伝わる提案書の作り方|最初の一枚・比較表・効果の計算例
資料を増やしても話が進まないときに。社内で回覧できる提案書の構成と、費用・導入の負担・判断条件の書き方を整理します。

- 冒頭に「今回、何を決めてほしいか」を書く。
- 現状維持も含め、同じ条件で選択肢を比べる。
- 効果の試算には前提・計算式・未確認事項を添える。
会話・記入例・試算は、説明のための例です。実際の状況や確認できた内容に置き換えて使ってください。
この記事の目次
NOTE 01資料を作る前に「今回の判断」を一文にする
提案書を開いた人が、説明会の日程を決めるのか、予算を確保するのか、導入の可否を決めるのか。その答えを最初に置きます。判断が曖昧なままでは、資料が詳しくても次の行動が決まりません。
何を返答すればよいのか不明。
範囲と期間について判断できる。
これは架空の例です。実際にはヒアリングで確認した優先課題と、相手が決められる範囲に合わせます。担当者が予算を承認できない場合は、社内検討へ回すための条件を確認する段階かもしれません。
NOTE 02最初の一枚に、現状・提案・負担・依頼をそろえる
相手の上司が読むとき、あなたの口頭説明は届きません。最初の一枚だけで「なぜ今この提案なのか」がわかるように、確認できた課題、変える範囲、相手側の準備を書きます。会社紹介や詳細仕様は、その判断を支える後半に置けます。
| 項目 | 書き方 |
|---|---|
| 見出し | 月末の照合負担を減らすための入力項目統一・試行案 |
| 確認済みの現状 | 担当者ごとに記入内容が異なり、月末に聞き直しが発生している |
| 提案すること | 営業一部門を対象に、共通の入力項目を2週間試す |
| 必要な準備 | 先方:記録サンプルの確認と担当者調整/営業側:項目案の作成 |
| 費用・条件 | 追加費用の有無は見積もりで明示。社内工数は別に確認 |
| 今回のお願い | 試行する範囲と確認担当者を、次回打ち合わせで相談したい |
表が画面に収まらないときは、横にスクロールできます。
「作業が非効率」と断定するのではなく、相手が確認した事実を使います。未合意の効果は現状欄に混ぜず、試行で何を測るかとして書き分けましょう。
NOTE 03比較表は、現状維持も同じ軸で並べる
自社案の良い点だけを並べた表では、相手は別の資料で負担を調べ直す必要があります。現状を続ける場合も含め、費用、準備、日常の運用、残る課題を同じ項目で比較しましょう。知らない条件は「未確認」と記載します。
| 比較項目 | 現状を続ける | 入力項目を統一する | 新しい仕組みを導入する |
|---|---|---|---|
| 準備 | 新たな移行は不要 | 項目の合意・周知が必要 | 要件確認・設定・移行が必要 |
| 日常の運用 | 今の確認方法を継続 | 共通項目の記入を継続 | 新しい操作や管理を習得 |
| 費用 | 既存費用と現行工数 | 追加費用の有無を確認 | 初期・月額費用を見積もる |
| 残る課題 | 聞き直しの負担が残る | 手作業の確認は一部残る可能性 | 定着や連携の条件を検証する |
表が画面に収まらないときは、横にスクロールできます。
表の優劣を色や点数だけで決める必要はありません。「今回は大きなシステム変更ができない」という制約があるなら、その条件と推奨理由を一文で添えます。単純な合計点で、相手の優先順位を上書きしないようにしてください。
NOTE 04効果の数字は、計算式が追えるようにする
数字を載せるなら、実績なのか、仮定を置いた試算なのかを先に示します。例えば、月20件の確認作業に1件20分かかり、見直し後に8分になると仮定した場合、月の作業時間は400分から160分になります。
変更後:20件 × 8分 = 160分/月
差:400分 − 160分 = 240分(4時間)/月
「8分になる」は未検証の仮定です。導入準備、習熟、例外対応にかかる時間も含めて検証する必要があります。時間が減っても、そのまま現金支出が減るとは限らないため、4時間分を自動的に「コスト削減額」と書かないでください。
試行するなら、同じ対象・期間・作業の範囲で時間を記録します。繁忙期の前後を比べるなど、件数や難しさの違う条件では、差が提案の効果なのか判断しにくくなります。
NOTE 05導入の負担と、止める条件も書いておく
資料を読んだ担当者が困るのは、「良さそうだが、自分の仕事がどれだけ増えるかがわからない」ときです。準備を誰が担い、問い合わせ先はどこか、業務が止まったときにどう戻すかまで整理すると、検討に必要な会話ができます。
「試行前に、入力項目をそろえる打ち合わせが必要です。運用中に例外が多い場合は項目を修正し、続行が難しければ現行の方法へ戻す前提でご相談したいです。」
決裁担当者が気にする点を確認する
説明のための会話例です。状況に合わせて言い換えてください。
便利そうですが、現場に説明する時間が取れるか心配です。
ありがとうございます。説明の担当と必要な時間はまだ確定していません。そこを確認し、試行日程も含めて案を直します。
それなら、現場責任者にも確認をお願いします。
実施に不可欠な条件が未確認なら、申込みへ進めず、その条件をそろえる次回の打ち合わせを提案します。
NOTE 06送る前は「口頭説明なし」で読み返す
可能なら、商談に参加していない同僚に一枚目を見てもらい、「相手に何をお願いする資料に見えるか」を聞いてください。口頭で補いたくなった部分が、追記や並べ替えを検討する箇所です。時間を厳密に測る必要はありません。
提案書の送付前チェック
送付文にも「比較表の運用負担をご確認いただき、気になる条件があればお知らせください」のように、見てほしい箇所を一つ添えます。その後の連絡は商談後のフォロー例へ。
よくある質問
提案書は何ページが正解?
一律の枚数では決めません。一枚目に判断の要点を置き、詳細な仕様、見積もり、運用手順を必要に応じて後ろに添えます。提出様式の指定がある場合は、相手の指定を優先します。
導入実績がない場合、どう効果を書く?
実績として書かず、仮定と検証方法を記載します。件数や作業時間の前提がわからなければ、まず現状を測る案を出すこともできます。根拠のない割合は載せません。
デザインに時間をかけるべき?
最初に直すのは判断に必要な情報の抜けです。その後、見出し、余白、文字サイズ、表の比較軸をそろえます。色や装飾を増やしても、費用や依頼内容の曖昧さは解消しません。
「○○サービスのご提案」を、相手の課題と今回の相談がわかる一文に変えます。次に、相手の準備と未確認事項を一行ずつ足してください。

