営業初心者の基本|準備・質問・次の約束を整える実践ガイド
何を準備して、何を聞いて、どう終えるか。訪問前15分のシートと会話例で、最初の商談を一つずつ整えます。

- 訪問前に「目的・質問・出口」を決める。
- 説明は、相手の今の仕事を聞いてから。
- 終わりに担当・内容・期限をそろえる。
会話・記入例・試算は、説明のための例です。実際の状況や確認できた内容に置き換えて使ってください。
この記事の目次
NOTE 01営業初心者が最初に整えるべきは「話し方」より「進め方」
営業を始めると、多くの人が「もっと上手に話さなければ」と考えます。そんなときは、目的・確認事項・次の約束が決まっているかを見直してみてください。話し方以外にも、手を入れられるところがあります。
訪問前に何を知りたいのか、商談中にどの事実を確かめるのか、終わったあとに誰が何をいつまでにするのか。この3つが見えていると、言葉に詰まっても確認すべき話題に戻りやすくなります。
逆に、話す内容だけを準備すると、相手の状況に合わない説明を続けることになります。営業の仕事は、相手を言い負かすことではなく、相手と自分が次の判断をできる状態をつくることです。
商品説明を暗記する
資料を全部読む
質問を10個以上用意する
今回の目的を一文にする
相手の現状を仮説で置く
必ず確認することを3つに絞る
NOTE 02訪問前15分で作る「営業準備シート」
準備に1時間かけられる日ばかりではありません。忙しい日ほど、確認する項目を固定しておくと抜け漏れが減ります。おすすめは、訪問前に15分だけ使う簡単なシートです。
- 相手を確認する:会社の事業、担当者の役割、前回のやり取りを確認します。
- 目的を一文にする:「導入を決めてもらう」ではなく、「現状の運用と困りごとを確認し、次回提案の条件をそろえる」のように書きます。
- 質問を3つに絞る:現状、困っている場面、次に関係する人を聞く質問を一つずつ用意します。
- 出口を決める:資料送付、社内確認、次回日程など、商談の最後に残したい約束を決めます。
調べた情報は、披露するためではなく仮説を持つために使います。「御社はこうですよね」と断定せず、「現在はこの流れでしょうか」と確認する形に変えるのが安全です。
今回の目的:現場の発注作業と承認フローを確認する
必ず聞くこと:誰が入力するか/月何回起きるか/決裁者は誰か
商談後の出口:現状メモを共有し、来週までに比較案を送る
NOTE 03商品ではなく「相手に起きる変化」で説明する
商品説明が長くなる人は、機能を順番に紹介しようとしています。相手が知りたいのは機能の数ではなく、自分の仕事がどう変わるかです。
機能を説明するときは、機能→使う場面→変化の順に置き換えます。たとえば「入力履歴が残ります」だけでなく、「担当者が変わっても前回の確認内容を追えるので、同じ説明をやり直す時間を減らせます」と伝えます。
効果を断定できない場合は、「必ず改善します」ではなく「この条件なら、確認の往復を減らせる可能性があります」と前提を添えます。まだ確認できていないことを、勢いで約束しない姿勢が信頼につながります。
機能の説明:「ダッシュボードで一覧表示できます」
変化の説明:「担当者ごとの対応状況を一画面で確認できるので、確認のための電話を減らせるか検討できます」
確認の一言:「現在、同じ確認をどのくらいの頻度でしていますか?」
NOTE 04最初の質問は「困りごと」ではなく「今の流れ」から
初対面でいきなり「何に困っていますか」と聞くと、相手は答えを考えなければなりません。困っていると自覚していない人もいます。最初は、今の仕事の流れを聞くほうが自然です。
会話は、現状→詰まり→影響→理想の順で進めます。「今はどのように進めていますか」「その中で時間がかかるのはどこですか」「遅れると誰に影響しますか」「どうなれば進めやすいですか」と、少しずつ深くします。
相手の答えが短いときは、同じ質問を繰り返さず、場面・頻度・役割のどれかに絞ります。「最後にその作業をしたのはいつですか」「誰が確認しますか」と聞けば、抽象的な話を具体的な事実に戻せます。
ウッシ:「現在は、問い合わせを受けてからどのように社内へ共有していますか?」
相手:「担当者にメールしています」
ウッシ:「メールを送ったあと、対応状況はどこで確認しますか?」
相手:「担当者に聞かないとわかりません」
ウッシ:「確認のためのやり取りが、今の負担になっているという理解で合っていますか?」
NOTE 05商談中に説明へ逃げたくなったときの対処法
