NUSSI’S SALES NOTEウッシの営業ノート

NOTE 149 · 営業の実践ノート

検収とは:納品との違いと、営業が確かめる条件・期限・検収書

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検収(けんしゅう)とは、納められた品物が注文どおりかを調べて、受け取ることです。調べて受け取るのは、買う側です。納品が「届けた」という売る側の動きであるのに対し、検収は「中身を確かめて受け取った」という買う側の動きです。この記事では、辞書の語釈、取引の流れの中での位置、営業が確かめることを説明します。日数や日付は、すべて説明用の例です。

今日できるようになること

納品した(これから納品する)一件について、検収の条件と期限が、契約書や注文書のどこに書いてあるかを確かめて書き出す。

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こんなときに 納品が終わったあと、先輩に「検収は終わった?」と聞かれて、何のことか分からなかったとき。納品したのに、相手から何の連絡も来ないとき。

この順番で進めよう
  1. 1

    検収の条件と期限を、契約書や注文書で確かめる

  2. 2

    納品したことを、日付・品名・数量と一緒に相手へ伝える

  3. 3

    検収の結果を、相手の決まりの形(検収書など)でもらう

  4. 4

    結果と日付を記録し、社内の次の担当へ伝える

会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。

検収とは:注文どおりかを調べて、受け取ること

品物を届け終えて、ひと区切りついたと思っていたら、先輩に「検収は終わった?」と聞かれた。届けたのだから終わったのでは、と思って、答えに詰まる。営業を始めて間もないころに、よくある場面です。

検収は「けんしゅう」と読みます。辞書の説明は次のとおりです。

  • 「納入品が発注どおりか検査して受け取ること。品物の種類や数量、破損の有無、機器の動作確認などを行って品物を引き取ること。また、コンピューターのシステム開発を外注したときに、納品されたシステムを検証すること。」(デジタル大辞泉「検収」)
  • 「品物が、注文どおりか、規格に合っているかを調べて受け取ること。」(精選版 日本国語大辞典「検収」)

大事な点は二つです。一つ目は、調べて受け取るのは、買う側(注文した側)だということ。営業が売る側なら、検収をするのは相手の会社です。二つ目は、「調べる」と「受け取る」がセットになっていること。調べて、注文どおりだと認めたうえで受け取る、という意味です。

何を調べるかは、語釈に例が挙がっています。品物の種類、数量、破損がないか、機器が動くか。システムの開発を頼んだ場合は、納められたシステムを検証することも、検収と呼ばれます。

反対に、自分の会社が仕入先から品物を買うときは、自分の会社が検収をする側になります。この記事は、売る側の営業の立場で説明します。

納品と検収の違い:届いた、と、確かめて受け取った

納品は、辞書で「品物を納入すること。また、その品物。」(デジタル大辞泉「納品」)と説明されています。二つを並べます。

言葉辞書の説明誰の動きか一言で言うと
納品「品物を納入すること。また、その品物。」(精選版 日本国語大辞典「納品」)売る側届けた
検収「品物が、注文どおりか、規格に合っているかを調べて受け取ること。」(精選版 日本国語大辞典「検収」)買う側中身を確かめて、受け取った

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

納品は、こちらの動きです。届けた日に終わります。検収は、相手の動きです。相手が調べ終わるまで、終わりません。「届けた」と「受け取ってもらえた」のあいだには、相手が調べる時間があります。

なぜ、この違いを知っておくのか。営業が「納品したので終わりました」と社内に報告したあとで、相手から「数が足りない」「動かない」と連絡が来ることがあるからです。相手の中では、まだ受け取りが済んでいません。報告は「◯日に納品済み。検収はまだ」のように、二つを分けて書きます。

納品のときに渡す書類については、納品書とはで説明しています。

取引の流れの中での、検収の位置

注文から支払いまでを順に並べると、検収の位置が分かります。次は一例です。順番や呼び名は、会社や契約によって違います。

  1. 注文:相手が注文を出す。注文書は、辞書で「注文の条件を書き記した書類。注文状。」(デジタル大辞泉「注文書」)とされています。注文を受けたことを書類で返す場合は、注文請書を使います。
  2. 納品:こちらが品物を届ける。
  3. 検収:相手が、注文どおりかを調べて受け取る。
  4. 請求:こちらが請求書を出す。請求書は、「物品や代金の支払いなどを請求するために出す文書。」(デジタル大辞泉「請求書」)です。
  5. 支払い:相手が代金を支払う。

