NOTE 68 · 営業の実践ノート
電話対応の基本:受けるときの言葉遣いと、取り次ぎ・伝言メモの手順
公開:2026年10月3日
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電話対応の基本は、名乗る・相手と用件を確かめる・取り次ぐか伝言を受ける・復唱する・メモを渡す、の流れを、会社の決まった言い方で進めることです。うまく話すことより、相手の名前・用件・折り返しの要否を、聞き間違えずに担当者へ渡すことが役目です。この記事では、受ける流れ、言葉遣いの例、伝言メモの項目を順に説明します。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 会社にかかってきた電話を取ることになり、何と言えばよいか不安なとき。
- 1
会社の名乗り方と、保留・転送の操作を確かめる
- 2
出たら名乗り、相手の名前と用件を聞いて復唱する
- 3
取り次ぐか、伝言を受けるかを決めて相手に伝える
- 4
切った後すぐ、メモを担当者に渡す
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
電話対応とは:会社の代表として受け、担当者へ渡す仕事
電話対応とは、会社にかかってきた電話を受けて、用件を聞き、担当者へ取り次いだり、伝言を預かったりすることです。この記事は、受ける側の動きを扱います。こちらからかける電話は営業電話のかけ方、訪問の約束をお願いする電話は営業のアポ取りにまとめています。
初めて電話を取るときは、次のような場面で手が止まりがちです。相手の会社名が早口で聞き取れない。担当者がいないとき、何と言えばよいか分からない。保留のボタンがどれか分からない。切った後で、相手の名前を書いていなかったと気づく。
電話では、相手にこちらの顔が見えません。相手にとっては、電話に出た人が、その会社そのものです。
ただし、受ける人の役目は、すべての質問に答えることではありません。誰から・誰あてに・何の用件で・折り返しが要るかを聞き間違えずに、担当者へ渡すことです。分からないことは、「確認いたします」と言って保留にし、先輩に聞いて構いません。
電話の出方や言い方は、会社ごとに決まりがあります。名乗り方、何回鳴るまでに出るか、取り次ぎの方法などです。この記事の言い方は例として見て、会社の言い方があれば、そちらに合わせてください。
電話を受ける流れ:出てから、メモを渡すまで
受ける電話は、次の8つの順で進みます。
- 出る。メモとペンを手に取ってから、受話器を上げます。話し始めてからメモを探すと、最初の名乗りを聞き逃します。
- 名乗る。会社名を言います。部署名や自分の名前まで言うかは、会社の決まりに合わせます。
- 相手を確かめる。相手が名乗ったら、「A社の佐藤様でいらっしゃいますね」とくり返します。名乗らないときは、「恐れ入りますが、お名前を伺ってもよろしいでしょうか」と聞きます。
- 用件を聞く。誰あての電話か、何の件かを聞きます。担当者に取り次ぐだけなら、用件を細かく聞かなくてよい場合もあります。
- 取り次ぐか、伝言を受ける。担当者がいれば保留にして取り次ぎます。いなければ、不在を伝え、折り返すか、伝言を預かるかを相手に聞きます。
- 復唱する。名前、電話番号、日時、数量は、声に出してくり返します。最後に、「私、田中が承りました」と自分の名前を言います。
- 切る。「失礼いたします」と言い、相手が切るのを待ってから静かに切る、という会社が多くあります。
- メモを渡す。切ったら、ほかの仕事より先にメモを仕上げ、担当者に渡します。
3で名前をくり返すのは、聞き間違いをその場で直せるからです。切った後では、確かめる方法がありません。
6で自分の名前を言うのは、相手が後で「誰に伝えたか」を言えるようにするためです。相手は、伝言が届いたかどうかを自分では確かめられません。受けた人の名前が分かれば、安心して待てます。
保留にする前には、「少々お待ちください」と声をかけます。何も言わずに保留にすると、相手は切れたのかどうかが分かりません。保留が長くなりそうなら、いったん電話に戻ります。「お待たせしております。確認に時間がかかりますので、こちらから折り返してもよろしいでしょうか」と聞きます(説明用の例です)。
言葉遣いの例と、伝言メモの項目
次の表は、場面ごとによく使われる言い方の例です。言い方は会社や地域、相手との関係で幅があり、これが唯一の言い方というわけではありません。会社の言い方があれば、そちらを使います。
