NUSSI’S SALES NOTEウッシの営業ノート

NOTE 138 · 営業の実践ノート

「拝見しました」の意味と使い方:自分が見たときに使い、次の一文を続ける

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「拝見」は、辞書では「見ることをへりくだっていう語。謹んで見ること。」と説明されています。「拝見しました」は、自分が相手の資料やメールを見たときに使う言葉です。相手が見るときは、「ご覧になる」を使います。そして、「拝見しました」だけで終えず、何を見て、どう受け取り、次に何をするかを一文で続けると、相手は次の動きが分かります。

今日できるようになること

受け取った資料かメールを一つ決め、「何を拝見したか・どう受け取ったか・次に何をするか」の三つを書いて、返信の最初の二文を作る。

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こんなときに 資料や見積書、メールを受け取り、「拝見しました」と返したいが、形が合っているか、そのあと何を書けばよいか迷うとき。

この順番で進めよう
  1. 1

    見たのが自分か、相手かを確かめる

  2. 2

    何を見たのかを、名前と日付で書く

  3. 3

    どう受け取ったか(分かったこと・確かめたいこと)を書く

  4. 4

    次に何を、いつまでにするかを書く

会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。

「拝見しました」の意味:見ることをへりくだっていう言葉

「拝見」は、デジタル大辞泉で次のように説明されています(コトバンク「拝見」)。

「見ることをへりくだっていう語。謹んで見ること。」

用例には、「お手紙拝見しました」が挙げられています。相手から届いた物を、自分が見た、という場面の言葉です。

敬語の種類としては、文化審議会答申「敬語の指針」(平成19年2月2日・文化庁)が、謙譲語Ⅰの「特定形の主な例」の一つに「拝見する(←見る)」を挙げています(26ページ)。謙譲語Ⅰは、指針で次のように説明されています(15ページ)。

「自分側から相手側又は第三者に向かう行為・ものごとなどについて,その向かう先の人物を立てて述べるもの。」

「拝見しました」と言うと、見るという自分の動作が向かう先、つまり、その資料を作った人や送ってくれた人を立てることになります。「見ました」でも意味は同じですが、「拝見しました」は、相手の物をていねいに扱ったことが伝わります。

初めての人がつまずきやすいのは、形よりも、その後です。「資料を拝見しました。よろしくお願いいたします。」で終わる返信は、ていねいですが、相手には、読んでどう思ったのか、次に何が起きるのかが伝わりません。この記事では、形を確かめたうえで、「拝見しました」のあとに続ける一文の作り方を説明します。

自分が見るときは「拝見する」、相手が見るときは「ご覧になる」

「拝見する」は、自分側の動作に使う言葉です。相手が見るときは、尊敬語を使います。指針は、尊敬語の変則的な形の一つに、「御覧になる(←見る)」を挙げています(25ページ)。この記事では、「ご覧」と書きます。

見るのは使う言葉例(説明用)
自分拝見する(謙譲語Ⅰ)「お送りいただいた見積書を、拝見しました」
相手ご覧になる(尊敬語)「添付の資料を、ご覧ください」「資料は、ご覧になりましたか」
自分の会社の人(社外の人に話すとき)見る・確認する「弊社の田中も、資料を確認しております」

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

相手の動作に「拝見してください」と書いてしまう入れ替わりは、尊敬語と謙譲語の違いに、直し方と一緒にまとめています。

自分の会社の資料に「拝見しました」と言うと

気をつけたいのは、見た物が誰の物か、です。指針は、尊敬語と謙譲語Ⅰを使うときの留意点の一つめに、次の一文を挙げています(22ページ)。

「自分側は立てない。」

社外の人に向かって、「弊社の部長が作った資料を拝見しました」と言うと、見る動作が向かう先は自分の会社の部長です。自分側を立てる形になります。社外の人には、「弊社の部長が作った資料を見ました」「確認しました」と言います(説明用の例です)。

社内で、部長本人に「資料を拝見しました」と言うのは、向かう先が部長なので、謙譲語Ⅰの働きに合っています。同じ言葉でも、誰に向かって話しているかで、合う・合わないが変わります。

「拝見いたしました」「拝見させていただきました」の形

「拝見しました」のほかに、長い形を見かけます。三つを並べます。

形組み立て使う場面の目安
拝見しました拝見する+ますふだんのメールや会話。迷ったら、この形
拝見いたしました「する」を「いたす」に代えた形あらたまった文面。初めての相手、おわびやお礼の文
拝見させていただきました拝見する+させていただく見ることに、相手の許可が要る場面

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

「拝見いたしました」は、二重敬語?