検収は、納品と請求のあいだにあります。相手が「注文どおりだ」と認めたあとで、請求に進む形です。取引によっては、検収が終わった日を、請求や支払いの日を数える始まりにしていることがあります。そのため、検収が終わらないと、その先の手続きが進まないことがあります。

どの日を始まりにするかは、その取引の契約で決まります。自分の会社が売上をいつの分として記録するかも、会社の経理の決まりによります。この記事では決められません。契約書と注文書を読み、分からなければ上司と経理の担当に確かめてください。

支払いの期日が、法律で決められている取引もある

検収と支払いの関係には、法律が関わる取引があります。以前「下請法」と呼ばれていた法律です。公正取引委員会は、法律の名前が変わったことを、「法律名の「下請代金支払遅延等防止法」は、「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(略称:中小受託取引適正化法、通称:取適法)となります。」(公正取引委員会「中小受託取引適正化法(取適法)関係」)と案内しています。

この法律では、仕事を頼む側(委託事業者)の義務の一つとして、「製造委託等代金の支払期日を給付の受領後60日以内のできる限り短い期間内に定めること。」(公正取引委員会「委託事業者の義務」)が挙げられています。同じページの説明には、「委託事業者が中小受託事業者の給付の内容について検査するかどうかを問わず」(公正取引委員会「委託事業者の義務」)、という言葉があります。数え始めは「受領」の日で、検査をするかどうかは問わない、という書き方です。

公正取引委員会のよくある質問にも、「原則として納品された時点が受領日となる」(公正取引委員会「よくある質問コーナー(取適法)」)という答えが載っています。

ただし、この法律は、すべての取引に当てはまるわけではありません。公正取引委員会は、「取適法の対象となる取引は事業者の資本金規模又は従業員基準と取引の内容で定義」(公正取引委員会「取適法の概要」)と説明しています。自分の取引が当てはまるかどうかは、この記事では判断できません。会社の経理や法務の担当、上司に確かめてください。営業が覚えておくのは、「検収が終わるまで、いつまでも支払わなくてよい」とは限らない取引がある、という一点です。

営業がやる4つのこと

検収をするのは相手です。けれども、検収がとどこおりなく進むように準備するのは、営業の仕事です。

1. 検収の条件と期限を、契約書や注文書で確かめる

納品の前に、次の4点が書類のどこに書いてあるかを探します。

  • 何を調べるのか(数量、外観、動作など)
  • 誰が調べるのか(窓口の担当者か、現場の人か)
  • いつまでに調べ終わるのか(納品から何日以内、など)
  • 結果を、どの形で知らせるのか(書類、メール、相手のシステムなど)

納品の前に確かめるのは、あとからでは決めにくいからです。届いてから「何を調べれば合格ですか」と話し合うと、相手とこちらで、合格の線が食い違うことがあります。書類に書かれていない点があれば、自分で決めずに、上司に相談してから相手に聞きます。

2. 納品したことを伝える

品物が届いても、窓口の担当者が知らないままだと、検収は始まりません。届けた日に、日付・品名・数量を伝えます。

件名:機器C(2台)納品のご連絡

A社 佐藤様

いつもお世話になっております。◯◯社の鈴木です。

本日◯月10日、機器C 2台を、ご指定の場所へ納品いたしました。納品書は、品物に同梱しております。

ご確認(検収)のご予定と、結果のお知らせの方法を、お教えいただけますでしょうか。

確認の際にご不明な点がありましたら、鈴木までご連絡ください。

文例は説明用の例です。「検収をお願いします」と急がせるのではなく、予定と知らせ方をたずねる形にしています。

3. 検収の結果を、書類でもらう

検収が終わったことを示す書類は、「検収書」と呼ばれることがあります。デジタル大辞泉の「検収」の項にも、使い方の例として「検収書」が挙がっています。品物を受け取ったことを示す書類は、「受領書」と呼ばれることがあります。

