NOTE 73 · 営業の実践ノート
上座・下座とは:会議室・応接室・車・エレベーター・会食の席順と、営業の動き方
公開:2026年10月3日
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上座(かみざ)とは、その場でいちばん上位とされる席のことです。下座(しもざ)は、その反対の席です。一般的には、入口からいちばん遠い席が上座、入口にいちばん近い席が下座とされます。お客様や目上の人に上座へ座ってもらい、迎える側や若手が下座に座ります。この記事では、場所ごとの席順と、訪ねるとき・迎えるときの動き方を説明します。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 客先の応接室に通されて、どこに座ればよいか分からなかったとき。来客を会議室へ案内することになったとき。
- 1
入口の場所を見て、いちばん遠い席といちばん近い席を確かめる
- 2
訪ねたときは、すすめられるまで入口に近い側で待つ
- 3
迎えるときは、奥の席を手で示して案内する
- 4
迷ったら、相手のすすめと会社のやり方を先にする
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
上座・下座とは:その場でいちばん上位の席と、その反対の席
上座(かみざ)とは、その場でいちばん上位とされる席のことです。辞書(デジタル大辞泉「上座」)には、「席のうち、最も上位の席。」とあります。「じょうざ」とも読み、「上席(じょうせき)」も同じ意味で使われます。
下座(しもざ)は、その反対です。辞書(デジタル大辞泉「下座」)には、「人々が並んですわるとき、目下の者がすわる座席。」とあります。「末席(まっせき)」も同じ意味で使われます。
仕事の場では、お客様や目上の人に上座へ座ってもらい、迎える側や若手が下座に座ります。席の位置で、「あなたを大切なお客様として迎えています」という気持ちを表すためです。言葉にしなくても伝わる、あいさつの一つと考えると分かりやすくなります。
初めのうちは、次のような場面で手が止まりがちです。客先の応接室に通され、「おかけになってお待ちください」と言われたが、どこに座ればよいか分からない。来客を会議室に案内したが、どの席をすすめればよいか分からない。上司とお客様とタクシーに乗ることになり、自分がどこに乗るのか迷う。
席順には、法律や公的な決まりがあるわけではありません。広く行われている習慣です。会社や業界、部屋の造りによって変わります。この記事の説明は一般的な目安として読み、会社のやり方と、その場の相手のすすめを先にしてください。
席順の基本の考え方:入口から遠い席が上座、近い席が下座
場所ごとの席順を一つずつ覚える前に、もとになる考え方を3つ押さえます。これを知っていれば、初めて入る部屋でも見当が付きます。
1. 入口からいちばん遠い席が上座、いちばん近い席が下座
一般的には、入口からいちばん遠い席が上座、入口にいちばん近い席が下座とされます。入口の近くは、人の出入りがあり、落ち着きにくい場所です。お茶を受け取る、資料を取りに出る、電話に呼ばれて席を立つ、といった用事も入口の近くで起こります。
つまり、奥は落ち着いて話せる席、入口の近くは動く役目の人の席です。下座は「低く見られる席」というより、「用事を引き受ける人の席」と考えると、自分が座る理由が分かります。
2. 部屋の造りで、上座が変わることがある
入口から遠い席でも、次のような部屋では上座が変わることがあります。窓からの眺めが良い席がある。絵や飾りが正面に見える席がある。長いす(ソファ)と一人がけのいすが置いてある。画面やスクリーンを見ながら話す。
考え方は同じで、相手がいちばん心地よく過ごせる席が上座になります。入口からの遠さは、その見当を付けるための目安です。
3. 相手のすすめと、会社のやり方が先
訪ねた先で「こちらへどうぞ」と席をすすめられたら、その席に座ります。席順の知識より、相手の案内が先です。迎える側が、部屋の事情を考えて席を決めていることがあるからです。
