NOTE 58 · 営業の実践ノート
議事録の書き方:決まったこと・担当・期限を先に書く手順と記入例
公開:2026年10月3日
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議事録は、会議や打ち合わせで話したことと、決まったことを残す記録です。書き方の基本は、話した順ではなく、読む人が知りたい順に並べることです。「決まったこと」「次にやること(誰が・何を・いつまでに)」「まだ決まっていないこと」を先に書き、話の経緯は後ろに回します。この記事では、載せる項目、会議の前から共有までの手順、社内と取引先の記入例を順に説明します。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 会議や打ち合わせの議事録を任され、何をどの順番で書けばよいか分からないとき。
- 1
会議の前に、項目の枠を作っておく
- 2
会議中は、決まったこと・数字・担当を単語でメモする
- 3
終わる前に、決まったことと担当・期限を読み上げて確かめる
- 4
知りたい順に清書し、確認を受けてから共有する
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
議事録とは:話したことと、決まったことを残す記録
議事録(ぎじろく)とは、会議や打ち合わせで話したことと、決まったことを残す記録です。社内の会議だけでなく、取引先との打ち合わせや商談の後に作ることもあります。呼び方は会社によって違い、「打ち合わせメモ」「会議メモ」「打合せ記録」と呼ぶ会社もあります。
初めて任されると、二つの場面でつまずきがちです。一つは、発言を全部書き取ろうとして、話に追いつけなくなる場面です。もう一つは、ていねいに書き上げたのに、読んだ人から「それで、何が決まったの?」と聞かれる場面です。
議事録の役目は、三つあります。
- 出席した人の認識をそろえる。同じ会議に出ていても、決まったことの受け取り方は、人によってずれます。文字にすると、ずれに早く気づけます。
- 出席しなかった人に伝える。上司や、ほかの部署の人が、読むだけで結論と次の動きを知ることができます。
- 後から確かめられるようにする。誰が、いつまでにやることになっていたかを、記憶ではなく記録で確かめられます。
似た記録に、商談メモがあります。商談メモは、自分が次に動くための記録で、自分の推測も欄を分けて書きます(商談メモ添削)。議事録は、出席した人みんなで共有する記録です。推測や感想は入れず、その場で確かめたことを書きます。
会社に書式があれば、それを使います。初めて任されたら、先輩に「前回の議事録を見せてください」と頼みます。項目の並びと、どのくらい細かく書くかが分かります。
読む人が知りたい順に書く:決定・次の行動・未決・経緯
議事録を開いた人が最初に知りたいのは、「結局、何が決まったのか」と「自分は何をすればよいのか」です。話した順に書くと、その答えがいちばん下に来ます。忙しい人は、そこまで読まずに閉じることがあります。
そこで、話した順ではなく、読む人が知りたい順に並べます。
- 決まったこと。会議で「こうする」と確かめたことです。一つを一文で書きます。
- 次にやること。誰が・何を・いつまでに、の三つをそろえて書きます。
- まだ決まっていないこと。話したけれど、結論が出なかったことです。いつ、誰が決めるのかも書きます。
- 経緯。なぜそう決まったのか、どんな意見が出たのかを、要点だけ書きます。
次にやることに三つをそろえるのは、一つ欠けると動きが止まるからです。担当が書かれていないと、全員が「誰かがやるだろう」と思います。期限が書かれていないと、ほかの仕事の後に回されます。「何を」があいまいだと、できあがった物が頼んだ物と違う、ということが起きます。
決まっていないことを書くのにも、理由があります。書かれていないと、読んだ人は「決まった」のか「話に出なかった」のかを区別できません。「未決」と書いてあれば、次の会議で何を決めるのかが分かります。
載せる項目と、書く手順
次の表は、議事録に載せる項目の一例です。会社の書式に項目があれば、そちらに合わせます。
| 項目 | 書くこと | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 会議名 | 何の会議かが分かる名前 | 「定例」だけにせず、「◯月の営業定例」のように、後で探せる名前にする |
| 日時・場所 | 開いた日、始まりと終わりの時刻、場所 | オンラインで開いたときは、そのことを書く |
