NOTE 190 · 営業の実践ノート
面接の自己紹介:名前・いまの仕事・実績を一つ・やりたいことを、1分ほどで話す
公開:2026年10月4日
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面接の最初に「自己紹介をお願いします」と言われたら、名前、いまの仕事、営業での実績を一つ、応募先でやりたいことを、この順で短く話します。強みを詳しく話すのは、あとで自己PRを聞かれたときです。この記事では、転職の面接を受ける営業の人向けに、組み立てと、1分ほどにまとめる練習の手順をまとめます。客先や社内での自己紹介は、別の記事で扱っています。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 転職の面接を前に、最初の「自己紹介をお願いします」で、何をどこまで話せばよいか分からないとき。
- 1
名前・いまの仕事・実績を一つ・やりたいことを、一文ずつ書く
- 2
自己PRと志望動機に回す話を、別の紙に分ける
- 3
時間を計りながら声に出し、1分ほどに削る
- 4
録音を聞いて言いにくい所を直し、紙を見ずにもう一度言う
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
面接の自己紹介とは:最初に、自分がだれかを短く知らせる
自己紹介は、辞書に「初対面の人などに自分の名前・職業・身分などを、自分で知らせること。」(デジタル大辞泉「自己紹介」)とあります。面接は、同じ辞書で「直接に会うこと。特に、応募者や対象者に直接会って試問・助言などをすること。」(デジタル大辞泉「面接」)と説明されています。面接の自己紹介は、初めて会う面接の担当者に、自分がだれで、どんな仕事をしてきたかを、最初に短く知らせるものです。
客先や社内での自己紹介とは、知らせる中身が違います。客先では「何の担当で来たのか」を伝えますが、面接で相手が知りたいのは「どんな仕事をしてきた人か」です。客先や社内での言い方は、簡単な自己紹介の例文にまとめています。この記事は、面接の場面だけを扱います。
なぜ最初に自己紹介を求めるのかを説明した、公的な決まりは見当たりません。手がかりになるのは、ハローワークが公開している面接の資料です。ある資料では、「自己紹介してください」という質問が、経歴を確かめる質問の一つとして並んでいます(ハローワークの資料「面接対策」(PDF)。2026年10月4日に確認)。経歴を、自分の口で短く説明する質問として扱われている、ということです。
相手の手元には、履歴書と職務経歴書があります。この記事では、自己紹介を、書類を読み上げる時間ではなく、書類のどこを見てほしいかを先に伝える時間として組み立てます。全部を話そうとすると長くなり、相手は、どこが大事なのかをつかみにくくなります。
長さについて、別のハローワークの資料には、「1分程度で名前、これまでの経歴と、面接機会をいただいたことの謝意を伝える」とあります(ハローワークの資料「面接のマナーとよく聞かれる質問」(PDF))。この記事でも、1分ほどを目安にします。ただし、時間に公的な決まりは見当たりません。「30秒で」「3分で」と言われたら、言われた時間に合わせます。
組み立て:名前→いまの仕事→実績を一つ→やりたいこと
話す順番について、ハローワークの資料には、自己紹介の型として「名前→学歴職歴→現職の役割・実績→応募の経緯」が挙げられています(ハローワークの資料「面接対策」(PDF))。この記事では、営業の人が転職の面接で使いやすいように、次の4つの部品にまとめます。
| 部品 | 話すこと | 長さの目安 |
|---|---|---|
| 1. 名前 | 名字と名前。時間をもらったお礼をひと言 | 一文か二文 |
| 2. いまの仕事 | だれに、何を売り、何年やっているか | 一文か二文 |
| 3. 実績を一つ | やったことと、その結果。事実と数字で | 一文か二文 |
| 4. 応募先でやりたいこと | 求人票の仕事と、自分の経験のつながり | 一文 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
1. 名前:はっきり言い、お礼をひと言
名字と名前を、ふだんより少しゆっくり言います。続けて、「本日はお時間をいただき、ありがとうございます」とお礼をひと言添えます。最初の一文が落ち着いて言えると、次の文も言いやすくなります。
