NOTE 159 · 営業の実践ノート
ビジネス手帳の選び方:営業が、形・大きさ・始まる月で比べる手順
公開:2026年10月4日
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ビジネス手帳は、先に「何を書くか」と「会社の予定表とどちらを正にするか」を決めてから、形・大きさ・始まる月の3つで比べます。会社の予定表やスマートフォンで足りているなら、買う必要はありません。この記事では、使い分けの決め方、見開きの形の違い、大きさと始まる月、約束を書くときの項目を順に説明します。予定をどこに書くかは、会社の決まりが先です。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 訪問の約束が増え、予定をどこに書けばよいか、どんな手帳を選べばよいか迷うとき。
- 1
会社の決まり(予定表の使い方・顧客の情報の扱い)を確かめる
- 2
手帳に書くことと、どちらを正にするかを決める
- 3
形・大きさ・始まる月を、一つずつ決める
- 4
書く項目を決め、なくさない工夫をする
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
ビジネス手帳とは:予定と約束を、手元で書いて見る道具
手帳について、辞書(デジタル大辞泉「手帳」)には、「いつも手もとに置いて、心覚えのためにさまざまの事柄を記入する小形の帳面。」とあります。この記事では、仕事の予定や約束を書くために使う手帳を、ビジネス手帳と呼びます。何を「ビジネス手帳」と呼ぶかについて、公的な決まりは見当たりません。
営業の仕事では、約束が毎日増えます。訪問の日時、見積書を出す期限、電話をかけ直す約束。お客様の前で「次は、いつにしましょうか」と聞かれたときに、自分の予定がすぐに見えないと、その場で日を決められません。
ただし、予定を見る道具は、手帳だけではありません。会社の予定表(パソコンやスマートフォンで見る物)を使う会社もあります。会社の予定表やスマートフォンで足りているなら、手帳を買う必要はありません。
手帳を持つかどうかは、次の点を見て決めます。
| 比べる所 | 会社の予定表・スマートフォン | 紙の手帳 |
|---|---|---|
| ほかの人から見えるか | 上司や同僚が、同じ予定を見られる | 自分しか見られない。見せるには、開いて見せる |
| 直しやすさ | 日時を動かしやすい | 書き直した跡が残る。消せる筆記具を使う方法もある |
| 書くときの動き | 画面を開いて入力する | 開いて、ペンで書く |
| お客様の前で | 画面を見ることになる | 開いて書く。ほかの予定が相手に見えないよう気をつける |
| なくしたとき | 会社の決まりに従って報告する | 中に書いた物が、そのまま読める。会社の決まりに従って報告する |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
どちらが良い、という決まりはありません。会社が予定表に入れる決まりにしているなら、予定表が先です。手帳は、その上で、自分の手元用に使う物になります。
選ぶ前に決めること:会社の決まり・どちらを正にするか・書くこと
売り場には、形も大きさも違う手帳が並びます。先に次の3つを決めておくと、見る所が絞れます。
- 会社の決まりを確かめる。予定を会社の予定表に入れる決まりがあるか。手帳に顧客の情報を書いてよいか、どこまで書いてよいか。会社が手帳を配っていないか。就業規則や社内の案内を見て、分からなければ先輩に聞きます。
- どちらを正にするかを決める。会社の予定表と手帳の両方に書くなら、食い違ったときに、どちらを信じるかを先に決めます。
- 手帳に書くことを、3つ書き出す。訪問の約束、期限、訪問の後にやること、などです。書くことが決まると、要る欄の広さが決まります。
2を決めるのは、二重に書くと、片方だけを直すことがあるからです。お客様から電話で日時の変更を頼まれ、手帳だけを直した。会社の予定表は元のまま。上司は予定表を見て、元の日時に同行するつもりでいた。こうした食い違いは、どちらが正かが決まっていないと、気づくのが当日になります。
決め方の例です。説明用の例です。
惜しい決め方:「両方に書いておけば安心」と考え、書く順も、見比べる時も決めない。
良い決め方:「会社の予定表が正。外で決まった約束は、その場で手帳に書き、会社に戻ったら予定表に入れる。毎朝、予定表と手帳を見比べる」と決める。
