NOTE 158 · 営業の実践ノート
書類の整理:営業の書類を「動いている件・終わった件・保管」で分ける手順
公開:2026年10月4日
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書類の整理は、「いま動いている件・終わった件・保管」の3つに分けることから始めます。営業の手元には、見積書の控え、契約書の写し、カタログ、議事録、名刺が集まります。この記事では、分ける手順、並べ方、ファイルの背の書き方、道具を選ぶときに比べる点を順に説明します。紙とデータのどちらを正にするか、いつ捨ててよいかは、会社の決まりが先です。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに お客様から問い合わせが来たときに、見積書の控えや前回のメモがすぐに出てこないとき。
- 1
会社の決まり(残す書類・捨て方・持ち出し)を確かめる
- 2
書類を「動いている件・終わった件・保管」に分ける
- 3
取引先ごとにまとめ、背に名前と件名を書く
- 4
終わった件を移す日と、見直す日を決める
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
書類の整理とは:要るときに出せる状態にすること
書類の整理とは、手元の書類を分けて、要るときにすぐ出せる状態にすることです。きれいに並べることが目的ではありません。
辞書(デジタル大辞泉「整理」)は、「整理」の意味として、「乱れた状態にあるものを整えて、きちんとすること。」と、「無駄なもの、不要なものを処分すること。」の二つを挙げています。書類の整理にも、この二つがあります。分けて並べることと、要らなくなった物を手元から外すことです。
書類を分けて整えることは、ファイリングとも呼ばれます。デジタル大辞泉「ファイリング」には、「書類や資料、新聞・雑誌の切り抜きなどを、業務に役立つように分類・整理すること。」とあります。大事なのは、「業務に役立つように」の所です。
営業の手元に集まる書類は、次のような物です。
- 見積書の控え、注文書や納品書の写し
- 契約書の写し
- カタログ、価格表、提案の資料
- 議事録、商談のメモ
- 受け取った名刺
これらが役に立つのは、お客様から問い合わせが来たとき、上司に聞かれたとき、担当が替わるときです。そのときに出てこなければ、相手を待たせ、記憶で答えることになります。記憶で答えた金額や納期が違っていると、後で直すことになります。
分ける前に、会社の決まりを確かめます。次の3つです。
- 紙とデータの、どちらを正にするか。会社の仕組みに入っているデータが正で、紙は手元の確認用、という会社があります。紙の原本を決まった場所に保管する会社もあります。
- いつまで残し、どう捨てるか。書類によって、残す期間が決まっていることがあります。この記事では、期間の数字は扱いません。経理・総務か上司に確かめます。
- 持ち出してよい書類と、持ち帰ってよい書類。顧客の情報が書かれた書類の扱いは、会社の決まりに従います。
3つに分ける手順:いま動いている件・終わった件・保管
分ける基準は、その件が、いま動いているかです。書類の種類(見積書・議事録など)で分けると、一つの件の書類が、いくつもの場所に分かれます。お客様から電話が来たときに要るのは、「A社の、あの件の書類ひとそろい」です。件ごとにまとまっているほうが、一度で出せます。
- 手元の書類を、一か所に集める。机の上、引き出し、かばんの中の書類を出します。顧客の情報が書かれた書類は、広げたまま席を離れません。
- 一枚ずつ見て、3つに分ける。いま動いている件、終わった件、保管の3つです。迷う物は「保留」にします。
- いま動いている件を、件ごとにまとめる。一つの件を、クリアファイルか個別フォルダ1つに入れます。見積書の控え、議事録、相手から受け取った資料を、同じ所に入れます。
- 終わった件を、移す。机の上から外し、引き出しの下の段や、決まった棚に移します。捨ててよいかは、ここでは決めません。
- 保管する物を、決まった場所に入れる。カタログや価格表、会社の決まりの資料などです。古い版が混ざっていないかを見ます。
| 分け方 | 当てはまる書類 | 置く場所の例 |
|---|---|---|
| いま動いている件 | 返事を待っている見積、準備中の訪問、納品が済んでいない注文 | 机の上か、すぐ手が届く所に立てる |
| 終わった件 | 納品と請求が済んだ件、断られた件、見送りになった件 | 引き出しの下の段、決まった棚。残す期間は会社の決まりに合わせる |