指針は、二重敬語を次のように説明しています(30ページ)。

「一つの語について,同じ種類の敬語を二重に使ったものを「二重敬語」という。」

「拝見する」は謙譲語Ⅰです。「いたす」は、指針では謙譲語Ⅱ(丁重語)の語例に挙げられています。謙譲語Ⅱは、「自分側の行為・ものごとなどを,話や文章の相手に対して丁重に述べるもの。」です(18ページ)。そして指針は、二つの関係を「謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱとは,上述のように異なる種類の敬語である」と書いています(20ページ)。

指針に、「拝見いたす」という形そのものの説明は載っていません。載っているのは、よく似た組み立ての「お待ちいたす」です。指針は、これを、「お待ちする」の「する」を「いたす」に代えたもので、謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱの両方が使われている、と説明しています(20ページ)。

つまり、「拝見いたしました」は、種類の違う二つの敬語を組み合わせた形です。指針の定義にある「同じ種類の敬語を二重に」とは、組み立てが違います。「二重敬語なので使えない」とする公的な決まりは、見当たりません。上司から直すように言われたときは、その職場の習慣として「拝見しました」に合わせれば足ります。

「拝見させていただきました」は?

指針は、「させていただく」の形を、次のように説明しています(40ページ)。

「基本的には,自分側が行うことを,ア)相手側又は第三者の許可を受けて行い,イ)そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合に使われる。」

指針に、「拝見させていただく」という例は載っていません。上の二つの条件に当てはめて考えます。

  • 相手の許可が要る物を見るとき。相手の会社の中の書類、倉庫や現場、まだ公開されていない図面などです。「現場を拝見させていただけますか」は、許可を求める場面に合います(説明用の例です)。
  • 相手が「ご覧ください」と送ってきた物を見たとき。見ることは、相手が先に求めています。「拝見しました」で足ります。

長い形にするほど、ていねいになるわけではありません。指針にも、「敬語をたくさん使えば丁寧になるというわけではない。」という一文があります(35ページ)。迷ったら、「拝見しました」か「拝見いたしました」にします。「させていただく」全体の考え方は、尊敬語と謙譲語の違いの「迷いやすい判断」にまとめています。

見るもの別の言い方:拝見・拝読・拝聴・拝借・拝受

「拝」の付く言葉は、ほかにもあります。次の表は、デジタル大辞泉の語釈を、コトバンクで確かめて並べたものです。かぎかっこの中が、辞書の文です。

言葉辞書の語釈使う場面例(説明用)
拝見「見ることをへりくだっていう語。謹んで見ること。」資料、見積書、図面、写真、現物、ホームページ「図面を拝見しました」
拝読「読むことを、その筆者を敬っていう謙譲語。」相手が書いた手紙、メール、文章「お手紙を拝読しました」
拝聴「聴くことの意の謙譲語。つつしんで聞くこと。」講演、発表、あらたまった場での話「ご講演を拝聴しました」
拝借「借りることをへりくだっていう語。」相手の物を借りる「ペンを拝借できますか」
拝受「受けること、受け取ることをへりくだっていう語。」手紙や書類を受け取る「請求書を拝受しました」

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

指針が謙譲語Ⅰの特定形の例に挙げているのは、このうち「拝見する」と「拝借する」です(26ページ)。ほかの三つは、辞書の語釈で確かめました。

選び方は、自分の動作に合わせます。見たのなら拝見、文章を読んだのなら拝読、話を聞いたのなら拝聴です。メールは、「拝見しました」も「拝読しました」も使われています。どちらかに決める公的な決まりは、見当たりません。辞書の「拝見」の用例にも、「お手紙拝見しました」があります。

