NOTE 46 · 営業の実践ノート
営業電話のかけ方:最初に伝える3つと、断られたときの受け方
公開:2026年10月3日
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営業電話(電話営業)は、最初に「名乗る・用件を言う・今話せるかを聞く」の3つを伝えると、相手は聞くか断るかを決めやすくなります。断られたら、言い返さずにお礼を言って切り、相手の言葉のまま記録します。この記事では、かける前の準備から、取り次ぎ、不在、断られたとき、記録まで、電話という手段の動きを順に説明します。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 営業の電話をかけることになり、最初の一言と、断られたときの受け方が決まらないとき。
- 1
会社の方針と、相手の情報を確かめる
- 2
名乗り・用件・相手の都合を先に伝える
- 3
取り次ぎ・不在・断りに、決めておいた一言で応じる
- 4
切ったらすぐ、相手の言葉のまま記録する
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
営業電話とは:こちらからかける電話と、この記事の範囲
営業電話とは、営業の担当者が、お客様や、これからお客様になるかもしれない相手に、こちらからかける電話のことです。「電話営業」「テレアポ」と呼ぶ会社もあります。初めての相手に用件を伝える電話、訪問の約束をお願いする電話、資料を送った後に確かめる電話など、目的はいくつかあります。約束なしで訪問するやり方は、飛び込み営業にまとめています。
言葉の使い方には、会社ごとの幅があります。電話やメールを中心に進める仕事は、内勤営業にまとめています。
初めてかけるときは、受話器を持ったまま最初の一言が出てこない、断られた後に何と言って切ればよいか分からない、という場面で手が止まりがちです。相手からは、こちらの顔も資料も見えません。聞こえるのは声と言葉だけです。だから、言うことを先に決めて紙に書いておくと、落ち着いてかけられます。
この記事は、電話という手段の動きにしぼります。かける前の準備、最初に伝えること、取り次ぎ、不在、断られたとき、記録の6つです。訪問の約束をお願いする会話の組み立ては営業のアポ取り、最初から最後までの台本はアポ取り電話の台本にまとめています。お客様からの問い合わせにかけ直す電話は、反響営業を見てください。
かける前の準備:会社の方針・リスト・相手の情報・手元に置くもの
受話器を取る前に、次の4つを確かめます。ここを飛ばすと、電話の途中で答えに詰まります。
1. 会社の方針
どの相手に、何の用件で、どの時間帯にかけてよいかは、会社で決まっていることが多くあります。かけてよい時間帯、同じ相手にかけ直してよい回数、断られた相手への連絡を止める手続きの3つを、上司か先輩に聞きます。
自分の感覚で決めないのは、電話が相手の仕事や生活の時間に割り込むものだからです。
2. かける相手のリスト
かける相手の一覧は、会社が用意したもの、または使ってよいと言われたものを使います。出どころが分からない名簿は、使う前に上司へ確認します。
リストには、前に誰かが連絡した記録や、「連絡不要」と言われた記録が付いていることがあります。かける前に、その欄を読みます。読まずにかけると、断った相手にもう一度かけてしまうことがあります。
3. 相手の情報
会社あての電話なら、相手のホームページを開き、会社名の読み方、何をしている会社か、かける先の部署名を確かめます。読み方を間違えると、最初の一言でつまずきます。分からない点は「未確認」と書き、電話の中で確かめます。
4. 手元に置くもの
最初に伝えることを書いた紙、メモ用紙とペン、自分の予定表を置きます。相手から聞かれそうなことへの答えも用意します。料金の目安を電話で言ってよいか、資料を送れるか、などです。
電話中は、調べる時間が取れません。答えられないことは「確認して、あらためてご連絡します」と言えるように、いつまでに答えられるかを先輩に聞いておきます。
周りの音も確かめます。相手に届くのは、自分の声と周りの音だけです。にぎやかな場所や、歩きながらの電話は避けます。両手を空けてメモを取りたい人は、ヘッドセットを使う方法もあります。使ってよいかは、会社に確認します。
個人のお客様に、電話で勧誘する仕事の場合
事業者が個人の消費者に電話で勧誘し、申込みを受ける取引には、特定商取引法の「電話勧誘販売」のルールがあります。消費者庁の特定商取引法ガイド「電話勧誘販売」には、電話をいったん切った後に、消費者が郵便や電話などで申し込む場合も当てはまる、と書かれています。
同じページには、勧誘に先立って告げなければならない事項(法第16条)として、事業者の氏名(名称)、勧誘を行う者の氏名、販売しようとする商品(権利、役務)の種類、契約の締結について勧誘する目的である旨、の4つが挙げられています。契約しない意思を示した人に、勧誘を続けたり、もう一度勧誘したりすることも禁止されています(法第17条)。
