NOTE 152 · 営業の実践ノート
請求書の書き方:書く項目と、出す前に納品書・注文書と見比べること
公開:2026年10月4日
広告:この記事にはアフィリエイトリンクが含まれます。リンク経由の購入により、当サイトに報酬が支払われる場合があります。
請求書は、代金の支払いを、書面でお願いする書類です。相手は請求書をもとに支払いの手続きをするので、品名・数量・金額が注文書や納品書と合っていること、支払期日と振込先がはっきり書いてあることが大事です。締め日や送り先は、相手の会社の決まりを聞いてから決めます。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 請求書を初めて作る・確かめることになり、何を書き、出す前にどこを見ればよいか迷うとき。
- 1
注文書と納品書の控えを、請求書の横に並べる
- 2
品名・数量・単価・合計を見比べ、計算し直す
- 3
締め日・支払期日・送り先を、契約と相手の決まりで確かめる
- 4
相手の決まった方法で送り、送った日を記録する
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
請求書とは:代金の支払いを、書面でお願いする書類
品物を納めて、相手の確認も済んだ。先輩から「今月分の請求書、内容を見ておいて」と言われて、画面を開く。日付は今日でよいのか。支払期日はだれが決めるのか。納品書と何が違うのか。初めて請求書に関わるときに、よくある場面です。
請求書は「せいきゅうしょ」と読みます。辞書の説明は、「物品や代金の支払いなどを請求するために出す文書。」(デジタル大辞泉「請求書」)です。「請求」は、「ある行為をするように相手方に求めること。また特に、金銭の支払い、物品の受け渡しなどを求めること。」(デジタル大辞泉「請求」)と説明されています。
納品書が「これを届けました」と伝える書類なのに対し、請求書は「この金額を、この日までに、ここへ支払ってください」と伝える書類です。相手の会社では、請求書をもとに、経理の人が支払いの手続きをします。請求書に間違いや抜けがあると、その手続きが止まり、入金が遅れます。
請求書を作るのは、経理の担当やシステムである会社も多くあります。その場合も、中身が注文や納品と合っているかを知っているのは、営業です。
請求書に書く項目
書く項目は、会社の書式が先です。書式やシステムがあれば、それに合わせます。次の表は、よく載っている項目の一例です。
| 項目 | 書くこと | 確かめる所 |
|---|---|---|
| 日付 | 請求書を出す日(請求日) | 相手の締め日に合わせるか、会社の決まり |
| あて先 | 相手の会社名・部署名・担当者名 | 請求書の送り先が、いつもの担当者と違う部署のことがある |
| 自社名 | 自社の名前・住所・電話番号・担当者名 | 登録番号など、書式に入っているものを消していないか |
| 請求番号 | 自社でつける番号 | 番号のつけ方の決まり。相手の注文番号を書く欄があるか |
| 品名 | 納めた品物や、行った作業の名前 | 納品書・注文書と同じ書き方か |
| 数量・単価 | 納めた数と、1つあたりの値段 | 納品書の数、注文書の単価と合っているか |
| 金額 | 単価に数量をかけた、その行の金額 | 計算し直して合っているか |
| 消費税 | 税率ごとの消費税の額 | 書き方は、会社の書式と経理の担当に確かめる |
| 合計 | 相手が支払う金額の合計 | 各行の金額と消費税を足した数字と合っているか |
| 支払期日 | いつまでに支払ってもらうか | 契約書・注文書・見積書に書いた支払条件と同じか |
| 振込先 | 銀行名・支店名・口座の種類・口座番号・口座の名義 | 会社の決まった口座か。自分で打ち直していないか |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
金額の欄は、上から順につながっています。説明用の例で言うと、単価3,000円の部品Bを20個なら、金額は60,000円です。消費税が10%なら6,000円で、合計は66,000円になります。上の欄を一つ直すと、下の欄がすべて変わります。欄のつながりは、見積書の書き方の「金額の欄は、上から順につながっている」と同じ考え方です。