商談や電話で相手の話を聞いたときは、「拝聴しました」より、「伺いました」のほうが、ふだんの会話になじみます。「伺う」の意味と使い方は、「お伺いします」の使い方にまとめています。

「拝受しました」は、受け取ったことだけを伝える言葉です。中身を見たかどうかは、伝わりません。受け取ってすぐ返すなら「拝受しました」、中身まで見てから返すなら「拝見しました」と、自分がどこまでしたかで選びます。

「拝見しました」のあとに続ける一文と、メール・電話の例

相手が知りたいのは、見たかどうかだけではありません。見て、どう受け取り、次に何が起きるのか、です。「拝見しました」のあとに、次の三つを続けます。

  1. 何を見たのか。資料の名前と、届いた日を書きます。相手が何通も送っているとき、どれのことかが分かります。
  2. どう受け取ったのか。分かったことを一つ、または、確かめたいことを一つ書きます。相手は、読まれたことが分かり、ずれがあれば直せます。
  3. 次に何を、いつまでにするのか。自分がやることと、期限を書きます。相手は、待てばよいのか、自分が動くのかが分かります。

場面によって、二つめと三つめの中身が変わります。次の表は一例です。

場面どう受け取ったか(一例)次に何をするか(一例)
相手から、今のやり方をまとめた資料が届いた分かったことを一つ書くそれに合わせた提案を、いつまでに送るかを書く
相手から、図面や写真が届いた確かめたい所を、場所を示して聞く答えをもらった後に、何をするかを書く
取引先から、見積書が届いた金額・数量・納期のうち、確認できた項目を書く社内で確認し、いつまでに返事をするかを書く
初めて訪問する前に、相手のホームページを見た気になった点を一つ、質問の形にする当日、その点を伺いたいと伝える
まだ全部は読めていない「拝見しました」とは書かない。受け取ったことを伝えるいつまでに読み、返事をするかを書く

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

メールの例

惜しい例:「資料を拝見しました。引き続き、よろしくお願いいたします。」

良い例:「◯月◯日にお送りいただいた、発注の流れの資料を拝見しました。月に二回、三名様で確認されていることがよく分かりました。この流れに合わせた案を、◯月◯日(金)までにお送りします。一点だけ、急ぎの発注のときも同じ流れかどうかを、教えていただけますでしょうか。」

どちらも説明用の例です。惜しい例は、読んだ証拠が何もありません。相手は、中身が伝わったのかを確かめるために、もう一度連絡することになります。良い例は、どの資料か、何が分かったか、いつまでに何を送るか、を書いています。質問は一つにしぼっています。

返信の最初にお礼を置くときの形は「ご連絡ありがとうございます」の使い方、返信全体の組み立てはメールの返信の書き方にまとめています。

電話・対面の例

惜しい例:「資料、拝見しました。ありがとうございます」

良い例:「昨日お送りいただいた資料を、拝見しました。納品の場所が二か所あることが分かりました。二か所めの受け取りの時間帯を、伺ってもよろしいでしょうか」

これも説明用の例です。電話では、相手の手元に資料が無いこともあります。「昨日お送りいただいた資料」のように、どれのことかを先に言うと、相手は思い出せます。初めての訪問で、「御社のホームページを拝見しました」と言うときも同じです。見て気になった点を一つ添えると、会話の入口になります。入口の作り方はアイスブレイクとはにまとめています。

迷いやすい判断と、間違えたあと

判断1:まだ読めていない。先に「拝見しました」と返してよい?

書きません。基準は、自分がしたことだけを書くことです。見ていないのに「拝見しました」と返すと、相手は内容が伝わったものとして話を進めます。「資料を受け取りました。ありがとうございます。明日の午前中に拝見し、お返事します」と、受け取ったことと、読む期限を伝えます(説明用の例です)。

判断2:社内の上司や先輩にも、「拝見しました」を使う?