相手の反応が薄いと、営業側は不安になり、資料をめくりながら説明を増やしがちです。しかし、反応が薄い理由は「興味がない」だけではありません。前提が違う、決裁者が別にいる、まだ課題として整理できていない可能性もあります。
説明を足す前に、いったん理解を返します。「ここまでのお話を整理すると、費用よりも作業時間の短縮が優先という理解で合っていますか」と確認すれば、思い込みを修正できます。
答えが違った場合は、提案を守ろうとせずに戻ります。営業で大切なのは、用意した資料を最後まで説明することではなく、相手の判断に必要な情報を見つけることです。
機能を追加で説明する
割引を先に出す
沈黙を埋め続ける
理解を一度返す
困りごとの優先順位を聞く
判断に必要な人と時期を確認する
NOTE 06クロージングは「契約してください」ではなく次の約束を決める
クロージングが苦手な人は、最後に大きな決断を迫ろうとします。初回商談で必要なのは、いきなり契約を取ることではなく、検討を進めるための小さな約束です。
「また連絡します」ではなく、誰が、何を、いつまでにするかを決めます。たとえば「こちらは比較表を金曜日に送ります。御社では利用人数を確認いただき、来週火曜日に15分だけ確認する」という形です。
相手が決められない場合は、決裁者や関係部署を確認します。担当者だけで話を進めると、後から条件が変わって止まります。誰を巻き込むかを聞くことは、担当者を飛び越すことではなく、社内説明をしやすくする配慮です。
1. 今日確認できたことを一文で返す
2. まだ決まっていない条件を一つ確認する
3. 自分がすること・相手にお願いすることを分ける
4. 次に話す日と方法をその場で決める
終わりの一言を、次の約束に変える
説明のための会話例です。状況に合わせて言い換えてください。
比較表を金曜日にお送りします。利用人数は、いつ頃確認できそうでしょうか?
月曜日の会議で確認します。
では、火曜日にメールで確認してもよいですか?
はい。決まらなければ、確認できた範囲でお返事します。
NOTE 07商談後5分で、次に使える振り返りを残す
振り返りは反省会ではありません。次の商談で同じ失敗を減らすために、事実を残す作業です。帰社後すぐ、次の5項目だけを書きます。
- 相手が実際に言ったこと
- 確認できた条件
- まだ推測にすぎないこと
- 次の約束と期限
- 次回に一つだけ変えること
「うまく話せなかった」では改善できません。「現状を聞く前に商品説明を始めた」「決裁者の確認を後回しにした」のように、行動で書きます。改善点を一度に5つも増やすと続かないので、次回に変えるのは一つだけにします。
事実:担当者は月末の集計に毎回2時間かかると言った
仮説:入力形式がばらばらで確認に時間がかかっているかもしれない
次回の一手:入力担当者にも参加してもらい、実際の流れを確認する
NOTE 08営業初心者が最初の7日で試す行動プラン
知識を増やすだけでは、営業は変わりません。次の7日間は、毎日一つの行動だけ試してください。
- 1日目:担当顧客を一社選び、事業・担当者・前回の約束を一枚に書く。
- 2日目:商品を「機能」ではなく「相手に起きる変化」で一文にする。
- 3日目:現状を聞く質問を3つ作り、先輩に見てもらう。
- 4日目:商談後5分メモを実際に残す。
- 5日目:次の約束を具体的な日付と担当者まで決める。
- 6日目:うまくいった会話を一つ書き、再現できる言葉にする。
- 7日目:一週間の記録を見て、続ける行動を一つ選ぶ。
一週間で成果を決めつけず、準備や確認を続けられたかも振り返りましょう。全部を完璧にしようとせず、明日の訪問で一つだけ試してみてください。
最初の訪問前に確認
よくある質問
準備に15分も取れないときは?
前回の約束、今日の目的、最初の質問の3つを先に確認します。料金や仕様など、回答に確認が必要な情報まで省略してよいという意味ではありません。
商談で質問の答えがわからなかったら?
わかる範囲と未確認の範囲を分け、「確認して○日までに回答します」と伝えます。その場で日程を約束できないときは、回答予定日を連絡する期限を決めましょう。
訪問できない日は何を練習すればいい?
過去の商談メモを一件選び、最初の質問と最後の約束を書き直してみてください。先輩に見てもらうなら「この質問で現状がわかるか」と一点に絞ると相談しやすくなります。
目的・聞くこと3つ・最後に相談する約束を、一枚のメモに書いてください。帰ってから、相手の言葉を一つ追記します。