惜しい決め方は、両方に書くつもりでも、忙しい日に片方が抜けます。抜けたことに気づく時もありません。良い決め方は、正が一つで、写す時と見比べる時が決まっています。食い違いがあっても、次の朝に見つかります。
3で書くことを絞るのは、手帳に何でも書こうとすると、欄が足りなくなるからです。商談の中身は、ノートや会社の記録の仕組みに書き、手帳には予定と約束だけを書く、という分け方があります。
見開きの形の違い:開いたときに、何が見えるか
手帳の形は、開いたときに、どれだけの期間が見えるかで分かれます。呼び名は、メーカーによって少しずつ違います。ここでは、手帳のメーカーである高橋書店の公式ページで確かめられた呼び名と説明を引用し、それ以外は言葉で説明します。売り場では、呼び名より、中のページを開いて確かめるのが確かです。
| 形 | 開くと見えるもの | 書ける量 | こんな予定の人が比べる候補 |
|---|---|---|---|
| 見開きで一か月が見える形(月間) | 一か月の日付が、カレンダーのように並ぶ | 一日の欄は小さい。約束の時刻と相手を書く程度 | 約束が一日に1件ほどで、先の予定を広く見たい |
| 一週間が見える形のうち、片方のページがメモの物(レフト式) | 片方に一週間の日ごとの欄、もう片方にメモの場所 | 一日に数行と、メモ | 約束と一緒に、その週にやることを書き留めたい |
| 一週間の時間の目盛りが縦に並ぶ形(バーチカル式) | 一週間の日が横に並び、それぞれの日に時間の目盛りが縦に付く | 時刻ごとに書ける | 一日に約束が何件もあり、移動の時間も見たい |
| 1日で1ページを使う形 | その日の1ページ | 一日の中身をたくさん書ける | 約束と一緒に、商談のメモまで一冊に書きたい |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
レフト式について、高橋書店「手帳の選び方 レフト式 1」は、「見開きの左ページは日ごとの記入欄、右ページがまるっとメモスペースになっているタイプですね。」と説明しています。
バーチカル式は、「バーティカル式」とも書かれます。高橋書店「手帳の選び方 バーティカル式 1」は、この形について「縦の時間軸で予定やできごとを管理できる」と説明しています。
一週間が見える形の手帳には、一か月が見えるページも付いていることがあります。同じ高橋書店のページ(高橋書店「手帳の選び方 レフト式 1」)には、「月間ページにプラスして、週間ページにもう少し細かく日々の予定を書き込めます。」とあります。付いているかどうかは商品によるので、中を開いて確かめます。
選ぶときの基準は、一日の約束の数と、どのくらい先まで一度に見たいかの二つです。
- 先週の予定を見て、一日の約束がいくつあったかを数える。多い日で何件だったかを書く
- お客様と次の日を決めるとき、何週間先まで見ることが多いかを思い出す
- 時刻まで書きたいか、日付と相手だけで足りるかを決める
約束が一日に何件もある人が、一日の欄の小さい形を選ぶと、書ききれなくなります。反対に、約束が少ない人は、一か月が見える形のほうが、先の予定を広く見られます。
大きさと、始まる月
大きさ:入れる場所から決める
大きさは、どこに入れて持ち歩くかで決めます。大きい手帳は、欄が広く、字を大きく書けます。その分、重く、上着のポケットには入りません。小さい手帳は、持ち歩きやすい一方、書ける量が少なくなります。
| 入れる場所 | 確かめること |
|---|---|
| 上着の内ポケット | ポケットに入る幅と高さか。入れたときに上着の形がくずれないか |
| かばんの内ポケット | ポケットの内側の寸法。立ったまま片手で出せるか |
| かばんの中(ノートと一緒) | ノートと同じ大きさにそろえるか。重さ |
| 机の上に置いたまま | 持ち歩かないなら、大きさより欄の広さを優先できる。ただし、外で決まった約束を書けない |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
販売ページでは、大きさが「A5」「A6」のように、紙の規格の名前で書かれていることがあります。辞書(デジタル大辞泉「A判」)の補説には、A判の寸法(単位はミリ)として、「A5:148×210」、「A6:105×148」とあります。これは紙の寸法です。表紙やカバーが付くと、外側は一回り大きくなります。販売ページに書かれた外側の寸法を、入れる場所の寸法と比べます。規格の名前が付かない、メーカーごとの大きさの手帳もあります。
