NUSSI’S SALES NOTEウッシの営業ノート

NOTE 34 · 営業の実践ノート

手土産の渡し方:取引先で、いつ・誰に・何と言って渡すか

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手土産は、あいさつを済ませて席に着く前後に、その場でいちばん立場が上の人か窓口の担当者へ、紙袋から出して「皆さんで召し上がってください」と一言添えて渡すやり方が広く行われています。ただし、渡してよいかどうかは相手と自分の会社のルールで決まるので、先にそこを確かめます。

今日できるようになること

次の訪問で、手土産を「いつ・誰に・何と言って」渡すかを、先輩に聞いてメモする。

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こんなときに 取引先へ手土産を持っていく前に、渡し方を決めたいとき。

この順番で進めよう
  1. 1

    渡してよいかを、上司と相手に確かめる

  2. 2

    誰に・どのタイミングで渡すかを先輩に聞く

  3. 3

    紙袋から出し、正面を相手に向けて、一言添えて渡す

  4. 4

    相手の反応と渡した品を、帰ってから記録する

会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。

手土産を渡す場面で、初心者がつまずくこと

手土産を持って訪問すると、玄関から応接室まで、紙袋を下げたまま歩くことになります。いつ出せばよいのか、誰に渡せばよいのか、袋のまま渡してよいのか。迷っているうちに商談が始まり、帰りぎわにあわてて渡す、ということが起こりがちです。

手土産は、品物そのものより、渡すまでの動きで迷うものです。決めておくことは3つだけです。いつ・誰に・何と言って渡すか、です。

この記事は「渡し方」にしぼって説明します。そもそも渡してよいかの確かめ方、品物の選び方、会食の段取りは、手土産・接待の準備にまとめています。

渡す前に確かめる2つ:渡してよいか、誰に渡すか

1. 渡してよいか

贈り物を受け取らないと決めている会社があります。自分の会社にも、手土産の金額や申請の決まりがあることがあります。買う前に、上司へ「今回、手土産を持っていってよいですか」と聞きます。

相手側のルールは、前の担当者の記録や先輩の話で確かめます。相手が公務員などの場合は、法令のルールがあります。くわしい確かめ方は手土産・接待の準備に書いているので、渡す前に読んで、上司へ相談してください。

2. 誰に渡すか

渡す相手は、その場にいる中でいちばん立場が上の人、または窓口になっている担当者とすることが多いです。部署の皆さんで分けてもらう品なら、窓口の担当者へ渡すと、配ってもらいやすくなります。

誰に渡すか迷うときは、同行する先輩に決めてもらいます。上司や先輩と一緒の訪問では、立場が上の人が渡すことも多いので、「どなたが渡しますか」も聞いておきます。

渡す相手とおよその人数が分かると、品物の条件も決まります。分けやすいように一つずつ包まれているか、日持ちがするか、常温で置けるか、です。

渡すタイミングを、場面で決める

渡すタイミングは、訪問する場所で変わります。次の表は、広く行われているやり方の一例です。訪問先や会社の慣例があれば、そちらを優先してください。

場面渡すタイミング(一例)訪問の前に確かめること
応接室・会議室に通されたあいさつと名刺交換を済ませ、席に着く前後先輩と自分の、どちらが渡すか
受付や玄関先で用件が済むあいさつの後、用件に入る前受付で預けてよいか、担当者を呼んでもらうか
担当者の席や作業場で立ち話あいさつの後、相手の手が空いているのを見てから置き場所があるか。なければ机や棚に置いてよいかを聞く
喫茶店や会食の店など、外で会う帰りぎわ。相手が持ち歩く時間を短くするため持ち帰り用の袋ごと渡してよいか

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

冷蔵が必要な品や、すぐ食べてほしい品は、部屋に通される前に受付や担当者へ伝えて預けることもあります。常温で置ける品を選んでおくと、タイミングで迷うことが減ります。

