NOTE 84 · 営業の実践ノート
「お世話になっております」の意味と使い方:初めての相手・社内・言い換えの決め方
公開:2026年10月3日
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「お世話になっております」は、すでに続いている関係へのお礼を伝える、書き出しの挨拶です。これから世話になる相手には「お世話になります」、あらたまった文書では「平素より」と、関係と場面で言い方が分かれます。この記事では、どれを選ぶかの基準と、言い換えの例を説明します。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに メールの書き出しで、初めての相手や社内の人に「お世話になっております」と書いてよいか迷うとき。
- 1
相手と、これまでにやり取りがあるかを確かめる
- 2
会社として取引があるかを確かめる
- 3
関係に合う書き出しを一文選ぶ
- 4
同じ日の2通目からは、短い一文に替える
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
「お世話になっております」の意味:続いている関係へのお礼
メールを書くたびに、最初の行に「お世話になっております」と打つ。毎日使うのに、「初めての人にも書いてよいのか」「社内の人にはどうか」と聞かれると、答えに迷います。先に、言葉の意味を確かめます。
「世話になる」を辞書(コトバンク「世話になる」)で引くと、デジタル大辞泉は「人のやっかいになる。人の援助を受ける。」と説明しています。「世話」は、同じ辞書で「面倒をみること。尽力すること。」です。相手が自分のために動いてくれている、ということを言う言葉です。
「なっております」は、「なっています」をあらたまって言う形です。文化審議会の答申「敬語の指針」は、18ページで謙譲語Ⅱ(丁重語)を「自分側の行為・ものごとなどを,話や文章の相手に対して丁重に述べるもの。」と説明し、その例に「参る,申す,いたす,おる」を挙げています。「おります」は、この「おる」に「ます」が付いた形です。
つまり「お世話になっております」は、「あなたに助けてもらっている状態が、今も続いています」と、ていねいに伝える言葉です。意味の中心は、続いている関係へのお礼です。
なぜ、書き出しに置くのか。メールを開いた相手は、最初の数行で「どんな関係の人からか」をつかみます。この一文があると、相手は「取引のある人からだ」と分かったうえで、用件を読めます。書き出しの3つの部品(宛名・挨拶・名乗り)の並べ方は、ビジネスメールの書き出しにまとめています。この記事では、挨拶の言葉の選び方だけを扱います。
「お世話になります」「平素より」との使い分け
似た言い方が3つあります。違いは、いつの関係を言っているかと、文書のあらたまり方です。次の表は、よく説明される使い分けの一例です。
| 言い方 | 表していること | 合う場面(一例) |
|---|---|---|
| お世話になっております | すでに世話になっていて、今も続いている | 取引や、やり取りが続いている相手へのメール・電話 |
| お世話になります | これから世話になる | これから仕事を一緒に始める相手、初めてお願いをする相手 |
| 平素よりお世話になっております/平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます | ふだんからの関係へのお礼を、あらたまって言う | 送付状、案内状、多くの相手に一度に出すお知らせ |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
「お世話になります」と「お世話になっております」の違いは、「なります」と「なっております」の違いです。前は、これからのこと。後ろは、すでに続いていること。初めての依頼では「お世話になります」、2回目からは「お世話になっております」と書き分ける人が多いのは、このためです。
ただし、続いている相手に「お世話になります」と書く人もいます。間違いと決まっているわけではありません。相手がそう書いてきたら、同じ形で返して構いません。
「平素」は、辞書(コトバンク「平素」)のデジタル大辞泉で「ふだん。つね日ごろ。」と説明されています。「平素より」は、「いつも」をあらたまって言った形です。意味は同じなので、日々のメールで「平素より」を使うと、用件に対して書き出しだけが重くなります。手紙や送付状の書き出しは、時候の挨拶にまとめています。
