NUSSI’S SALES NOTEウッシの営業ノート

NOTE 129 · 営業の実践ノート

「お世話様です」の意味と使い方:「お世話になっております」との違いと、言われたときの返事

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「お世話様です」は、辞書では、他人が自分のために力を尽くしてくれたことに対して、お礼の気持ちをこめていう言葉と説明されています。この記事では、辞書の語釈をもとに、「お世話になっております」との違い、取引先や上司に使ってよいか、配達の方や出入りの業者の方に言う場面、言われたときの返事を、自分が言うときと言われたときに分けて説明します。

今日できるようになること

自分が「お世話様です」と言う場面・言われる場面を一つずつ書き出し、言うときの言葉と、言われたときの返事を決める。

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こんなときに 訪問先や電話で「お世話様です」と言われて、返事に迷ったとき。自分が取引先や配達の方に言ってよいのか、分からないとき。

この順番で進めよう
  1. 1

    言う場面と、言われる場面を書き出す

  2. 2

    相手が、自分のために何をしてくれたかを確かめる

  3. 3

    自分が言うときの言葉を、相手ごとに決める

  4. 4

    言われたときの返事を一つ決めて、声に出す

会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。

「お世話様です」の意味:辞書で確かめる

納品で取引先を訪ねたら、受付の方に「お世話様です」と声をかけられた。「お世話になっております」と返せばよいのか、同じ言葉で返してよいのか、一瞬迷う。別の日には、事務所に荷物を届けてくれた配達の方に、先輩が「お世話様です」と言っているのを聞いた。自分も使ってよい言葉なのか。この記事は、その二つを扱います。

先に、言葉の意味を辞書で確かめます。コトバンクに載っている二つの辞書で「御世話様」を引きました。「 」の中は、辞書の文をそのまま写したものです。

  • デジタル大辞泉:「他人が自分のために力を尽くしてくれたことに対して、お礼の気持ちをこめていう語。多く、あいさつの言葉に用いる。」
  • 精選版 日本国語大辞典:「他の人が自分のために骨を折ってくれることをいう語。多く、世話になった人への感謝の気持を表わすあいさつのことばに用いる。」

デジタル大辞泉は、例として「どうもお世話様でした」を挙げています。語釈から分かることは、三つあります。

  • お礼の言葉である。二つの辞書とも、「お礼の気持ち」「感謝の気持」と書いています。
  • 相手が、自分のためにしてくれたことに向けて言う。「自分のために力を尽くしてくれた」「自分のために骨を折ってくれる」とあります。何かをしてもらった、という事実が前にあります。
  • あいさつとして使うことが多い。深いお礼を述べるというより、声をかけるときの決まった言葉として使われます。

「お世話様です」の「です」は、丁寧語です。文化審議会答申「敬語の指針」(平成19年2月2日・文化庁)は、丁寧語を「話や文章の相手に対して丁寧に述べるもの。」(指針20ページ)と説明しています。

二つの辞書の「御世話様」の項目には、使う相手を限る説明(目上の人には使わない、など)はありませんでした。

「お世話になっております」との違い

似ている二つの言葉を、辞書の語釈と、言葉の作りで比べます。

言い方元の言葉と、辞書の語釈言っていること敬語の部品
お世話様です御世話様:「他人が自分のために力を尽くしてくれたことに対して、お礼の気持ちをこめていう語。」(デジタル大辞泉)相手がしてくれたことへの、お礼丁寧語「です」
お世話になっております世話になる:「人のやっかいになる。人の援助を受ける。」(デジタル大辞泉「世話になる」)自分が、相手の援助を受けている状態が続いている謙譲語Ⅱ「おる」+丁寧語「ます」

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

「おります」の「おる」は、指針が謙譲語Ⅱ(丁重語)の例に挙げている言葉です。謙譲語Ⅱの説明は、「自分側の行為・ものごとなどを,話や文章の相手に対して丁重に述べるもの。」(指針18ページ)です。

ここから言える違いは、二つです。

  • 主語の向き。「お世話様です」は、相手の骨折りを指して言う言葉です。「お世話になっております」は、自分が援助を受けている、と自分の側のこととして述べる言葉です。
  • 形の改まり方。「お世話になっております」には、自分の側のことを相手に丁重に述べる形(謙譲語Ⅱ)が入っています。「お世話様です」に入っているのは、丁寧語の「です」です。