おわびのための訪問では、あいさつ代わりの手土産と同じ渡し方にならないことがあります。品を持っていくかどうか、いつ出すかを、行く前に上司に決めてもらいます。

初めての訪問と、2回目以降で変わること

初めての訪問では、名刺交換が先にあります。名刺交換のあいだは、袋を足元に置くか、腕にかけて両手を空けます。交換が終わり、「どうぞおかけください」と言われる前後が、出しやすい区切りです。

2回目以降は、名刺交換がないので、あいさつの直後に渡せます。前回の記録に「受け取ってもらえたか」「誰に渡したか」があれば、同じ人へ渡します。

相手が複数のとき、自分側が複数のとき

相手が複数なら、その場でいちばん立場が上の人へ渡す、とされることが多いです。誰が上か分からなければ、窓口の担当者へ「皆さんで」と言って渡すと、角が立ちにくくなります。

自分側が複数なら、上司や先輩が渡すことが多く見られます。その場合、自分の役目は、袋を持って運ぶこと、渡す直前に袋から出して先輩へ手渡すことです。どこで出して渡すかを、建物に入る前に先輩と決めます。

相手が忙しそうなとき

相手が急いでいる、次の予定が迫っている、というときは、一言を短くします。「皆さんでどうぞ。常温で置けます」だけ伝え、用件に入ります。渡すこと自体が、相手の時間を使うからです。

自分:「明日のA社の訪問で、お菓子はどのタイミングで渡せばよいですか。名刺交換の後、座る前に、私から佐藤様へお渡しするつもりです」

先輩:「それでいいよ。部長さんが同席したら、部長さんに渡してね」

社名と名前は説明用の例です。聞いた内容は、実践シートの「渡すタイミング」に書いておきます。

渡し方の手順と、一言の例

応接室で渡す場合の手順です。動きは5つあります。

  1. 部屋に入る前に、袋の中を見る。箱が傾いていないか、袋がぬれたり破れたりしていないかを確かめます。値札やレシートが入っていたら、出しておきます。相手の前で袋の中を直すと、渡す前から手間取って見えます。
  2. 席に着くまで、袋は手に持つか、足元に置く。机の上には置きません。机は、相手が資料や飲み物を置く場所だからです。置くときは、自分のかばんの横に、倒れないように立てます。
  3. 紙袋から品物を出す。持ち運び用の紙袋は外し、品物だけを渡すやり方が広く行われています。紙袋は、持ち運ぶあいだ品物を汚れから守るためのもの、と考えられているからです。袋は、たたんで自分が持ち帰ります。
  4. 正面を相手に向けて、差し出す。箱の文字や包装の正面が、相手から読める向きに回します。両手で持ち、机の上をすべらせるのではなく、手渡しします。逆さのまま渡すと、相手は持ち直してから中身を確かめることになります。
  5. 一言を添える。誰に向けた品か、どう扱えばよいかを短く伝えます。受け取った人は、この後、部署で配ったり保管したりするからです。長い説明は要りません。

自分:「本日はお時間をいただき、ありがとうございます。皆さんで召し上がってください」

相手:「ありがとうございます。お気遣いいただいて」

自分:「一つずつ包んであります。常温で置いておけます」

説明用の例です。「心ばかりですが」「お口に合うとよいのですが」など、添える言葉は人や会社によって違います。先輩が使っている言い方があれば、それに合わせると迷いません。

添える一言を比べる

同じ品でも、一言で受け取りやすさが変わります。次の3つは説明用の例です。

惜しい例1:「あの、これ、どうぞ」

惜しい例2:「駅前の有名なお店のもので、朝から並んで買ってきました。季節限定で、材料にもこだわっていまして……」

良い例:「皆さんで召し上がってください。一つずつ包んであって、常温で置いておけます」

惜しい例1は、誰に向けた品かが分かりません。担当者は、自分がもらってよいのか、部署で分けるのかを迷います。惜しい例2は、手間をかけたことが前に出て、相手はお礼を重ねなければならなくなります。商談の時間も減ります。

