NOTE 94 · 営業の実践ノート
始末書の書き方:書く前に確かめることと、項目・文例
公開:2026年10月3日
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始末書は、自分の誤りについて、起きたこと・原因・お詫び・今後の手立てを書いて会社に出す書類です。書き始める前に、会社の書式、就業規則、あて先、期限の4つを確かめます。本文は、言い訳を足さず、確かめた事実と自分の推測を分けて書きます。出す前に、上司に一度見てもらいます。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 上司から「始末書を出して」と言われ、何をどの順番で書けばよいか分からないとき。
- 1
会社の書式・就業規則・あて先・期限を確かめる
- 2
起きたことを、記録を見ながら事実だけで書き出す
- 3
原因・お詫び・今後の手立てを、自分の行動として書く
- 4
上司に見せて直し、決められた相手に出す
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
始末書とは:過ちをわびるために、事情を書いて出す書類
始末書は、辞書では次のように説明されています。デジタル大辞泉(コトバンク)の語釈は、「過ちをわびるために、事情を記して関係者に提出する書類。」です。同じページの精選版 日本国語大辞典には、「あやまちをわびるために、一部始終を書き記して出す書類。」とあります。
どちらの語釈にも、二つのことが入っています。事情(一部始終)を書くことと、わびることです。起きたことの説明だけでも、お詫びの言葉だけでも、始末書としては足りません。
よく似た名前の書類に、顛末書(てんまつしょ)があります。「顛末」は、デジタル大辞泉(コトバンク)で「事の最初から最後までの事情。一部始終。」と説明されている言葉です。二つの書類をどう使い分けるかは会社によって違うので、ここでは立ち入りません。顛末書の項目と書き方は、顛末書の書き方を見てください。
始末書が、会社の中でどんな意味を持つ書類かも、会社によって違います。厚生労働省が公開しているモデル就業規則(令和7年12月版・PDF)は、就業規則の規程例です。その第67条(懲戒の種類)には、けん責について「始末書を提出させて将来を戒める。」と書かれています(86ページ)。
これは規程の例です。同じ条の解説には、「懲戒処分の種類については、本規程例に掲げる処分の種類に限定されるものではありません。」とあります(87ページ)。自分の会社で始末書がどう扱われるかは、自分の会社の就業規則で確かめます。この記事では、処分の中身や、法律上の扱いには触れません。書き方だけを扱います。
書くように言われたら、まず確かめる4つ
「始末書を出して」と言われると、すぐに書き始めたくなります。けれども、書式やあて先が違うと、書き直しになります。先に、次の4つを確かめます。
| 確かめること | 見る所・聞く相手 | 確かめないと、どうなるか |
|---|---|---|
| 会社の書式 | 社内の共有フォルダ、総務や人事の担当、上司 | 決まった書式があるのに自分で作ると、出し直しになる |
| 就業規則 | 就業規則の、始末書や懲戒について書かれた所 | その書類が会社の中でどう扱われるかを知らないまま、出すことになる |
| あて先 | 上司に聞く。社長あて、部長あてなど、会社で決まっていることが多い | あて先の役職や名前を間違えると、その書類でもう一度誤りを重ねる |
| 期限と出し方 | 上司に聞く。手書きかパソコンか、紙かデータか、誰に手渡すか | 期限に遅れると、反省が伝わりにくくなる |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
聞くときは、聞きたいことをまとめて一度で聞きます。
惜しい聞き方:「始末書って、どう書けばいいですか」
良い聞き方:「始末書の件で、4点確かめさせてください。会社の決まった書式はありますか。あて先はどなたにすればよいですか。いつまでに、どなたへお出しすればよいですか。手書きとパソコンの、どちらで作りますか」
どちらも説明用の例です。惜しい聞き方は、相手が何から答えればよいか分かりません。良い聞き方は、答えが一言ずつで済みます。