インボイスとして要る記載事項
請求書は、消費税の書類の役目を持つことがあります。国税庁は、適格請求書(インボイス)を、「売手が買手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段であり、一定の事項が記載された請求書や納品書その他これらに類するものをいいます。」(国税庁 タックスアンサー No.6498「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」)と説明しています。
記載事項は、国税庁のタックスアンサーに次のように書かれています(国税庁 タックスアンサー No.6625「適格請求書等の記載事項」)。番号と文は、国税庁のページのとおりです。
| 国税庁のページの記載事項 | 請求書では、どの欄か(一例) |
|---|---|
| ① 「書類作成者の氏名または名称および登録番号」 | 自社名の欄と、登録番号 |
| ② 「取引年月日」 | 納めた日や、対象の期間 |
| ③ 「取引内容(軽減税率の対象品目である旨)」 | 品名の欄 |
| ④ 「税率ごとに区分して合計した税込対価(又は税抜対価)の額及び適用税率」 | 税率ごとの合計の欄 |
| ⑤ 「税率ごとに区分した消費税額等」 | 消費税の欄 |
| ⑥ 「書類の交付を受ける事業者の氏名または名称」 | あて先の欄 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
右の列は、欄の当てはめ方の一例です。どの欄がどの記載事項に当たるかは、会社の書式によって違います。
納品書と請求書を組み合わせて、記載事項を満たす形もあります。国税庁のQ&Aは、「一の書類のみで全ての記載事項を満たす必要はなく」(国税庁 インボイス制度に関するQ&A 問65「一定期間の取引をまとめた請求書の交付」(PDF・1ページ))、複数の書類の関係がはっきりしていれば、全体で記載事項を満たすことになる、と説明しています。同じ答えには、その方法の例として、「例えば、請求書に納品書番号を記載するなど」と書かれています。
だから、請求書の欄や、納品書の番号を書く行は、営業の判断で消したり、まとめたりしません。相手から「この書き方でインボイスとして通りますか」と聞かれても、その場で答えず、「経理に確認してお返事します」と持ち帰ります。この記事でも、個別の請求書について判断しません。
出す前に確かめる:納品書・注文書と、締め日・支払期日
請求書は、相手が支払いの手続きをするための紙です。相手の経理の人は、請求書を、自社の注文の記録や、届いた納品書と見比べます。合わない所があると、支払いは止まり、問い合わせが来ます。出す前に、次の順で見比べます。
- 注文書と納品書の控えを、請求書の横に並べる。
- 品名・数量・単価を、一行ずつ見比べる。注文は20個でも、納めたのが10個なら、請求するのは納めた10個分か、20個分か。会社と契約の決まりを先輩に聞きます(説明用の例です)。
- 金額を、電卓で計算し直す。単価×数量、消費税、合計の順に、上から計算します。
- 相手の検収が済んでいるかを確かめる。検収の前に請求してよいかは、契約と会社の決まりによります。検収とはの「判断1」で説明しています。
- 締め日と支払期日を、契約と見比べる。見積書・注文書・契約書に書いた支払条件と、請求書の支払期日が同じかを見ます。
5番目の「締め日」は、一定の期間の取引をまとめる区切りの日、という意味で使われています。たとえば「月末締め・翌月末払い」なら、月末までに納めた分をまとめて請求し、次の月の末までに支払ってもらう、という約束です(説明用の例です)。締め日と支払期日は、自社の決まりだけでは決まりません。相手の会社にも、「毎月◯日までに届いた請求書を、◯日に支払う」という決まりがあるからです。
初めての取引では、見積や注文の段階で、相手に聞いておきます。「請求書は、毎月何日までにお届けすればよろしいでしょうか。お送りする先と、ご指定の書式がありましたら、お教えください」という聞き方です(説明用の例です)。答えは記録に残し、経理の担当にも伝えます。相手の締め切りを1日過ぎただけで、支払いが1か月先になることがあります。