自社の会議室や応接室は、「この部屋はこの席にお客様を案内する」と決まっている会社が多くあります。初めて使う部屋は、前の日までに先輩に聞いておきます。
場所ごとの上座と下座:会議室・応接室・車・エレベーター・会食
次の表は、場所ごとの席順の一例です。広く案内されている形をまとめたもので、決まりではありません。部屋の造りや人数で変わります。
| 場所 | 上座(一般的な目安) | 下座(一般的な目安) | 気を付ける所 |
|---|---|---|---|
| 会議室 | 入口からいちばん遠い席。机をはさんで向かい合うなら、入口から遠い側の列の、奥の席 | 入口にいちばん近い席 | 画面やスクリーンを使うときは、見やすい席をお客様にすすめる |
| 応接室 | 長いす(ソファ)の、入口からいちばん遠い席 | 一人がけのいすの、入口にいちばん近い席 | 長いすがお客様の席、一人がけのいすが迎える側の席、という置き方が多い |
| タクシー | 運転席の後ろの席 | 助手席 | 助手席の人が、行き先を伝え、支払いをする。後ろに3人で座るなら、まん中が後ろの席の中での下座 |
| 持ち主が運転する車 | 助手席 | 後ろの席のまん中 | 運転する人がお客様や上司のときの目安。運転する人の隣に、同じ立場の人が座る |
| エレベーター | 入口から見て奥の位置 | 操作盤(ボタン)の前 | 操作盤の前の人が、扉を開けておく・行き先の階を押す役目をする |
| 会食(和室) | 床の間の前の席。床の間がなければ、入口からいちばん遠い席 | 入口にいちばん近い席 | 下座の人が、店の人とのやり取りや注文を受け持つ |
| 会食(テーブル席) | 入口からいちばん遠い席。眺めが良い席があれば、その席 | 入口にいちばん近い席 | 壁側の長いすと通路側のいすがあるときは、壁側の奥をすすめることが多い |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
表の「奥」「手前」は、入口の扉を開けて中を見たときの位置です。入口から遠いほうが奥、入口に近いほうが手前です。
会議室と応接室
会議室は、机をはさんで、お客様の側と迎える側に分かれて座るのが一般的です。入口から遠い側の列がお客様、入口に近い側の列が迎える側です。それぞれの列の中では、入口から遠い席ほど上位の人が座ります。
応接室は、いすの種類でも分かれます。長いすは、ゆったり座れるので、お客様の席とされることが多くあります。迎える側は、向かいの一人がけのいすに座ります。長いすが入口の近くに置いてある部屋もあるので、自社の応接室は先輩に確かめます。
車:タクシーと、持ち主が運転する車で変わる
タクシーでは、運転席の後ろが上座、助手席が下座とされます。助手席の人は、運転手さんに行き先を伝え、支払いをします。若手が助手席に乗るのは、この役目を引き受けるためです。
お客様や上司が自分の車を運転するときは、助手席が上座とされます。運転する人の隣に誰も座らず、全員が後ろに乗ると、運転する人を運転手のように扱う形になるからです。
ただし、車は乗り降りのしやすさが人によって違います。奥まで入るのが大変な人、荷物が多い人、先に降りる人がいます。「奥の席と手前の席、どちらが乗りやすいですか」と聞いて構いません(説明用の例です)。
エレベーター
エレベーターでは、操作盤の前が下座、奥が上座とされます。操作盤の前に立った人が、扉を開けておき、行き先の階を押します。左右のどちらの奥が上位かは、説明によって違いがあります。
お客様を案内するとき、自分が先に乗るか後に乗るかも、会社によって教え方が違います。自社のやり方を先輩に聞きます。短い時間なので、順番を気にするより、扉を手で押さえ、お客様が安全に乗り降りできることを先にします。混んでいるときは、席順にこだわりません。
会食の席
和室では、床の間の前が上座とされます。床の間は、辞書(デジタル大辞泉「床の間」)に「日本建築で、座敷の床を一段高くし、掛け軸・置物・花などを飾る所。」とある場所です。床の間がなければ、入口からいちばん遠い席を上座と考えます。
テーブル席でも、入口から遠い席が上座です。下座の人は、店の人に声をかける、注文をまとめる、会計に立つ、といった役目をします。予約のときに、店の人へ「お客様をお迎えする席です」と伝えると、席を考えてもらえることがあります。