営業のため、または営業として結ぶ契約など、この法律が適用されない場合(法第26条)も、同じページに書かれています。自分の仕事がこのルールに当たるかどうかは、自分で判断せず、会社の法務の担当や上司に確認してください。
最初に伝える3つ:名乗る・用件を言う・相手の都合を聞く
電話がつながったら、次の3つを、この順番で伝えます。
- 名乗る。会社名と名前を、ゆっくり言います。相手は、誰からの電話かが分かるまで、中身を聞く準備ができません。
- 用件を言う。何の電話なのかを、一文で言います。営業の電話であることを隠しません。用件が分からないまま話が続くと、相手は「何の電話だろう」と身構えたまま聞くことになります。
- 相手の都合を聞く。「今、少しよろしいでしょうか」と確かめます。相手は、仕事の手を止めて電話に出ています。聞かずに話し続けると、中身より先に「一方的だ」という印象が残ります。
惜しい言い方1:「お世話になっております。佐藤様はいらっしゃいますか」
惜しい言い方2:「事務用品について、とても良いご案内があります。実は当社では…」
良い言い方:「初めてお電話いたします。B社の田中と申します。事務用品の補充についての、営業のご案内でお電話しました。今、少しだけよろしいでしょうか」
3つとも説明用の例です。惜しい言い方1は、名乗りも用件もなく、すでに取引があるかのように聞こえます。後で営業の電話だと分かると、相手は「だまされた」と感じることがあります。惜しい言い方2は、相手の都合を聞く前に説明を始めています。良い言い方は、初めてであること・誰からか・何の用件かを言ってから、都合を聞いています。
3つを紙に書いたら、声に出して読みます。息が続かない、途中で言い直す、と感じたら長すぎます。商品の説明を削り、名乗り・用件・都合の3つだけに戻します。
声は、ふだんより少しゆっくり、語尾まではっきり言います。電話では口の動きが見えないので、早口は聞き取りにくくなります。
都合を聞いて「どうぞ」と言われた後の、会う理由の伝え方と日時の決め方は、営業のアポ取りにまとめています。
場面で変わるところ:取り次ぎ・担当者・不在・折り返し
かけた電話に誰が出るかで、次の一言が変わります。次の表は一例です。
| かける先 | 最初に出る人 | 気をつけること(一例) |
|---|---|---|
| 代表電話 | 受付の人や、別の部署の人 | 出た人にも、名乗りと用件を同じように伝える。担当の部署が分かれば、取り次ぎをお願いする |
| 部署や担当者の直通の電話 | 担当者本人か、同じ部署の人 | 本人かどうかを確かめてから、用件に入る。本人でなければ、取り次ぎをお願いするか、戻る時刻を聞く |
| 携帯電話 | 本人。移動中や会議中のこともある | 本人から番号を教わっている場合に使う。最初に「今、お話しできますか」と聞き、難しければ、かけ直す時刻だけ聞く |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
携帯電話にかけてよいかは、会社の決まりと、相手との関係で変わります。番号を知っていても、先に会社の電話へかけると決めている会社もあります。迷ったら、先輩に聞きます。
取り次ぎをお願いするとき
最初に出た人は、電話をつなぐかどうかを判断する役目を持っていることがあります。その人にも、名乗りと用件を省かずに伝えます。「総務で、事務用品のご担当の方はいらっしゃいますか。営業のご案内です」(説明用の例です)。
「どのようなご用件ですか」と聞かれたら、同じ用件をもう一度、短く答えます。知り合いを装ったり、用件をぼかしたりしません。それでつないでもらえても、担当者が出た時点で話が食い違い、会社への信用を落とします。
「営業のお電話はお断りしています」と言われたら、「承知しました。失礼いたしました」と言って切ります。食い下がらないのは、出た人が自分の会社の決まりに従って答えているからです。断られたことは、記録に書きます。
担当者と話せたとき
取り次がれた相手は、最初の人とのやり取りを聞いていません。名乗り・用件・都合の3つを、もう一度最初から言います。「先ほどお伝えしましたが」とは言いません。
話の途中で、相手の名前と部署を確かめます。聞き取れなかったら、「恐れ入ります。お名前をもう一度お願いできますか」と聞きます。あいまいなまま切ると、次にかけるとき、誰あてにかければよいかが分かりません。約束や宿題が決まったら、切る前に声に出してくり返します。
不在のとき
担当者が席にいないときは、戻る時刻を聞き、こちらからかけ直すと伝えます。「何時ごろお戻りでしょうか。その頃に、こちらからあらためてお電話いたします」(説明用の例です)。初めての営業の電話で「折り返しをお願いします」と頼むと、相手に手間を求めることになります。