2. いまの仕事:だれに・何を・何年
「法人のお客様に、〇〇を、5年」のように、だれに・何を・何年、の3つで言います(説明用の例です)。今の会社の中だけで通じる略語や、部署の呼び名は使いません。相手は、あなたの会社の中を知らないからです。
3. 実績を一つ:事実と数字で
実績は、一つだけ選びます。二つ三つと並べると、時間が延び、どれも相手の記憶に残りにくくなります。選ぶ基準は、応募先の仕事にいちばん近いものです。数字は、職務経歴書に書いたものと同じにします。書類と口頭で数字が違うと、相手はどちらが正しいのかを確かめることになります。
ここでは、「何をして、どうなったか」の事実だけを言います。その経験から言える強みは、自己PRを聞かれたときに話します。
4. 応募先でやりたいこと:求人票の言葉とつなぐ
最後に、応募先の仕事と自分の経験を、一文でつなぎます。求人票に書かれた言葉を使うと、読んだうえで来ていることが伝わります。応募した理由の詳しい話は、志望動機を聞かれたときに話します。締めは「本日はよろしくお願いいたします」です。
学歴を入れるかどうかにも、決まりは見当たりません。上の資料の型には「学歴職歴」が入っています。この記事の4つの部品では、時間を仕事の話に使うために省いていますが、「学歴からお願いします」と言われたら、名前の次に一文で入れます。
自己PR・志望動機・転職理由との分け方
面接では、自己紹介のあとに、自己PR、志望動機、転職理由が、別々に聞かれることがあります。ハローワークの資料でも、「自己紹介」と「自己PR」は別の質問として並んでいます。自己PRについては、「応募企業(職種)に合わせた強みを示す」と書かれています(ハローワークの資料「面接対策」(PDF))。
| 聞かれること | 答える中身 | 自己紹介では、どこまで言うか |
|---|---|---|
| 自己紹介 | 名前と、してきた仕事のあらまし | 4つの部品を、1分ほどで |
| 自己PR | 強みと、それが分かる場面 | 実績を一つ、事実だけ。強みの説明はしない |
| 志望動機 | なぜ、この会社のこの仕事か | やりたいことを一文だけ |
| 転職理由 | なぜ、今の会社を離れるのか | 聞かれるまで言わない |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
分ける理由は二つあります。一つは、自己紹介で全部を話すと長くなるからです。もう一つは、あとで自己PRを聞かれたときに、同じ話をくり返すことになるからです。自己紹介には入口だけを置きます。相手が「その実績について、詳しく教えてください」と聞いてくれたら、そこから自己PRの話に入れます。
自己PRの作り方は自己PRの書き方(営業)、転職理由の言葉の選び方は転職理由の伝え方にまとめています。
「自己紹介と自己PRを、あわせてお願いします」と言われることもあります。そのときは、3つ目の部品(実績)のあとに、「この経験から、〇〇を強みと考えております」と一文を足します。ほかの部品は変えません。
例文:惜しい例と良い例
次の3つは、どれも説明用の例です。名前・社名・数字は、説明のために置いたものです。
惜しい例1:「山田太郎です。大学を出てからA社に入り、最初の2年は内勤で、そのあと営業に移りました。営業では最初に小さなお客様を担当し、3年目から大きなお客様も担当するようになり、表彰も2回受けました。強みは粘り強さで、たとえば……(3分をこえる)」
惜しい例2:「山田太郎です。よろしくお願いします」
良い例:「山田太郎と申します。本日はお時間をいただき、ありがとうございます。現在は、A社で法人のお客様への営業を5年担当しています。すでに取引のあるお客様およそ40社を回り、困りごとを聞いて提案する仕事です。昨年度は、訪問の前に前回の記録を読み直すことを続け、担当先からの追加の注文が、前の年より2割増えました。御社では、求人票にありました新しいお客様への提案の仕事で、話を聞いてから提案する進め方を生かしたいと考えております。本日はよろしくお願いいたします」
惜しい例1は、内容は事実でも、時間の順に全部を話しています。相手は、どこが大事なのかを自分で探すことになります。自己PRまで話しているので、あとの質問で話すことも減ります。
