NOTE 11 · 営業の実践ノート
営業を続けるか迷ったら:何がつらいのかを分けてみる
公開:2026年10月2日/更新:2026年10月4日
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「営業を辞めたい」と感じたとき、営業という仕事そのものが合わないのか、今の職場や働き方がつらいのかは、すぐには分かりません。この記事は、続けることも辞めることもすすめません。まず、つらい場面を分けて書き出します。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 営業そのものが嫌なのか、職場や働き方がつらいのか、自分でも整理できないとき。
- 1
つらかった場面を一つずつ書く
- 2
仕事・職場・暮らしに分ける
- 3
変えたい条件を一つ選ぶ
- 4
相談する相手と質問を決める
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
「辞めたい」の中身は、一つではない
日曜の夜に気が重くなる。電話をかける手が止まる。営業を始めて間もない時期に、「自分は営業に向いていないのかもしれない」と感じることがあります。
ただ、「辞めたい」という一言の中には、いくつもの別の悩みが混ざっています。断られるのがつらいのか、目標の数字が重いのか、移動や残業で疲れているのか。混ざったままでは、誰に何を相談すればよいかも決まりません。
この記事は、退職や転職をすすめることも、止めることもしません。決めるのはあなたです。その前に、判断の材料をそろえる手順を紹介します。
基本の考え方:つらさを「仕事・職場・暮らし」に分ける
つらい場面は、3つの箱に分けて考えます。場面は説明用の例です。
| 箱 | 場面の例 | 確かめたいこと |
|---|---|---|
| 仕事の中身 | 新規のお客様への電話が続く日はつらい | 既存のお客様への対応でも、同じ負担を感じるか |
| 職場の条件 | 評価の理由が分からない。急な遠方訪問で予定が崩れる | 評価の基準を説明してもらえるか。訪問日や担当の範囲を調整できるか |
| 暮らしと体調 | 帰りが遅い日が続き、眠る時間が足りない | 働く時間や休みについて、誰に相談できるか |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
「仕事の中身」は、営業という仕事そのものに関わる負担です。「職場の条件」は、担当の分け方や評価の方法など、会社や部署によって変わるものです。「暮らしと体調」は、睡眠や休日、家族との時間です。
分けてみると、「営業のすべてが嫌」ではなく、「この条件がつらい」と言える場面が見つかることがあります。
あわせて、続けたい仕事も書きます。「お客様と改善案を考える時間は好き」のように、残したいものが分かると、何を変えたいのかが見えてきます。
手順:書き出して、変えたい条件を一つ選ぶ
- この2週間でつらかった場面を、3つまで書く。「なんとなくつらい」ではなく、「水曜に急な遠方訪問が入り、既存のお客様への返事が翌日になった」のように、いつ・何があったかを書きます。
- それぞれを「仕事・職場・暮らし」の箱に入れる。迷ったら、2つの箱に書いて構いません。
- 続けたい仕事を一つ書く。比較的よかった場面を思い出します。小さなことで十分です。
- 変えたい条件を一つ選ぶ。全部を一度に変えようとせず、「これが変われば少し楽になる」と思うものを選びます。
- 誰に、何を聞くかを書く。「訪問日をまとめられるか、担当の配分を決めている上司に聞く」のように、相手と質問をセットにします。
- 聞いた後に、分かったことを書き足す。受けた説明だけでなく、実際に何が変わったかも、後日メモします。
書くときは、出来事と気持ちを別の行にします。「急な訪問が入った」が出来事、「また予定が崩れた、と落ち込んだ」が気持ちです。分けておくと、相談するときに、相手へ伝える事実がすぐに取り出せます。
ここまで書くと、実践シートの6つの欄がそのまま埋まります。まだ分からない欄は「未確認」のままで構いません。説明用の記入例です。
| 欄 | 記入例 |
|---|---|
| 負担の場面 | 水曜に急な遠方訪問が入り、既存のお客様への返事が翌日になった。今月3回目 |
| 続けたい仕事 | 既存のお客様と、改善案を一緒に考えること |
| 変えたい条件 | 遠方の訪問日を、週のうち決まった日にまとめたい |
| 確認先 | 担当の配分を決めている上司 |
| 質問 | 訪問日をまとめるか、担当を分けることはできるか |
| 確認後の判断 | 未確認。回答と、その後2週間で実際に変わったことを見てから書く |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
「負担の場面」に回数を添えると、たまたまなのか、続いているのかが相手に伝わります。数えていなければ、今日から手帳に印を付けるだけで足ります。
相談する順番と、聞き方の例
