NOTE 02 · 営業の実践ノート
営業のアポ取り:相手が会う理由を短く伝える
公開:2026年10月2日/更新:2026年10月4日
広告:この記事にはアフィリエイトリンクが含まれます。リンク経由の購入により、当サイトに報酬が支払われる場合があります。
アポ(アポイントメント)とは、会って話す日時の約束のことです。電話やメールでは、「誰が・何の用件で・どれくらいの時間がほしいか」に、相手に関係する理由を添えて短く伝えます。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに アポ取りの電話やメールで、何から話せばよいか迷うとき。
- 1
相手との接点を書く
- 2
相手に関係する理由を一文にする
- 3
用件・希望時間・候補日時をそろえる
- 4
声に出して読み、長い説明を削る
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
アポ取りで、初心者がつまずく場面
アポ取りの電話で多いのは、商品の説明を長く話してしまい、途中で「結構です」と切られる形です。もう一つは、「新商品のご案内でお電話しました」だけで終わり、相手が会うかどうかを判断できない形です。
電話を受けた相手が知りたいのは、「誰が、何の用件で、自分にどれくらいの時間を求めているのか」です。ここが最初のひと言ふた言で分からないと、相手にとっては断るほうが早くなります。
アポ取りの目的は、商品を売ることではありません。会って話す日時を決めることです。商品の詳しい説明は、会ってからにします。
「会う理由」は4つの部品で作る
伝える内容は、次の4つに分けて考えます。先に紙に書いてから電話をかけると、話が長くなりません。
| 部品 | 意味 | 記入例 |
|---|---|---|
| 接点 | 相手と自分のつながり。過去の相談、問い合わせ、紹介、今の取引など | 先月、納品回数について相談を受けた |
| 相手に関係する理由 | 会うと、相手が何を確認・比較できるか | 週1回と週2回で、送料や受け取りの手間がどう変わるかを確認できる |
| 用件 | 何の話をしたいのか | 納品回数を変えた場合の条件の説明と、今の状況の聞き取り |
| 希望時間と候補日時 | 何分ほしいか。日時の候補を二つか三つ | 15分。◯月◯日(火)14時か、◯月◯日(木)10時 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
いちばん大事なのは、2番目の「相手に関係する理由」です。「当社の新商品を紹介したい」は自分の都合です。「納品の条件がどう変わるかを確認できる」は、相手が得られることです。主語を相手に変えて書き直します。
接点がない相手もいます。その場合は、接点を作り話で埋めません。「初めてお電話します」「営業のご案内です」と最初に伝えたうえで、扱うテーマを具体的に言います。知り合いを装ったり、用件を隠したりしないことが前提です。
電話でアポを取る手順
- 書く。4つの部品を紙かシートに書きます。候補日時は、自分と同行者の予定を確かめてから二つ以上用意します。
- 名乗る。「[会社名]の[氏名]と申します」と、会社名と名前をはっきり言います。
- 今話せるかを聞く。「いま1分ほどよろしいでしょうか」と確かめます。
- 接点と理由を伝える。商品名より先に、相手に関係する理由を言います。
- 時間と候補日時を伝える。「15分ほど」「火曜の14時か木曜の10時」のように、数字で言います。
- 復唱する。決まったら、日付・曜日・時刻・場所(訪問かオンラインか)・所要時間を声に出して確かめます。
- 記録する。電話を切ったらすぐ、結果をシートの「連絡結果」に書きます。断られた場合も、相手の言葉のまま残します。
最初に電話に出るのが、受付や別の部署の人ということもあります。その場合も、会社名・名前・用件を同じように伝え、「[業務]をご担当の方はいらっしゃいますか」とたずねます。担当者が不在なら、戻る時間を聞いて、こちらからかけ直します。
「忙しい」と言われたら、用件には入りません。かけ直してよい時間帯だけを聞いて、電話を終えます。
過去に相談を受けた相手への例です。
「以前ご相談いただいた納品回数の件でお電話しました。週1回と週2回で条件がどう変わるかをまとめましたので、15分ほどご説明するお時間をいただけないでしょうか。来週の火曜14時か、木曜10時はいかがでしょうか」
相談を受けていない相手に、この言い方は使いません。初めて連絡する相手には、次のように始めます。
「初めてお電話します。事務用品の補充についての、営業のご案内です。いま1分ほど、用件だけお伝えしてもよろしいでしょうか」
最初の一言から電話を終えるまでの台本は、アポ取り電話の台本にまとめています。[ ]を自分の会社の事実に置き換えて使えます。日時が決まったあとの準備は、初めての訪問で準備する3つのことへ進んでください。
メールでアポをお願いするときの書き方
名刺を交換した相手や、すでに取引のある相手には、メールでお願いすることもあります。メールでも部品は同じです。件名だけで用件が分かるようにし、本文は短くします。
件名:納品回数についてのご説明(15分)のお願い
[会社名] [担当者名]様
[自社名]の[氏名]です。先日は、納品回数についてご相談いただき、ありがとうございました。