辞書で確かめられる範囲を書きます。受領は「物や金を受け取ること。」(デジタル大辞泉「受領」)、受領証は「物品や金銭などを受領した旨を記した証書。」(精選版 日本国語大辞典「受領証」)です。検収は、調べて受け取ること、でした。言葉の意味から言えるのは、受領は「受け取った」、検収は「調べたうえで受け取った」という違いです。

「検収書」と「受領書」という書類の違いを決めた語釈は、辞書(コトバンク)では見つかりません。書類の名前と役目は、会社によって違います。相手から書類をもらったら、題だけで判断せず、「この書類で、検収が終わったことになりますか」と確かめてください。

もらった書類は、日付を見て、上司と経理の担当に渡します。社内で誰に渡すかは、会社の決まりに合わせます。

4. 不具合を指摘されたら、事実を聞いて、持ち帰る

検収で「数が足りない」「傷がある」「動かない」と言われたら、まず事実を聞きます。何が、いくつ、どんな状態か。いつ、誰が気づいたか。写真があれば、送ってもらえるか。

その場で、原因を言ったり、交換や値引きを約束したりはしません。原因はまだ分かっておらず、対応を決めるのは上司だからです。「ご不便をおかけして申し訳ございません。状況を確認して、本日の午後3時までに、対応をご連絡します」と、連絡の時刻を伝えます(説明用の例です)。聞き取りと報告の順番は、クレーム対応の基本にまとめています。

場面で変わるところと、言い方の例

確かめる4点は同じです。何を納めるかによって、力を入れる所が変わります。次の表は一例です。

場面食い違いやすい所先に確かめること(一例)
品物を納める数量、傷、型番納品書と注文書の品名・数量が合っているか。箱を開けて調べるのは誰か
設置や設定まで行うどこまで終われば完了か動作を、誰と一緒に確かめるか。立ち会いが要るか
システムや制作物を納める「注文どおり」の基準何ができていれば合格かを、書類にした基準があるか
何回かに分けて納める検収が、1回ごとか、全部そろってからか1回ごとに結果をもらうのか、最後にまとめてか
相手が忙しい時期調べる日が決まらない調べる予定の日。予定が立たないときの連絡先

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

言い方の例:惜しい例と良い例

同じ場面で、言い方を比べます。説明用の例です。

場面惜しい例良い例違い
社内への報告「A社の件、終わりました」「A社へ◯月10日に納品しました。検収はまだです。予定を佐藤様に聞いています」納品と検収を分けている。今の状態と、次の動きが分かる
相手に予定を聞く「検収はまだでしょうか」「ご確認のご予定を、お教えいただけますでしょうか」急がせる言い方になっていない。聞きたいことが一つ
不具合を指摘された「すぐ交換します」「状況を確認して、本日の午後3時までにご連絡します」決まっていない対応を約束していない。連絡の時刻がある

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

迷いやすい判断と、検収が終わらないとき

判断1:検収が終わる前に、請求書を出してよい?

基準は、契約と、自社の決まりです。請求書をいつ出すかは、取引ごとの約束で決まります。自分の判断で出したり、止めたりはしません。経理の担当か上司に、「A社は検収がまだです。請求書は、いつ出しますか」と、今の状態を添えて聞きます(説明用の例です)。

判断2:検収書は、もらわないといけない?

検収の結果をどの形で残すかは、相手の会社の決まりと、自社の決まりによります。書類の名前や形は、会社によって違います。迷うときは、先輩に「この取引は、検収の結果を何でもらいますか」と聞きます。形が何であれ、いつ・誰が・何を確かめたかが残るようにしておくと、あとで食い違ったときに確かめられます。

判断3:納品に、立ち会ったほうがよい?