| 保管 | カタログ、価格表、社内の手引き、研修の資料 | ファイルボックス。版が新しいかを見る |
| 保留 | どの件か分からない紙、捨ててよいか分からない紙 | クリアファイル1つに入れ、聞く相手をふせんに書く |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
「終わった」の線は、迷いやすい所です。ここでは、自分が次にやることが残っていない件を、終わった件とします。断られた件も、次にやることが無ければ、終わった件です。「半年後にもう一度連絡する」と決めた件は、連絡する日を予定表に書いてから、終わった件に移します。
契約書の原本は、営業の手元に置かない決まりの会社もあります。手元にあるのが写しなのか原本なのかを確かめ、原本なら、どこへ渡す決まりかを聞きます。
名刺は、紙の書類とは別の入れ物にまとめます。受け取った日と、会った件をメモしておくと、後で件の書類とつながります。会社で名刺を登録する仕組みがあれば、そちらが先です。交換した後の動きは、名刺の渡し方・名刺交換のやり方にまとめています。
並べ方と、ファイルの背の書き方
取引先ごとか、日付順か
並べ方には、取引先ごとにまとめる方法と、日付の順に重ねる方法があります。どちらが正しい、という決まりはありません。探すときに、何を手がかりにするかで決めます。
| 並べ方 | 向いている書類 | 探すときの手がかり | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 取引先ごと | 見積書の控え、議事録、相手から受け取った資料 | 「A社の件」 | 取引先が増えると、ファイルの数が増える。並べる順(五十音順など)を決める |
| 日付順 | 日報、社内の回覧、会議の資料 | 「先月の中ごろ」 | どの取引先の紙かが、すぐには分からない。件名を書いておく |
| 取引先ごとの中を、日付順 | 一つの件が長く続くとき | 「A社の件の、最初の見積」 | 新しい紙を手前にするか、後ろにするかを決めてそろえる |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
「A社の件」と言われて探す書類は、取引先ごとを出発点にします。部署や会社で並べ方が決まっているなら、そちらに合わせます。自分だけ別の並べ方にすると、休んだ日に、ほかの人が探せません。
ファイルの中は、新しい紙を手前にするか、古い紙を手前にするかを、どちらかに決めます。混ざっていると、「一番新しい見積はどれか」を、毎回日付を見て確かめることになります。見積書を出し直したときは、古い控えに「◯月◯日に出し直し」と書いておくと、どれが今の物かが分かります。見積書の項目の意味は、見積書の書き方にまとめています。
ファイルの背に書くこと
背とは、ファイルを立てて並べたときに、こちらを向く細い面のことです。ここに書いた言葉が、探すときの手がかりになります。書くのは、次の3つです。
- 誰の件か。取引先名。似た名前の会社があるなら、部署や地名まで
- 何の件か。「機械の見積」「納期の変更」のように、短い言葉で
- いつからか。始めた年と月
例を並べます。説明用の例です。
惜しい書き方:「見積」「その他」「重要」
良い書き方:「A社/機械の見積/◯年◯月〜」「B社/納期の変更/◯年◯月〜」
「見積」だけでは、どの会社の見積かが分かりません。「その他」「重要」は、入れた日には意味が分かりますが、何週間か後には、開けてみないと中身が分かりません。良い書き方は、開けなくても、誰の・何の・いつからの書類かが読めます。
背に取引先名を書くと、通りかかった人にも、どの会社と取引があるかが読めます。来客が通る場所に机がある職場や、背に取引先名を書かない決まりの職場では、番号や記号で書き、対応の表を別に持つやり方もあります。会社の決まりに合わせます。
道具を選ぶときに比べる点
分け方と並べ方が決まると、何がいくつ足りないかが分かります。先に、会社の備品を確かめます。クリアファイルやファイルが、備品として置いてある会社もあります。総務か先輩に「個別フォルダは、備品にありますか」と聞きます。
| 道具 | 使いどころ | 比べる点 |
|---|---|---|
| クリアファイル | 一つの件の書類をはさむ。持ち出すとき | 大きさ(A4が入るか)。透明か、色付きか。厚み |
| 個別フォルダ | 一つの件の書類をはさみ、立てて並べる | 見出しを書く所があるか。紙の厚み。ファイルボックスに入る大きさか |