「平素は」の後に続ける言葉にも、意味の違いがあります。「高配」は、辞書(コトバンク「高配」)で「他人を敬って、その心配りをいう語。」。「愛顧」は、(コトバンク「愛顧」)で「目をかけ引き立てること。引き立てられる側からいう語。」です。「ご愛顧」は、買ってもらっている側が、お客様に向けて使う言葉です。仕入れ先や協力会社あての文書に写すと、立場が合いません。前の文書を写すときは、相手との関係を見て、言葉を選び直します。
初めての相手に使ってよいか
基準は2つです。自分とその人の間に、やり取りがあるか。なければ、会社として取引があるか。この順に確かめます。次の表は、関係ごとの一例です。
| 相手との関係 | 書き出しの例 | 理由 |
|---|---|---|
| 自分も会社も、やり取りが初めて | はじめてご連絡いたします | まだ世話になっていない。「いつもお世話に」と書くと、相手は「どこで会ったか」と記憶を探すことになる |
| 自分は初めてだが、会社として取引がある | いつもお世話になっております(次の文で、初めての担当だと伝える) | 会社どうしの関係へのお礼として通じる |
| 相手から、問い合わせや資料の請求をもらった | お問い合わせありがとうございます | 相手がしてくれたことへのお礼が、そのまま挨拶になる |
| 紹介や発注などで、これから一緒に仕事をすることが決まっている | お世話になります | これからの関係を言う形が合う |
| 一度会った、一度電話で話した | 先日はありがとうございました/お世話になっております | 2回目からは、続いている関係として書ける |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
書く前の手順は、次の4つです。
- 相手と、これまでにやり取りがあるかを確かめる。メールの履歴を、相手の名前と会社名で探します。記憶だけで決めると、前に会った相手に「はじめて」と書いてしまうことがあります。
- 会社として取引があるかを確かめる。引き継ぎメモや取引先の一覧を見ます。分からなければ、先輩に「[会社名]様とは、これまで取引がありますか」と聞きます。
- 関係に合う書き出しを一文選ぶ。上の表から選びます。挨拶は一文にして、次の行で名乗ります。
- 同じ日の2通目からは、短い一文に替える。次の章で説明します。
担当を引き継いだときは、会社としての関係は続いていて、自分だけが初めてです。次のように、2つを分けて書きます。
[会社名] [部署名] [担当者名]様
いつもお世話になっております。[自社名]の[氏名]と申します。
このたび、[前任者名]に代わり、御社を担当することになりました。
説明用の文例です。一文目は会社としてのお礼、名乗りは初めてなので「と申します」、次の文で初めての担当だと伝えています。初めての相手へ送るメールの全文は、はじめましてのビジネスメールにあります。
社内あてと、同じ日に何通もやり取りするとき
社内の人へ
社内のメールでは、「お疲れ様です」で始める職場が多いです。「お世話になっております」は、社外の相手に使う言葉として分けている会社が多いからです。
ただし、会ったことのない他部署の人や、別の拠点、グループ会社の人には、「お世話になっております」と書く職場もあります。基準は、相手が先にどう書いてきたかと、先輩がその相手にどう書いているかです。どちらも分からないときは、先輩に「総務部の方へ初めてメールを送ります。書き出しは『お疲れ様です』でよいですか」と、自分の案を添えて聞きます(説明用の例です)。
同じ日に何通もやり取りするとき
同じ相手と一日に何度もやり取りすると、毎回「いつもお世話になっております」と書くのか、迷います。2通目からは、その時の状況を言う短い一文に替える形がよく使われます。
| 状況 | 書き出しの例 |
|---|---|
| こちらから、続けて送る | たびたび失礼いたします |
| 相手から、すぐに返信をもらった | 早速のご返信ありがとうございます |
| さっきのメールに、足したいことがある | 先ほどのメールに、一点補足がございます |
| さっきのメールに、誤りがあった | 先ほどのメールに誤りがありました。失礼いたしました |
