NOTE 33 · 営業の実践ノート
名刺の渡し方・名刺交換のやり方:初めての訪問で迷わない手順
公開:2026年10月3日/更新:2026年10月4日
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名刺交換は、立って、名刺を相手が読める向きで持ち、会社名と名前を名乗って渡し、相手の名刺を受け取って名前を確かめる、という流れが広く行われています。渡す順番や高さなどの細かい作法は会社や業界で違うので、訪問の前に先輩へ確かめておきます。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 初めての訪問の前に、名刺交換の動きを確かめたいとき。
- 1
会う人数を数え、名刺と名刺入れを取り出しやすい場所に入れる
- 2
立って、相手が読める向きで持ち、名乗って渡す
- 3
受け取って、名前の読み方を確かめる
- 4
商談中は机に置き、帰ったらその日のうちに記録する
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
名刺交換で、初心者がつまずく場面
初めての訪問では、あいさつの最初に名刺を交換することがよくあります。ところが、いざ相手の前に立つと、名刺入れがかばんの底にあって出てこない、どちらが先に渡すのか分からない、受け取った名刺をどこに置けばよいか分からない、と手が止まりがちです。
名刺交換の目的は、作法を見せることではありません。お互いの会社名・名前・連絡先を、間違いなく伝え合うことです。この目的から考えると、やることは多くありません。
この記事では、準備する→立って渡す→名乗る→受け取る→机に置く→帰ってから記録するの順に説明します。細かい作法は会社や業界で違いがあるので、「こうとされることが多い」ものと「先輩に確かめるもの」を分けて書きます。
訪問の前に準備する3つ:枚数・名刺入れ・取り出す場所
当日あわてないための準備は、前の日に終わらせます。確かめるのは次の3つです。
1. 枚数を数える
明日会う予定の人数を数え、その人数分に予備を足した枚数を入れます。同席する人が当日増えることがあるので、予備を何枚にするかも決めておきます。枚数の計算のしかたは、名刺入れの選び方にまとめています。
入れる前に、名刺の角が折れていないか、汚れていないかを一枚ずつ見ます。部署や電話番号が変わった直後は、古い名刺が混ざっていないかも確かめます。
2. 名刺入れに入れる
名刺は、財布や手帳ではなく、名刺入れに入れて持っていくのが一般的です。名刺入れの中では、自分の名刺と、受け取った名刺を入れる場所を分けておきます。前の訪問で受け取った名刺が残っていたら、出しておきます。
3. 取り出しやすい場所に入れる
名刺入れは、立ったまますぐ手が届く場所に入れます。上着の内ポケットや、かばんの外側のポケットなどです。ズボンの後ろのポケットは、座ったときに名刺が曲がりやすいので、ほかの場所があればそちらにします。
入れたら、実際に立って取り出してみます。名刺入れを出す、ふたを開ける、一枚だけ出す、の3つがつかえずにできれば準備は終わりです。
名刺交換の基本の手順:立つ・名乗る・渡す・受け取る・置く・記録する
ここでは、相手が一人のときの流れを説明します。広く行われている流れの一例です。同行する先輩のやり方があれば、そちらに合わせてください。
- 立って、相手の正面に行く。座っていたら立ちます。机をはさんだまま腕を伸ばすより、相手の近くまで歩いて渡すほうがていねいとされることが多いです。部屋の形で近づけないときは、「机ごしに失礼します」と一言添えます。座ったまま渡すと、相手だけを立たせることになります。
- 名刺を一枚出し、相手が読める向きで持つ。名刺入れから一枚出し、文字が相手から読める向きに回します。会社名や名前が指で隠れないよう、名刺の端を持ちます。逆さのまま渡すと、相手は持ち直してから読むことになります。
- 会社名と名前を名乗って、渡す。「◯◯商事の山田と申します」と名乗りながら差し出します。黙って渡すと、相手は名刺を読むまで、誰なのかが分かりません。読み方が難しい名前なら、フルネームで名乗ると相手が読み間違えずに済みます。