| ファイルボックス | ファイルやフォルダを立てて入れる | 内側の幅と奥行き。縦に置く形か、横に置く形か。背に名前を書けるか |
| 書類ケース | 持ち出す書類をまとめる。かばんの中で折れにくくする | 口が閉まるか。かばんに入る大きさか。中が外から見えるか |
| とじるファイル | 順番を変えたくない書類。穴をあけてよい書類 | とじる枚数。背の幅。穴をあけてよい書類かを先に確かめる |
| ラベル・ふせん | 背や見出しに名前を書く | 書きやすさ。はがせるか。貼る所の幅に合うか |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
比べるときの軸は、3つです。
大きさ。入れる書類の大きさと、置く場所の内側の寸法を、先に測ります。A4の書類を入れるなら、入れ物の内側がA4より大きいかを見ます。A4の寸法は、辞書(デジタル大辞泉「A4判」)に「210ミリ×297ミリの大きさ」とあります。クリアファイルやフォルダに入れると一回り大きくなるので、「A4のファイルが入る」と書かれているかも見ます。
中が見えるか。透明な入れ物は、開けなくても中が分かります。その一方で、顧客の名前や金額が外から読めます。持ち出す書類には、中が見えにくい物を使う、一番外側に白い紙を一枚入れる、などのやり方があります。
出し入れの回数。毎日出し入れする書類を、とじるファイルに入れると、そのたびに金具を開けることになります。いま動いている件は、はさむだけの物に入れ、終わった件をとじる、という分け方もあります。穴をあけてはいけない書類(原本など)があるので、とじる前に確かめます。
場面で変わるところ:捨てる前・持ち出すとき・担当が替わるとき
捨てる前に確かめること
終わった件の書類が増えてくると、捨てたくなります。捨てる前に、次の4つを確かめます。自分の判断だけで捨てません。
- 残す決まりがある書類ではないか。書類によっては、残す期間が決まっています。経理・総務か上司に、「この書類は、いつまで残す決まりですか」と聞きます。
- 原本か、写しか。原本は、手元で捨てません。保管する部署に渡します。
- データが、会社の仕組みに残っているか。紙しか無い書類を捨てると、戻せません。
- 捨て方。顧客の情報が書かれた書類は、会社の決まりどおりに捨てます。ふつうのごみ箱に入れてよいかは、自分で決めません。
聞くときは、書類を見せながら聞くと早く済みます。「終わった件の見積書の控えが、これだけあります。残す物と、捨ててよい物を教えてください。捨てるときは、どこへ出せばよいでしょうか」(説明用の例です)。
外出のときに持ち出す書類
持ち出す書類は、その日の訪問に使う分だけにします。ファイルごと全部を持つと、落としたり置き忘れたりしたときに、関係のない会社の書類まで外に出ます。
- 出かける前に、持ち出す書類を数える。戻ったら、同じ数があるかを見る
- 訪問先ごとにクリアファイルを分ける。A社の机の上で、B社の書類が見えないようにする
- 電車や飲食店で、書類を広げない。かばんを網棚や座席に置いたまま離れない
- 直接帰る日に、書類を家へ持ち帰ってよいかは、会社の決まりを先に確かめる
かばんの中での分け方は、営業のかばんの選び方にまとめています。
担当が替わるとき・休むとき
書類が件ごとにまとまっていると、引き継ぎは、ファイルを渡して説明するだけになります。背に取引先名と件名が書いてあれば、受け取った人が、後から自分で探せます。ファイルと一緒に渡すメモの書き方は、引き継ぎメモにまとめています。
商談や打ち合わせの記録は、決まったこと・担当・期限が先に書いてあると、後で読む人が助かります。書き方は、議事録の書き方にまとめています。上司へ出す報告の形は、報告書の書き方を見てください。
惜しい例と良い例、迷いやすい判断、見つからなかったあと
お客様から電話が来たときの例です。説明用の例です。
惜しい例:「見積」と書いたファイルを開き、何社分もの見積書の控えを一枚ずつめくって、A社の物を探す。見つかったが、出し直す前の古い控えだった。
良い例:「A社/機械の見積」と書いたフォルダを出す。一番手前に、最後に出した控えがある。古い控えには「◯月◯日に出し直し」と書いてある。
惜しい例は、書類の種類で分けています。見積書は一か所にありますが、A社の件の議事録は別の場所にあり、どれが新しい見積かも分かりません。良い例は、件ごとにまとまり、新しい紙が手前、と決まっています。
判断1:一つの紙が、二つの件に関わるときは?