週1回と週2回で、送料や受け取りの手間がどう変わるかをまとめました。15分ほど、ご説明のお時間をいただけないでしょうか。
候補日時:◯月◯日(火)14:00〜/◯月◯日(木)10:00〜
ご都合が合わない場合は、ご希望の日時をお知らせください。
候補日時は、日付と曜日の両方を書きます。「来週あたりで」と書くと、相手が日時を考える手間が増えます。
一度も接点のない相手に、営業の案内メールを送るのは別の話です。広告や宣伝のためのメールは、原則として、あらかじめ同意した相手にだけ送れると法律(特定電子メール法)で決められています。取引関係にある相手や、名刺などでメールアドレスを教えてもらった相手など、例外も定められています。
決まりの概要は、総務省の「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」(PDF)で確認できます。送ってよい相手かどうかを自分だけで判断せず、送る前に先輩か責任者に会社のルールを確かめてください。
断られたときの言い方
断られるのは、アポ取りではよくあることです。大切なのは、相手の返事の種類を聞き分けて、それに合った返し方をすることです。
| 相手の返事 | 返し方の例 | 記録すること |
|---|---|---|
| 「今は忙しい」 | 「失礼いたしました。改めてお電話してもよい時間帯はありますか」 | 相手が言った時間帯。言われなければ「未定」 |
| 「間に合っています」 | 「承知しました。お時間をいただき、ありがとうございました」 | 断られた日と、相手の言葉 |
| 「資料だけ送って」 | 「承知しました。どちらへ、どなた宛てにお送りすればよろしいでしょうか」 | 送り先と、送る資料の名前 |
| 「もう連絡しないで」 | 「承知しました。今後はご連絡を控えます。失礼いたしました」 | 連絡停止。会社のルールに沿って社内に共有 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
「今は忙しい」は、用件そのものを断られたとは限りません。ただし、その場で説得を続けると、相手の時間をさらに使います。まず電話を終え、相手が時間帯を教えてくれた場合だけ、かけ直します。
「連絡しないで」と言われたら、そこで終わりです。同じ相手に別の人がかけてしまわないよう、会社で決められた方法で記録します。方法が分からなければ、先輩に聞きます。
よくある失敗と直し方
商品の説明から入ってしまう
電話で機能や価格を話し始めると、準備のないまま商談が始まり、そのまま断られやすくなります。話すのは「会うと何を確認できるか」の一文までにします。詳しい質問が来たら、「資料をお見せしながらご説明したいので」と日時の相談に戻します。
「来週伺います」で電話を切る
日時があいまいなままだと、当日に「聞いていない」となることがあります。日付・曜日・時刻・場所・所要時間の5つを復唱してから切ります。同じ内容をメールでも送っておくと、相手も予定に入れやすくなります。
断られた理由を、自分で作ってしまう
「興味がなさそうだった」は、自分の感想です。記録には、相手が言った言葉(「今は忙しい」「間に合っている」)をそのまま書きます。言葉のまま残っていれば、かけ直してよい相手かどうかを、あとで先輩と一緒に判断できます。
所要時間を短く言いすぎる
「5分だけ」と言って30分話すと、次から会ってもらいにくくなります。実際にかかる時間を伝えます。当日は約束の時間が来たら、「お約束の15分になりましたが、続けてもよろしいですか」と確かめます。
今日やることは一つです。次に連絡する相手を一人選び、下のシートに「相手に関係する理由」を一文で書いてください。声に出して読み、長いと感じたところを削れば、電話の準備は終わりです。
訪問の日が決まったら、前日までに営業の服装と営業の身だしなみを確認しておくと、当日の朝に迷わずに済みます。
約束なしで訪問する場合の準備は飛び込み営業のやり方、すでに取引のあるお客様を回る仕事はルート営業とはにまとめています。
電話そのもののかけ方と、断られたときの受け方は、営業電話のかけ方にまとめています。
言葉の意味と、約束を決めてから当日までの段取りはアポイントとは、メールでお願いするときの文例はアポイントメールの書き方にまとめています。
約束を書きとめる手帳の選び方は、ビジネス手帳の選び方にまとめています。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
連絡してよい窓口、接点、相談テーマ、候補日時と所要時間。
記入例を見る(説明用)
接点=先月、納品回数の相談を受けた/相手に関係する理由=週1回と週2回で、送料や受け取りの手間がどう変わるかを確認できる/用件=条件の説明と、今の状況の聞き取り/希望時間=15分/候補日時=◯月◯日(火)14時、◯月◯日(木)10時/連絡結果=電話の後に記入(例:8日10時に訪問で了承)。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
誰から・何の相談・相手との関係・必要な時間が、一度読んで分かる。
うまく進まなかったときは?
接点がなければ初回の営業案内と明示する。候補が合わなければ都合を聞く。連絡不要なら終了し、停止を記録する。