NOTE 177 · 営業の実践ノート
自己PRの書き方(営業):経験から強みを一つ選び、場面と数字で伝える例文
公開:2026年10月4日
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営業の経験を自己PRにするときは、「事実を書き出す→相手の仕事で役に立つ点を一つ選ぶ→その根拠になる場面と数字を書く→入社後にどう使うかを言う」の順で作ります。強みをいくつも並べるより、一つを場面で伝えるほうが、読む人は仕事ぶりを思い浮かべられます。うそや、大きく見せた数字は書きません。
この記事は、運営者の退職や転職の体験をもとにしたものではありません。厚生労働省・ハローワークの公式ページと辞書を2026年10月4日に開いて読み、書いてあることを整理したものです。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 応募の書類や面接で自己PRを求められ、営業の経験の、何をどう言えばよいかが分からないとき。
- 1
営業でやってきたことを、事実で書き出す
- 2
応募先の仕事で役に立つ点を、一つ選ぶ
- 3
根拠になる場面と数字を書く
- 4
入社後にどう使うかを一文で書き、声に出して長さを計る
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
自己PRとは:志望動機・長所との違い
応募の書類に「自己PR」の欄がある。面接で「自己PRをお願いします」と言われる。「強みはコミュニケーション能力です」と書いてみたものの、これで伝わるのかが分からない。営業の人が、よく手を止める所です。
言葉を確かめます。辞書(コトバンク)には、就職活動の用語集の項目として「自己PR」があり、「自己PRとは、企業に対して“自分のいいところ”をアピールすることです。」「自己PRでは自分の長所や特徴について、いかに相手を納得させられるかがポイントになります。」と説明されています(コトバンク「自己PR」(就活用語集)。学生の就職活動に向けた用語集です。2026年10月4日に確認)。もとの言葉では、「自己」は「おのれ。自分。自身。」(デジタル大辞泉「自己」)、「PR」は意味の一つとして「広告。宣伝。」(デジタル大辞泉「PR」)と説明されています。
似た言葉との違いも、辞書と公的な案内で確かめます。
| 言葉 | 説明(出典の文) | 答える問い |
|---|---|---|
| 自己PR | 「自分の長所や特徴について、いかに相手を納得させられるか」(就活用語集) | 自分は、何ができる人か |
| 志望動機 | 「志望動機とは、なぜその企業を志望しているのか、その理由です。」(就活用語集) | なぜ、この会社か |
| 長所 | 「性質や性能などで、すぐれているところ。」(デジタル大辞泉) | 自分の性質で、すぐれている所は何か |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
出典は、コトバンク「志望動機」(就活用語集)、デジタル大辞泉「長所」です。「強み」は、辞書で「頼んで力とするに足る点。」(デジタル大辞泉「強み」)と説明されています。
公的な案内では、ハローワーク「応募書類の作り方」パンフレットが、履歴書の欄について、こう書いています(9ページ)。
「志望の動機」については、なぜその会社に応募したいと考えたかという理由を記載します。
「アピールポイント」については、「自分のもっている経験や能力を活かして、応募先企業に貢献したい。」という趣旨を記載します。
厚生労働省履歴書様式例(A4)にも、「志望の動機、特技、好きな学科、アピールポイントなど」という欄があります。まとめると、志望動機は「なぜこの会社か」、自己PRは「自分の経験や力が、この会社の仕事でどう役に立つか」です。長所は性質の話で、自己PRは、それを仕事の事実で裏づけたもの、と考えると分けやすくなります。
自己PRに書くのは、仕事の適性と能力の話で足ります。厚生労働省「公正な採用選考をめざして」求職者の皆様へは、公正な採用選考のポイントの一つを、こう書いています(2026年10月4日に確認)。
「応募者が、求人職種の職務遂行上必要な適性・能力をもっているかどうか」という基準で採用選考を行うこと。
家族のことや、信条などを、自分から書き足す必要はありません。
なお、取引先や社内の人に向けた自己紹介は、目的が違います。そちらは、簡単な自己紹介の例文にまとめています。辞める理由の伝え方は、転職理由の伝え方を見てください。