| 電話で話した直後に、メールを送る | 先ほどはお電話にて、ありがとうございました |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
なぜ替えるのか。同じ挨拶が毎回並ぶと、相手にとっては読み飛ばす行になります。「早速のご返信ありがとうございます」のように、相手が今してくれたことに触れた一文のほうが、読まれます。
やり取りが短い間隔で続いているときは、宛名と挨拶を省いて、用件から書く人もいます。相手が省いてきたら、こちらも短くして構いません。相手が毎回きちんと書いてくるなら、こちらも短い一文は残します。返信の型は、ビジネスメールの返信にまとめています。
電話でも、取引のある相手には「いつもお世話になっております」と言ってから用件に入ります。電話の受け方は、電話対応の基本にあります。
言い換えの例:惜しい書き出しと、良い書き出し
「お世話になっております」は、何に世話になったのかを言わない、広い言葉です。場面によっては、何へのお礼かを言う一文に替えたほうが、相手に伝わります。次は、言い換えの一例です。
| 場面 | 言い換えの例 |
|---|---|
| 会った後、手間をかけてもらった後 | 先日は、納期のご調整をいただきありがとうございました |
| 相手のメールに返信する | ご連絡ありがとうございます |
| しばらく連絡していなかった | ご無沙汰しております |
| やり取りが多く、関係が近い取引先 | いつもありがとうございます |
| 初めて連絡する | はじめてご連絡いたします |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
「ご無沙汰」の「無沙汰」は、辞書(コトバンク「無沙汰」)のデジタル大辞泉で「長い間訪問や音信をしないこと。」と説明されています。先週やり取りした相手に書くと、合いません。
惜しい例1:「いつも大変お世話になっております。平素より格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。」
惜しい例2:(昨日、急ぎの見積もりに応じてもらった相手に)「お世話になっております。見積書の件ですが、」
良い例:「昨日は、急なお願いにもかかわらず見積書をお送りいただき、ありがとうございました。」
3つとも説明用の例です。惜しい例1は、同じ意味の挨拶を、言い方を変えて二度書いています。どちらか一つにします。メールなら前の一文、送付状なら後ろの一文が合います。
惜しい例2は、間違いではありません。ただ、相手は昨日、急いで動いてくれています。いつもと同じ挨拶だと、そのことに気づいていないように見えます。良い例は、いつ・何をしてもらったかを言っています。特別に手間をかけてもらった後は、決まった挨拶より、具体的なお礼の一文を選びます。
迷いやすい判断と、間違えて送ったとき
判断1:「いつも」「大変」は、付けたほうがよい?
付けなくても、失礼にはなりません。「いつも」は、やり取りが続いている相手に合います。2回目の連絡で「いつも」と書くと、大げさに感じる人もいます。「大変」は、特に手間をかけてもらった後に付けると、気持ちが伝わります。
基準は、その言葉が、事実と合っているかです。毎回「いつも大変」と書いていると、本当に助けてもらったときに、言葉が足りなくなります。ふだんは「お世話になっております」、特別なときは具体的なお礼、と分けておくと使いやすくなります。
判断2:「お世話様です」と書いてよい?
「お世話様」は、辞書(コトバンク「御世話様」)のデジタル大辞泉で「他人が自分のために力を尽くしてくれたことに対して、お礼の気持ちをこめていう語。」と説明されています。お礼の言葉です。
ただ、「お世話になっております」に比べて、くだけた言い方だと受け取る人もいます。取引先あてのメールでは、「お世話になっております」を選ぶほうが、相手が引っかかることは少なくなります。相手や先輩が使っている職場なら、合わせて構いません。
判断3:こちらがお客の立場でも、使う?
使えます。仕入れ先や協力会社も、こちらのために動いてくれています。「世話」の意味は「面倒をみること。尽力すること。」で、どちらが買う側かは関係がありません。買う側が挨拶を省くと、相手には、上から言われているように聞こえることがあります。
判断4:相手が挨拶なしで書いてきたら、こちらも省く?