相手のほうから「折り返させます」と言われた場合は、会社名、名前、電話番号、つながりやすい時間帯を、ゆっくり伝えます。留守番電話につながったときに伝言を残すかどうかは、会社で決まっていることがあります。残す場合は、名乗り、用件、こちらからかけ直すこと、の3つを短く言います。
初めての電話・2回目の電話・折り返しをもらったとき
| 場面 | 最初に言うこと(説明用の例) | 気をつけること |
|---|---|---|
| 初めての電話 | 「初めてお電話いたします」と言ってから、名乗りと用件 | 取引があるかのような言い方をしない |
| 2回目の電話(かけ直す約束をした) | 「昨日お電話したB社の田中です。本日の午後にとのことでしたので、お電話しました」 | 前回の記録を読んでからかける。約束した時間帯を守る |
| 折り返しをもらったとき | 「お電話ありがとうございます」とお礼を先に言い、用件を最初から伝える | 相手は伝言しか知らない。出られなかったときは、記録を開いてからかけ直す |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
断られたときの受け方と、切った後の記録
営業の電話では、断られることがよくあります。断られた後の一言を先に決めておくと、切り方で迷いません。
- 最後まで聞く。相手の言葉を、途中でさえぎりません。
- 受け止めて、お礼を言う。「承知しました。お時間をいただき、ありがとうございました」と言います。
- 言い返さない。「でも」「一度だけでも」と続けません。断った相手に話を続けると、相手の時間をさらに使い、会社の名前に悪い印象が残ります。
- 静かに切る。「失礼いたします」と言い、受話器を静かに置きます。
断りの言葉には、種類があります。次の表は、聞こえた言葉ごとの受け方の一例です。
| 相手の言葉 | 受け方(一例) | 記録に書くこと |
|---|---|---|
| 「今は忙しい」 | 用件には入らず、かけ直してよい時間帯だけ聞く | 言われた時間帯。聞けなかったら「未確認」 |
| 「間に合っています」「必要ありません」 | お礼を言って切る。理由を問い詰めない | 相手の言葉のまま。自分の推測は書かない |
| 「もうかけてこないでください」 | 「承知しました。今後、ご連絡しないようにいたします」と答え、会社の連絡を止める手続きに従う | 「連絡不要」と、日付、出た人 |
| 「資料だけ送ってください」 | 送り先とあて名を確かめる。送った後に、確認の電話をしてよいかを聞く | 送り先、送る日、確認の電話をしてよいか |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
切った後、すぐ記録する
電話を切ったら、次の電話をかける前に書きます。何本か続けてかけると、どの相手が何と言ったかが混ざるからです。書くのは次の5つです。
- かけた日時
- 出た人(名前と部署。分からなければ「未確認」)
- 相手の言葉(言われたまま)
- 結果(話せた・不在・断り・連絡不要・かけ直す約束、のどれか)
- 次にやることと、その期限
「感触は悪くない」のような自分の感想は、相手の言葉と分けて書きます。記録は、次にかける自分のためだけのものではありません。同じ相手に、別の担当者がもう一度かけてしまうのを防ぐ役目もあります。
会社で決まった記録の場所があれば、そこに書きます。一日の終わりのまとめには、日報の道具も使えます。
よくある失敗と、迷いやすい判断
先に、よくある失敗です。その場の立て直し方と、切った後の記録をセットで決めておきます。
失敗1:相手の会社名や名前を、言い間違えた
その場では:すぐに「失礼いたしました」と言って、正しく言い直します。言い訳は足しません。
切った後の記録:正しい読み方を、ふりがな付きでリストに書きます。次にかける人が、同じ間違いをせずに済みます。
失敗2:頭が真っ白になり、言葉が出なくなった
その場では:「失礼いたしました」と言って、紙の1行目から読み直します。続けられないときは、「あらためてお電話いたします。失礼いたしました」と言って切ってかまいません。
切った後の記録:どの言葉の後で止まったかを書きます。相手から聞かれて止まったのなら、その質問と答えを、紙に一行足します。
失敗3:「連絡不要」と言われていた相手に、もう一度かけてしまった
その場では:気づいた時点で、「以前、ご連絡は不要と伺っておりました。こちらの確認不足です。申し訳ございません」とおわびして切ります(説明用の例です)。用件には入りません。
切った後の記録:上司に報告し、リストのどこで印が抜けていたかを確かめます。報告のしかたは、営業で失敗したときにまとめています。
ここからは、迷いやすい判断です。
判断1:断られた相手に、もう一度かけてよい?