| 場面 | 言い方の例(説明用) | ひとこと |
|---|---|---|
| 出るとき | 「お電話ありがとうございます。[自社名]でございます」 | 「はい、[自社名]です」と言う会社もある |
| 相手が名乗ったとき | 「A社の佐藤様でいらっしゃいますね。いつもお世話になっております」 | 名前をくり返して確かめる |
| 名前を聞くとき | 「恐れ入りますが、お名前を伺ってもよろしいでしょうか」 | 「どちら様ですか」より、やわらかく聞こえることが多い |
| 取り次ぐとき | 「鈴木でございますね。少々お待ちください」 | 社外の人に対しては、自分の会社の人を「鈴木」と呼ぶ会社が多い |
| 不在を伝えるとき | 「あいにく鈴木は席を外しております。戻りましたら、こちらからお電話いたしましょうか」 | どこまで伝えるかは、会社の決まりに合わせる |
| 聞き取れないとき | 「恐れ入ります。お電話が少し遠いようです。もう一度お願いできますでしょうか」 | 相手の話し方のせいにしない言い方 |
| 伝言を受けたとき | 「くり返します。〜ですね。私、田中が承りました」 | 番号・日時・数量は声に出す |
| 切るとき | 「お電話ありがとうございました。失礼いたします」 | 相手が切ってから切る会社が多い |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
社内の人の呼び方は、迷いやすい所です。社外の人と話すときは、自分の会社の人に「さん」や役職を付けずに呼ぶ、という会社が多くあります。先輩が電話でどう呼んでいるかを聞いて、合わせます。
言葉遣いは、すらすら言えなくても、伝わります。言い間違えたら、「失礼いたしました」と言って、言い直せば足ります。それより、名前や番号を間違えずに聞き取るほうが、相手にとっては大事です。
伝言メモに書く項目
伝言メモには、次の項目を書きます。担当者が、メモだけを見て次の動きを決められるようにするためです。
| 項目 | 書くこと | 記入例(説明用) |
|---|---|---|
| 誰あてか | 担当者の名前 | 鈴木課長へ |
| 受けた日時 | 日付と時刻 | ◯月◯日 10時ごろ |
| 誰から | 会社名、部署、名前 | A社 総務 佐藤様 |
| 用件 | 相手の言葉のまま、短く | 見積書の納期について、確認したいことがある |
| どうしてほしいか | 折り返す/また相手からかける/伝言のみ | 折り返しをご希望 |
| 連絡先と、都合のよい時間 | 電話番号、何時まで | [電話番号] 今日は◯時まで在席 |
| 受けた人 | 自分の名前 | 田中 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
「どうしてほしいか」は、抜けやすい項目です。これがないと、担当者は、かけ直すべきか、待てばよいのかが分かりません。相手が言わなかったら、「戻りましたら、こちらからお電話いたしましょうか」と、こちらから聞きます。
用件は、自分の言葉に直さずに書きます。「怒っていた」「急ぎのようだった」は、自分の受け止めです。書くなら、「『今日中に』と2回おっしゃった」のように、聞いた言葉を書きます。事実と受け止めの分け方は、報連相とはにまとめています。
メモは、机に置くだけで終わらせません。担当者が戻ったら、「A社の佐藤様からお電話がありました。メモを置いています」と声をかけます。チャットで知らせる決まりの会社なら、同じ内容を書き込みます。
お客様の名前や電話番号を書いたメモは、机に出したままにしない、用が済んだら会社の決まりどおりに処分する、などの扱いを確かめておきます。
場面で変わるところ
流れは同じです。担当者の状況と、電話の中身で、言うことが変わります。次の表は一例です。
| 場面 | 伝えること | 進め方(一例) |
|---|---|---|
| 担当者が席にいない | 席を外していること | 「あいにく席を外しております」と伝え、折り返すか、伝言を預かるかを聞く |
| 会議中・来客中 | 今は出られないことと、終わる見込み | 「ただいま会議中です。◯時ごろ終わる予定です」。急ぎと言われたら、メモを入れてよいか、先輩に聞く |
| 外出中 | 戻る予定の時刻 | 「外出しております。◯時ごろ戻る予定です」。行き先は、会社の決まりがなければ言わない |
| 休み | 休みであることと、出社する日 | 「本日は休みをいただいております。◯日に出社いたします」。急ぎなら、代わりに聞ける人がいるかを社内で確かめる |