営業の場面で見ておきたいのは、立ったまま書けるかです。訪問先の玄関先で約束が決まることがあります。店で見られるなら、手に持って開き、片手で持って書けるかを試します。
始まる月:1月始まりと4月始まり
手帳には、日付が何月から始まるかの違いがあります。高橋書店の高橋書店「手帳の使い方ガイド」には、次のように書かれています。
主に新年のスタートから使える「1月始まり手帳」、
新年度から使える「4月始まり手帳」がほとんどですが、
選ぶ基準は、自分の仕事の区切りが、いつかです。
- 会社の年度や、売上の目標の区切りが4月からなら、4月始まりだと、一冊が一つの年度に重なる
- 区切りが1月からの会社や、年の初めから使い始めたい人は、1月始まり
- 入社や異動の月に合わせて買うなら、その月が入っているかを、販売ページで確かめる
どの月から、どの月までのページが入っているかは、商品ごとに違います。始まる月の少し前から書ける物もあります。「いつから、いつまで書けるか」を、販売ページか中のページで確かめます。年の途中で買うと、すでに過ぎた月のページは使わないことになります。それでも構わないか、次の始まりの月まで、ノートの1ページでつなぐかを決めます。
約束を書くときの項目:日時・相手・場所・持ち物・次にやること
手帳に約束を書くときは、次の5つを書きます。後で見た自分が、ほかの物を調べなくても動けるようにするためです。
| 項目 | 書くこと | 書き方の例(説明用) |
|---|---|---|
| 日時 | 始まる時刻と、終わる見込みの時刻 | 14:00〜15:00 |
| 相手 | 会社名と、会う人の名前 | A社 佐藤様 |
| 場所 | 訪問先の建物、階、受付のしかた。オンラインなら、そう書く | 本社3階 受付で内線 |
| 持ち物 | その約束のために持つ物 | 見積書2部、カタログ、サンプル |
| 次にやること | 訪問の後に、いつまでに何をするか | ◯日までに見積を出し直す |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
書き方の例を並べます。説明用の例です。
惜しい書き方:「14時 A社」
良い書き方:「14:00〜15:00 A社 佐藤様/本社3階/見積書2部・カタログ/移動 13:20発」。訪問の後、同じ日の欄に「→◯日までに見積を出し直す」と足す。
惜しい書き方は、書いた日には分かります。けれども、一週間後に見ると、誰に会うのか、何を持つのかを、メールを開いて調べ直すことになります。良い書き方は、前の日に手帳を見るだけで、持ち物の準備と、出る時刻が決まります。
「次にやること」を約束と同じ所に書くのは、訪問が終わった後の動きを忘れないためです。お客様に「検討します」と言われた後、いつ・何を連絡するかの考え方は、「検討します」の後にまとめています。
まだ決まっていない約束は、決まった約束と見分けが付くように書きます。日程の候補を相手に出しているあいだ、その日時は、ほかの約束を入れないように押さえておきます。「仮」と書く、鉛筆で書く、かっこで囲む、などのやり方があります。決まったら書き直し、外れた候補は消します。候補日の出し方は、日程調整メールの書き方、電話で約束をお願いするときの言い方は、営業のアポ取りにまとめています。
手帳に書かないことを決める
手帳は、外へ持ち歩く物です。なくしたとき、中に書いた物は、拾った人がそのまま読めます。書かないことを、先に決めておきます。
- 顧客の情報を、手帳にどこまで書いてよいかは、会社の決まりに従う
- 決まりが無い場合も、約束に要る物(日時・会社名・相手の名前・場所)にとどめる
- 金額、契約の中身、相手の個人の連絡先、暗証番号や合い言葉は、書かない
迷いやすい判断と、なくした・置き忘れたとき
判断1:紙の手帳と、スマートフォン。どちらにする?
会社の決まりがあれば、それが先です。決まりが無いときの基準は、約束が決まったその場で、すぐ書けるのはどちらかです。お客様の前でスマートフォンを出しにくい場面が多いなら、紙に書いて後で写す。画面で予定を見るほうが早いなら、紙は持たない。どちらを選んでも、正を一つに決めることは同じです。
判断2:仕事の予定と、私用の予定を、一冊に書いてよい?
一冊にまとめると、予定の重なりに気づきやすくなります。一方で、お客様や同僚の前で開いたときに、私用の予定が見えます。基準は、人前で開いて困らないかです。困るなら、私用は「私用」とだけ書く、別の所に書く、のどちらかにします。会社から配られた手帳に私用を書いてよいかは、会社の決まりに合わせます。
判断3:商談のメモまで、手帳に書く?
