NOTE 13 · 営業の実践ノート
営業三ヶ条:タイミング・フィーリング・ハプニングを行動にする
公開:2026年10月2日/更新:2026年10月4日
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「タイミング・フィーリング・ハプニング」の三つは、迷った商談を振り返るための軸です。タイミングは相手の検討がどこまで進んでいるか、フィーリングは手応えの元になった相手の言葉、ハプニングは予定していなかった出来事を見ます。最初から全部を使いこなす必要はありません。その日に困った場面へ、一つだけ当てはめます。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 商談が予定どおりに進まず、何を振り返ればよいか、見る場所が欲しいとき。
- 1
相手がいま、何を決められる段階かを見る
- 2
手応えの根拠になった、相手の言葉を書く
- 3
予定外の出来事と、その影響を分ける
- 4
次に確認することを一つ決める
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
三つの言葉は、商談を振り返るときの「見る場所」
商談が終わったあと、「なんとなくうまくいった」「なんとなくだめだった」で終わってしまうことがあります。これでは、次に何を変えればよいかが分かりません。
営業三ヶ条は、振り返るときに見る場所を、三つに決めておく考え方です。運営者のウッシが、自分の営業の経験から作りました。
| 言葉 | 見るところ | 自分に聞く質問 |
|---|---|---|
| タイミング | 相手がいま、何を判断できる段階か | 「今日、相手は何を決められる状態だったか」 |
| フィーリング | 手応えの根拠になった、相手の言葉 | 「そう感じたのは、相手のどの一言からか」 |
| ハプニング | 予定外に起きたことと、その影響 | 「予定と違ったことは何か。何に影響するか」 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
カタカナの言葉ですが、難しい理論ではありません。三つとも、「感じたこと」を「確かめられること」に置き換えるための問いかけです。
使うのは、商談が終わった直後の5分ほどです。車や電車の中、会社に戻る前に、三つの質問に一行ずつ答えます。時間がたつと、相手の言葉や、予定と違ったことは思い出しにくくなります。
言葉を覚えるだけでは、次の商談は変わりません。ここから一つずつ、明日できる行動に置き換えます。
タイミング:相手がいま、何を判断できるかを確かめる
タイミングとは、相手の検討がどこまで進んでいるか、ということです。営業側が用意した順番だけで説明を進めても、相手の段階と合っていなければ、話は進みません。
相手がまだ自分たちの状況を整理している段階なら、先に現状を聞きます。反対に、数量と条件がそろっていて、相手が見積もりを求めているなら、質問を重ねて待たせずに、その回答を進めます。
段階が分からないときは、相手に聞いて構いません。
「今日は、比較する条件を整理する段階でしょうか。それとも、導入するかどうかまで検討されていますか。」
初心者に起きやすいのは、用意した説明を最後まで話しきろうとすることです。相手が「まず、うちの状況を聞いてほしい」と思っている段階で価格の話を続けると、相手は判断できません。逆に、相手が「いくらになるか知りたい」と言っているのに、現状の質問を続けると、待たせることになります。
明日できる行動:商談の前に、「今日、相手に決めてもらえそうなことは何か」を一行書きます。終わったら、実際はどの段階だったかを書き足します。段階は、「状況を整理している」「条件を比べている」「導入するか決めようとしている」の3つくらいに分ければ十分です。
フィーリング:手応えを、相手の言葉に戻す
フィーリングとは、商談中に感じた手応えのことです。「話が合った」「反応がよかった」という感覚は、会話の手がかりになります。ただ、話が合ったと感じても、購入が決まるとは限りません。
そこで、感じたことを、相手が実際に言った言葉に戻します。「反応がよかった」とメモする代わりに、「『比較資料があれば社内に見せられる』と言われた」と書きます。
言葉が残っていれば、次にすることが見えます。この例なら、次は「誰が、何を見て判断するのか」を確認します。感覚は会話の手がかりにして、結論は確認できた条件で考えます。
書き換えの例を、3つ並べます。
| 感じたこと | 相手の言葉に戻すと | 次に確認すること |
|---|---|---|
| 反応がよかった | 「比較資料があれば、社内に見せられる」 | 誰が、何を見て判断するのか |
| 乗り気ではなさそうだった | 「いまは忙しい時期で」 | 落ち着く時期はいつか。その頃に連絡してよいか |
| 価格で迷っている気がした | 「もう少し安くならないか」 | 何と比べて高いと感じているのか |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