| 出席者 | 出た人の名前。取引先がいるときは、会社名と部署も | 名前の漢字は、名刺や名簿で確かめる。欠席した人を書く書式もある |
| 議題 | 話したテーマ | 会議の案内に書かれていた議題を、そのまま写す |
| 決定事項 | 「こうする」と確かめたこと | 一つを一文で、「〜する」と言い切れる形にする |
| 次の行動 | 誰が・何を・いつまでに | 期限は「来週」ではなく、日付と曜日で書く |
| 未決事項 | 結論が出なかったこと | いつ、誰が決めるのかを添える |
| 次回 | 次の会議の日時と議題 | 決まっていなければ「未定」と書く |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
書く作業は、会議が始まる前から始まっています。次の6つの順で進めます。
- 会議の前に、枠を作る。会議名・日時・出席者・議題を先に書き入れ、決定事項・次の行動・未決事項の欄を空けておきます。会議中に書くのは中身だけになり、聞くことに集中しやすくなります。
- 会議中は、単語でメモする。文章にしようとすると、書いている間に次の話が進みます。優先して書くのは、決まったこと、数字(数量・金額・日付)、人の名前と担当、「後で確認する」となったことの4つです。
- 聞き取れなかった所に、印を付ける。空欄にせず「?」を書いておきます。後で、どこを誰に聞けばよいかが分かります。
- 終わる前に、決まったことを読み上げて確かめる。「確認させてください。決まったことは2つ、次にやることは田中が提案書、佐藤さんが資料の部数、で合っていますか」のように言います(説明用の例です)。全員がいる場なら、違っていてもその場で直せます。後からだと、一人ずつ聞いて回ることになります。
- その日のうちを目安に、清書する。メモの単語を文に直し、知りたい順に並べ替えます。時間がたつと、単語のメモが何を指していたかを思い出しにくくなります。自分の感想や推測は入れません。
- 確認を頼んでから、共有する。上司か進行役に下書きを見てもらいます。「決定事項と、担当・期限に間違いがないか、見ていただけますか」と、見てほしい所を示します。共有する相手は、出席者と、会社で決まっている範囲です。
メモの道具は、ノートでもパソコンでも構いません。その会議でパソコンを開いてよいかは、先に先輩に確かめます。手書きなら、色を変えられるペンがあると、決まったことだけ色を変えて書けます。
記入例:社内の打ち合わせと、取引先との打ち合わせ
二つの記入例を見ていきます。会社名・人名・日付・内容は、すべて説明用の例です。まず、社内の打ち合わせの例です。
| 項目 | 記入例(説明用) |
|---|---|
| 会議名 | ◯月の営業定例 |
| 日時・場所 | ◯月◯日 10時〜10時30分、会議室 |
| 出席者 | 鈴木課長、佐藤、田中(記録) |
| 議題 | (1) A社への提案の進め方 (2) 来月の展示会の準備 |
| 決定事項 | (1) A社には、納品を週1回から週2回にする案で提案する。(2) 展示会で配る資料は、今ある商品資料を使う。 |
| 次の行動 | 田中:A社向けの提案書の下書きを、◯月◯日(水)までに鈴木課長へ出す。佐藤:展示会に持って行く資料の部数を、◯月◯日(金)までに確かめて共有する。 |
| 未決事項 | 展示会の当番の割り振り。次回の定例で、鈴木課長が決める。 |
| 次回 | ◯月◯日 10時から。議題は、展示会の当番。 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
経緯は、この下に短く足します。「週2回の案にしたのは、A社から、月末に検品が重なると聞いているため」のように、決定の理由が分かる一行で足ります。
次は、取引先との打ち合わせの例です。自分の会社をB社としています。
| 項目 | 記入例(説明用) |
|---|---|
| 会議名 | A社様 納品回数についてのお打ち合わせ |
| 日時・場所 | ◯月◯日 14時〜15時、A社様 会議室 |
| 出席者 | A社 総務部 佐藤様、山田様/B社 鈴木、田中(記録) |
| 議題 | 納品を週1回から週2回にした場合の条件 |
| 決定事項 | B社が、週2回にした場合の見積書をお出しする。A社様は、見積書をご覧になった後に、社内でご相談される。 |
| 次の行動 | B社 田中:見積書を、◯月◯日(金)までにメールで佐藤様へお送りする。A社 佐藤様:見積書を受け取った後、課長へご相談(時期は未定)。 |
| 未決事項 | 始める時期。A社様の社内でのご相談の後に、あらためて決める。 |
