NOTE 07 · 営業の実践ノート
商談メモ添削:「手応えあり」を、次に動ける記録へ
公開:2026年10月2日/更新:2026年10月3日
広告:この記事にはアフィリエイトリンクが含まれます。リンク経由の購入により、当サイトに報酬が支払われる場合があります。
商談メモが「手応えあり」「好感触」で終わっていると、次に何をすればよいかが決まりません。相手が言ったこと、確かめたこと、自分の推測、まだ分からないことを分けて書き直します。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 商談メモが「好感触」「高い」など感想で終わるとき。
- 1
感想の言葉に印を付ける
- 2
相手が言った言葉に戻す
- 3
推測と未確認を分ける
- 4
次の質問と、合意した行動を書く
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
「手応えあり」のメモでは、次に動けない
商談のあと、メモに「反応よし」「手応えあり」と書いて安心する。翌週、上司に「それで、次は何をするの?」と聞かれて答えられない。メモの書き方でつまずく、よくある場面です。
「手応え」は、自分が感じたことです。相手が何と言ったのか、何が決まったのかは書かれていません。一週間たつと、自分でも中身を思い出せなくなります。
商談メモの役割は、次の行動を決められるようにすることです。もう一つは、上司や代わりの担当者が読んでも、同じように状況が分かることです。上手な文章である必要はありません。報告が感想だけになってしまう話は、「頑張りました」しか報告できなかった研修でも取り上げています。
メモは6つの欄に分ける
書くことを6つの欄に分けます。分けるだけで、感想と事実が混ざりにくくなります。下の実践シートも、同じ6つの欄です。
| 欄 | 書くこと | 書かないこと |
|---|---|---|
| 相手の発言・要旨 | 相手が言った言葉。正確に覚えていなければ「要旨」と書いてまとめる | 自分の感想(好感触、前向き など) |
| 確認済み | 相手に確かめて、「そうです」と返ってきた条件 | 自分だけがそう思っていること |
| 仮説 | 自分の推測(〜かもしれない) | 事実のような言い切り |
| 未確認 | まだ聞けていないこと | 推測で埋めた答え |
| 次の質問 | 未確認のうち、次に聞く一つ | 一度に聞ききれない数の質問 |
| 合意済み行動 | 相手が了承した「誰が・何を・いつまでに」 | 自分の希望だけの予定 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
要旨(ようし)とは、話の要点をまとめたもののことです。「 」でくくるのは、相手の言葉をほぼそのまま覚えているときだけにします。覚えていない発言を「 」で書くと、言っていないことを言ったことにしてしまいます。
仮説は、次の質問を考えるための材料です。相手に確かめて「そうです」と返ってきたら、確認済みの欄へ移します。
メモに次のような言葉が出てきたら、感想で止まっている合図です。右の欄の内容に書き換えます。
| 感想の言葉 | 代わりに書くこと |
|---|---|
| 手応えあり・好感触 | 相手が言った言葉。相手から出た質問 |
| 前向きに検討 | 誰が・いつ・何を見て検討するのか。聞いていなければ「未確認」 |
| 難しそう | 相手が挙げた理由の言葉。理由を聞いていなければ「未確認」 |
| また連絡する | 連絡する日を相手が了承したか。了承がなければ「自分の希望」 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
悪い例を、良い例に書き直す
次のメモを例に、直し方を見ていきます。
新しい消耗品を提案。価格が高いと言われたが、反応はよかった。店長に相談してもらえる。来週連絡する。
短くまとまっていますが、これだけでは「何と比べて高いのか」「来週の連絡を相手が了承したのか」が分かりません。次の4つの手順で直します。
- 感想の言葉に印を付ける。「高い」「反応はよかった」「相談してもらえる」「連絡する」の4か所です。
- 印を付けたところを、相手が言った言葉に戻す。思い出せなければ「要旨」か「未確認」と書きます。
- 自分の推測と、まだ聞いていないことを分ける。
- 次に聞く質問を一つ選び、相手が了承した行動だけを「合意済み」に書く。
| 曖昧な記録 | 書き直した記録 |
|---|---|
| 価格が高い | 「現行より箱単価が高い」との発言。一箱の入数と送料は未確認 |
| 反応はよかった | 「比較資料があれば店長に見せられる」との発言 |
| 店長に相談してもらえる | 店長への共有は可能。誰が最終的に決めるかは未確認 |
| 来週連絡する | 自分は来週の連絡を希望。相手との日程の合意はまだない |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