| 相手の名前が聞き取れない | もう一度お願いする | 聞き取れた所までをくり返し、「恐れ入ります、会社名をもう一度お願いできますでしょうか」と聞く |
| 営業の電話が来た | 会社の決まりどおりに | 担当者に取り次ぐか、断るかは、会社の決まりに合わせる。自分で判断して切らない |
| 苦情の電話 | 最後まで聞く | 途中でさえぎらずに聞き、メモを取る。その場で約束をせず、上司に報告する |
| 自分あての電話 | 名乗って、メモを取る | 「はい、私です。お電話ありがとうございます」と答え、用件を聞きながらメモを取る |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
苦情の電話を受けたときの聞き取りと、上司へ報告する順番は、クレーム対応の基本にまとめています。
営業の電話への対応は、会社によって大きく違います。すべて断る会社、担当の部署へ回す会社、名前と用件を聞いてメモだけ残す会社があります。最初に、「営業のお電話は、どうすればよいですか」と先輩に聞いておきます。
名前が聞き取れないのは、慣れた人にもよくあることです。聞き返すのは、失礼ではありません。あいまいなまま取り次ぐと、担当者が相手の名前を呼び間違えることになります。漢字が分からないときは、「どのような字をお書きになりますか」と聞くか、メモにはカタカナで書いて「漢字は未確認」と添えます。
言い方の例:惜しい受け方と、良い受け方
担当者が外出しているときの例です。会社名・人名・時刻は、説明用の例です。
惜しい受け方:「鈴木はいま、いません。……はい、伝えておきます」
良い受け方:「あいにく鈴木は外出しております。◯時ごろ戻る予定です。戻りましたら、こちらからお電話いたしましょうか」
(相手が「では、お願いします」と答えた後)「かしこまりました。念のため、お電話番号をお願いできますでしょうか。……くり返します。[電話番号]、A社の佐藤様ですね。見積書の納期の件で、鈴木から折り返すよう申し伝えます。私、田中が承りました」
惜しい受け方は、いないことは伝わります。けれども、いつ戻るのか、折り返しがあるのかが分かりません。「伝えておきます」も、何を伝えるのかを確かめていないので、相手は伝わるかどうか不安なままです。
良い受け方は、戻る時刻を伝え、折り返すかどうかを相手に選んでもらっています。その後、番号・名前・用件をくり返し、自分の名前を言っています。相手は、電話を切った後、何を待てばよいかが分かります。
分からないことを聞かれたときの例です。
惜しい受け方:「たぶん、在庫はあると思います」
良い受け方:「確認いたします。少々お待ちいただけますか」(保留にして先輩に聞く。すぐに分からなければ)「お待たせいたしました。担当の者が確認して、◯時までにお電話いたします」
「たぶん」で答えた内容は、相手にとっては会社の返事になります。後で違っていたとき、相手はその返事をもとに動いた後かもしれません。分からないことは、分かる人につなぎます。
迷いやすい判断と、失敗のあと
判断1:何回鳴るまでに出ればよい?
回数の決まりは、会社ごとに違います。ここでは数字を決めつけません。先輩に「電話は、何回鳴るまでに出る決まりですか」と聞きます。決まりがない場合は、手が空いていれば、メモを持ってすぐ出る、を基準にします。
判断2:担当者の携帯電話の番号を、教えてよい?
自分の判断では教えません。相手が取引先で、急いでいると言われても同じです。番号を伝えてよいかどうかは、本人と会社が決めることだからです。
代わりに、こちらから動きます。「鈴木に連絡を取り、鈴木からお電話するようにいたします。お電話番号をお願いできますでしょうか」と伝え、切った後すぐ、担当者に連絡します(説明用の例です)。会社の決まりで教えてよい場合もあるので、先に確かめておきます。
判断3:不在の理由を、どこまで言う?
基準は、相手が次の動きを決めるのに要ることだけを伝えることです。相手が知りたいのは、いつなら話せるかです。「席を外しております」「外出しております」「本日は休みをいただいております」と、戻る時刻か出社する日があれば、足りることがほとんどです。
訪問先の会社名、休みの理由、体調のことなどは、言いません。行き先を伝えると、ほかの取引先の情報を知らせることになる場合があります。どこまで言うかは会社の決まりがあることが多いので、先輩に確かめ、実践シートに書いておきます。
判断4:電話が苦手なときは、どうすればよい?