| 次回 | 未定。見積書をお送りした翌週に、田中から佐藤様へお電話で状況を伺う(了承をいただいた)。 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
取引先に送る議事録では、次の3つに気をつけます。
- 相手の作業は、相手が了承したことだけを書く。こちらの希望を「決定事項」に書くと、相手は約束していないことを約束したことにされます。了承がまだなら、未決事項に書きます。
- 社内の事情は書かない。原価、社内での相談、自分の推測は、相手に送る物には入れません。社内用の控えと、相手に送る物を分けます。分け方は引き継ぎメモにまとめています。
- 送る前に、上司の確認を受ける。金額や納期のように条件に関わる所は、特に見てもらいます。送る文には「認識に違いがございましたら、お知らせください」と添えます。
取引先には、議事録の形ではなく、お礼のメールの中に確認事項として書いて送る会社もあります。書き方は営業のお礼メールに、下書きを作る道具は商談後フォローにあります。
場面で変わるところと、言い方の例
決まったことから書く、という骨組みは同じです。場面によって、力を入れる所が変わります。次の表は一例です。
| 場面 | 力を入れる所 | 進め方(一例) |
|---|---|---|
| 社内の会議 | 担当と期限 | 敬称や言い回しは、会社の書式に合わせる。出席しなかった上司が読んで分かるかを見る |
| 取引先との打ち合わせ | 相手が了承したことだけを書く | 送る前に上司の確認を受ける。相手の会社名と、名前の漢字を名刺で確かめる |
| 対面の会議 | 配られた資料と、書かれた物 | ホワイトボードの内容は、消される前に書き写す。写真に撮ってよいかは、その場で聞く |
| オンラインの会議 | 誰の発言かと、画面に映った資料 | 声が重なって聞き取れなかったら、その場で「もう一度お願いします」と言う。映された資料を後でもらえるかを聞く |
| 新人が初めて任されたとき | 枠と、終わりの確認 | 前回の議事録を見て枠を作る。進行役に、最後の読み上げを先に頼んでおく |
| 発言する人が多いとき | 結論と担当 | 発言を全部追うのをやめ、議題ごとに「結論は何か」「誰がやるか」だけを書く。分からなければ、議題が変わる前に聞く |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
次は、書き方の例です。どれも説明用の例です。
惜しい書き方:「A社への提案について議論した。」
良い書き方:「A社には、納品を週2回にする案で提案する。田中が提案書の下書きを、◯月◯日(水)までに鈴木課長へ出す。」
惜しい書き方は、話したという事実しか分かりません。読んだ人は、提案するのかしないのか、誰が動くのかを、出席した人に聞き直すことになります。良い書き方には、決まったこと・担当・期限が入っています。
惜しい書き方:「展示会の資料は、早めに準備する。」
良い書き方:「展示会に持って行く資料の部数を、佐藤が◯月◯日(金)までに確かめて共有する。」
「早めに」は、人によって思い浮かべる日が違います。日付にすると、過ぎたかどうかを誰でも確かめられます。「準備する」も、何をしたら終わりなのかが分かる言葉(部数を確かめて共有する)に直しています。
このブログを運営するウッシは、初めて受けたメーカーの研修の報告会で、言えたのが「毎日がんばりました」だけだった、と話しています(「頑張りました」しか報告できなかった研修)。「議論した」で終わる議事録も、これと似ています。時間を使ったことは伝わりますが、聞いた人が次に何を判断すればよいかの材料が入っていません。
迷いやすい判断と、失敗のあと
判断1:発言を、どこまで書く?
基準は、後で読む人が、決まった理由を知るのに要るかどうかです。発言の全部は書きません。決定につながった理由、反対や心配の意見、付けられた条件を、一行ずつ書けば足ります。
判断2:聞き取れなかったときは?
推測で埋めません。その場で聞けるなら、「今の日付を、もう一度お願いします」と短く聞きます。
その場で聞けなかったら、印を付けておき、終わった直後に本人へ聞きます。「先ほどの納品の開始日は、◯日で合っていますか」と、自分が聞こえた内容を言って確かめると、相手は「はい」か「いいえ」で答えられます。確かめられないまま出すときは、その所に「要確認」と書きます。
判断3:決まらなかったことは、どう書く?
「未決」とはっきり書きます。そのうえで、何が分かれば決められるのか、誰がいつ決めるのかを添えます。それも決まっていなければ、「決める人と時期も未定」と書きます。空欄にはしません。
判断4:いつまでに出せばよい?