もう一つ、書く前にやることがあります。記録を開いて、起きたことを日付順に並べることです。メール、予定表、書類の控え、電話のメモを見ます。記憶だけで書くと、日付や順番が違っていて、後で直すことになります。誤りに気づいた直後の報告のしかたは、営業で失敗したときにまとめています。始末書は、その報告が済んだ後に書くものです。
始末書に書く7つの項目
会社の書式があれば、その項目に合わせます。書式が無い会社で、よく使われる項目は次の7つです。上から順に書きます。
| 項目 | 書くこと | なぜ書くか |
|---|---|---|
| 1. 日付 | 出す日 | いつの時点の説明かが分かる。後で事実が変わったときの手がかりになる |
| 2. あて先 | 会社で決められた相手の、役職と名前 | 誰に対してわびる書類かをはっきりさせる |
| 3. 所属と氏名 | 自分の部署と名前。押印や署名は、会社の決まりに合わせる | 誰が書いたかをはっきりさせる |
| 4. 起きたこと | いつ・どこで・何が・どうなったか。誰に、どんな迷惑がかかったか | 読む人は、ここで出来事の大きさを知る |
| 5. 原因 | なぜ起きたか。確かめた事実と、自分の推測を分ける | 原因が合っていないと、次の手立ても合わない |
| 6. お詫び | 誰に、何についてわびるのか | 語釈のとおり、わびるための書類だから |
| 7. 今後の手立て | 同じことを起こさないために、自分が何を・いつ・どうやってするか | 「気をつけます」だけでは、次に何が変わるのかが読む人に伝わらない |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
標題は、中央に「始末書」と書く形が多く使われています。4〜7の並べ方は、会社の書式によって前後することがあります。
4の「起きたこと」は、自分がしたこと・しなかったことを主語にして書きます。「連絡がもれていました」ではなく、「私は、連絡をしていませんでした」です。主語が抜けると、誰の話なのかがぼやけ、人ごとのように読めてしまいます。
7の「今後の手立て」は、気持ちではなく行動で書きます。「いつ・何を見て・何をするか」まで書けば、読む人は、それが続けられる手立てかどうかを判断できます。
惜しい例と良い例:言い訳にしない、事実と推測を分ける
項目がそろっていても、書き方で伝わり方が変わります。3つの点で、惜しい例と良い例を比べます。どれも説明用の例です。
1. 言い訳にしない
惜しい例:「当日は別件の対応が重なっており、また、仕入れ先からの連絡も分かりにくい内容だったため、連絡が遅れてしまいました。」
良い例:「私は、◯月◯日に仕入れ先から納期が遅れる旨のメールを受け取りましたが、A社への連絡をしていませんでした。」
惜しい例は、忙しさと、ほかの人の事情が先に来ています。書いた本人は事情を説明しているつもりでも、読む人には「自分のせいではない」と言っているように読めます。良い例は、自分がしなかったことを、日付と一緒に書いています。
2. 事実と推測を分ける
惜しい例:「確認不足が原因です。」
良い例:「メールを読んだ後、予定表にも顧客の記録にも書いていませんでした(事実)。外出の直前で、戻ってから連絡するつもりのまま忘れたものと考えています(推測)。」
「確認不足」「不注意」は、どの誤りにも当てはまる言葉です。何を確かめなかったのかが分からないので、次の手立てにつながりません。良い例は、記録で確かめられる事実と、自分の頭の中の話を分けています。推測を事実のように書くと、後で違っていたときに、書類全体の信用が下がります。
3. 今後の手立てを、行動で書く
惜しい例:「今後は、二度とこのようなことがないよう、十分に注意いたします。」
良い例:「今後は、納期が変わる連絡を受けたら、その日のうちにお客様へ電話でお伝えし、同じ内容をメールでもお送りします。連絡を受けた時点で予定表に書き、済んだら消します。」
惜しい例は、気持ちは伝わりますが、明日から何が変わるのかが分かりません。良い例は、きっかけ(連絡を受けたら)、期限(その日のうちに)、方法(電話とメール、予定表)が入っています。
営業で起きやすい場面の文例
次の文例は、どれも説明用の例です。日付・社名・金額は、自分の件に置き換えてください。会社の書式があれば、そちらの項目に合わせます。[ ]は、自分の内容に置き換える所です。
1. 納期の連絡もれ
令和◯年◯月◯日
[あて先の役職] [氏名] 殿
