NOTE 10 · 営業の実践ノート
営業実績の書き方:数字が少なくても、自分の仕事は整理できる
公開:2026年10月2日/更新:2026年10月4日
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上司との面談や自己評価、職務経歴書を書くときに、「書けるような売上実績がない」と手が止まることがあります。実績は、売上の数字だけではありません。何を担当し、どんな困りごとに対して何をして、何が変わったかを整理します。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 面談や自己評価、日報に書く内容が「頑張った」「関係を作った」だけになるとき。
- 1
仕事を一件選ぶ
- 2
何に困っていたか(課題)を書く
- 3
自分がした行動を書く
- 4
確認できる結果と、測っていないことを分ける
- 5
自分の担当分と、ほかの人の成果を分ける
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
「書ける実績がない」と手が止まる理由
面談シートや自己評価に「今期の実績」という欄があると、売上や契約の件数を書くものだと考えがちです。営業1年目は、担当するお客様も少なく、大きな数字はなかなか出ません。
そこで「特にありません」「頑張りました」と書くと、上司には、あなたが何をしていたのかが伝わりません。助言もしにくくなります。
実績とは、自分がした仕事と、その結果のことです。売上の数字は、その一部です。「誰のどんな困りごとに、何をして、何が変わったか」が書ければ、数字が小さくても、仕事の中身は伝わります。
基本の考え方:「やったこと・相手の変化・次」で整理する
実績は、3つのまとまりで考えると書きやすくなります。
- やったこと:自分が実際にした行動。「確認項目の一覧を作った」「週に1回、在庫を電話で確認した」など
- 相手の変化:お客様や社内の人に起きた、確かめられる変化。「次回の打ち合わせが決まった」「新しい引き継ぎの方法が始まった」など
- 次:その結果を受けて、次に何をするか。まだ測っていないことも、ここに入れる
実践シートでは、この3つを6つの欄に分けています。「期間」「担当範囲」「課題」「自分の行動」が“やったこと”です。「確認できる結果」が“相手の変化”、「根拠・未測定」が“次”につながります。
読む人が知りたいのは、「この人は何を任せられるか」「次に何を教えればよいか」です。そのため、結果の大きさよりも、自分がした行動が具体的に書かれているかどうかが大事になります。
課題とは、解決したい困りごとのことです。「引き継ぎのとき、誰が担当か分からない案件があった」のように、場面で書きます。
手順:一件を6つの欄に分けて書く
- 仕事を一件選ぶ。大きな案件でなくて構いません。「先月、自分が最初から最後まで関わった仕事」を一つ思い出します。
- 期間を書く。「4月〜6月」「先週の月曜から金曜」のように、いつからいつまでの話かを書きます。
- 担当範囲を書く。一人でしたのか、チームの一部を受け持ったのか。「見積もりの作成と、お客様への連絡を担当」のように書きます。
- 課題を書く。その仕事を始める前に、誰が、何に困っていたかを一文で書きます。
- 自分の行動を書く。「工夫した」「努力した」ではなく、「何を作った」「誰に何を聞いた」「何回連絡した」と、動作で書きます。
- 確認できる結果と、根拠・未測定を書く。結果は、記録やメールで確かめられることだけにします。測っていないことは「未測定」と書きます。
当時の日報やメール、手帳を見ながら書くと、思い出しやすくなります。日々の記録には、営業日報テンプレートが使えます。
記入例:数字がある場合と、ない場合
どちらも説明用の例です。金額や割合、時期も例です。
数字がある場合:期間と担当範囲を添える
「達成率108%」とだけ書くと、個人の数字なのかチームの数字なのか、どの期間の話なのかが分かりません。達成率とは、目標に対して、実際の結果がどれだけだったかを表す割合です。
たとえば、年間の個人目標が1,000万円、実績が1,080万円なら、1,080万円÷1,000万円×100=108%です。書くときは「2025年度、個人目標1,000万円に対して実績1,080万円(達成率108%)。担当は既存のお客様20社」のように、期間と担当範囲を添えます。
数字がない場合:確かめられる変化を書く
| 欄 | 記入例 |
|---|---|
| 期間 | 4月〜6月 |
| 担当範囲 | 営業事務から引き継いだ問い合わせへの対応 |
| 課題 | 引き継ぎのとき、担当者と回答期限が分からない案件があった |
| 自分の行動 | 営業事務と相談して、「窓口・回答期限・未回答のこと」を書く欄を作った |
| 確認できる結果 | 5月から、その欄を使った引き継ぎを始めた |
| 根拠・未測定 | 根拠は、共有している引き継ぎ表。対応にかかる時間が減ったかは未測定 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