基準は、相手がその場で確かめたいことがあるかどうかです。設置や動作の確認がある品物は、立ち会うと、その場で質問に答えられます。箱で届けるだけの品物は、立ち会わないこともあります。会社の決まりがあれば、それに合わせます。決まりがなければ、相手に「納品の日に、私も伺ったほうがよろしいでしょうか」と聞いて決めます。

判断4:期限を過ぎても連絡がないとき、合格とみなしてよい?

自分では決めません。期限を過ぎたときの扱いは、契約の書き方で変わります。契約書を持って、上司に「検収の期限が◯月◯日でした。相手から連絡がありません。契約ではこう書かれています」と見せて、次の動きを相談します。

検収が終わらないときの、連絡のしかた

その場では:相手を責める言い方をしません。相手の社内で、調べる人の手が空いていないだけかもしれません。確かめたいことを一つにしぼり、こちらで手伝えることを添えます。

件名:機器C(◯月10日納品分)ご確認のご予定について

A社 佐藤様

いつもお世話になっております。◯◯社の鈴木です。

◯月10日に納品いたしました機器C 2台について、ご確認(検収)のご予定を、お教えいただけますでしょうか。

動作の確認にお手伝いが必要でしたら、伺います。ご不明な点や、気になる点がありましたら、あわせてお知らせください。

文例は説明用の例です。「まだですか」とは書かず、予定をたずね、手伝えることを伝えています。相手が止まっている理由が、こちらの品物への疑問であることもあります。その疑問を言いやすくするための一文です。期限の伝え方は、催促メールの書き方にまとめています。

帰ってからの記録:納品した日、連絡した日、相手の答えを、日付と一緒に書きます。上司には「◯月10日に納品。◯月20日に予定をたずねた。『来週、現場が確認する』との返事」のように、事実を順に伝えます(説明用の例です)。

失敗:検収の条件を確かめないまま、納品した

その場では:気づいた時点で、契約書と注文書を読み直します。書かれていなければ、上司に相談してから、相手に「ご確認の方法とご予定を、お教えいただけますでしょうか」と聞きます。納品のあとでも、聞かないままにするよりは、早く聞いたほうが食い違いは小さくなります。

帰ってからの記録:「検収の条件を、納品の前に確かめていなかった。次からは、注文を受けた日に、注文書の検収の欄を読む」と書きます。失敗の報告のしかたは、営業で失敗したときにまとめています。

今日やることは一つです。納品した(これから納品する)一件について、検収の条件と期限が、契約書や注文書のどこに書いてあるかを確かめて、書き出してください。

YOUR TURN

自分の一件で、書いてみよう。

手元に用意するもの
その取引の契約書・注文書(または注文のメール)、納品書の控え、相手の担当者の連絡先。

記入例を見る(説明用)

相手と、納めたもの=A社の佐藤様。機器C、2台。◯月10日に納品した/検収の条件と、書いてある場所=注文書の備考に「数量と外観、動作を確認のうえ検収」とある。確かめるのは、A社の現場の担当の方(名前は未確認)/検収の期限と、結果の知らせ方=注文書には期限が書かれていない(未確認)。結果の知らせ方も書かれていない。今日、佐藤様に聞く/今の状態=納品した日に、メールで納品を伝えた。検収の結果は、まだもらっていない/次にやること=自分:今日中に佐藤様へ「検収のご予定と、結果のお知らせの方法」を聞く。答えを上司と経理の担当に伝える。日付はすべて説明用の例。

入力は自動保存されません。ページを移動する前に保存してください。保存した内容は他の人に自動送信されません。

CHECK

ここまでできたら、次へ。

検収の条件と期限が、どの書類のどこに書いてあるか(または、書かれていないので誰に聞くか)が分かる。納品を伝えた日と、検収の結果をもらったかどうかが書いてある。

うまく進まなかったときは?

契約書や注文書のどこを見ればよいか分からなければ、先輩に「この取引の検収の条件は、どの書類に書いてありますか」と聞く。書類に書かれていなければ、自分で決めずに、上司に「検収の期限が書かれていません。相手に確かめてよいですか」と聞く。

NEXT NOTE

次に読むなら

納品書に書く項目を確かめる納期を答える前に確かめること不具合を指摘されたときの、最初の対応