- 相手の名刺を受け取り、名前を確かめる。受け取ったら、その場で名刺を見て、「佐藤様ですね」と声に出します。読み方が分からなければ、「お名前は、何とお読みすればよろしいですか」とその場で聞きます。後から聞くより、このときに聞くほうが自然です。
- 商談中は、机の上に置く。席に着いたら、受け取った名刺を自分の手前に置きます。名前と役職を見ながら話せるので、呼び間違いが減ります。資料や飲み物の下にならない場所に置きます。
- 帰る前にしまい、その日のうちに記録する。商談が終わったら、受け取った名刺を名刺入れの「受け取った名刺」の場所にしまいます。机に残したまま帰ると、相手の連絡先を置き忘れることになります。帰社したら、会社で決められた方法で登録・保管します。
自分:「◯◯商事の山田と申します。本日はお時間をいただき、ありがとうございます」
相手:「△△工業の佐藤です。よろしくお願いします」
自分:「佐藤様ですね。よろしくお願いいたします」
社名と名前は説明用の例です。相手の名前を声に出すのは、読み方を確かめるためと、自分が覚えるためです。
名乗りの言い方を比べる
名乗りは、短いほど聞き取りやすくなります。次の3つを比べてみてください。どれも説明用の例です。
惜しい例1:「山田です。よろしくお願いします」
惜しい例2:「◯◯商事で営業をしております山田と申します。入社して2年目で、先月までは別の地域を回っておりまして、今回からこちらを……」
良い例:「◯◯商事の山田と申します。今月から御社を担当いたします。よろしくお願いいたします」
惜しい例1は、会社名がありません。相手が複数の会社と会う日だと、どこの山田さんかが後で分からなくなります。惜しい例2は、言っていることは正しいのですが、相手が名刺を持ったまま待つ時間が長くなります。
良い例は、会社名→名前→相手との関係を一言の順です。経歴や担当の説明は、席に着いてから話せば足ります。自分の一言は、声に出して言ってみて、息つぎなしで言える長さにします。
帰ってから記録すること
名刺そのものの保管とは別に、会った日、用件、同席していた人、次の約束を、会社の記録かノートに残します。名刺だけでは、「いつ、何の話で会った人か」が後から分からなくなるからです。
名刺には、相手の名前や連絡先が書かれています。保管のしかた、社内で共有してよい範囲、個人のスマホで撮影してよいかは、会社ごとに決まりが違います。自分で決めず、先輩か上司に確認してください。
マナーとして語られることと、先輩への聞き方
名刺交換には、マナーとして語られることがいくつかあります。次の表は、よく言われる内容の一例です。どれも法律や共通の決まりではなく、会社や業界、相手との関係で扱いが変わります。
| 場面 | よく言われること(一例) | 訪問の前に確かめること |
|---|---|---|
| 渡す順番 | 訪問した側や、立場が下の側から先に渡す、とされることが多い | 同行者がいるとき、自分は何番目に渡すか |
| 渡す高さ | 相手の名刺より低い位置で差し出す、とされることが多い | 気にしすぎて譲り合いが続くときは、どうするか |
| 受け取り方 | 両手で受け取る、名刺入れを受け皿のようにして受け取る、とされることが多い | 自分の会社で教えられているやり方があるか |
| 商談中の置き方 | 机の上に置く。名刺入れの上に置く、相手が複数なら座っている順に並べる、とされることが多い | 並べる場所がない机のときは、どうするか |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
本やネットの記事によって、説明が少しずつ違うこともあります。どれが正しいかを一人で調べ続けるより、同行する先輩に聞くほうが早く決まります。
自分:「明日のA社の訪問で、名刺交換の順番を確認させてください。先輩が先に交換されて、私はその後でよいですか」
先輩:「それでいいよ。部長さんが同席するから、部長さんから先に交換してね」
自分:「分かりました。受け取った名刺は、席の順に机へ並べるつもりです」
説明用の例です。自分の案を一つ添えて聞くと、先輩は「それでいい」「ここだけ変えて」と答えるだけで済みます。聞いた内容は、実践シートの「先輩に確かめた作法」に書きます。
場面別の動き方:複数人・同時に差し出されたとき・切らしたとき・オンライン
相手が複数人のとき
相手が複数いるときは、役職が上の人から順に交換する、とされることが多いです。誰が上の立場か分からなければ、相手側が紹介してくれる順番や、先輩の動きに合わせます。
