NOTE 151 · 営業の実践ノート
領収書の書き方:手書きで書く項目と、金額・あて名・但し書き
公開:2026年10月4日
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領収書は、お金を受け取ったしるしに、書いて相手に渡す書類です。手書きで書くときは、日付・あて名・金額・但し書き・発行した会社名・担当者を、受け取った事実のとおりに書きます。税の欄と収入印紙は、自分で判断せず、会社の経理に確かめてから書きます。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 集金や現金での受け取りで、手書きの領収書を書くことになり、何をどう書けばよいか迷うとき。
- 1
会社の用紙と、書いてよい人・印紙の決まりを確かめる
- 2
請求書の控えと、受け取ったお金を見比べる
- 3
日付・あて名・金額・但し書きを、消えない筆記具で書く
- 4
相手に読み上げて渡し、控えとお金を持ち帰る
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
領収書とは:お金を受け取ったしるしに、書いて渡す書類
集金に行き、取引先で現金を受け取った。先輩から預かった複写式の領収書の用紙を開いたところで、手が止まる。あて名は会社名だけでよいのか。金額はどう書くのか。「但し」の欄には何を書くのか。
領収書は「りょうしゅうしょ」と読みます。辞書の説明は、「金銭を受け取ったしるしに書いて渡す書き付け。」(デジタル大辞泉「領収書」)です。
大事なのは、受け取った事実を、支払った人に書いて渡すという点です。相手にとっては「支払った」ことを社内で示す紙になり、こちらにとっては受け取りの記録になります。だから、書く中身は、受け取った事実と同じにします。
営業が領収書を書いてよいか、どの用紙を使うか、受け取ったお金をいつ・だれに渡すかは、会社の決まりです。用紙を預かるときに、先輩か経理の担当に聞いておきます。
手書きの領収書に書く項目と、書く順番
書く項目は、会社の用紙が先です。欄があれば、その欄のとおりに書きます。次の表は、よく載っている項目の一例です。
| 項目 | 書くこと | なぜ書くか・確かめる所 |
|---|---|---|
| 日付 | お金を受け取った日 | 書類を作った日ではなく、受け取った日 |
| あて名 | 支払った相手の、会社名や氏名 | 名刺や請求書と見比べて、正式な名前で書く |
| 金額 | 受け取った金額 | 請求書の金額と、目の前で数えた金額の両方と合っているか |
| 但し書き | 何の代金として受け取ったか | 相手が社内で、何の支払いかを説明できる |
| 発行した会社名と住所 | 自分の会社の名前、住所。印を押すかどうかは会社の決まり | 用紙に印刷やゴム印がある場合は、最新のものか |
| 担当者 | 受け取った自分の名前 | 問い合わせがあったとき、だれが受け取ったかが分かる |
| 税の欄 | 税率ごとの金額、消費税の額、登録番号など | 用紙に欄があれば書く。書き方は経理の担当に確かめる |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
「但し書き」は、辞書では「「但し」の語を書き出しにして、前文の内容などについての説明・条件・例外などを書き添えた文。」(デジタル大辞泉「但し書き」)と説明されています。領収書では、金額のあとに「但 ◯◯代として」と、何の代金かを書き添える欄として使われています。
書く順番は、次のとおりです。
- 請求書の控えを開く。受け取る予定の金額と、何の代金かを先に見ます。記憶で書くと、金額や品名の取り違えが起きやすくなります。
- 受け取ったお金を、相手の前で数える。「33,000円、お預かりします」と、声に出して金額を言います(説明用の例です)。あとで「足りなかった」となったとき、2人で確かめたことが手がかりになります。
- 日付・あて名・金額・但し書きの順に書く。ボールペンなど、消えない筆記具で書きます。複写式なら、下の紙まで写るように、強めに書きます。
- 渡す前に、相手に見せて読み上げる。「A株式会社様あて、33,000円、部品Bの代金として、でお間違いないでしょうか」と確かめます(説明用の例です)。