入数(いりすう)とは、一箱に入っている数のことです。書き直した内容を6つの欄に入れると、次のようになります。
- 相手の発言・要旨:「現行より箱単価が高い」「比較資料があれば店長に見せられる」
- 確認済み:比較資料を店長に見せてもらうことはできる
- 仮説:入数と送料をそろえて比べれば、差は小さくなるのかもしれない
- 未確認:現行品の一箱の入数と送料。最終的に決める人。次に連絡してよい日
- 次の質問:「比較の前提をそろえたいので、いまお使いの商品の入数と送料を伺ってもよいですか」
- 合意済み行動:なし(来週の連絡は自分の希望。次の連絡で日程を相談する)
このメモがあれば、上司に「次は何をするの?」と聞かれたときに、次のように答えられます。
「箱単価が現行より高い、というお話でした。入数と送料がまだ分かっていないので、次の連絡で伺います。比較資料は店長に見せていただけるそうです。連絡する日は、まだ決まっていません」
書き直したメモは、元のメモより「分からないこと」が増えたように見えます。それでかまいません。分からないことが見えたので、次に聞くことが決まりました。
「高い」と書いたら、何と比べたかを足す
メモに「高いと言われた」とだけ書くと、次の行動が「値引き」になりがちです。しかし、「高い」には比べる相手があります。今使っている商品か、他社の見積か、予算か。それが分からないと、どこを見直せばよいかも決まりません。
同じ一箱でも、入数や送料の条件が違えば、比べ方が変わります。まず条件をそろえる質問をします。値引きは自分だけで決められないことが多いので、考える前に上司へ相談します。
営業:「高いというのは、いまお使いの商品と比べて、でしょうか」
相手:「そうですね。今のは一箱でもう少し安いので」
営業:「比較の前提をそろえたいので、いまお使いの商品の入数と送料を伺ってもよいですか」
条件をそろえて比べた結果、こちらの提案が相手に合わないと分かることもあります。そう判断できるのも、メモが相手の言葉で書かれているからです。
よくある失敗と直し方
会社に戻ってから、まとめて書く
何件か回ったあとで書くと、どの相手が何を言ったかが混ざります。商談が終わったら、移動の前に3分ほど使い、相手の言葉を単語で書き留めます。きれいに書き直すのは、戻ってからでかまいません。
自分の希望を「合意」に書く
「来週訪問」「見積を送る」は、相手が了承していなければ自分の予定です。合意済みの欄には、相手が「お願いします」と言ったことだけを書きます。帰り際に「誰が・何を・いつまでに」を声に出して確かめておくと、この欄が埋まります。
会話を全部記録しようとする
すべて書き取ろうとすると、相手の顔を見る時間がなくなります。残すのは、数字(数量・金額・日付)、相手が繰り返した言葉、人の名前と役割の3つを優先します。
よくある質問
相手の言葉を思い出せないときは?
「要旨・要確認」と書いて、覚えている範囲をまとめます。言葉を作って「 」で埋めないことが大事です。次に連絡するときに、「前回、価格についてお話があったと記憶していますが、何と比べてのお話でしたか」と確かめます。
商談中に、メモを取る余裕がありません。
項目が先に並んでいる用紙を使うと、書く量が減ります。商談ヒアリングシートは、悩み・現状・予算・時期・分からなかったことなどの欄が分かれています。商談中の聞き方そのものは、ヒアリングの記事を見てください。
書き直したメモは、どこで使いますか?
まず、その日の日報です。数分で書ける営業日報の「相手の反応」「今日わかったこと」に、そのまま写せます。相手に送るお礼メールも、「相手の発言」と「合意済み行動」から作れます。
今日やることは一つです。過去のメモを一件選び、「手応えあり」「好感触」「前向き」といった言葉に印を付けてください。その一語を、下のシートで相手の発言と未確認事項に書き直します。
出席した人みんなで共有する記録は、議事録の書き方にまとめています。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
直近の商談メモ、見積もり、覚えている相手の発言。
記入例を見る(説明用)
元のメモ=高いと言われたが好感触/発言=「現行より箱単価が高い」「比較資料があれば店長に見せられる」/確認済み=比較資料を店長に見せてもらえる/仮説=入数と送料をそろえれば差は小さくなるのかもしれない/未確認=入数・送料・最終的に決める人/次の質問=いまお使いの商品の入数と送料を伺ってもよいですか/合意済み行動=なし(連絡日はこれから相談)。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
別の担当者が、確認済み・未確認・次の行動を取り違えずに読める。
うまく進まなかったときは?
発言を覚えていなければ「要旨・要確認」と書く。引用や合意を作らず、次回の確認項目へ移す。