人数分の名刺を、先に名刺入れから出しておくと、一人ごとにふたを開け閉めせずに済みます。受け取った名刺は、自分の名刺と混ざらないように、名刺入れの下や別の指で分けて持ちます。席に着いたら、座っている順に並べると、名前と顔を合わせやすくなります。
自分側が複数人のとき
上司や先輩と一緒のときは、上司・先輩が先に交換し、自分はその後に続く流れが多く見られます。先輩の後ろで待ち、前の人の交換が終わってから前に出ます。順番は、訪問の前に先輩へ聞いておきます。
同時に差し出されたとき
お互いが同時に名刺を出すことは、よくあります。失礼に当たるわけではないので、あわてなくて大丈夫です。片手で自分の名刺を差し出し、もう片方の手で相手の名刺を受け取るやり方が広く行われています。
受け取ったら、すぐ両手で持ち直して、名前を確かめます。どちらが低い位置で出すかで譲り合いが続くときは、一度で切り上げて受け取ります。
名刺を切らしたとき
足りないと気づいたら、その場で正直に伝えます。「申し訳ございません。名刺を切らしております。◯◯商事の山田と申します」とおわびして、口頭で名乗ります。相手の名刺は、そのままいただいて構いません。
戻ってからの対応(お礼のメールに署名を付ける、次の訪問で渡す、郵送するなど)は、会社のやり方があるので先輩に相談します。予備の名刺を、名刺入れとは別のケースに入れてかばんに置いておくと、切らしにくくなります。
立ち話のとき・相手が忙しそうなとき
受付や作業場、廊下で、立ったままあいさつする場面もあります。机がないので、受け取った名刺は置けません。名前を確かめたら、名刺入れの「受け取った名刺」の場所にすぐしまいます。上着のポケットにそのまま入れると、折れたり、後で見つからなくなったりします。
相手が手に物を持っている、電話に出ようとしている、というときは、無理に差し出しません。「お手すきのときに、ごあいさつさせてください」と伝えて待つか、用件が済んだ帰りぎわに渡します。
オンライン商談のとき
画面ごしの商談では、紙の名刺を渡せません。冒頭に会社名と名前を口頭で名乗り、連絡先はメールの署名やチャットで伝える形が多く見られます。画面に表示される自分の名前を、会社名と氏名にしておくと、相手が呼びやすくなります。
オンラインで名刺の情報を交換する仕組みを使う会社もあります。使ってよい道具は会社ごとに決まっているので、初めての前に先輩へ確認します。相手の名前と役職は、商談の前に案内メールで確かめ、手元のメモに書いておきます。
よくある失敗と、迷いやすい判断
失敗は、その場の立て直し方と、帰ってからの記録をセットで決めておきます。記録があると、次の訪問の準備で同じ所を直せます。
失敗1:名刺入れが、かばんの底から出てこない
その場では:黙って探し続けると、相手は名刺を持ったまま待つことになります。「少々お待ちください」と一言伝え、先に口頭で「◯◯商事の山田と申します」と名乗ります。相手の名刺を先に受け取り、見つかってから自分の名刺を渡します。
帰ってからの記録:「名刺入れがかばんの底にあり、出すのに手間取った。次回から、建物に入る前に上着の内ポケットへ移す」のように、起きたことと、次に変える動きを一行ずつ書きます。
失敗2:相手の名前を、読み間違えた・聞きそびれた
その場では:間違いに気づいたら、すぐ「失礼いたしました。◯◯様ですね」と言い直します。聞きそびれたまま話が進んだら、商談の区切りで「失礼ですが、お名前の読み方を確認させてください」と聞きます。分からないまま呼ばずに済ませると、次の電話やメールで困ります。
帰ってからの記録:登録するときに、名前の読みがなを一緒に書きます。「読み方は本人に確認済み」か「未確認」かも添えると、ほかの人が電話するときに助かります。
失敗3:受け取った名刺を、机に置いたまま帰ってしまう
その場では:建物を出る前に気づいたら、戻って「名刺を置き忘れました。失礼いたしました」と受け取ります。会社に戻ってから気づいたら、自分だけで済ませず、先輩か上司に伝えてから、相手へおわびの連絡をします。
帰ってからの記録:「席を立つ前に、名刺・資料・筆記具の順に机の上を見る」と、次からの順番を書きます。忘れた事実と連絡した日時も、顧客のメモに残します。
判断1:相手が名刺を出さなかったら、お願いしてよい?