苦手に感じる理由の一つは、何を言えばよいかが決まっていないことです。言うことを紙に書いて見える所に置くと、覚えていなくても話せます。手元に置く物は、次の4つです。
- 名乗り、取り次ぎ、不在のときの言い方を書いた紙
- 伝言メモの用紙(項目が先に書いてあるもの)とペン
- 社内の人の名前と内線の一覧、みんなの予定が分かるもの
- 保留と転送の操作を書いたメモ
練習は、やさしい順に進めます。
- 先輩が電話を受けるのを横で聞き、最初の一言と、切るときの一言を書き写す。
- 名乗りと、「少々お待ちください」を、声に出して言ってみる。
- 内線で先輩にかけてもらい、保留と転送の操作を試す。
- 先輩がそばにいる時間に、外からの電話を取る。困ったら保留にして聞く。
先輩には、「電話に慣れたいので、今日の午前は私が取ってもよいですか。困ったら保留にして伺います」と頼みます(説明用の例です)。
ここからは、失敗のあとの動きです。その場の立て直し方と、後の記録をセットで決めておきます。
失敗1:名前や電話番号を、聞き間違えた
その場では:メモを渡すときに、「会社名の聞き取りに自信がありません」と正直に伝えます。担当者が、心当たりから相手を見つけられることがあります。番号が違っていてかけ直せないときは、上司に報告し、相手からもう一度かかってきたら、すぐ取り次げるよう周りにも伝えます。
後の記録:「番号を復唱しなかった。次からは、数字は一つずつ声に出してくり返す」と、次の動きを書きます。
失敗2:伝言を、渡し忘れた
その場では:気づいた時点で、すぐ担当者に伝えます。「◯時ごろ、A社の佐藤様からお電話がありました。お伝えするのが遅れました。申し訳ありません」と、受けた時刻と遅れた事実を言います。相手が折り返しを待っているなら、担当者は、遅れたことをお詫びしてからかけることになります。受けた時刻が分かれば、担当者はそのお詫びができます。
後の記録:「メモを書いたが、ほかの電話に出て机に置いたままにした。次からは、切ったらすぐ担当者の机に置き、チャットでも一行送る」のように、どの時点で渡すかを決めて書きます(説明用の例です)。
失敗3:保留のまま、長く待たせた
その場では:電話に戻ったら、最初に「大変お待たせいたしました」とお詫びします。まだ答えが出ていないなら、折り返すことを申し出て、時刻を伝えます。相手がすでに切っていて、番号が分かるときは、こちらからかけ直してお詫びします。
後の記録:「担当者を探しに行き、戻るのが遅れた。次からは、すぐ見つからなければ電話に戻って、折り返しを申し出る」と書きます。
今日やることは一つです。会社の名乗り方と保留のしかたを確かめ、伝言メモの項目を書いた紙を、電話のそばに置いてください。
「伺う」「いらっしゃる」などの使い分けは、尊敬語と謙譲語の違いにまとめています。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
メモ用紙とペン、社内の座席表か内線の一覧、みんなの予定が分かるもの、電話機の保留・転送の操作メモ。
記入例を見る(説明用)
出るときの名乗り=「お電話ありがとうございます。[自社名]でございます」。先輩に聞いた会社の言い方。内線は「はい、営業の田中です」/取り次ぎと、保留の言い方・操作=「鈴木でございますね。少々お待ちください」と言って保留のボタンを押す。鈴木さんに「A社の佐藤様から、見積の件でお電話です」と伝える。転送は、保留の後に内線の番号を押す(操作は先輩に見せてもらった)/担当者が不在のときの言い方=「あいにく鈴木は外出しております。◯時ごろ戻る予定です」まで。行き先と、携帯電話の番号は伝えない。休みのときは「本日は休みをいただいております」と言う(会社の決まりを確認済み)/伝言メモに書く項目=受けた日時、相手の会社名と名前、用件、折り返しが要るか、相手の電話番号と都合のよい時間、受けた自分の名前/困ったときに代わってもらう人と、手元に置く物=隣の席の佐藤先輩。「少々お待ちください」と保留にして聞く。手元には、メモ用紙、ペン、内線の一覧、この言い方を書いた紙を置く。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
名乗り・取り次ぎ・不在のときの言い方が、会社の言い方で書いてあり、伝言メモの項目と、困ったときに聞く人が決まっている。
うまく進まなかったときは?
会社の言い方が分からなければ、先輩が電話を受けるときの最初の一言を聞いて、そのまま書き写す。保留や転送の操作が不安なら、内線で先輩にかけてもらい、一度練習する。聞き取りが不安なら、復唱の一言「くり返します」だけ先に覚える。