反対の手応えも同じです。「だめそうだ」と感じたら、そう感じた一言を書きます。相手の言葉を思い出せないときは、「未確認」と書きます。思い出せないこと自体が、次の商談でメモする理由になります。
明日できる行動:商談中に、相手の言葉を一つ、言い換えずにそのままメモします。メモの直し方は、商談メモ添削で紹介しています。
ハプニング:予定外が起きたら、今日できることを選び直す
ハプニングとは、予定していなかった出来事です。会うはずの担当者が不在だった。持っていった資料の数字が間違っていた。そうした場面を指します。
資料の数字が間違っていたら、そのまま説明を続けません。どこに影響するかと、いつ直したものを渡せるかを伝えます。担当者が不在なら、その場にいる人と、今日確認できる範囲を相談します。
「申し訳ありません。この表の数量に誤りがあります。金額の部分に影響しますので、訂正したものを明日の午前中にお送りします。今日は、数量以外の条件を確認させていただけますか。」
無理に当初の予定へ戻そうとするより、「今日決められること」と「持ち帰ること」を分けます。
予定外の出来事ごとに、最初の一手を決めておくと、その場で慌てにくくなります。
- 会うはずの人が不在だった:その場にいる人に、今日確認できる範囲を相談する。次に会える日を聞く
- 資料に誤りがあった:影響する範囲と、訂正したものを渡す日を伝える
- 予定より時間が短くなった:「今日は、これだけ確認させてください」と、聞くことを一つに絞る
- 答えられない質問が出た:「確認して、明日中にご連絡します」と、期限を添えて持ち帰る
明日できる行動:商談のあとに、「予定と違ったこと」と「それが何に影響するか」を一行ずつ書きます。誤りに気づいたときの報告の仕方は、営業で失敗したときにまとめています。
手順と記入例:終わった商談を一件、三つの言葉で振り返る
- 終わった商談を一件選ぶ。予定どおりに進まなかった商談のほうが、書くことが見つかりやすくなります。
- 判断の段階を書く。相手は、何を決められる状態だったか。分からなければ「未確認」と書きます。
- 相手の発言を一つ書く。自分の感想ではなく、相手が言った言葉です。
- 予定外の事実と、その影響を書く。なければ「なし」で構いません。
- 次の行動を一つ決める。誰に、何を確認するかまで書きます。
説明用の記入例です。
| 欄 | 記入例 |
|---|---|
| 判断の段階 | 条件を比べている段階。導入するかどうかは、まだ決められない |
| 相手の発言 | 「現場にも資料を見せたい」 |
| 予定外の事実 | 判断する責任者が不在だった |
| 影響 | 今日は、導入するかどうかを聞けない。現場の人が何を見たいのかも分からない |
| 次の行動 | 現場の人が比べたい条件を、担当者に確認する |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
五つの欄は、実践シートと同じ並びです。「判断の段階」がタイミング、「相手の発言」がフィーリング、「予定外の事実」と「影響」がハプニングに当たります。
相手が社内で見せやすい資料の作り方は、一人歩きできる資料を参考にしてください。
よくある失敗と、よくある質問
- 三つの言葉を唱えて、終わりにする。直し方:言葉ごとに、書くことを一行決めます。次に取る行動が一つ決まるまでを、振り返りにします。
- 「タイミングを見る」つもりで、質問を続けすぎる。直し方:相手が見積もりを求めていて、条件もそろっているなら、質問で止めずに回答を進めます。
- ハプニングを隠して、予定どおり進めようとする。直し方:数字の誤りに気づいたら、影響する範囲を伝えて、訂正を優先します。
三つのうち、どれから始めればよいですか
迷ったら、フィーリングから始めます。相手の言葉を一つメモするだけなので、次の商談からすぐに試せます。言葉が残っていれば、タイミング(相手の段階)も後から考えやすくなります。
予定外のことが何も起きなかった日は
「予定外の事実」の欄は、「なし」と書いて構いません。そのかわり、「予定どおり進んだのは、何を準備していたからか」を一行足すと、次も使える準備が残ります。
三つを一度に使おうとしなくて構いません。今日の商談でいちばん困った場面に、一つだけ当てはめてみてください。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
相手が求める判断、実際の言葉、予定外に起きたこと。
記入例を見る(説明用)
判断の段階=条件を比べている段階/相手の発言=「現場にも資料を見せたい」/予定外の事実=判断する責任者が不在だった/影響=今日は導入するかどうかを聞けない/次の行動=現場の人が比べたい条件を、担当者に確認する。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
三つの言葉を唱えるだけでなく、次に取る具体的な行動が一つ決まる。
うまく進まなかったときは?
相手が見積もりを求め、条件がそろっているなら質問で止めない。数字の誤りがあるなら影響範囲を明示し修正を優先。