NOTE 06 · 営業の実践ノート
「検討します」の後:返事を催促する前に、足りない材料を見る
公開:2026年10月2日/更新:2026年10月3日
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「検討します」は、買うという約束でも、断りでもありません。社内での相談、ほかとの比較、予算の調整など、相手が決めるのに何が足りていないかを確かめてから、次の連絡を考えます。
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こんなときに 「検討します」の後、次の連絡内容を決めるとき。
- 1
相手が決めるのに足りない材料を一つ挙げる
- 2
前回、連絡について何を約束したか見る
- 3
足りない材料を一つ用意する
- 4
連絡するか、区切るかを決める
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
「検討します」の後で、初心者がつまずく場面
提案や見積を出したあと、相手から「社内で検討します」と言われる。一週間たっても連絡がなく、「その後いかがでしょうか」とメールを送る。返事が来ないので、もう一度同じメールを送る。初心者がよくはまる流れです。
「いかがでしょうか」と聞かれても、相手は答えにくいものです。まだ決まっていないから連絡していないのであって、同じことを聞かれても「まだです」としか返せません。
催促の前に見るのは、相手が決めるのに何が足りないかです。足りない材料が分かれば、連絡の用件が「返事をください」から「この資料をお送りします」に変わります。
検討が止まる理由を、4つに分けて考える
「検討します」の中身は、相手によって違います。ここでは、次の4つに分けて考えます。どれに当たるかで、次にすることが変わります。
| 止まっていること | 相手の言葉の例 | 次の対応 |
|---|---|---|
| 比べる材料が足りない | 「今のと比べてどうなのか、分からない」 | 数量・送料・初期費用など、比べる条件をそろえた表を出す |
| 社内で説明できない | 「上司に聞いてみないと」 | 相手が上司に見せられる資料を用意する |
| 時期が合わない | 「今期は取り組めない」 | あらためて検討する時期と、その頃に連絡してよいかを聞く |
| 連絡を希望していない | 「今回は見送ります」「連絡は不要です」 | 案内を終え、社内にも共有する |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
自分で「たぶん価格だろう」と決めつけないことが大切です。どれに当たるかは、相手に聞かないと分かりません。聞いていないなら、シートの「未回答の事項」には「理由は未確認」と書きます。
理由を聞くときは、相手を急がせる言い方を避けます。「ご判断にあたって、気になっている点はどのあたりでしょうか」のように、相手の検討を手伝うための質問として聞きます。
資料を増やすことより、相手が決められない理由に合う情報を一つ出すことを優先します。相手が上司や社長に相談する場合の資料の作り方は、「社長に相談します」と言われたらで詳しく扱っています。
商談の場で、次の連絡まで相談しておく
いちばん楽なのは、「検討します」と言われたその場で、次のことを聞いておくことです。あとから催促する場面が減ります。
- 足りない材料を聞く。「ご検討にあたって、こちらで用意したほうがよい資料はありますか」
- 検討の進め方を聞く。「どなたと、いつ頃ご相談される予定でしょうか」
- 次の連絡を相談する。「その頃に、一度ご連絡してもよろしいでしょうか」
- 相手の答えを、そのままメモに書く。日付が出たら日付を、出なければ「未定」と書きます。
会話にすると、次のようになります。
相手:「いったん社内で検討します」
営業:「ありがとうございます。ご検討にあたって、こちらで用意したほうがよい資料はありますか」
相手:「送料を入れるといくらになるのか、分かるものがあると助かります」
営業:「送料込みの金額を並べた表をお送りします。社内では、いつ頃ご相談される予定でしょうか」
相手:「来週の会議で話してみます」
営業:「では、会議のあとに一度ご連絡してもよろしいでしょうか」
相手が「来週の会議で話します」と言えば、会議のあとに連絡する理由ができます。「まだ分かりません」と言われたら、無理に日付を決めません。自分が希望する連絡日と、相手が了承した連絡日は、別のものとして書きます。
約束・担当・期限・次回の連絡予定は、商談後フォローの道具で一か所にまとめて残せます。メモの書き分け方は、商談メモの直し方を見てください。
連絡するときの例文
連絡は、用件を一つに絞ります。「返事がほしい」ではなく、「相手の検討に役立つこと」を用件にします。