惜しい例2は、名前しか分かりません。相手は、仕事のことを一から質問することになります。「簡単に」と言われた場合でも、いまの仕事の一文は入れます。
良い例は、4つの部品が順に並んでいます。実績は一つで、「何をして、どうなったか」だけを言っています。最後の文は、求人票の言葉を使っています。
数字で言える実績が、見つからないとき
数字が無いからといって、数字を作ったり、大きく言ったりはしません。入ってから、同じことを求められるからです。数字の代わりに、任された範囲と、続けたことを事実で言います。「新人の同行を、半年間任されました」「訪問した日のうちに記録を書くことを、2年続けました」のような言い方です(説明用の例です)。
営業の経験が短い人・別の職種から営業に応募する人
2つ目の部品を「いまの仕事」のまま言い、3つ目は、営業の仕事と重なる経験を一つ選びます。お客様や社内の人の話を聞いた経験、期限を守って進めた経験などです。経験の年数を長く見せる言い方はしません。
1分ほどにまとめる練習の手順
ハローワークの資料には、「面接で落ち着いて話すには練習が欠かせません。」とあります(ハローワークの資料「面接対策のポイント」(PDF))。別の資料にも、「面接の時間は限られています。受け答えは簡潔にするようにしましょう。」とあります(ハローワークの資料「面接対策」(PDF))。書いた文は、声に出すと、思ったより長いものです。次の順で練習します。
- 4つの部品を、一文ずつ書く。下の実践シートを使います。話し言葉で書きます。
- 時間を計りながら、声に出す。スマホのストップウォッチで構いません。面接で話すつもりの速さで言います。早口で1分に収めても、相手には聞き取りにくくなります。
- 長ければ削る。削る順は、①二つ目の実績、②今の会社に入ったいきさつ、③いまの仕事の細かい説明、です。削った話は捨てずに、「自己PRで話す」「志望動機で話す」と書いて残します。
- 録音して聞く。聞く人の立場で、言いにくそうな所、聞き取りにくい言葉を探します。言いにくい言葉は、言いやすい言葉に替えます。
- 紙を見ずに言う。文を丸ごと覚えるのではなく、4つの部品の最初の言葉だけを覚えます。丸ごと覚えると、一語を忘れたときに、続きが出なくなりやすいからです。
一人でやりにくいときは、人に聞いてもらいます。ハローワークの資料には、「ご家族・ご友人やハローワークの窓口で何度でも練習しよう!」とあります(ハローワークの資料「面接のマナーとよく聞かれる質問」(PDF))。聞いてもらったら、「どんな仕事をしている人だと伝わったか」を一つだけ聞きます。
場面によって、変える所があります。次の表は一例です。
| 場面 | 変える所 |
|---|---|
| 「30秒で」「簡単に」と言われた | 名前・いまの仕事・やりたいこと、の3つにする。実績は、聞かれてから話す |
| 「3分で」と言われた | 実績の場面を詳しくする。部品の順番は変えない |
| 面接の担当者が何人かいる | 質問した人を中心に、ほかの人にも顔を向ける |
| オンラインの面接 | 始まる前に、声が届いているかを確かめる。画面ではなく、カメラの近くを見て話す |
| 二次・最終の面接 | 同じ内容で構わない。前の面接で聞かれた点があれば、その部品を言いやすく直す |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
迷いやすい判断と、うまく言えなかったあと
判断1:家族や出身地のことは、言ったほうがよい?
自己紹介に入れる必要はありません。基準は、仕事に関わることだけで組み立てることです。厚生労働省「公正な採用選考をめざして」の「求職者の皆様へ」は、応募する人に向けて、「本籍や出生地、家族構成や親の職業、住居の状況、購読新聞や愛読書等、仕事をするうえで必要のない事項について、たずねられたことはありませんか?」と呼びかけています。同じページには、採用の基準は本人の適性と能力に基づくものとするよう、事業主に周知していることが書かれています(2026年10月4日に確認)。
面接で、こうしたことを聞かれて困ったときの相談先も、同じページにあります。「上記のような質問があった場合、その他ご不明な点がありましたら、最寄りのハローワーク(公共職業安定所)または都道府県労働局へお問い合わせください。」
判断2:転職の回数が多い・経歴が長いとき、全部言う?