相談は、話しやすい相手から始めて構いません。目安の順番は次のとおりです。
- 身近な先輩や同僚。同じ場面をどう乗り切っているかを聞きます。
- 直属の上司。担当や訪問日など、条件を変えられる立場にいることが多い相手です。
- 人事や社内の相談窓口。上司に話しにくい内容や、上司との関係そのものが悩みのときに使います。
- 社外の相談窓口。社内で相談できない、相談しても変わらないときの選択肢です。
上司に伝えるときは、気持ちだけでなく、場面と希望をセットにします。
「ご相談があります。遠方の訪問が重なる週に、既存のお客様への対応が遅れています。訪問日をまとめるか、担当を分けていただくことはできないでしょうか。」
「つらいです」だけでは、上司も何を変えればよいか分かりません。場面を一つ、希望を一つ伝えると、相手は答えやすくなります。
相談の前に、メモを一枚用意します。書くのは、「困っている場面」「回数や時期」「こうしてほしいという希望」の3つです。メモがあれば、緊張しても話がそれにくくなります。
相談できる相手や窓口は、職場によって違います。相談した後は、返ってきた説明と、実際に変わったことの両方を、判断の材料にします。
すぐに返事がもらえないこともあります。そのときは「いつごろ、もう一度お聞きしてよいでしょうか」と、次に確認する日を決めておきます。その日が来たら、シートの「確認後の判断」に、変わったこと・変わらなかったことを書きます。
眠れない・体調がおかしいときは、書き出すより先に相談する
眠れない日が続く。食欲がない。朝になると体が動かない。こうした状態のときは、原因の整理を後回しにして、先に人に話してください。かかりつけの医師や、会社に産業医(働く人の健康を見る医師)がいれば、そこへ相談します。
厚生労働省の「こころの耳」は、働く人のメンタルヘルスのためのサイトです。こころの耳の相談窓口では、電話・SNS・メールで、匿名・無料で相談できます。受付時間は、リンク先のページで確認してください。
職場のトラブルについては、厚生労働省の総合労働相談コーナーがあります。配置転換、賃金の引下げ、いじめ・嫌がらせ、パワハラなど、労働問題を広く対象にしています。各都道府県の労働局や、労働基準監督署の中などにあり、専門の相談員が面談か電話で対応します。予約は不要で、無料です。場所と開いている時間は、リンク先の一覧で確認できます。
相談したからといって、辞めると決めたことにはなりません。自分の状況を、外の人の目で見てもらうための一歩です。
よくある質問
1年目で辞めたいと思うのは、甘えでしょうか
甘えかどうかを、決める必要はありません。大切なのは、何がつらいのかを自分の言葉で言えることです。書き出した結果、「続ける」「担当や部署を変えてもらう」「別の仕事を探す」のどれを選んでも、それはあなたの判断です。
相談したら、評価が下がりそうで怖いです
不安があるなら、「辞めたい」と切り出す代わりに、「この場面で困っているので、進め方を相談したい」と伝える方法があります。それでも上司に話しにくいときは、人事や社内の窓口、社外の窓口を使えます。
相談しても、何も変わらなかったら
「相談したが、変わらなかった」も、判断の材料の一つです。誰に、いつ、何を相談して、どんな返事だったかをメモに残します。次に別の相手や窓口へ相談するとき、同じ説明を一からせずに済みます。
ほかの仕事を見るときは、何を比べればよいですか
「ルート営業(決まったお客様を回る営業)だから楽そう」のように、名前だけで決めないようにします。新規と既存の割合、見積もりや納品の調整を誰がするか、忙しい時期の働き方など、書き出した「変えたい条件」が実際にどうなっているかを確かめます。自分の仕事を説明する材料は、営業実績の書き方で整理できます。
すぐに、残るか辞めるかを決められなくても構いません。まず、判断に足りない情報を一つ、聞きに行くところから始めます。
仕事の中身を動きに分けて確かめたいときは、営業に向いてる人・向いてない人も読んでください。
転職の相談先の仕組みは転職エージェントとはに、面接での理由の伝え方は転職理由の伝え方にまとめています。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
最近の負担だった場面、比較的よかった場面、自分が残したい条件。
記入例を見る(説明用)
負担の場面=急な遠方訪問が入り、既存のお客様への返事が翌日になった/続けたい仕事=既存のお客様と改善案を考えること/変えたい条件=訪問日をまとめたい/確認先=担当の配分を決めている上司/質問=訪問日をまとめるか、担当を分けられるか/確認後の判断=回答と、実際に変わったことを見てから書く。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
「辞める・残る」を急いで決めず、次に誰へ何を確認するかが一つ決まる。
うまく進まなかったときは?
相談しづらければ利用可能な別の窓口を探す。回答が得られなければ未確認のまま、他の選択肢との比較材料にする。