基準は、後で、誰が読むかです。自分だけが見る覚え書きなら、手帳に書いて構いません。上司に報告したり、引き継いだりする中身は、会社の記録の仕組みか、ノートに書きます。手帳に書いた中身は、手帳をなくすと一緒になくなり、ほかの人は読めないからです。
判断4:高い手帳を買えば、続く?
値段と、続くかどうかの関係は、ここでは言えません。続くかどうかに関わるのは、開く時が決まっているかです。「朝、席に着いたら開く」「約束が決まったら、その場で書く」「帰る前に、明日のページを見る」の3つを先に決めます。買う前に、ノートの1ページで一週間試すと、自分に要る欄の広さが分かります。
なくした・置き忘れたとき
なくさない工夫:入れる場所を一つに決めます。かばんの決まったポケットか、上着の内ポケットです。訪問先や飲食店で席を立つ前に、机の上と椅子の上を見ます。電車では、手帳をひざの上や網棚に置きません。
その場では:無いと気づいたら、最後に開いた場所を思い出し、かばんと上着をもう一度見ます。訪問先に置き忘れたかもしれないときは、自分だけで取りに戻る前に、上司に報告します。手帳に顧客の情報を書いているなら、見つかる前でも報告します。報告する中身は、いつ・どこで無いと気づいたか、最後に見た場所、何が書いてあるか、の3つです。その先の動き(訪問先への連絡、届け出など)は、会社の決まりに従います。
上司への言い方の例です(説明用の例です)。「ご報告です。手帳が見当たりません。15時にA社を出た後、駅で気づきました。最後に開いたのは、A社の応接室です。中には、今月の訪問先の会社名とお名前、日時が書いてあります。A社へ問い合わせてよいか、ご指示をお願いします」。
手帳が無いあいだの予定は、会社の予定表で確かめます。予定表が正、と決めてあれば、ここで困りません。手帳だけに書いていた約束があるなら、思い出せる分を書き出し、相手に確かめる前に、上司に相談します。
後の記録:どこで、なぜ手から離れたかを書きます。「応接室で、資料を出すために机に置き、そのまま資料の下になった」のような形です(説明用の例です)。次に変えることを一つ決めます。「手帳は、書いたらすぐかばんに戻す。机の上に置かない」のように、動きで書きます。
今日やることは一つです。会社の予定表と手帳のどちらを正にするかを決め、手帳に書くことを3つ書き出してください。形と大きさを見るのは、その後で間に合います。机の上の置き場所はデスク周りの収納、持ち帰った書類の分け方は書類の整理にまとめています。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
会社の予定表(見られる画面か、印刷した物)、今週と来週の予定、いま使っているノートや手帳、ふだんのかばん、会社の決まりが分かるもの。
記入例を見る(説明用)
会社の決まりで確かめたこと=訪問の予定は、会社の予定表に入れる決まり。手帳を使うのは自由。顧客の個人の電話番号は、手帳に書かない(先輩に確認済み)/どちらを正にするか=会社の予定表が正。約束が決まったら、その場で手帳に書き、会社に戻ったら予定表に入れる。毎朝、予定表と手帳を見比べる/手帳に書くこと=訪問の約束(日時・相手・場所)、持ち物、訪問の後に次にやること/形と、選んだ理由=一週間の時間の目盛りが縦に並ぶ形。一日に訪問が2〜3件あり、移動の時間も書きたいため/大きさと、始まる月=かばんの内ポケットに入る大きさ。売り場で、かばんに入れて確かめる。会社の年度が4月からなので、4月始まり/なくさない工夫と、報告する相手=かばんの決まったポケットに入れる。席を立つ前に、机の上を見る。なくしたら、すぐ鈴木課長に報告する。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
会社の予定表と手帳のどちらを正にするかが決まり、手帳に書くことが3つ書いてあり、形・大きさ・始まる月をそれぞれ一つ選んだ理由が言える。
うまく進まなかったときは?
書くことが思いつかなければ、先週の予定を紙に書き出し、「どこに書いてあれば困らなかったか」を考える。形が決められなければ、一日の約束の数を数える。会社の予定表だけで足りていると分かったら、手帳は買わずに、ノートの1ページに今週の約束を書いて一週間試す。