作る順番:事実→一つ選ぶ→場面と数字→入社後
自己PRは、4つの順で作ります。下の実践シートと同じ並びです。
- 事実を書き出す。営業の仕事でやってきたことを、5つほど書きます。「信頼関係を築いた」のような評価の言葉ではなく、「商談のあとに、聞いた内容を3行にまとめて送った」のように、動きで書きます(説明用の例です)。評価の言葉から始めると、あとで根拠を探すことになり、見つからないと話を大きくしたくなります。書き出し方は、営業実績の書き方にまとめています。
- 相手の仕事で役に立つ点を、一つ選ぶ。応募先の募集の案内を読み、仕事の中身に近いものを選びます。いくつも並べると、一つずつが短くなり、どれも根拠が言えなくなります。読む人が覚えられるのも、一つです。
- 根拠になる場面と数字を書く。いつ、だれに、何をして、どうなったかを書きます。数字があれば、何を数えた数字かを添えます。パンフレットも、アピールポイントについて、「自分の性格や行動特性などが現れたエピソードを示すと効果的です。」と書いています(9ページ)。
- 入社後にどう使うかを言う。「御社でも、〜の所から進めます」と、一文で結びます。ここが無いと、昔の話で終わり、読む人は、自社の仕事とどうつながるのかを自分で考えることになります。
4つを並べると、「強みは◯◯です→こういう場面で、こうしました→結果はこうでした→御社ではこう使います」という形になります。
営業の経験から言いやすい強み:惜しい例と良い例
営業の仕事には、ほかの仕事でも役に立つ動きが、いくつも入っています。言いやすいものを、5つ挙げます。この中から選ばなければならない、ということではありません。
| 強み | 営業での動き | 根拠にしやすい事実 |
|---|---|---|
| 聞く | 相手の話を聞き、要望を言葉にして確かめる | 聞き取りのメモの形、出し直しの回数 |
| 続ける | 決めた行動を、同じ調子で続ける | 1日の件数と、続けた期間 |
| 数字で振り返る | 件数を記録し、どこで減っているかを見る | 記録の形と、変えたやり方 |
| 段取り | 期限から逆に数え、社内へ早めに頼む | 納期を守れた回数、頼む日の決め方 |
| 関係を保つ | 契約のあとも、定期的に連絡する | 連絡の間隔と、続いた取引の期間 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
次は、説明用の例文です。数字は、きりのよい架空のものです。自分の文を作るときは、自分の事実と数字に置きかえます。
聞く
惜しい例:「私の強みは、コミュニケーション能力です。お客様と信頼関係を築き、売上に貢献してきました。」
良い例:「私の強みは、相手の話を聞いて、要望を言葉にして確かめることです。前職では、商談のあとに、聞いた内容を3行にまとめて相手に送り、食い違いがないかを確かめていました。この形にしてから、見積もりの出し直しが、月に5件ほどから1〜2件に減りました。御社でも、最初の聞き取りを言葉にして確かめる所から、提案を進めます。」
惜しい例の「コミュニケーション能力」「信頼関係」は、人によって思い浮かべる中身が違います。読む人は、この人が何をするのかを思い浮かべられません。良い例は、何をしたか(3行にまとめて送る)と、どうなったか(出し直しが減った)が書いてあります。
続ける
惜しい例:「粘り強さには自信があります。どんなに断られても、あきらめずに頑張ってきました。」
良い例:「私の強みは、決めたことを続けることです。新規の電話を1日20件、1年間続け、相手の反応を一言ずつ記録しました。記録を見て、つながりやすい時間帯に電話を寄せた結果、面会の約束は、月4件から月8件になりました。御社の新規の開拓でも、記録を取りながら続けます。」
「頑張ってきました」は、気持ちの話です。良い例は、件数と期間で「続けた」ことを示し、続けながら何を変えたかも書いています。ただ続けただけでなく、考えながら続けたことが伝わります。
数字で振り返る・段取り・関係を保つ
残りの3つは、良い例だけを並べます(説明用の例です)。
- 数字で振り返る:「毎週金曜に、訪問・提案・契約の件数を表にし、どこで減っているかを見ています。提案から契約へ進む数が少ないと分かったので、提案の前に、相手の予算と時期を聞く質問を足しました。」
- 段取り:「納品の日から逆に数えて、社内へ頼む日を先に決めています。担当した1年間、自分の連絡の遅れで納期が延びたことは、ありませんでした。」