- 控えとお金を持ち帰る。複写式なら、相手に渡した紙と同じ内容が、控えとして自社に残ります。お金と控えをいつ・だれに渡すかは、会社の決まりに合わせます。
金額・あて名・但し書きの書き方
金額:あとから書き足されにくい形で書く
一般的には、金額の頭に「¥」か「金」を付け、終わりに「-」や「也」を付けて、3けたごとに「,」を入れる書き方がよく使われています。「¥33,000-」のような形です(説明用の例です)。数字の前後にすき間がないので、あとから数字を書き足しにくくなる、という考え方です。
ただし、この書き方を定めた公的な決まりは、この記事で確かめた国税庁のページと辞書には見当たりませんでした。会社の決まりに合わせてください。
あて名:「上様」ではなく、相手の名前を聞いて書く
あて名に「上様」と書く領収書を見たことがあるかもしれません。辞書は「上様」を、「領収書などで、相手の名前の代わりに書く語。じょうさま。」(デジタル大辞泉「上様」)と説明しています。相手の名前の「代わり」なので、だれが支払ったのかは、紙からは分かりません。
会社どうしの取引では、相手は領収書を、自分の会社が支払った証拠として使います。次の章で見るとおり、税の書類として出す場合は、受け取る側の名前が記載事項に入っていることもあります。
そのため、会社あての集金では、相手の正式な会社名を聞いて書くほうが、相手の役に立ちます。「株式会社」が前に付くのか後ろに付くのかは、名刺か請求書で見比べます。
但し書き:何の代金かが、読んで分かるように書く
「お品代として」とだけ書くと、相手の経理の人は、何を買った支払いなのかが分かりません。「部品B代として」「◯月分 保守料として」のように、請求書の件名や品名と同じ言葉で書きます(説明用の例です)。国税庁のQ&A(問58-2)の手書きの記載例にも、「飲食費として」のように、中身の分かる言葉が入っています。
インボイスとして出す場合に要る項目
領収書は、消費税の書類の役目を持つことがあります。国税庁は、適格請求書(インボイス)を、「売手が買手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段であり、一定の事項が記載された請求書や納品書その他これらに類するものをいいます。」(国税庁 タックスアンサー No.6498「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」)と説明しています。
手書きの領収書についても、国税庁のQ&Aに、「手書きの領収書であっても、適格請求書として必要な次の事項が記載されていれば、適格請求書に該当します」(国税庁 インボイス制度に関するQ&A 問26「手書きの領収書」(PDF・1ページ))という答えがあります。記載事項は、タックスアンサーに次のように書かれています(国税庁 タックスアンサー No.6625「適格請求書等の記載事項」)。
| 国税庁のページの記載事項 | 手書きの領収書では、どの欄か(一例) |
|---|---|
| ① 「書類作成者の氏名または名称および登録番号」 | 発行した会社名の欄。登録番号は、用紙に印刷やゴム印があるか |
| ② 「取引年月日」 | 日付や但し書きの欄 |
| ③ 「取引内容(軽減税率の対象品目である旨)」 | 但し書きの欄 |
| ④ 「税率ごとに区分して合計した税込対価(又は税抜対価)の額及び適用税率」 | 金額と、内訳の欄 |
| ⑤ 「税率ごとに区分した消費税額等」 | 内訳の欄 |
| ⑥ 「書類の交付を受ける事業者の氏名または名称」 | あて名の欄 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
右の列は、欄の当てはめ方の一例です。
小売業や飲食店業など、一定の事業では、記載事項を簡単にした「適格簡易請求書」を出せる場合があります。国税庁のQ&Aは、適格請求書との違いを、「「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」の記載が不要である点、「税率ごとに区分した消費税額等」又は「適用税率」のいずれか一方の記載で足りる点が異なります。」(国税庁 インボイス制度に関するQ&A 問58「適格簡易請求書の記載事項」(PDF・1ページ))と説明しています。同じQ&Aの手書きの記載例には、「宛名は省略可能」、「「上様」の表記も可能」という注が付いています(国税庁 インボイス制度に関するQ&A 問58-2「手書きの領収書による適格簡易請求書の交付」(PDF・1ページ))。