確認の時期を、相手と合意していた場合の例です。
件名:納品回数の比較表について(ご確認状況のお伺い)
[会社名] [担当者名]様
[自社名]の[氏名]です。◯月◯日にお送りした比較表について、今週の会議でご確認の予定と伺っておりました。
ご検討にあたって、足りない情報や分かりにくい点がございましたら、お知らせください。追加でご用意します。
ご予定が変わっていましたら、次にご連絡してよい時期を教えていただけますと幸いです。
足りない材料が分かっている場合は、それを用件にします。
「前回、送料を含めた金額が分かりにくいとのお話がありました。同じ注文数量で、送料込みの金額を並べた表をお送りします。ご不明な点があれば、お知らせください」
確認の時期を合意していなかった場合は、約束があったような書き方をしません。時期を相談する連絡にします。
「先日お送りした比較表について、ご不明な点はございませんでしょうか。あらためてご連絡してよい時期がありましたら、教えていただけますと幸いです」
区切る条件を、先に決めておく
連絡を続けるか、いったん終えるかの基準を、先に決めておきます。基準がないと、返事のない相手に何度も連絡してしまうか、逆にこわくなって何もしなくなります。
- 相手が「連絡は不要」と言ったら、そこで終える。
- 相手が「○月頃にまた」と言ったら、その時期まで連絡しない。
- 返信のない連絡が何回続いたら区切るかを、先輩や上司と決めておく。会社に決まりがあれば、それに従う。
返事がない理由は、こちらからは分かりません。「脈がない」とも「忙しいだけ」とも決めつけず、「○日にメール、返信なし」と事実だけを記録します。
記録は、日付・手段・内容・結果を一行ずつ書きます。
◯月◯日 メールで比較表を送付。翌週の会議で確認予定と伺った(会議後の連絡は了承済み)
◯月◯日 メールで確認状況を伺った。返信なし
区切った案件は、相手が話してくれた理由と自分の推測を分けて残しておくと、次の提案を考える材料になります。受注にならずに終わった案件(失注といいます)の振り返りには、失注直後の振り返りシートが使えます。
よくある失敗と、よくある質問
失敗:「その後いかがでしょうか」だけを送る
相手が答えにくく、返信が後回しになりがちです。「比較表の送料の欄について、補足をお送りします」のように、相手が受け取るものを用件にします。送るものがないときは、時期の相談だけにします。
失敗:資料を次々に送る
返事がないと不安になり、カタログや別の資料を追加で送りたくなります。しかし、止まっている理由が「時期」なら、資料が増えても判断は進みません。まず理由を確かめ、それに合う情報を一つだけ出します。
失敗:理由を聞かずに、値引きを持ち出す
価格が理由でなかった場合、値引きの話は相手の役に立ちません。値引きは自分だけで決められないことが多いので、理由を確かめたうえで、先に上司へ相談します。
質問:どれくらい間をあけて連絡すればよいですか?
決まった日数はありません。基準になるのは、相手が言った時期です。時期を聞けていない場合は、自分だけで決めず、相手の事情(会議の予定、納品の希望日など)をメモから拾って、先輩に相談します。
質問:電話とメール、どちらで連絡すればよいですか?
相手がふだん使っている手段に合わせます。前回「メールでください」と言われていれば、メールにします。どちらで連絡したか、いつ連絡したかは、毎回メモに残します。
今日やることは一つです。「検討します」で止まっている案件を一件選び、相手が決めるのに足りない材料は何かを、下のシートに書いてください。分からなければ「理由は未確認」と書きます。それを聞くことが、次の連絡の用件になります。
その場で返事をもらってよい場面と、持ち帰る場面の見分け方は、即決営業とはにまとめています。
頼んだ返事や資料が期限を過ぎても届かないときは、催促メールの書き方を読んでください。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
前回の約束、未確認条件、最終連絡、相手の連絡希望。
記入例を見る(説明用)
未回答の事項=送料を含めた金額が分かりにくい、とのこと/前回の約束=今週の会議のあとに連絡してよいと了承済み/送る情報=同じ注文数量で、送料込みの金額を並べた表/連絡時期と方法=会議の翌日にメール/区切る条件=「連絡は不要」と言われたら終了。返信のない連絡が続いたら上司に相談。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
連絡の用件を「返事が欲しい」以外の一文で説明でき、相手の希望に反していない。
うまく進まなかったときは?
確認日が未合意なら約束扱いしない。資料不足でなければ追加資料を送り続けず、時期の相談か終了を選ぶ。