- 関係を保つ:「契約のあと、3か月ごとに使い具合を聞く連絡を続けました。担当した30社のうち、2年間、取引が続いた会社は28社でした。」
どの例も、取引先の名前や、会社が外に出していない数字は入れていません。書いてよい範囲は、職務経歴書の書き方(営業)の「秘密は書かない」の所を見てください。
書くときと、話すときの長さ
自己PRの長さを定めた公的な決まりは、今回開いた資料には見当たりませんでした。基準は、応募先の指定に合わせることです。欄の大きさ、文字数、「1分で」などの指定があれば、それが先です。指定が無いときは、次の考え方で用意します。
| 場面 | 長さの考え方 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 履歴書の欄に書く | 欄に収まる長さ。強み・場面・入社後を、一文ずつ | 小さい字で詰め込まない。くわしい話は、職務経歴書に書く |
| 職務経歴書に書く | 強み・場面と数字・入社後を、数行で | 職務経歴の実績と、同じ事実・同じ数字を使う |
| 面接で話す | 指定の時間に合わせる。指定が無ければ、1分ほどで言える形を用意しておく | 書いた文をそのまま読まず、強み→場面→入社後の順だけ覚える |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
話すときは、声に出して時間を計ります。目で読むより、声に出すほうが長くかかります。長ければ、場面の説明から削ります。強みの一言と、入社後の一文は残します。
書いたものと、話すことは、同じ事実にします。パンフレットは、志望の動機とアピールポイントについて、面接でよく質問される項目だとしたうえで、「面接の際にどう説明するかということをイメージして記載することが重要です。」と書いています(9ページ)。書類に書いた数字を、面接で聞かれて答えられるようにしておきます。
面接では、話したあとに「たとえば、どんな場面ですか」と、さらに聞かれることがあります。場面をもう一つ、用意しておくと、落ち着いて答えられます。面接の終わりの質問の準備は面接の逆質問に、面接のあとのお礼は面接のお礼メールにまとめています。
営業の経験が浅い人・別の職種へ移る人の書き方
営業の経験が浅い人
経験が1〜2年だと、大きな結果の数字が無いことがあります。そのときは、結果ではなく、行動と、そこから分かったことを書きます。期間は、短くても、そのまま書きます。
惜しい例:「営業として幅広い経験を積み、高い成果を上げてきました。」
良い例:「営業を1年、担当しました。初めの3か月は、先輩の訪問に30回同行し、質問の順番を書き取りました。そのあと、同じ順番で一人で訪問し、分からなかったことは、その日のうちに先輩に聞くことを続けました。分からないことを、その日のうちに確かめる進め方は、御社の仕事でも続けます。」
惜しい例は、1年の経験にしては言葉が大きく、面接で「たとえば」と聞かれたときに、答えが出ません。良い例は、期間を正直に書き、その中でやったことを、回数で示しています(説明用の例です)。
別の職種へ移る人
営業から別の職種へ応募するときは、営業の動きを、応募先の仕事の言葉に言い換えます。「売った」という結果より、その途中の動きのほうが、移った先でも使えます。
| 営業での動き | 言い換え(一例) |
|---|---|
| お客様の困りごとを聞き取り、提案にまとめた | 相手の要望を聞いて整理し、文書にまとめる |
| 見積もりと納期を、社内の担当と調整した | 複数の部署の間で、条件と日程を調整する |
| 件数を記録し、やり方を見直した | 数字を記録し、原因を考えて、やり方を変える |
| 問い合わせに、その日のうちに返事をした | 期限を決めて、もれなく対応する |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
言い換えたあとで、応募先の募集の案内にある仕事と、どこが重なるかを一文で書きます。営業から別の職種へ移る道の全体は、営業の転職の進め方にまとめています。
迷いやすい判断と、盛りすぎてしまったあと
判断1:強みが、一つも思いつかない
基準は、強みの言葉から探さず、事実から探すことです。この1か月にやった仕事を5つ書き、そのうち「人から頼まれた」「続けている」「やり方を変えた」のどれかに当てはまるものに印を付けます。印が付いたものが、材料になります。それでも選べないときは、上司や先輩に「私に、よく頼むことは何ですか」と聞く方法があります(説明用の例です)。
判断2:チームの成果を、自分の実績として言ってよい?