基準は、いまの仕事と、応募先に近い仕事にしぼることです。ほかの経歴は、「以前の経歴は、職務経歴書に書いたとおりです」と一文で渡します(説明用の例です)。隠すのではなく、書類に任せます。聞かれたら、聞かれた会社について答えます。
判断3:趣味や人柄のことは、入れる?
入れてはいけないという決まりは、見当たりません。ただ、1分の中では、仕事の話が先です。ハローワークの資料にも、面接中の心がけとして「聞かれていることに具体的に答える」とあります(ハローワークの資料「面接のマナーとよく聞かれる質問」(PDF))。聞かれたのは自己紹介ですから、まず仕事の話で答え、趣味は聞かれたときに話します。
判断4:「僕」と「わたし」、どちらで話す?
文化審議会答申「敬語の指針」は、自分の呼び方について、面接試験などでは「僕」よりも「わたし」か「私(わたくし)」を用いたほうが、「その場面にふさわしい選択だと言える。」と述べています(42ページ)。同じ所に、「必ずこうしなければいけないという決まりがあるわけではない。」ともあります。迷うなら「わたし」か「わたくし」にしておくと、言葉を選ぶことに気を取られずに済みます。
うまく言えなかったあと
その場では:途中で言葉が出なくなったら、「失礼しました。もう一度申し上げます」と言い、止まった部品の最初から言い直します。長くなったと気づいたら、「以上です。よろしくお願いいたします」と、そこで締めます。質問の意味が分からなかったときについて、ハローワークの資料には、「もし相手の質問の意味が分かりにくい時は、遠慮無く聞き直しましょう。」とあります(ハローワークの資料「面接対策」(PDF))。
あとの記録:面接が終わったら、その日のうちに、言えた部品と、言えなかった部品を書きます。言えなかった部品は、文を短く直して、もう一度声に出します。事実を言い間違えた(数字や年数が書類と違った)ときの直し方は、面接のお礼メールにまとめています。面接の終わりに聞く質問は、面接の逆質問で用意できます。
今日やることは一つです。4つの部品を一文ずつ書き、時間を計りながら声に出して、1分ほどに収めてください。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
職務経歴書の控え、応募先の求人票、時間を計れるもの(スマホのストップウォッチなど)、録音できるもの。
記入例を見る(説明用)
名前と、最初のひと言=「山田太郎と申します。本日はお時間をいただき、ありがとうございます」/いまの仕事=A社で、法人のお客様への営業を5年。すでに取引のあるお客様およそ40社を担当し、困りごとを聞いて提案している/営業での実績を一つ=訪問の前に、前回の記録を読み直してから行くことを続けた。昨年度は、担当先からの追加の注文が、前の年より2割増えた(数字は職務経歴書と同じ)/応募先でやりたいこと=求人票に「新しいお客様への提案」とあった。話を聞いてから提案する進め方を、新しいお客様にも生かしたい/計った時間と、回す話=1回目は1分40秒。実績の二つ目と、今の会社に入ったいきさつを削って、58秒になった。削った二つ目の実績は自己PRで、応募した理由の詳しい話は志望動機で話す。(名前と数字は説明用の例)
CHECK
ここまでできたら、次へ。
4つの部品が一文ずつ書いてあり、声に出して計った時間が書いてあり、自己PRと志望動機に回す話が分けてありますか。できていたら、次は自己PRと転職理由を同じように声に出します。
うまく進まなかったときは?
実績が一つに決められないときは、応募先の求人票の仕事にいちばん近いものを選びます。数字が出せないときは、「何を、どのくらいの期間、続けたか」を事実で書きます。1分に収まらないときは、いまの仕事の説明を一文にしてください。