つまり、あて名を省いたり「上様」と書いたりできるかどうかは、自分の会社がどちらの書類を出す立場かで変わります。営業が自分で決めることではありません。この記事でも、個別の領収書がインボイスとして通るかどうかは判断しません。登録番号や税率の欄の書き方は、初めて書く前に経理の担当に聞きます。
収入印紙が要る場合と、消印
領収書には、収入印紙を貼る場合があります。国税庁のページは、「金銭または有価証券の受取書や領収書は、印紙税額一覧表の第17号文書「金銭または有価証券の受取書」に該当し、印紙税が課税されます。」(国税庁 タックスアンサー No.7105「金銭又は有価証券の受取書、領収書」)と説明しています。
税額は、受け取ったお金の種類と、書かれた金額で変わります。売上代金の受取書の場合、国税庁 タックスアンサー No.7141「印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで」には、たとえば「5万円未満」は「非課税」、「5万円以上100万円以下」は「200円」と載っています。それより上の区切りは、国税庁の表で確かめてください。
目の前の領収書に印紙が要るかどうかは、この記事では判断しません。営業は、集金に出る前に、経理の担当に「この金額の領収書に、印紙は要りますか。要る場合、だれが用意して、だれが消印をしますか」と聞きます。
印紙を貼ったら、紙と印紙にまたがるように印か署名で消します。これを消印と言います。だれが・何で消すのかは、割印とはの「収入印紙に押すのは『消印』」に、国税庁のページの説明をまとめています。
場面で変わるところと、惜しい例・良い例
| 場面 | 気をつける所 | 確かめること(一例) |
|---|---|---|
| 請求の一部だけを受け取る | 受け取った金額だけを書く。残りの金額を書くかどうか | 残りの扱いと書き方を、経理の担当に聞く |
| 請求書と違う金額を渡された | その場で理由を聞く。受け取ってよいかを自分で決めない | 上司に電話して、指示を受ける |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
次は、同じ集金で書いた領収書の比べです。どちらも説明用の例です。
惜しい例
領収書
上様
33000円
但 お品代として
◯◯商事株式会社
日付がなく、だれが支払ったのかが分かりません。金額の前後が空いています。但し書きからは、何の代金かが読み取れず、受け取った担当者の名前もありません。
良い例
領収書 No.◯◯
◯年◯月10日
A株式会社 様
¥33,000-
但 部品B代として(◯月◯日付 請求書 番号123 分)
内訳:10%対象 33,000円(うち消費税額等 3,000円)
上記正に領収いたしました
◯◯商事株式会社 ◯◯県◯◯市◯◯ 登録番号 T◯◯◯◯
担当 山田
但し書きに請求書の番号があるので、相手はどの請求への支払いかをすぐに探せます。内訳は、税込33,000円のうち消費税が3,000円(税抜30,000円の10%)という計算です。内訳や登録番号の欄の書き方は、用紙と会社の決まりに合わせます。
迷いやすい判断と、書き間違えたとき・再発行を頼まれたとき
判断1:「あて名は上様で」「空けておいて」と頼まれたら?
基準は、自社の決まりです。その場で決められないときは、「あて名は、会社名でお書きする決まりになっております。正式なお名前を伺ってもよろしいでしょうか」と聞きます(説明用の例です)。空欄のまま渡すと、あとでだれの名前でも書ける紙になります。
判断2:「日付を先月にして」「金額を2枚に分けて」と頼まれたら?
基準は、受け取った事実と同じことを書くです。領収書は、受け取ったしるしの紙です。受け取った日と違う日付、受け取った金額と違う分け方で書くと、事実と違う紙を作ることになります。「受け取った日と金額でお書きする決まりです。別の形がご入り用でしたら、会社に確認してお返事します」と答え、持ち帰って、相手から聞いた理由と一緒に上司に伝えます(説明用の例です)。
判断3:100円ショップなどで売っている市販の用紙を、使ってもよい?