どちらも、お礼の気持ちを伝えるあいさつであることは同じです。違うのは、形の改まり方です。この違いが、次の章の「取引先に使ってよいか」という迷いにつながります。

「お世話になっております」を初めての相手や社内の人に使うか、「お世話になります」「平素より」とどう分けるかは、「お世話になっております」の意味と使い方にまとめています。

取引先・上司に使ってよいか:言われたときと、自分が言うときを分ける

先に、確かめられたことを書きます。公的な決まりは見当たりません。辞書の二つの項目には、使う相手を限る説明がありません。「敬語の指針」の全文を検索しましたが、「世話」という言葉は出てきません。「お世話様です」を取引先や上司に使うと失礼だ、と決めた記述は、どちらにも見つかりませんでした。

一方で、「お世話になっております」に比べて、くだけた言い方だと受け取る人もいます。指針には、言葉の受け取り方について、こう書かれています。「自分の基準だけで,相手や第三者の言葉遣いが丁寧過ぎる,あるいは逆に,失礼だなどということは決められない。」(指針35ページ)。受け取り方は、人によって違います。

そこで、言われたときと、自分が言うときを分けて考えます。

言われたとき:そのまま、お礼として受け取る

取引先の方や、訪問先の受付の方から「お世話様です」と言われたら、辞書の語釈のとおり、お礼のあいさつとして受け取ります。相手は、こちらが納品に来た、足を運んだ、ということに声をかけてくれています。軽く扱われた、と考える必要はありません。相手の言葉を直してもらう必要もありません。

自分が言うとき:相手の受け取り方が分からないなら、「お世話になっております」

自分が言う側のときは、相手がどう受け取るかを、こちらでは決められません。次の表は、選び方の一例です。職場に決まった言い方があれば、そちらを先にします。

相手・場面選びやすい言葉(一例)そう選ぶ理由
取引先の担当者(電話・メールの最初の一言)お世話になっております丁重に述べる形が入っている。相手の受け取り方が分からないときに、引っかかりが少ない
取引先の役職の高い方、初めて会う方お世話になっております/はじめまして関係がまだ浅い。改まった形を先に選ぶ
社内の上司・先輩お疲れ様です/(何かしてもらった後は)ありがとうございました社内のあいさつは、職場の習慣に合わせる。してもらったことには、具体的なお礼が合う
配達の方、点検や修理に来てくれた業者の方お世話様です/ありがとうございます自分のために力を尽くしてくれたことへのお礼。語釈に合う
長い付き合いで、相手も「お世話様です」と言う取引先相手と先輩の言い方に合わせるその相手との間で、すでに通じている言葉がある

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

取引先に「お世話様です」と言うと誤りになる、という意味ではありません。相手の受け取り方が分からないうちは、形の改まった言葉を選んでおく、という決め方です。上司に何かをしてもらった後は、あいさつより、「資料を見ていただき、ありがとうございました」のように、何へのお礼かを言うほうが伝わります(説明用の例です)。

配達の方や、出入りの業者の方に言う場面

「お世話様です」が語釈にいちばん合うのは、相手が、いままさに自分や自分の会社のために動いてくれた場面です。

  • 事務所に荷物を届けてくれた配達の方から、荷物を受け取るとき
  • コピー機の点検や修理に来てくれた方が、作業を終えたとき
  • 清掃や、設備の手入れをしてくれている方と、すれ違うとき
  • 仕入れ先の方が、商品を運び入れてくれたとき

こうした場面で、何も言わずに受け取るより、一言あるほうが、相手は「届いたことを確かめてもらえた」と分かります。次の表は、言い方の一例です。

場面言い方(一例)添える一言
荷物を受け取るお世話様です。ありがとうございます。「こちらに置いてください」と、置く場所を言う
点検や修理が終わったお世話様でした。ありがとうございました。「直った所を、教えていただけますか」と、確かめたいことを聞く
毎日来る方と、すれ違うお世話様です。目を合わせて、軽く頭を下げる
急ぎで対応してもらった急なお願いに対応していただき、ありがとうございました。決まったあいさつより、何へのお礼かを言う

