短縮が課題となる。」(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「リードタイム」)と、段階ごとに時間を見ています。
相手の所に届いたあとには、相手が中身を確かめて受け取る「検収」という段階もあります。検収とはで説明しています。
納期を答える前に確かめる4つと、答え方
納期は、営業が一人で決められるものではありません。品物を用意する人、運ぶ人の予定で決まります。答える前に、次の4つを確かめます。
- 在庫:在庫は、辞書で「商品が倉庫などにあること。また、その商品。」(デジタル大辞泉「在庫」)と説明されています。頼まれた数が、今、倉庫にあるか。ほかの注文に回す予定になっていないか。倉庫や事務の担当に、品名と数量を言って聞きます。
- 製造や仕入の日数:在庫が足りないとき、作る、または仕入れるのに何日かかるか。「いつ注文を出せば、いつ届くか」を、日付で聞きます。
- 配送:出荷してから届くまでの日数。届け先の場所、時間の指定、荷物の大きさで変わることがあります。
- 休みの日:自社、仕入先、運送の会社、相手の会社。長い休みや、相手が受け取れない曜日が間に入らないかを見ます。
4つを聞くときは、聞いた相手の名前と日時をメモに残します。あとで日程が変わったとき、誰にもう一度聞けばよいかが分かります。
答え方:自分で決めず、確かめてから日付で答える
その場で聞かれたら、納期ではなく、「いつまでに答えるか」を先に答えます。
相手:「これ、20個だと、いつ届きますか」
自分:「在庫と配送の日程を確かめてから、日付でお答えします。明日の午前中に、お電話でご連絡してよろしいでしょうか」
相手:「お願いします。できれば20日までにほしいんです」
自分:「20日までですね。20日に何かご予定があるのでしょうか」
相手:「翌週から作業に使うので、前の週のうちに手元にほしくて」
やり取りは説明用の例です。希望日だけでなく、なぜその日なのかを聞いています。理由が分かると、「20日に全部は無理でも、先に5個なら届けられる」といった相談ができるようになります。
確かめ終わったら、日付と条件を合わせて答えます。「◯月◯日までにご注文をいただいた場合、◯月◯日にお届けできます」という形です。条件を添えるのは、注文が遅れれば、届く日も後ろへずれるからです。
相手の希望日と、社内で確かめた日を、メモの別の欄に書く方法は、見積書を送る前に確認する7項目の「未確定の納期を、確約に変えない」にまとめています。送る前の確認には、見積提出前チェックリストも使えます。
場面で変わるところと、短くしてほしいと言われたとき
確かめる4つは同じです。場面によって、時間のかかる所が変わります。次の表は一例です。
| 場面 | 時間がかかりやすい所 | 確かめること(一例) |
|---|---|---|
| 在庫がある | 配送 | ほかの注文に回す予定がないか。出荷できる一番早い日 |
| 在庫がなく、仕入れる | 仕入 | 仕入先の在庫と、こちらへ届く日。仕入先の休みの日 |
| 注文を受けてから作る | 製造 | 作り始められる日と、作り終わる日。材料がそろっているか |
| 数量が多い | 製造・仕入・配送 | 一度に用意できる数。分けて納めることができるか |
| 長い休みをはさむ | 全部の段階 | 休みの前の、注文の締め切りの日。休み明けに出荷が始まる日 |
| 相手が急いでいる | 答えるまでの時間 | いつまでに・いくつ要るのか。先に答えを返す日時 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
言い方の例:惜しい例と良い例
同じ場面で、言い方を比べます。説明用の例です。
| 場面 | 惜しい例 | 良い例 | 違い |
|---|---|---|---|
| その場で聞かれた | 「たぶん2週間くらいで届くと思います」 | 「在庫と配送を確かめて、明日の午前中に日付でお答えします」 | 確かめていない日数を言っていない。答える日時を約束している |
| 確かめた後に答える | 「リードタイムは9営業日です」 | 「◯月◯日までにご注文をいただいた場合、◯月◯日にお届けできます」 | 期間ではなく日付。数え始めの条件が入っている |
| 社内に聞く | 「A社の件、いつ出せますか」 | 「部品Bを20個、A社が◯月20日までに希望しています。出荷できる一番早い日を教えてください」 | 品名・数量・希望日がそろっていて、相手が調べやすい |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
短くしてほしいと言われたとき
「もう少し早くなりませんか」と言われたときに、その場で「がんばります」「何とかします」と答えると、相手はそれを約束として受け取ります。次の順に動きます。
- いつまでに、いくつ要るのかを聞く。「全部が20日に要りますか。それとも、先に一部があれば作業を始められますか」と聞きます。
- 社内に、短くできる所があるかを聞く。分けて納める、在庫のある近い品に替える、配送の方法を変える、などです。分けて納めることを分納と言い、辞書では「何回かに分けて納めること。」(デジタル大辞泉「分納」)とされています。どれができるかは、上司と担当が決めます。
- できること・できないことを、日付で答える。「全部を20日にお届けすることは、できません。5個を18日、残りの15個を27日にお届けする形でしたら、ご用意できます」のように答えます。
急ぎの対応で費用が変わるかどうかは、自分で決めません。上司に確かめてから伝えます。できないときは、できない理由を長く説明するより、一番早い日付を伝えるほうが、相手は次の手を考えやすくなります。
迷いやすい判断と、間に合わないと分かったあと
判断1:「だいたいでいいから教えて」と言われたら?