基準は、次に使うのは、どちらの件かです。そちらに入れ、もう一方には、「◯◯の件のフォルダに、◯月◯日の議事録あり」と書いたふせんを入れます。写しを取って両方に入れる方法もありますが、写しを増やしてよいかは、会社の決まりに合わせます。
判断2:紙で残すか、データだけにするか?
自分では決めません。紙とデータのどちらを正にするかは、会社の決まりです。確かめた上で、データが正の書類なら、手元の紙は「確認用」と割り切れます。確認用の紙は、件が終わったら、会社の決まりどおりに捨てられるかを聞きます。
判断3:カタログは、何部まで手元に置く?
基準は、今週の訪問で配る数に、少し足した数です。多く持つほど、版が古くなったときに入れ替える手間が増えます。新しい版が出たら、古い版を机から外します。古い版をどうするかは、先輩に聞きます。
判断4:整理に、どのくらい時間をかける?
一度に全部を終わらせようとしなくて構いません。基準は、いま動いている件が、取引先名を言われてすぐ出せるかです。そこまでできれば、終わった件と保管は、週に一度、決めた時に少しずつ進めます。
必要な書類が見つからなかったあと
その場では:お客様や上司を待たせているなら、探し続ける前に、相手に伝えます。「確認して、◯時までに折り返します」と時刻を言います。記憶で金額や納期を答えません。次に、探す順を決めます。机の上、かばんの中、引き出し、の順に見て、無ければ、会社の仕組みにデータが残っていないかを見ます。送ったメールに、書類が添付されていることもあります。
顧客の情報が書かれた書類を、社外でなくしたかもしれないときは、探すより先に上司に報告します。その先の動きは、会社の決まりに従います。自分だけで探し続けて、報告が遅れることのほうが、後で困ります。
後の記録:見つかった場所と、そこにあった理由を書きます。「A社の見積の控えが、B社のクリアファイルにはさまっていた。同じ日に2社を回り、戻ってから分けなかった」のような形です(説明用の例です)。次に変えることを、一つ決めます。「訪問先ごとにクリアファイルを分け、戻った日に件のフォルダへ入れる」のように、動きで書きます。誰が・いつ・何を、の形で書く方法は、5W1Hとはにまとめています。
今日やることは一つです。手元の書類から、いま動いている件だけを抜き出し、件ごとに1つにまとめて、背に取引先名と件名を書いてください。机の上の置き場所は、デスク周りの収納、約束の日時を書き留める道具は、ビジネス手帳の選び方にまとめています。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
手元の書類一式、クリアファイルか個別フォルダを数枚、ラベルかふせん、ペン、会社の決まりが分かるもの(社内の案内や、書類の扱いの決まり)。
記入例を見る(説明用)
会社の決まりで確かめたこと=見積書の控えは、会社の仕組みに入っているデータが正。紙は手元の確認用。契約書の写しは、原本を総務が保管している。顧客の名前が入った紙は、決まった箱に入れて捨てる。持ち出しは、訪問に使う分だけ(先輩に確認済み)/いま動いている件=A社・新しい機械の見積、B社・納期の変更、C社・初回の訪問の準備/終わった件の移し先と、移す日=引き出しの下の段のファイルボックスへ。毎週金曜の帰る前に移す/並べ方と、背に書くこと=取引先ごと。中は、新しい紙が手前。背には「取引先名/件名/始めた月」を書く。例:A社/機械の見積/◯月/捨てる前に聞く相手と、聞くこと=鈴木課長。「この書類は、いつまで残す決まりですか」「捨てるときは、どの箱ですか」/足りない道具=個別フォルダが5枚ほど。備品にあるか、総務へ聞く(未確認)。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
いま動いている件が、取引先ごとに1つずつまとまり、背に取引先名と件名が書いてあり、終わった件の移し先と、捨てる前に聞く相手が決まっている。
うまく進まなかったときは?
3つに分けられない書類は、「保留」のクリアファイルに入れ、ふせんに今日の日付と、誰に何を聞くかを書く。件名が付けられないときは、「誰の・何を・いつまでに」の3つを書いてみる。量が多くて終わらないときは、いま動いている件だけを先に抜き出す。