[部署名] [自分の氏名]
始末書
私は、◯月◯日(木)に仕入れ先から[商品名]の納期が◯日遅れる旨のメールを受け取りましたが、A社 ご担当の佐藤様への連絡をしていませんでした。◯月◯日(月)に佐藤様からお電話をいただき、連絡がもれていたことが分かりました。A社では、納品に合わせて組まれていた作業の予定を、変更していただくことになりました。
メールを読んだ後、予定表にも顧客の記録にも書いていなかったことが原因です。
A社にご迷惑をおかけし、会社の信用を損ねましたことを、深くお詫び申し上げます。
今後は、納期が変わる連絡を受けたら、その日のうちにお客様へ電話でお伝えし、同じ内容をメールでもお送りします。連絡を受けた時点で予定表に書き、済んだら消します。
以上
あて先の敬称(「殿」か「様」か)や、日付の書き方(和暦か西暦か)は、会社の書式や、これまでに社内で出された書類に合わせます。お客様へのお詫びそのものは、始末書とは別に行います。メールで伝える場合の書き方は、お詫びメールの書き方にまとめています。
2. 見積の金額の誤り
(日付・あて先・所属と氏名・標題は、文例1と同じ)
私は、◯月◯日にB社へお送りした見積書で、合計金額を誤って記載しました。正しくは[正しい金額]円のところ、[誤った金額]円と記載していました。◯月◯日に、B社のご担当の方から問い合わせをいただき、誤りが分かりました。
数量の欄に、前回の見積書の数字が残ったままになっていました。送る前に、数量と合計を見直していませんでした。
B社にご迷惑をおかけし、また、訂正のために[上司の氏名]課長のお手をわずらわせましたことを、お詫び申し上げます。
今後は、見積書を送る前に、数量・単価・合計の3つを、元の依頼のメールと見比べます。前回の書類を写して作るときは、数字の欄を先に空にしてから入力します。
以上
金額の誤りは、誤った数字と正しい数字を並べて書きます。読む人が、差の大きさをすぐにつかめるからです。送る前の見直しは、見積書を送る前に確認する7項目が使えます。
3. 社用車や備品の扱い
(日付・あて先・所属と氏名・標題は、文例1と同じ)
私は、◯月◯日(火)の◯時ごろ、訪問先の駐車場で社用車を後ろへ動かした際に、車の後部を柱に当て、バンパーに傷を付けました。けがをした人はおらず、相手方の建物に損傷はありませんでした。その場で[上司の氏名]課長へ電話で報告しました。
後ろを、鏡だけで確かめていました。車を降りて、柱の位置を見ていませんでした。
会社の車を傷付け、修理の費用と手間をおかけしましたことを、お詫び申し上げます。
今後は、初めての駐車場で後ろへ動かす前に、一度車を降りて、後ろの様子を確かめます。
以上
車や物の場合は、人のけがの有無、相手方の物の損傷の有無、誰にいつ報告したかを書きます。読む人が最初に知りたい点だからです。事故のときの届け出や保険の手続きは、会社の決まりと上司の指示に従います。この記事では扱いません。
場面によって、書き方の力の入れ所が変わります。次の表は一例です。
| 場面 | 力を入れる所 | 書き方(一例) |
|---|---|---|
| お客様に迷惑がかかった | 相手の側で何が起きたか | 相手の予定や手間がどう変わったかを、分かっている範囲で書く |
| 社内だけの誤り(書類の出し忘れなど) | 誰の仕事が止まったか | 「経理の締めに間に合わなかった」のように、影響を一つ書く |
| 原因が、まだ分からない | 分かっていることと、確認中のこと | 「原因は確認中です。◯月◯日までに報告します」と書いてよいかを、上司に聞く |
| 自分のほかにも、関わった人がいる | 自分がしたこと・しなかったこと | ほかの人の行動は、起きた順の事実としてだけ書く。評価の言葉は足さない |
| 同じ誤りが、2回目 | 前回の手立てが、なぜ続かなかったか | 前回書いた手立てを読み返し、続かなかった理由と、変える点を書く |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
迷いやすい判断と、出した後のこと
判断1:お詫びの言葉は、どのくらい書く?
基準は、誰に・何についてわびるのかが一文で分かることです。お詫びの言葉を何行も重ねても、読む人が知りたい事実と手立ては増えません。お詫びは一文か二文にして、残りの行は、起きたことと今後の手立てに使います。
判断2:自分だけのせいではない、と思うときは?