この記事では、何時間以内という数字は決めません。会社の慣例が先です。会議の前に、「今日の議事録は、いつまでに、どなたへお出しすればよいですか」と聞いておきます。
慣例がないときの基準は、二つです。次にやることの、いちばん早い期限より前に届くことと、自分の記憶が新しいうちに書くことです。
判断5:録音や文字起こし、AIを使ってよい?
自分では決めません。基準は、会社の決まりと、出席している人の了承の二つです。使ってよい道具と、音声や文章の保存先は、会社で決まっていることがあります。取引先がいる場では、相手に断らずに録音することはせず、先に上司に相談します。
使ってよいと分かった場合も、出てきた文をそのまま出すことはしません。名前、数字、決まったことを、自分のメモと見比べます。文字起こしは話した順に並ぶので、知りたい順に並べ直す作業は、自分でやります。
ここからは、失敗のあとの動きです。その場の立て直し方と、後の記録をセットで決めておきます。
失敗1:担当や期限を書き忘れたまま、共有した
その場では:気づいた時点で、担当になる本人に内容を確かめてから、直した物を送ります。「先ほどの議事録に、担当と期限の書きもれがありました。追記した物をお送りします。追記したのは、次の行動の2行目です」と、どこを直したかまで伝えます(説明用の例です)。本人に聞かずに、名前や日付を入れることはしません。
後の記録:下書きを出す前に見る点に、「次の行動の全部の行に、名前と日付があるか」を足します。
失敗2:取引先に送った内容に、誤りがあった
その場では:先に上司へ報告し、訂正の送り方を決めてから連絡します。「◯月◯日にお送りした議事録に、誤りがありました。次の行動の期限を◯日と記載しましたが、正しくは◯日です。訂正した物をお送りします」と、どこが違い、正しくは何かを伝えます(説明用の例です)。黙って差し替えると、相手の手元に二つの記録が残ります。
後の記録:どの数字を、何と見比べなかったのかを書きます。金額や納期のように条件に関わる誤りの報告のしかたは、営業で失敗したときにまとめています。
失敗3:共有が遅れた
その場では:全部の清書を待たず、決定事項と次の行動だけを先に送ります。「議事録の清書が遅れています。先に、決定事項と次の行動をお送りします。全体は◯日にお送りします」と書きます(説明用の例です)。読む人がいちばん必要としているのは、この二つです。
後の記録:遅れた理由を、「清書に時間がかかった」「確認を頼んだ人が不在だった」のように、事実で書きます。
今日やることは一つです。次の会議を一つ決め、議事録の枠を先に作り、終わりに読み上げる一言を紙に書いてください。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
会議の案内(日時・出席者・議題)、会社の議事録の書式か前回の議事録、メモの道具、自分の予定表。
記入例を見る(説明用)
会議名・日時・出席者・議題=◯月の営業定例。◯月◯日 10時から。出席は鈴木課長、佐藤さん、田中(記録)。議題は、A社への提案の進め方と、来月の展示会の準備/決まったこと=A社には、納品を週1回から週2回にする案で提案する。展示会で配る資料は、今ある商品資料を使う/次にやること=田中:A社向けの提案書の下書きを、◯月◯日(水)までに鈴木課長へ出す。佐藤さん:展示会に持って行く資料の部数を、◯月◯日(金)までに確かめて共有する/まだ決まっていないこと・次回=展示会の当番の割り振りは未決。次回の定例(◯月◯日)で鈴木課長が決める。佐藤さんが言った納品の開始日は聞き取れなかった(未確認。会議の後に本人に聞く)/確認を頼む人と、共有する相手・期限=今日の夕方までに下書きを鈴木課長に見てもらう。見てほしいのは、決定事項と担当・期限。直したら、出席者の3人と、会社で決まっている共有の場所へ出す。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
決まったことが一つ一文で書いてあり、次にやることの全部の行に「誰が・何を・いつまでに」がそろっていて、決まっていないことが「未決」と書いてある(聞き取れなかった所は「未確認」と、誰に聞くかが書いてある)。
うまく進まなかったときは?
何が決まったのか分からなければ、進行役か先輩に「今日決まったのは、この2つで合っていますか」と、自分のメモを見せて聞く。担当や期限が空いた行は、勝手に埋めず「未確認」と書き、本人に聞く。書式が分からなければ、前回の議事録を見せてもらう。