基準は、チームの数字と、自分のやったことを分けて言うことです。「5人のチームで、年間の目標を達成しました。私は、その中で、既存の取引先30社を担当しました」のように言います(説明用の例です)。チームの数字を、一人の数字のように言うと、面接で役割を聞かれたときに、話が合わなくなります。
判断3:同じ自己PRを、どの会社にも使ってよい?
基準は、土台は同じでよく、「選ぶ強み」と「入社後の一文」は、応募先ごとに見直すことです。ハローワーク「職務経歴書の作り方」パンフレットは、職務経歴書について、「同一の内容を複数の応募先企業に使い回しすることは適当でありません。」と書いています(2ページ)。事実は変えず、応募先の仕事に近い事実を、前に出します。
盛りすぎてしまったあと
大きく見せたくなって、数字を多めに書いた。やっていないことを、やったように書いた。そういうときは、事実に直します。うそは書きません。
採用面接でのうそについて、厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A「面接での虚偽回答は、内定取消の理由になりますか?」があります。これは、面接で家庭のことを聞かれ、事実と違う答えをした、という相談への答えです。その中に、こう書かれています(2026年10月4日に確認)。
採用内定の取消の理由として、採用面接にあたって虚偽の事実を述べたことが理由として挙げられることはありますが、それが有効か否かはケースバイケースであって一概には決められません。
自分の場合にどうなるかは、この記事では言い切れません。言えるのは、事実と違うことを書くと、あとで自分が説明に困る、ということです。直し方は、段階で変わります。
出す前に気づいた:数字と言葉を、事実に直します。「大幅に」「多数の」のような言葉は、数えた数字に置きかえるか、消します。
出したあとで気づいた:面接の前でも後でも、早めに伝えます。「お送りした書類の自己PRに、誤りがありました。面会の約束の数を『月10件』と書きましたが、正しくは『月8件』です。申し訳ございません。直したものを、お送りいたします」と、どこが、どう違うかを書きます(説明用の例です)。転職エージェントを通しているなら、担当者に先に伝えます。
面接で、言いすぎてしまった:その場で気づいたら、「先ほどの数字を、訂正させてください」と言い直します。面接のあとで気づいたら、お礼の連絡の中で、訂正を一文添えます。
あとの記録:どの応募先に、どの文を出したかを残し、数字のもとになった記録(手帳の何月の分か)を、横に書いておきます。内定のあとの返事は、内定承諾のメールにまとめています。
今日やることは一つです。営業でやってきたことを5つ書き出し、応募先の仕事で役に立つものを一つ選んで、その根拠になる場面を書いてください。
志望動機の欄の書き方は、営業の志望動機の組み立て方にまとめています。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
応募先の募集の案内(どんな仕事かを見るため)。自分の手帳や記憶で書ける範囲の、仕事のメモ(会社の資料は持ち出さない)。時間を計れる時計かスマートフォン。
記入例を見る(説明用)
営業でやってきたこと(事実を5つ)=商談のあとに、聞いた内容を3行にまとめて相手に送った/新規の電話を1日20件、1年間続けた/毎週金曜に、訪問・提案・契約の件数を表にした/納品の日から逆に数えて、社内への依頼の日を決めた/契約のあと、3か月ごとに使い具合を聞いた/応募先の仕事で役に立つ点(一つ)=相手の話を聞いて、要望を言葉にして確かめること。募集の案内に「法人のお客様への提案」とあるため/根拠になる場面と数字=聞いた内容を3行で送る形にしてから、見積もりの出し直しが、月5件ほどから月1〜2件に減った(自分の手帳で数えた)/入社後にどう使うか(一文)=「御社でも、最初の聞き取りを言葉にして確かめる所から、提案を進めます」/声に出して計った時間と、削った所・直した所=計ったら目安より長かった。2つめの強みの話を削った。「コミュニケーション能力」という言葉を、「聞いて確かめること」に直した。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
強みが一つに絞ってあり、根拠になる場面と数字(または行動の量)が書いてあり、入社後にどう使うかが一文になっていて、事実と違う所が無い。
うまく進まなかったときは?
強みが選べなければ、書き出した事実を応募先の募集の案内と見比べ、同じ言葉が出てくるものを選ぶ。場面が書けなければ、いつ・だれに・何をしたかの3つを書く。数字が無ければ、行動の量か、続けた期間を書く。