基準は、確かめた事実があるかどうかです。確かめた事実があれば、それだけを伝えます。「在庫は5個あります。残りの15個は、仕入先に確認中です」という形です。確かめていない日数は言いません。「だいたい」で言った日付も、相手の予定表には、決まった日として書かれるからです。
おおよその日数を口頭で伝えてよいかどうかは、会社によって方針が違います。先輩に「確定の前に、目安をお伝えしてもよいですか」と聞いてください。
判断2:聞いた日数に、自分で余裕を足して答えてよい?
自分の判断で足したり、削ったりはしません。足しすぎれば、相手はほかの会社を探すかもしれません。削れば、守れない約束になります。担当から聞いた日付をそのまま上司に伝え、「この日付で答えてよいですか」と聞きます。予備の日を入れるかどうかは、会社の決まりに合わせます。
判断3:仕入先や担当から、返事が来ないときは?
相手に約束した「答える日時」が基準です。その時刻までに返事がそろわなければ、黙って待たず、約束の時刻に連絡します。「仕入先に確認中で、まだ日付が出ていません。本日の夕方5時までに、もう一度ご連絡します」と、分かっていることと、次に連絡する時刻を伝えます(説明用の例です)。
判断4:相手に「リードタイムは◯日です」と、そのまま伝えてよい?
相手がこの言葉を使っているなら、使ってかまいません。ただ、数え始めと数え終わりが、相手とこちらで同じとは限りません。「ご注文の翌日から数えて、お届けまで9営業日です。日付では◯月◯日です」と、何から何までかと、日付を添えます(説明用の例です)。
答えた納期に間に合わないと分かったあと
その場では:分かった時点で、上司に報告します。伝えることは4つです。どの注文か、約束した日はいつか、どの段階が何日遅れるのか、新しい日付は誰に確かめたのか。新しい日付がまだ出ていなければ、「未確認」と言います。
相手への連絡は、上司に相談してから、早めに行います。先に電話で伝え、そのあとメールで残す形が、行き違いを減らします。新しい日付は、もう一度4つを確かめてから伝えます。急いで言った二つ目の日付も守れなければ、相手は予定を二度組み直すことになります。お詫びの文の書き方は、お詫びメールの書き方の「納期が遅れる」の文例にまとめています。
帰ってからの記録:4つのうち、どれを確かめていなかったのかを書きます。「配送の日数を聞かずに答えた。次からは、出荷の日と届く日を分けて聞く」のような形です(説明用の例です)。上司への報告のしかたは、営業で失敗したときにまとめています。
期間で答えて、数え始めがずれていたと分かったあと
その場では:気づいた時点で、相手に日付で言い直します。「先日『2週間ほど』とお伝えしましたが、ご注文をいただいた日から数えた期間でした。日付では◯月◯日です。分かりにくい伝え方で、申し訳ございません」(説明用の例です)。相手の予定に合わないと分かったら、上司に相談します。
帰ってからの記録:「期間で答えた。次からは、日付と条件で答える」と書きます。
今日やることは一つです。今、納期を聞かれている一件について、在庫・製造や仕入の日数・配送・休みの日を誰に確かめるかを書き出し、答える納期を日付で書いてください。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
相手からの依頼のメモ(品名・数量・希望日)、在庫や日程を聞く相手の連絡先、自社と相手の休みの日が分かるもの。
記入例を見る(説明用)
相手と、品名・数量=A社の佐藤様。部品B、20個/相手の希望日と、その理由=◯月20日。翌週の作業で使うため、前の週のうちに手元にほしい、とのこと/確かめたこと=在庫:倉庫の担当に聞いた。在庫は5個で、残りは仕入れになる。仕入:仕入先から「5営業日」と返事をもらった。配送:出荷から2営業日、と配送の担当に聞いた。休みの日:仕入先の休みは未確認。今日、仕入先に聞く/答える納期と、その条件=まだ答えない。「◯月◯日(明日)の午前中に、日付でお答えします」と伝えた。答えるときは「◯日までにご注文をいただいた場合」という条件を添える/次にやること=自分:仕入先に休みの日を聞き、明日の午前中に佐藤様へ連絡する。日数はすべて説明用の例。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
相手の希望日と理由、確かめた4つ(在庫・製造や仕入・配送・休みの日)と確かめた相手が書いてある。答える納期が、期間ではなく日付で書いてあり、条件が添えてある。
うまく進まなかったときは?
誰に聞けば日数が分かるのかが分からなければ、先輩に「この商品の在庫と、仕入れにかかる日数は、どなたに聞けば分かりますか」と聞く。確かめきれない項目があれば、空欄にせず「未確認」と書き、いつまでに誰に聞くかを書く。相手には、納期ではなく「いつまでに答えるか」を先に伝える。