訪ねるとき・迎えるときの動き方と、言い方の例
営業は、訪ねる側にも、迎える側にもなります。立場が変わると、動き方が反対になります。
客先を訪ねたとき
- 部屋に通されたら、入口に近い側で待つ。席をすすめられていないときは、下座の近くで立って待ちます。奥の席に先に座っていると、後から入ってきた相手が、席をすすめる機会をなくします。
- 席をすすめられたら、その席に座る。「こちらへどうぞ」と奥の席をすすめられたら、「失礼いたします」と言って座ります。訪ねた側はお客様として迎えられているので、上座をすすめられるのは自然なことです。
- 上司と一緒なら、上司に奥へ進んでもらう。部屋に入る順番を、上司が先、自分が後にします。そうすると、上司が奥、自分が入口に近い席になります。
- かばんは足元に置く。隣のいすや机の上は、相手の場所です。足元の、自分のいすの横に置きます。
- 相手が入ってきたら、立ってあいさつする。座って待っていたときも、立ち上がります。名刺の渡し方は名刺交換のやり方にまとめています。
案内の人に「おかけになってお待ちください」とだけ言われ、席を示されなかったときは、入口に近い席に座って待ちます。相手が来て「どうぞ奥へ」と言われたら、そのとき移ります。
自社にお客様を迎えるとき
- 前もって部屋を見て、上座を決める。入口、いすの種類、画面の位置を見ます。迷う部屋は、先輩に聞いておきます。
- 扉を開け、奥の席を手で示して案内する。「どうぞ、奥の席へおかけください」と言います。手で示すと、相手はどの席かを迷いません。
- 自分は、入口にいちばん近い席に座る。お茶を受け取る、資料を取りに行く、といった用事を、話を止めずに引き受けられます。
- 帰りは、扉を開けて見送る。エレベーターまで送るか、玄関まで送るかは、会社のやり方に合わせます。
約束を取ってから当日までの準備はアポイントとは、手土産を渡す場面は手土産の渡し方にまとめています。
言い方を比べる
迎えるとき・惜しい言い方:「どこでも、お好きな席にどうぞ」
迎えるとき・良い言い方:「どうぞ、奥の席へおかけください」(手で席を示す)
訪ねたとき・惜しい言い方:「いえいえ、私はこちらで結構です」(すすめられた席を、何度も断る)
訪ねたとき・良い言い方:「ありがとうございます。失礼いたします」
4つとも説明用の例です。「お好きな席に」は親切に聞こえますが、相手に席を選ばせることになります。相手は、上座に自分から座ってよいのか迷います。迎える側が席を決めて示せば、相手は迷わずに座れます。
訪ねたときに遠慮を重ねると、相手は何度もすすめ直すことになり、話が始まりません。すすめられた席に座ることが、相手の案内を受け取ることになります。
迷いやすい判断
判断1:どこが上座か、見ても分からない部屋では?
入口が2つある、席が横一列に並んでいる、丸い机を囲む、といった部屋では、見ただけでは決めにくくなります。基準は、よく使う入口から遠く、人が後ろを通らない席です。
迎える側なら、その基準で一つ決めて、手で示して案内すれば足ります。訪ねる側なら、自分で決めず、相手の案内を待ちます。自社の部屋で迷うときは、「この部屋は、どの席にお客様をご案内していますか」と先輩に聞きます。
判断2:お客様が、下座に座ってしまったら?
一度だけ、「どうぞ、奥の席へ」とすすめます。「ここで結構です」と言われたら、そのままにします。入口に近いほうが楽な人、次の予定があってすぐ出たい人もいます。
基準は、席順より、相手の希望を先にすることです。くり返しすすめると、相手に気を使わせます。
判断3:画面を使う打ち合わせや、オンラインをつなぐ部屋では?
画面を見ながら話すときは、画面が見やすい席をお客様にすすめます。奥の席が画面に近すぎる、斜めで見にくい、という部屋では、入口からの遠さより見やすさを先にします。
「画面が見やすいので、こちらの席へどうぞ」と理由を添えると、相手も迷いません(説明用の例です)。自分は、機器を操作しやすく、入口に近い席に座ります。
判断4:タクシーで、お客様が「前に乗るよ」と言ったら?