基準は、相手の言葉と会社の決まりです。「もうかけないでください」「必要ありません」とはっきり言われた相手には、かけません。「今は忙しい」「担当が不在です」は、時間の都合を伝える言葉です。言われた時間帯にかけ直します。
どちらか分からない言葉のときは、記録を先輩に見せて聞きます。「A社で『今は結構です』と言われました。かけ直してよい相手に入りますか」(説明用の例です)。相手の言葉のまま見せると、先輩は判断しやすくなります。
判断2:何時ごろにかければよい?
この記事では、「この時間がよい」とは決めません。相手の仕事によって、忙しい時間が違うからです。基準は、会社の決まりが先、次に、相手から聞いた時間帯です。
どちらもないときは、先輩に「この業種のお客様は、いつごろが忙しいですか」と聞きます。
判断3:台本は、そのまま読んでよい?
最初に伝える3つは、読んでかまいません。棒読みが気になるなら、声に出す回数を増やします。
気をつけたいのは、読むことよりも、相手の返事を聞かずに次の行へ進んでしまうことです。紙の行と行のあいだに「相手の返事を待つ」と書いておくと、止まる所が分かります。
今日やることは一つです。かける相手を一件決め、最初に伝える3つを紙に書いて、声に出して読んでください。
かかってきた電話を受けるときの言葉遣いと伝言メモは、電話対応の基本にまとめています。
電話で会う約束を取る仕事の中身は、テレアポとはにまとめています。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
かける相手の一覧、会社の決まり(時間帯・かけ直し・連絡を止める手続き)、メモ用紙とペン、自分の予定表。
記入例を見る(説明用)
かける相手と、用件=A社の総務。事務用品の補充についての、営業のご案内。初めての電話/会社の決まりと、相手について確かめたこと=かけてよい時間帯と、かけ直しの回数は先輩に確認した。リストに「連絡不要」の印はなし。会社名の読み方はホームページで確認。担当の方の名前は未確認(電話で聞く)/最初に伝える3つ=「初めてお電話いたします。B社の田中と申します。事務用品の補充についての、営業のご案内でお電話しました。今、少しだけよろしいでしょうか」/取り次ぎ・不在・断られたときの一言=取り次ぎ:「総務で、事務用品のご担当の方はいらっしゃいますか。営業のご案内です」。不在:「何時ごろお戻りでしょうか。その頃に、こちらからあらためてお電話いたします」。断り:「承知しました。お時間をいただき、ありがとうございました。失礼いたします」/電話の結果と、次にやること=代表電話に出た方から「担当は外出中。夕方に戻る」と聞いた。担当の方の名前は聞けなかった(未確認)。今日の夕方にもう一度かける。つながらなければ、かけ直してよいかを先輩に聞く。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
最初に伝える3つが紙に書いてあり、取り次ぎ・不在・断りの一言が決まっていて、電話の結果が相手の言葉のまま記録してある(分からない所は「未確認」と書いてある)。
うまく進まなかったときは?
最初の一言が出なければ、紙の1行目をそのまま読む。かけてよい相手か迷ったら、リストの記録を先輩に見せて聞く。断られて次がかけられないときは、相手の言葉を書き写してから、一度席を立つ。