決め手は、用紙の種類ではなく、書いてある項目です。インボイスについて、国税庁のQ&Aは、「適格請求書の様式は、法令等で定められていません。」(国税庁 インボイス制度に関するQ&A 問25「適格請求書の様式」(PDF・1ページ))と答えています。続けて、「適格請求書として必要な次の事項が記載された書類(請求書、納品書、領収書、レシート等)であれば、その名称を問わず、適格請求書に該当します」とも書かれています。どこで買った用紙かは、国税庁のこの答えには出てきません。
ただし、順番があります。会社に決まった用紙があるなら、そちらが先です。会社は、用紙の続き番号と控えで、だれが・いつ・いくら受け取ったかを管理していることがあります。自分で買った用紙で書くと、その管理から外れた領収書が1枚できます。自分の判断で用紙を替えず、経理の担当に「市販の用紙を使ってもよいですか」と、現物を見せて聞きます。
会社に決まった用紙がなく、市販の用紙を選ぶことになったら、買う前に次の所を見ます。
- 書く欄があるか。日付、あて名、金額、但し書き、発行した会社名のほか、インボイスとして出すなら、登録番号、税率ごとの金額、消費税の額を書く所があるか。欄がなければ、空いた所に書き足せるか。
- 控えが手元に残るか。複写式なら、渡した紙と同じ内容が残ります。控えの残し方は、経理の担当に確かめます。
選んだ用紙は、使う前に経理の担当に見せて、足りない欄がないかを確かめてください。
書き間違えたとき
その場では:会社の決まりが先です。決まりを知らないときは、間違えた紙を相手に渡さず、新しい用紙に最初から書き直します。金額やあて名を、二重線や上書きで直した領収書は、相手が社内で出すときに「だれが直したのか」を説明できなくなるからです。
書き損じた紙は、破って捨てません。控えと一緒に持ち帰り、経理の担当に渡します。用紙に続き番号が付いている場合、1枚抜けていると、あとで行き先を確かめられなくなるからです。印紙を貼ったあとで間違えた場合の扱いも、経理の担当に聞きます。
渡したあとで気づいたら:まず上司に報告します。伝えるのは、どの領収書か、どこを間違えたか、相手にもう渡したか、の3つです。指示を受けてから、相手に連絡し、正しいものと取り替えます。お詫びの伝え方は、お詫びメールの書き方にまとめています。
再発行を頼まれたとき
「領収書をなくしたので、もう一度書いてほしい」と頼まれても、その場では書きません。同じ支払いについて、領収書が2枚あることになるからです。相手には、「再発行は、会社の手続きがございます。確認して、◯日までにお返事します」と答えます(説明用の例です)。持ち帰って、もとの領収書の日付・金額・番号と、相手の事情を伝えます。再発行するかどうか、「再発行」と書き入れるかどうか、印紙をどうするかは、会社の決まりと経理の判断です。
帰ってからの記録:何が起きたかと、次にどうするかを書きます。「あて名を名刺で確かめずに書き、『株式会社』の位置を間違えた。次からは、書く前に請求書の控えを横に置く」のような形です(説明用の例です)。上司への報告の順番は、営業で失敗したときにまとめています。
今日やることは一つです。会社の領収書の用紙を一冊開き、日付・あて名・金額・但し書き・会社名・担当者・税の欄がどこにあるかを見て、書き方が分からない欄を経理の担当に聞いてください。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
会社の領収書の用紙(控えの付いたもの)、これから集金する分の請求書の控え、相手の名刺。
記入例を見る(説明用)
集金する相手と、請求書の番号・金額=A株式会社。◯月◯日付の請求書(番号123)。33,000円(税込)/あて名=「A株式会社」。名刺と請求書で、「株式会社」が後ろに付くことを確かめた/但し書き=「部品B代として(請求書 番号123 分)」/税の欄と収入印紙について、経理に確かめたこと=登録番号は用紙に印刷済み。内訳の欄に「10%対象 33,000円(うち消費税額等 3,000円)」と書く、と聞いた。この金額の印紙のことは、経理の担当に聞いて答えをもらった。金額が変わるときは、出る前にもう一度聞く/受け取ったお金と控えを、いつ・だれに渡すか=帰社したら、その日のうちに経理の担当へ。不在のときの預け先は未確認。先輩に聞く。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
あて名と但し書きが請求書と同じ言葉で書いてあり、税の欄と収入印紙について経理に確かめた答え(または、いつ・だれに聞くか)が書いてある。
うまく進まなかったときは?
あて名が分からなければ、相手の名刺と請求書の控えを並べて、会社名を一文字ずつ見比べる。税の欄や印紙が分からなければ、経理の担当に「この金額の領収書に、印紙は要りますか。税の欄はどう書きますか」と用紙を見せて聞く。書いてよいかどうか自体が分からなければ、先輩に「集金のとき、領収書はだれが書きますか」と聞く。