良い例は、誰に向けた品か→分けやすさ→保存のしかたの順で、相手がこの後に知りたいことだけを伝えています。賞味期限が短い品なら、「◯日までにお召し上がりください」を足します。

袋のまま渡すとき

外で会うときや、相手がそのまま持ち帰るときは、袋があるほうが相手は楽です。その場合は「袋のままで失礼します」と添えて、袋ごと渡すこともあります。

買った店の袋が雨でぬれた日や、袋をもらい忘れた日もあります。箱が入る大きさの無地の紙袋を一枚かばんに入れておくと、袋を替えられます。

断られたとき・渡しそびれたとき、帰ってからの記録

「受け取れない決まりです」と言われたら

相手は、会社の決まりを守って断っています。「失礼しました。持ち帰ります」と引き下がります。「お気持ちだけでも」と重ねてすすめると、相手はもう一度断らなければなりません。

品物は袋に戻し、そのまま商談に入ります。帰ったら上司に伝え、次の担当者も分かるように、顧客のメモへ残します。

記録は、聞いた言葉と、次からどうするかを分けて書きます。たとえば「◯月◯日、佐藤様より『会社の決まりで、贈り物は受け取れない』と言われた。品は持ち帰り、上司に報告済み。次回から手土産は持っていかない」のように書きます(説明用の例です)。「断られた」だけだと、次の担当者は、その日だけの話か、会社の決まりなのかが分かりません。

渡しそびれたら

商談が始まってから気づいたら、話をさえぎって出す必要はありません。商談の終わりに、「ごあいさつが遅れました。皆さんで召し上がってください」と渡します。

相手が急いでいて渡せなかった日は、無理に追いかけません。持ち帰って、上司に次の扱いを相談します。賞味期限が近い品は、次回まで持ち越せないこともあるからです。

帰ってから記録すること

渡せた日も、記録を残します。書くのは、渡した日・品物・金額・渡した相手・相手の反応です。次の訪問で同じ品が続くのを避けられますし、担当が替わったときの引き継ぎにもなります。

領収書の出し方や経費の扱いは、会社の決まりに合わせます。

よくある失敗と、迷いやすい判断

失敗は、その場の立て直し方と、帰ってからの記録をセットで決めておきます。

失敗1:紙袋を下げたまま、商談が終わりそうになる

その場では:話の途中で出そうとせず、商談の終わりを待ちます。資料を片づける前に、「ごあいさつが遅れました。皆さんで召し上がってください」と渡します。遅れた理由を長く説明する必要はありません。

帰ってからの記録:「渡すタイミングを決めていなかった。次回は、名刺交換の後、座る前に出す。先輩に合図をお願いする」と、原因と次の動きを書きます。

失敗2:人数より、個数が足りなかった

その場では:数が足りないことを、その場で言い立てる必要はありません。そのまま渡し、配り方は相手に任せます。相手から「人数が増えまして」と言われたら、「数が足りず、失礼しました」と一言おわびします。

帰ってからの記録:顧客のメモに「営業部は12人(◯月◯日、佐藤様から聞いた)」のように、人数と、いつ誰から聞いたかを書きます(説明用の例です)。次に買う人が、同じ数え間違いをせずに済みます。

失敗3:相手の手がふさがっているときに、差し出した

その場では:相手が資料や飲み物を持っていたら、いったん手を引きます。「こちらに置いてもよろしいですか」と聞いて、机の端や、相手が示した場所に置きます。受け取らせようと差し出したままにすると、相手があわてます。

帰ってからの記録:「お茶を出していただく前に渡す」など、その訪問先での出しやすい区切りを書いておきます。

判断1:今回は、持っていくべき?