始末書の中で、ほかの人の責任を論じるのは避けます。言い訳として読まれやすいからです。書くのは、自分がしたこと・しなかったことです。ほかの人が関わった部分は、「◯月◯日、[相手]から[内容]の連絡があった」と、起きた順の事実として書きます。
事実関係に納得できない点があるときは、書類に書く前に、上司に口頭で伝えます。「経緯の中で、一点、私の認識と違う所があります。書く前に確かめさせてください」と切り出します(説明用の例です)。それでも解決しないときは、人事の担当など、会社の相談先に相談します。
判断3:「二度としません」と書いてよい?
決まった禁止の表現ではありません。ただ、その一文だけでは、何をどう変えるのかが伝わりません。基準は、自分が実際に続けられる行動を書くことです。「二度と起こしません」と書くなら、そのための行動を続けて書きます。
判断4:手書きか、パソコンか。押印は要る?
これは、会社の決まりで決まります。どちらが正しい、という公的な決まりは見当たりません。上司に聞くか、これまでに社内で出された書類の形に合わせます。
出す前:上司に見せる
書けたら、出す前に上司に見てもらいます。理由は三つあります。事実の日付や順番が、上司の把握と合っているかを確かめるため。あて先や書式の誤りを、出す前に直すため。今後の手立てが、部署のやり方と合っているかを見てもらうためです。
出した後1:事実の誤りに気づいた
その場では:気づいた時点で、上司に伝えます。「◯月◯日にお出しした始末書の日付に、誤りがありました。正しくは◯月◯日です。出し直したほうがよいでしょうか」と、どこが・どう違うかを言います(説明用の例です)。自分の判断で、黙って差し替えることはしません。
後の記録:何を見て書いたかを書きます。「記憶で書いた。次からは、メールの受信日を見て写す」のような形です(説明用の例です)。
出した後2:書き直しを求められた
その場では:どこを直すのかを、言葉のまま聞いて書き取ります。「原因が浅い」と言われたら、「原因の所を、どの点まで書けばよいでしょうか」と聞きます。直す所が分からないまま書き直すと、もう一度戻ってきます。
後の記録:言われたことと、直した所を並べて書いておきます。次に書類を書くときの見本になります。
出した後3:書いた手立てを、続ける
始末書は、出して終わりではありません。書いた手立てを、次の日からやります。一週間後に、自分で「続いているか」を見直す日を、予定表に入れておきます。続かなかった手立ては、続けられる形に直して、上司に伝えます。報告の基本は、報連相とはにまとめています。
今日やることは一つです。起きたことを「いつ・どこで・何が・どうなった」の順に、確かめた事実だけで書き出し、推測には「推測」と書き添えてください。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
会社の始末書の書式(あれば)、就業規則、起きたことの記録(メール・予定表・書類の控え)。
記入例を見る(説明用)
確かめたこと=会社の決まった書式がある(総務の共有フォルダ)。あて先は部長。期限は◯月◯日(金)。手書きではなくパソコンで作り、印刷して出す、と課長に聞いた/起きたこと=◯月◯日(月)、A社の佐藤様から「納品が◯日遅れる件を聞いていない」と電話があった。仕入れ先から遅れの連絡メールが届いたのは◯月◯日(木)。私はそのメールを読んだが、佐藤様へ連絡していなかった。A社では、納品に合わせて組んでいた作業の予定を変えることになった/原因=事実:メールを読んだ後、予定表にも記録にも書いていなかった。推測:外出の前で、戻ってから連絡するつもりのまま忘れたと思う/お詫びの一文=「A社にご迷惑をおかけし、会社の信用を損ねましたことを、深くお詫び申し上げます。」/今後の手立て=納期が変わる連絡を受けたら、その日のうちにお客様へ電話し、メールでも送る。受けた時点で予定表に「A社へ連絡」と書き、終えたら消す。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
書式・あて先・期限を確かめてあり、起きたことが日付つきの事実で書いてあり、原因は事実と推測が分かれていて、今後の手立てが自分の行動で書いてある。上司に見せる日が決まっている。
うまく進まなかったときは?
書式やあて先が分からなければ、上司に「会社の書式はありますか。あて先はどなたにすればよいですか」と聞く。起きたことが書けなければ、メールや予定表を開いて日付順に並べる。原因が分からなければ、分かっていることだけを書き、残りは「確認中」と書いて上司に相談する。