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

この場面で、「ご苦労様です」と迷う人もいます。指針は、「御苦労様」を、「自分側のために仕事をしてくれた人,例えば,配達をしてくれた店員などに対して,「ねぎらい」の気持ちを込めて用いる表現である」(指針45〜46ページ)と説明しています。配達の方に「ご苦労様です」と言うのは、指針の説明に合った使い方です。

二つの違いは、ねぎらいか、お礼かです。デジタル大辞泉「御苦労」の2番目の意味は、「他人に仕事を依頼したときなどに、その苦労をねぎらっていう語。同輩以下の者に対して用いる。」です。「御世話様」の語釈は、お礼の気持ちをこめていう語、でした。ねぎらいの言葉を使うことに迷いがあるなら、お礼の言葉である「お世話様です」か「ありがとうございます」を選べます。「ご苦労様」と「お疲れ様」の使い分けは、「お疲れ様です」の意味と使い分けにまとめています。

営業の仕事では、自分が「出入りの業者」の側になることもあります。納品や点検で取引先を訪ねると、こちらが「お世話様です」と言われる側です。次の章で、返事を決めます。

言われたときの返事と、電話・訪問・メールの例

言われたときの返事は、次の順で組み立てます。

  1. あいさつを返す。「お世話になっております」と返します。相手がお礼を言ってくれたので、こちらも関係へのお礼で返す形です。同じ言葉で「お世話様です」と返すと、相手が取引先の場合、受け取り方が分かりません。
  2. 名乗る。受付の方や、電話に出た方は、こちらが誰かをまだ知らないことがあります。会社名と名前を言います。
  3. 用件を言う。「本日の納品に伺いました」「佐藤様はいらっしゃいますか」と続けます。あいさつで止まると、相手は次に何をすればよいかが分かりません。

次の例は、すべて説明用の例です。

訪問

受付の方「お世話様です」

自分「お世話になっております。[自社名]の鈴木です。本日の納品に伺いました。購買部の佐藤様に、お取り次ぎをお願いできますでしょうか」

(納品を終えて、帰るとき)

相手「お世話様でした」

自分「ありがとうございました。次回は、来週の火曜に伺います。失礼いたします」

帰りぎわの「お世話様でした」には、お礼で返します。次に来る日が決まっていれば、そこで一言伝えると、相手の予定に残ります。

電話

相手「はい、A社です」

自分「[自社名]の鈴木と申します。いつもお世話になっております」

相手「ああ、鈴木さん。お世話様です」

自分「恐れ入ります。佐藤様は、いらっしゃいますでしょうか」

相手があいさつを返してくれたら、もう一度あいさつを重ねず、短く受けて用件に入ります。電話は、相手の時間を使います。受け方と取り次ぎの頼み方は、電話対応の基本にあります。

メール

惜しい例:(取引先の担当者へ)「お世話様です。見積書を添付します。」

良い例:「いつもお世話になっております。[自社名]の鈴木です。ご依頼の見積書を添付いたします。」

惜しい例も、意味は通じます。ただ、メールは文字で残り、相手の上司が読むこともあります。誰が読んでも引っかかりにくい形として、取引先あてのメールでは「お世話になっております」を選びます。相手が「お世話様です」と書いてきた場合も、こちらは「お世話になっております」で返して構いません。書き出しの組み立ては、ビジネスメールの書き出しにまとめています。

迷いやすい判断と、言い間違えたあと

判断1:「お世話様です」と「お世話様でした」は、どう使い分ける?

辞書に、二つを分ける説明は見当たりません。デジタル大辞泉の例は「どうもお世話様でした」です。自分で決めるなら、相手の用事が済んだかどうかを基準にできます。荷物を受け取るとき、作業の途中は「です」。作業が終わって相手が帰るときは「でした」。これは一例で、どちらかが誤りということではありません。

判断2:「お世話様でございます」にすれば、取引先にも使える?

形は、丁寧になります。指針は、「なお,これらと同じタイプで,更に丁寧さの度合いが高い敬語として「(で)ございます」がある。」(指針20ページ)と説明しています。「です」を「でございます」に替えると、丁寧さの度合いは上がります。

ただ、相手が「お世話様」という言葉そのものをどう受け取るかは、形を替えても分かりません。基準は、その相手と先輩が、ふだんどう言い合っているかです。分からないなら、「お世話になっております」を選びます。

判断3:社内の総務や経理の人に、「お世話様です」と言ってよい?