お客様の言葉に従います。道をよく知っている、足を伸ばしたい、といった理由があるかもしれません。「ありがとうございます。では、お願いいたします」と言って、自分は後ろに乗ります。
その場合も、支払いは自分がします。降りる前に「こちらで支払います」と声をかけます。会社の決まり(領収書のもらい方など)は、前もって先輩に確かめます。
間違えたあとの立て直し方
席を間違えても、それだけで取引がなくなるものではありません。気づいたときに短く直し、話に戻ります。長いお詫びは、かえって相手に気を使わせます。
失敗1:客先で、先に上座に座ってしまった
その場では:相手が入ってきたら、立ち上がってあいさつします。「先に座らせていただいておりました。こちらの席でよろしかったでしょうか」と一言聞きます(説明用の例です)。「どうぞそのまま」と言われたら、そのまま座ります。
帰ってからの記録:「A社の応接室。案内の方に席を示されなかった。次からは、入口に近い席で待つ」のように、場所・起きたこと・次の動きを一行で書きます(説明用の例です)。
失敗2:自社で、お客様を下座に案内してしまった
その場では:お客様が座る前に気づいたら、「失礼しました。どうぞ、奥の席へ」と言い直します。話が始まった後に気づいたら、途中で席を替えてもらうことはしません。話を止めるほうが、相手の負担になるからです。
帰ってからの記録:同席した上司に、気づいたことを伝えます。「第2会議室で、入口側の席にご案内してしまいました。次からは奥の左の席にご案内します」(説明用の例です)。部屋ごとの上座をメモに残すと、次に同じ部屋を使う人も迷いません。報告の順番は報連相とはにまとめています。
失敗3:車で、自分が上座に乗ってしまった
その場では:走り出した後は、席を替えません。降りるときに先に降りて扉を押さえる、荷物を持つ、支払いを引き受けるなど、下座の人がする役目を引き受けます。
帰ってからの記録:「タクシーは、自分が助手席。行き先と支払いを受け持つ」と、次の動きを書きます。乗る前に、自分から「私が前に乗ります」と言えば、次は迷いません。
今日やることは一つです。次に使う部屋か車を一つ選び、上座と下座の場所、自分が待つ場所と座る席、かける一言を、下のシートに書いてください。
来てもらうお願いや、出迎えの一言は、「ご足労」の使い分けにまとめています。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
次に使う会議室や応接室の見取り図(頭の中でもよい)、同行する人の名前、メモ用紙。
記入例を見る(説明用)
場面=来週の火曜、自社の第2会議室。A社の佐藤様と上司の方の2名が来社。こちらは課長と自分/その部屋や車の上座と下座=入口は部屋の手前の右。上座は、入口からいちばん遠い奥の左の席。下座は、入口のすぐ横の席/自分が待つ場所と、座る席=受付まで迎えに行き、部屋では扉を開けて先に入っていただく。自分は入口のすぐ横の席。課長はその隣/席をすすめるとき・すすめられたときの一言=「どうぞ、奥の席へおかけください」。自分が客先ですすめられたときは「失礼いたします」/分からないときに聞く人と、聞き方=課長に、前の日に聞く。「第2会議室は、奥の左の席にお客様をご案内する形でよいでしょうか」。(会社名・人名・部屋は説明用の例です)
CHECK
ここまでできたら、次へ。
次の場面について、上座と下座の場所が「入口から見てどこか」で書いてあり、自分が待つ場所・座る席・かける一言が決まっている。
うまく進まなかったときは?
上座が分からなければ、入口からいちばん遠い席に印を付け、先輩に「この部屋は、ここにお客様をご案内する形でよいですか」と聞く。客先での動き方が不安なら、「すすめられるまで入口の近くで待つ」の一つだけ決める。一言が出てこなければ、「どうぞ、奥の席へ」と「失礼いたします」の二つだけ書く。