文章にすると、次のようになります。
「問い合わせの引き継ぎで、担当者と期限が分からない案件がありました。営業事務と相談して、窓口・回答期限・未回答のことを書く欄を作りました。5月から、この欄を使った引き継ぎを始めています。対応時間が減ったかどうかは、まだ測っていません。」
「引き継ぎを始めた」は事実です。「対応時間が減った」は、測っていなければ書けません。事実と、効果の評価を分けて書きます。
面談で話すときは、「課題・行動・結果」の三行にまとめます。「引き継ぎで担当が分からない案件がありました。確認する欄を作りました。5月から使い始め、効果はこれから確かめます」。これなら短い時間で伝えられます。
受注に至らなかった商談も、同じ形で書ける
契約が取れなかった仕事にも、書けることはあります。次の表は、同じ内容を「直す前」と「直した後」で比べたものです。
| 直す前 | 直した後 |
|---|---|
| A社へ何度も訪問し、関係を作った | A社へ4月に3回訪問した。担当の方から「いまの仕入先とは、送料を含めた金額で比べている」と聞けた |
| 提案を頑張ったが、受注できなかった | 5月に見積もりを出したが、受注には至らなかった。理由は「価格」と聞いた。送料を含めた比較表は、まだ出していない |
| 次も頑張る | 次回の訪問で、送料を含めた比較表を渡す。見直しの時期を聞く |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
直した後の文は、「やったこと・相手の変化・次」の順になっています。受注という結果がなくても、相手から聞けたことと、次にすることが書ければ、上司は助言できます。
日報は、実績の材料になる
実績をまとめる時期になってから思い出そうとすると、細かいことは抜けています。毎日の日報に「相手の反応」と「今日わかったこと」を一行ずつ残しておくと、後でそのまま材料になります。
自己評価の欄に書くときは、三行をそのまま文章にします。「引き継ぎで担当が分からない案件があったため、確認する欄を作り、5月から運用を始めた。効果は未測定のため、来月、対応にかかった日数を数える」。最後に「次にすること」を入れると、評価する人との話がそこから始められます。
週の終わりに日報を読み返し、「これは説明できる」と思う一件に印を付けます。月に2〜3件たまれば、面談や自己評価で書くことに困りにくくなります。
よくある失敗と直し方
- 「頑張った」「関係を作った」で終わる。直し方:その言葉の前に、した動作を一つ足します。「月に2回訪問し、毎回、在庫の状況を聞いた」のように書きます。
- チームの成果を、自分の成果のように書く。直し方:「チームで受注。自分は見積もりの作成を担当」と、受け持った部分を分けます。質問されたとき、自分の言葉で説明できる範囲だけを書きます。
- 測っていない数字を作る。直し方:覚えていない数字は空欄にして、記録を確かめます。確かめられなければ「未測定」と書きます。推測で埋めた数字は、聞かれたときに説明できません。
よくある質問
1年目で、書けるような仕事が思い当たりません
毎週一件だけ、「困っていたこと・自分がしたこと・確かめられた変化」をメモに残してみてください。受注に至らなかった商談でも、「比べている条件を聞けた」「次回の約束をもらった」は書ける材料です。面談の直前にまとめて思い出すより、書きやすくなります。
お客様の名前や取引の金額は、書いてよいですか
社内の面談や自己評価なら、会社の決まりに沿って書きます。職務経歴書など社外へ出す文章には、お客様の名前や、公開されていない取引条件をそのまま載せないようにします。「食品メーカー」「既存のお客様20社」のように、特定できない書き方に置き換えます。迷ったら、会社の決まりを確認してください。
結果が出なかった仕事は、書かないほうがよいですか
書いて構いません。「提案したが採用されなかった。理由は価格と聞いた。次は比較表を先に出す」と、分かったことと次の行動まで書けば、仕事の報告になります。研修や現場作業の報告の書き方は、「頑張りました」しか報告できなかった研修で紹介しています。
一週間の仕事を見直す型は、PDCAとはにまとめています。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
自分の担当期間・役割、当時の記録、確認できる結果。
記入例を見る(説明用)
期間=4月〜6月/担当範囲=引き継ぎ後の問い合わせ対応/課題=引き継ぎのとき、担当者と回答期限が分からない案件があった/行動=窓口・回答期限・未回答のことを書く欄を作った/結果=5月から、その欄を使った引き継ぎを開始/根拠・未測定=根拠は共有している引き継ぎ表。対応時間が減ったかは未測定。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
面接で「あなたは何をしたか」と聞かれ、事実と根拠を説明できる。
うまく進まなかったときは?
数字がないなら測っていないと明記。覚えていない数字は空欄にして記録を確認し、推測で埋めない。