使ってかまいません。上司が作った資料を見たのなら、見る動作が向かう先は上司です。「拝見しました」か「確認しました」かは、職場の習慣に合わせます。先輩が上司へ送っているメールを見ると、その職場で使われている形が分かります。社外の人に、自社の上司の資料の話をするときは、上で見たとおり「見ました」「確認しました」にします。

判断3:一通のメールに、「拝見しました」が何度も出てしまう

基準は、最初の一回だけです。二回めからは、「確認しました」「2ページめの表では」のように言い換えます。同じ言葉が続くと、相手は、どこが大事な文なのかを見つけにくくなります。

判断4:相手のSNSや、個人の書き込みを見た。「拝見しました」と言ってよい?

形としては、合っています。迷うのは、言葉ではなく、言ってよい中身かどうかです。一つの目安は、相手が仕事として公開しているものかどうかです。会社のホームページ、会社の公式の発信、展示会の案内などは、話題にしやすい物です。個人の書き込みは、相手が仕事の場で触れられたいかどうかが分かりません。迷うなら、会社の公開している物にとどめます。

間違えたあと1:「拝見しました」と返した後で、見落としに気づいた

その場では:添付が二つあったのに、一つしか見ていなかった、というような場合です。気づいた時点で、見落としていた物を先に読み、こちらから連絡します。「先ほどのメールでは、二つめの添付を見落としておりました。失礼いたしました。拝見したところ、納期が◯日と分かりましたので、お送りする案を直します」(説明用の例です)。何を見落とし、何が変わるのかを書きます。

後の記録:「返信の前に、添付の数と、本文の最後までを確かめる」と、自分の手順に一行足します。

間違えたあと2:社外の人に、「弊社の部長の資料を拝見しまして」と言った

その場では:話の途中なら、「失礼しました。部長の資料を確認しまして」と、言い直して先へ進みます。長いおわびは要りません。メールで送った後に気づいた場合は、敬語だけを直すメールは送らず、次のメールから直します。

後の記録:「相手の物=拝見しました」「自社の物=確認しました」の二つを、並べてメモに残します。次に書くとき、どちらの物かを先に見る習慣になります。

今日やることは一つです。受け取った資料かメールを一つ決め、「何を拝見したか・どう受け取ったか・次に何をするか」の三つを書いて、返信の最初の二文を作ってください。

YOUR TURN

自分の一件で、書いてみよう。

手元に用意するもの
受け取った資料やメール(返信するもの)。自分の予定表(次に何をいつまでにするかを書くため)。

記入例を見る(説明用)

見たのは誰か=自分。相手(A社の佐藤様)が送ってくださった資料なので、「拝見しました」を使う/何を見たのか=◯月◯日にメールでいただいた、現在の発注の流れをまとめた資料(2ページ)/どう受け取ったか=発注が月に二回で、そのたびに三人の確認が要ることが分かった。確かめたいのは、急ぎの発注のときも同じ流れかどうか/次に何を、いつまでにするか=この流れに合わせた提案を、◯月◯日(金)までにメールで送る。その前に、急ぎの発注について一点だけ質問する/返信の最初の二文=「お送りいただいた発注の流れの資料を、拝見しました。月に二回、三名様で確認されていることがよく分かりました。」

入力は自動保存されません。ページを移動する前に保存してください。保存した内容は他の人に自動送信されません。

CHECK

ここまでできたら、次へ。

見たのが自分であることを確かめたうえで「拝見しました」を使っていて、何を見たか・どう受け取ったか・次に何をするか(期限つき)が、返信に書いてある。

うまく進まなかったときは?

どう受け取ったかが書けなければ、資料をもう一度開き、分かったことを一つ、分からなかったことを一つ書く。まだ読めていないなら、「拝見しました」とは書かず、受け取ったことと、いつまでに読むかを伝える。形で迷ったら、「拝見しました」に戻す。

NEXT NOTE

次に読むなら

尊敬語と謙譲語の違いを確かめる「ご連絡ありがとうございます」のあとを続ける「お伺いします」の使い方を確かめる