その日のやり取りが続いている間は、合わせて短くして構いません。日が変わった最初のメールでは、宛名と挨拶を戻す人が多いです。迷ったら、「お世話になっております。」の一文だけを残します。一文なら、相手が読む手間はほとんど増えません。
失敗1:初めての相手に、「いつもお世話になっております」と送った
その場では:挨拶を直すためだけのメールは、送らなくて構いません。相手の受信箱を増やすからです。相手から「以前、どちらかでお会いしましたか」と聞かれたら、「はじめてのご連絡でした。書き出しが紛らわしく、失礼いたしました」と、そのまま答えます(説明用の例です)。
後の記録:相手の連絡先のメモに、「初めて連絡した日」と「何で連絡したか」を書きます。次に送るとき、「2回目だ」と分かります。初めての相手に送る前に、履歴を名前で探す手順も足します。
失敗2:社外の相手に、「お疲れ様です」と送った
その場では:社内あてのメールを書いた直後に、起きやすい間違いです。これも、訂正だけのメールは送らないことが多いです。次のメールから、「お世話になっております」に戻します。相手が気にしていそうなら、次に話すときに「先日は、失礼な書き出しで送ってしまいました」と一言伝えます。
後の記録:送る前に、宛先の欄と書き出しの一行を見比べる、と手順に足します。書き出しを自動で入れる設定にしているなら、社外用と社内用を分けます。
失敗3:前のメールを写して、別の相手へのお礼の文が残っていた
その場では:「先日はご来社いただき、ありがとうございました」のような、別の相手との出来事が残っていた場合です。相手は、自分あてのメールなのかを疑います。気づいたら、上司に伝えたうえで、「先ほどのメールの冒頭に、誤った文が入っておりました。失礼いたしました」と短く送ります(説明用の例です)。ほかの会社の名前や用件が入っていたときは、自分だけで決めず、先に上司へ報告します。
後の記録:何を写して、どこを直し忘れたかを書きます。次からは、前のメールを写すのをやめ、宛名と挨拶だけは毎回打ち直します。宛名を間違えたときの動きは、ビジネスメールの書き出しにまとめています。
今日やることは一つです。今日送るメール一通について、相手とのこれまでのやり取りを確かめ、書き出しの一文を選んでください。
社内で使う「お疲れ様です」と、「ご苦労様です」との違いは、「お疲れ様です」の意味と使い分けにまとめています。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
送る相手とのこれまでのメール、会社の取引先の一覧や引き継ぎメモ、先輩が同じ相手に送ったメールがあればその文面。
記入例を見る(説明用)
送る相手と、これまでのやり取り=A社の佐藤様。自分は初めて連絡する。先月、前任の先輩から担当を引き継いだ/会社としての取引の有無=取引あり。先輩に聞いて確かめた。引き継ぎメモにも書いてある/選んだ書き出しの一文=「いつもお世話になっております。[自社名]の[氏名]と申します。このたび、[前任者名]に代わり、御社を担当することになりました。」/同じ日の2通目からに使う一文=「たびたび失礼いたします。」返信をもらった後なら「早速のご返信ありがとうございます。」/迷った点と、先輩に聞くこと=自分は初めてなので「はじめてご連絡いたします」と迷った。会社としての取引へのお礼を先に書き、次の文で初めての担当だと伝える形にした。先輩が佐藤様にどう書いていたかを、送る前に見せてもらう。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
相手とのやり取りの有無と、会社としての取引の有無を確かめてあり、その関係に合う書き出しの一文が書いてある。
うまく進まなかったときは?
やり取りがあるか分からなければ、メールの履歴と引き継ぎメモを見る。それでも分からなければ、先輩に「[会社名]様とは、これまで取引がありますか」と聞く。言葉が決まらなければ、相手が先に書いてきた書き出しに合わせる。