職場によって違います。経費の精算や備品の手配など、自分のために手を動かしてくれた相手に、お礼のあいさつとして使う職場もあります。「お疲れ様です」でそろえている職場もあります。

自分で決める基準は二つです。相手が、いま自分のために何かをしてくれたか。先輩が、その相手に何と言っているか。何かをしてもらった直後なら、あいさつより、「精算の処理、ありがとうございました」と、何へのお礼かを言えば、どちらの職場でも通じます(説明用の例です)。

判断4:取引先の方から言われて、少し引っかかったときは?

辞書では、お礼の気持ちをこめていう言葉です。先に引いた指針の文のとおり、自分の基準だけで、相手の言葉遣いを失礼だと決めることはできません。そのまま受け取って、「お世話になっております」と返します。

ここからは、言い間違えたあとの動きです。その場の立て直し方と、後の記録をセットで決めておきます。

失敗1:取引先への電話で、つい「お世話様です」と言った

その場では:言い直すなら、続けて一言足すだけで足ります。「お世話様です。……いつもお世話になっております。[自社名]の鈴木です」(説明用の例です)。長いお詫びは要りません。電話を切ってから気づいた場合、言葉を直すためだけの電話はしません。相手は、もう一度電話に出ることになるからです。次の電話から、言葉を替えます。

後の記録:「配達の方へのあいさつの直後に、電話に出た。取引先への電話は、最初の一文を紙に書いて電話機の横に置く」と残します(説明用の例です)。

失敗2:「お世話様です」と言われて、返事ができなかった

その場では:黙ってしまった、「いえいえ」としか言えなかった、という場合です。その場で気づいたら、会釈をして、「お世話になっております。[自社名]の鈴木です」と名乗りから言い直します。すでに通りすぎてしまったら、帰りに「ありがとうございました。失礼いたします」と、はっきり言って帰ります。

後の記録:「受付で『お世話様です』と言われたら、『お世話になっております』+名乗り+用件」と、実践シートに一行で書きます。次の訪問の前に、一度声に出します。

今日やることは一つです。自分が「お世話様です」と言う場面・言われる場面を一つずつ書き出し、言うときの言葉と、言われたときの返事を決めてください。

YOUR TURN

自分の一件で、書いてみよう。

手元に用意するもの
最近の訪問や電話のメモ(誰に、何と言われたか)。職場に来る配達の方や業者の方とのやり取りを思い出せるもの。先輩のメールや電話の言い方(形を見るため)。

記入例を見る(説明用)

言う場面と、言われる場面=言う場面:毎朝、荷物を届けてくれる配達の方から荷物を受け取るとき。言われる場面:A社へ納品に行くと、受付の方から「お世話様です」と声をかけられる/相手と、してくれたこと=配達の方:自社あての荷物を、事務所まで運んでくれた。A社の受付の方:こちらが納品に来たことに、声をかけてくれた/自分が言うときの言葉と理由=配達の方には「お世話様です。ありがとうございます」。運んでもらったことへのお礼なので、語釈に合う。A社の担当の佐藤様への電話やメールは「お世話になっております」にする。相手の受け取り方が分からないため/言われたときの返事=「お世話になっております。[自社名]の鈴木です。本日の納品に伺いました」。あいさつを返して、名乗りと用件を続ける/先輩に確かめること=社内の総務や経理の人に、「お世話様です」と言う習慣があるか(未確認。今日、先輩に聞く)。

入力は自動保存されません。ページを移動する前に保存してください。保存した内容は他の人に自動送信されません。

CHECK

ここまでできたら、次へ。

言う場面と言われる場面が一つずつ書いてあり、自分が言うときの言葉が相手ごとに決まっていて、言われたときの返事が一文で書いてある。

うまく進まなかったときは?

言う場面が思いつかなければ、今週、自分のために何かを運んだり直したりしてくれた人を一人書く。返事が決まらなければ、「お世話になっております」と名乗りの二つだけを書く。職場の習慣が分からなければ、先輩に「配達の方には、いつも何と声をかけていますか」と聞く。

NEXT NOTE

次に読むなら

「お世話になっております」の使い方を見る「お疲れ様です」「ご苦労様です」の違いを確かめる電話の受け方を確かめる