送り方と、惜しい例・良い例
請求書を紙で送るのか、PDFで送るのか、相手のシステムに入力するのか。これは、相手の会社の決まりを聞いて決めます。
| 送り方 | 確かめること | 参考にする記事 |
|---|---|---|
| 郵送で、紙を送る | 送り先の部署。締め切りに間に合う日に出すか。押印が要るか | 封筒の添え書き「請求書在中」は封筒の宛名の書き方、添える一枚は送付状の書き方 |
| メールにPDFを添付する | 相手がPDFでよいと言っているか。送り先のアドレス。紙の原本も要るか | 件名の付け方はメールの件名 |
| 相手のシステムに入力する | 入力する人と、締め切りの日時 | 入力した内容の控えを残す |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
PDFなどのデータで渡すことについて、国税庁のQ&Aには、適格請求書を「交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供することができます」(国税庁 インボイス制度に関するQ&A 問31「適格請求書に係る電磁的記録による提供」(PDF・1ページ))と書かれています。ただし、送ったデータの保存には決まりがあります。送り方を変えるときは、自分で決めず、経理の担当に確かめます。
PDFをメールで送るときの文で、比べます。どちらも説明用の例です。
惜しい例
件名:請求書
請求書を送ります。お支払いをお願いします。
どの取引の請求書か、いくらか、いつまでに支払えばよいかが、開くまで分かりません。相手の経理の人が何十通も請求書を受け取っていると、探す手間がかかります。
良い例
件名:【請求書】◯月分(請求番号123)◯◯商事
A社 経理部 佐藤様
いつもお世話になっております。◯◯商事の山田です。
◯月分の請求書(請求番号123)を、PDFで添付いたします。
・ご請求金額:66,000円(税込)
・お支払期日:◯月◯日
・対象:ご注文番号456 部品B 20個(◯月10日納品分)
内容に違いがありましたら、山田までお知らせください。
件名に、書類の名前・対象の月・請求番号・自社名が入っています。本文は、金額・支払期日・対象の3行だけです。相手は、添付を開く前に、どの注文の、いくらの請求かが分かります。本文を長くしないのは、正しい記録は請求書そのものにあるからです。
迷いやすい判断と、間違えて出したあとの出し直し
判断1:「請求書の日付を、先月にしてほしい」と頼まれたら?
基準は、自分で決めないです。請求書の日付は、相手の締め日だけでなく、自社がいつの売上として記録するかにも関わります。その場では「確認してお返事します」と答え、理由と、希望の日付を聞きます。上司と経理の担当に、「A社から、請求書の日付を◯月末にしてほしいと言われました。理由は、締め日に間に合わせたいとのことです」と、聞いたとおりに伝えます(説明用の例です)。
判断2:請求書に「領収済み」と書いて渡してほしい、と頼まれたら?
請求書に書き込みをするだけ、に見えますが、書類の役目が変わります。国税庁のページは、「受取事実を証明するために請求書や納品書などに「代済」、「相済」、「了」などと記入したもの」(国税庁 タックスアンサー No.7105「金銭又は有価証券の受取書、領収書」)も、金銭の受取書に当たることがある、と説明しています。領収書と同じ扱いになり得る、ということです。自分で書き込まず、経理の担当に確かめます。手書きの領収書については、領収書の書き方で説明しています。
判断3:支払期日を過ぎても、入金がないときは?
相手に連絡する前に、確かめることが3つあります。経理の担当に、入金が本当にないか。請求書が相手に届いているか。支払期日が、相手の決まりと食い違っていなかったか。こちらの請求書の誤りや、送り先の違いが原因のこともあります。確かめたうえで連絡するときの文は、催促メールの書き方にまとめています。
判断4:100円ショップなどで売っている市販の請求書の用紙を、使ってもよい?