毎回持っていくと、相手の負担になることがあります。上司に聞く前に、自分で3つを確かめます。前回の記録で受け取ってもらえているか、今回の訪問に区切りの意味があるか(初めてのあいさつ、年始、担当の交代など)、会社に決まった慣例があるかです。

そのうえで、「A社の訪問ですが、担当交代のあいさつなので、お菓子を持っていこうと思います。よろしいですか」と、自分の案と理由を添えて上司に聞きます。「どうしましょうか」とだけ聞くより、早く決まります。

判断2:担当者が不在だったら、預けてよい?

基準は、品物が日持ちするか、預かってくれる人がいるか、誰あてかを伝えられるかの3つです。3つともそろえば、自分の名刺を添えて預け、後で担当者へメールか電話で知らせます。

冷蔵が必要な品や、賞味期限が短い品は、預けると相手に保管の手間がかかります。その場合や、預かってよいか受付の人が迷っている場合は、持ち帰って出直します。

判断3:予定になかった上の立場の人が、同席したら?

渡す相手を、その場で変えるかどうかの判断です。基準は、部署の皆さん向けの品か、特定の人あての品かです。皆さん向けなら、同席した上の立場の人へ「皆さんで召し上がってください」と渡すと、窓口の担当者も困りません。

先輩が一緒なら、先輩の動きに合わせます。こうした場面に備えて、訪問の前に「部長さんが同席されたら、どなたにお渡ししますか」と聞いておきます。

判断4:その場で開けて、出してくださったら?

相手が「せっかくなので」と箱を開け、こちらにも出してくれることがあります。すすめられたら、「ありがとうございます。いただきます」とお礼を言って受けるのが自然です。断り続けると、相手の気づかいを止めることになります。

食べられない事情があるときは、「お気持ちだけいただきます」と短く伝えます。商談の時間が限られているなら、先に用件を済ませてからいただきます。

今日やることは一つです。次の訪問で「いつ・誰に・何と言って」渡すかを、先輩に聞いてメモしてください。訪問のあとのお礼の書き方は、営業のお礼メールにまとめています。

通された部屋でどこに座るかは、上座・下座の記事にまとめています。

YOUR TURN

自分の一件で、書いてみよう。

手元に用意するもの
訪問の予定(場所・相手の人数)、上司の指示、前回の訪問メモ、手土産と袋。

記入例を見る(説明用)

渡してよいかの確認=上司に確認済み(担当交代のあいさつなので持っていく。金額の上限も聞いた)。A社は前回も受け取っている(前任者のメモ)。相手は民間の会社/渡す相手と人数=窓口の佐藤様へ。営業部は8人くらい(先輩に聞いた)。部長が同席したら、部長へ「皆さんで」と渡す/渡すタイミング=応接室で、あいさつと名刺交換の後、座る前。名刺交換のあいだは袋を足元に置く。出すきっかけは、先輩が目で合図をくれる/添える一言=「皆さんで召し上がってください。一つずつ包んであって、常温で置いておけます」。相手が急いでいたら「皆さんでどうぞ」だけにする/断られたときの対応と、帰ってからの記録=「失礼しました。持ち帰ります」と言って袋に戻し、重ねてすすめない。帰ったら上司に報告し、聞いた言葉と「次回から持っていかない」を顧客メモに書く。渡せたら、渡した日・品物・金額・渡した相手・相手の反応を書く。

入力は自動保存されません。ページを移動する前に保存してください。保存した内容は他の人に自動送信されません。

CHECK

ここまでできたら、次へ。

渡してよいことを確かめてあり、渡す相手・タイミング・一言が書いてあって、断られたときの動きも決まっている。

うまく進まなかったときは?

渡してよいか分からないままなら、買う前・渡す前に上司へ聞く。タイミングが決められなければ、当日は先輩に渡す役をお願いし、動きを見て次回のメモにする。一言が出てこなければ、「皆さんで召し上がってください」だけで足りる。

NEXT NOTE

次に読むなら

手土産・接待の前に、ルールを確かめる名刺交換の手順を確かめる訪問後のお礼メールを書く