相手が名刺を持っていない、または渡さないと決めている場合もあります。基準は、この後、連絡を取る用件があるかです。資料を送る、見積もりを出す、などの用件があるなら、名刺ではなく連絡先をお願いします。「後ほど資料をお送りしたいので、ご連絡先を教えていただけますか」と、理由を先に言います。
用件がなければ、求めなくて構いません。会社名・部署・名前を聞き取ってノートに書きます。
判断2:2回目の訪問でも、名刺を渡す?
基準は2つです。初めて会う人がいるか、自分の名刺の内容が変わったかです。同じ相手に、同じ名刺をもう一度渡すことは、ふつうはしません。初めての人が同席していたら、その人と交換します。
部署や連絡先が変わったときは、「連絡先が変わりましたので」と添えて、新しい名刺を渡します。前に会ったかどうかがあいまいなら、訪問の前に、前回の記録で同席者の名前を確かめます。
判断3:商談の途中で、相手側の人が入ってきたら?
基準は、相手が紹介してくれたかどうかです。「うちの部長です」と紹介されたら、話を止めて立ち、名刺を交換します。紹介がなく、飲み物を運んでくれた人などの場合は、会釈だけにして話を続けます。
途中から人が増えそうな訪問では、先輩に「途中で同席される方がいたら、その場で交換してよいですか」と聞いておくと、当日あわてません。
判断4:相手側の役職の上下が、分からないときは?
名刺を受け取るまで、役職は分かりません。基準は、相手側が紹介してくれた順です。紹介がなければ、自分に近い人から順に交換し、「順にごあいさつさせてください」と一言添えます。順番を気にして動けなくなるより、全員と交換して名前を確かめるほうが、目的に合っています。
相手の出席者が前もって分かるなら、案内メールの名前と役職を見て、先輩に「どなたから交換すればよいですか」と聞きます。
今日やることは一つです。明日会う人数分の名刺を入れ、立ったまま一枚出して名乗る動きを、一度やってみてください。訪問そのものの準備は、初めての訪問で準備する3つのことにまとめています。
名乗るときに何をどこまで言うかは、簡単な自己紹介の例文にまとめています。
名刺を交換したあと、どの席に座るかで迷うときは、上座・下座の記事を見てください。
もらった名刺のしまい方は、名刺ファイルの選び方と分け方にまとめています。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
明日の訪問予定(会う人数)、自分の名刺、名刺入れ、当日の上着かかばん。
記入例を見る(説明用)
会う人数と、持っていく枚数=A社で2人(担当の佐藤様と、同席の部長)。当日増えるかもしれないので、予備を8枚足して10枚。角の折れた名刺は抜いた/名刺入れを入れる場所=上着の内ポケット。建物に入る前に、手で触って確かめる。予備の名刺は、別のケースに入れてかばんの内ポケット/名乗るときの一言=「◯◯商事の山田と申します。今月から御社を担当いたします。よろしくお願いいたします」(声に出して、息つぎなしで言えた)/先輩に確かめた作法=先輩が先に交換し、自分はその後。部長が同席したら部長から。受け取った名刺は、席の順に机へ並べる。途中で人が増えたら、紹介されたときに立って交換する/帰ってからの記録の方法=会社の顧客管理の仕組みに、その日のうちに登録する。読みがなと、会った日・用件・同席者も書く。スマホでの撮影は、してよいか未確認(明日、先輩に聞く)。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
会う人数分の名刺が取り出しやすい場所に入っていて、立って名乗って渡す動きを一度試してあり、作法で迷う点を先輩に確かめてある。
うまく進まなかったときは?
先輩に聞けなかった作法は「未確認」と書き、当日は先輩の動きを見て合わせる。名乗りの一言が長くなるなら、会社名と名前だけにしぼる。名刺が足りなければ、訪問の前に補充の方法を総務か先輩に聞く。