決め手は、用紙の種類ではなく、書いてある項目です。インボイスについて、国税庁のQ&Aは、「適格請求書の様式は、法令等で定められていません。」(国税庁 インボイス制度に関するQ&A 問25「適格請求書の様式」(PDF・1ページ))と答え、必要な事項が書かれた書類であれば、「その名称を問わず、適格請求書に該当します」としています。同じ答えには、「適格請求書はその記載事項を満たす限り、様式や名称を問いません」とも書かれています。どこで買った用紙かは、この答えには出てきません。
ただし、会社に決まった書式やシステムがあるなら、そちらが先です。会社の書式には、登録番号、振込先、請求番号のつけ方など、経理が決めた内容が入っています。自分の判断で用紙を替えると、その内容が抜けたり、会社の記録に残らない請求書ができたりします。替えたいときは、経理の担当に現物を見せて、「この用紙で出してもよいですか」と聞きます。
会社に決まった書式がなく、市販の用紙を選ぶことになったら、買う前に2つを見ます。1つめは、上の表の記載事項を書く欄があるか。登録番号、税率ごとの合計、税率ごとの消費税の額を書く所がなければ、空いた所に書き足せるかを見ます。2つめは、控えが手元に残る形か。複写式なら、相手に渡した紙と同じ内容が残ります。国税庁のページには、「交付した適格請求書等の写しを保存する義務が課されます。」という説明があります(国税庁 タックスアンサー No.6498「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」)。
選んだ用紙は、使う前に経理の担当に見せて、足りない欄がないかを確かめてください。
間違えて出したあとの出し直し
その場では:金額、数量、あて先、支払期日などを間違えた請求書を出したと気づいたら、まず上司と経理の担当に報告します。伝えるのは、どの請求書か(番号と日付)、どこを間違えたか、相手がもう支払いの手続きに入っていそうか、の3つです。
直した請求書を、黙って送り直すことはしません。相手の手元に、金額の違う2通が残り、どちらで支払えばよいかが分からなくなるからです。上司の指示を受けてから、相手に連絡します。
件名:【お詫びと訂正】◯月分 請求書(請求番号123)の金額の誤り
A社 経理部 佐藤様
◯月◯日にお送りした請求書に、誤りがありました。申し訳ございません。
誤:部品B 30個 99,000円(税込) / 正:部品B 20個 66,000円(税込)
正しい請求書を、本メールに添付いたします。先にお送りした請求書の扱いについて、ご指示をいただけますでしょうか。
文例は説明用の例です。誤りのほうは、単価3,000円×30個=90,000円に消費税9,000円を足して99,000円、正しいほうは、3,000円×20個=60,000円に消費税6,000円を足して66,000円、という計算です。
出し直しの形について、国税庁のQ&Aは、インボイスに誤りがあった場合の交付の方法として、「誤りがあった事項を修正し、改めて記載事項の全てを記載したものを交付する方法」と、「当初に交付したものとの関連性を明らかにし、修正した事項を明示したものを交付する方法」を、例に挙げています(国税庁 インボイス制度に関するQ&A 問33「修正した適格請求書の交付方法」(PDF・1ページ))。どちらの形にするか、請求番号を変えるか、「訂正」と書き入れるかは、経理の担当が決めます。営業は、自分で手書きで直しません。
帰ってからの記録:どの手順を飛ばしたのかを書きます。「先月の請求書を写して作り、数量を直し忘れた。次からは、納品書の控えを横に並べて、数量を声に出して読む」のような形です(説明用の例です)。報告の順番は、営業で失敗したときにまとめています。
今日やることは一つです。これから出す請求書を一件選び、注文書・納品書の控えと並べて、品名・数量・単価・合計・支払期日・あて先を一行ずつ見比べてください。
「月末締め翌月末払い」などの読み方は、支払サイトとはにまとめています。
作った請求書をメールで送るときの件名と本文は、請求書を送るメールの書き方にまとめています。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
これから出す請求書(下書きでもよい)、その取引の注文書と納品書の控え、見積書や契約書の支払条件が分かるもの。
記入例を見る(説明用)
請求する相手と、対象の注文=A社。ご注文番号456。部品B 20個。◯月10日に納品済み。検収が済んだことは、佐藤様からのメールで確かめた/品名・数量・単価・合計=部品B、20個、単価3,000円、金額60,000円、消費税6,000円、合計66,000円。納品書の控え・注文書と同じ。電卓で計算し直した/支払期日と、相手の締め日=見積書の支払条件は「月末締め・翌月末払い」。A社の請求書の締め切りは未確認。佐藤様に「毎月何日までにお届けすればよいか」を聞く/送り先と送り方=これまでは佐藤様あてにPDFをメールで送っている、と先輩から聞いた。紙の原本が要るかは未確認/合わない所・未確認の所=請求書のあて先が「購買部 佐藤様」になっているが、経理部あてにすべきかが分からない。佐藤様に聞く。税の欄の書き方は、経理の担当に見てもらう。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
品名・数量・単価・合計が注文書・納品書と合っていることを確かめてあり、支払期日・送り先・送り方について、確かめた答え(または、いつ・だれに聞くか)が書いてある。
うまく進まなかったときは?
注文書や納品書の控えが見つからなければ、先輩に「この取引の注文書と納品書は、どこにありますか」と聞く。支払期日が分からなければ、見積書の支払条件の欄を見て、経理の担当に「この取引の支払期日は、いつになりますか」と聞く。相手の締め日が分からなければ、相手の担当者に「請求書は、毎月何日までにお届けすればよろしいでしょうか」と聞く。