NOTE 168 · 営業の実践ノート
日報の書き方:営業日報に書く5項目と、「頑張りました」で終わらせない書き方
公開:2026年10月4日
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日報は、辞書の語釈では「毎日行う報告」です。上司が状況をつかみ、自分が明日やることを決めるために書きます。書くのは、今日の訪問や連絡、分かった事実、相手の反応、次にやることと期日、困っていることの5つ。「頑張りました」のような気持ちの文は、相手の言葉と数字に置き換えます。書式や出し方は会社によって違うので、会社の決まりに合わせてください。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 日報に「訪問しました。頑張りました」としか書けず、何を書けばよいか分からないとき。
- 1
訪問や電話の直後に、相手の言葉・数字・次の約束をメモする
- 2
夕方、メモを見ながら5つの項目に当てはめる
- 3
次にやることに、期日を入れる
- 4
気持ちだけの文を、事実と数字に直して出す
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
日報とは:毎日行う報告
一日の終わりに、日報の画面を開く。訪問は3件。書けたのは、「A社訪問。B社訪問。C社訪問。本日も頑張りました」。翌朝、上司から「それで、どうなったの?」と聞かれた。営業を始めて間もないころに、よくある場面です。
日報は「にっぽう」と読みます。辞書の語釈は、「毎日行う報告。」(デジタル大辞泉「日報」)です。「毎日行なう報告。」(精選版 日本国語大辞典「日報」)とも説明されています。
語釈のとおり、日報は報告の一つです。日記ではありません。読む人がいて、読んだ人が何かを判断する。そのための材料を、毎日渡すのが日報です。
何のために書くのかは、二つあります。
- 上司が、状況をつかむため。上司は、営業の訪問に毎回ついて行けません。日報が、見ていない場面を知る手がかりになります。困りごとが書いてあれば、早めに手を打てます。
- 自分が、明日やることを決めるため。一日を書き出すと、「返事を待っている件」「期日が近い件」が見えます。書き終わったときに、明日の最初の行動が決まっているのが、良い日報です。
書式、出す時刻、出す相手は、会社によって違います。紙の会社もあれば、専用の画面に入力する会社もあります。会社の書式が先です。この記事の項目は、その書式の欄に何を書くかを考える材料として使ってください。
書く5つの項目と、書く手順
日報に書くことは、次の5つです。
| 項目 | 書くこと | なぜ書くか |
|---|---|---|
| 1. 今日の訪問や連絡 | どこの・だれに・何の用件で。件数 | 上司が、どの相手にどれだけ時間を使ったかをつかむ |
| 2. 分かった事実 | 見たこと、聞いたこと、数字。相手の言葉はそのまま | 事実があると、読んだ人が自分で判断できる |
| 3. 相手の反応 | 何と言ったか。何を聞かれたか。断られたなら、その理由 | 次に何を持っていけばよいかの手がかりになる |
| 4. 次にやることと期日 | だれが・何を・いつまでに | 期日が無い「次」は、そのまま流れやすい |
| 5. 困っていること | 自分では決められないこと。上司に判断してほしいこと | 書いておけば、上司が早めに動ける |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
2番目と3番目を分けるのは、事実と、自分の受け取り方を混ぜないためです。「相手は前向きだった」は、自分の受け取り方です。「『来月の会議に出したいので、見積もりを2案ほしい』と言われた」は、事実です。事実が書いてあれば、上司は自分で「前向きかどうか」を判断できます。
事実を「いつ・どこで・だれが・何を」で整理する考え方は、5W1Hとはで説明しています。
書く手順
- 訪問や電話の直後に、メモを残す。相手の言葉、数字、次の約束の3つだけを、その場で書きます。夕方まで覚えておこうとすると、言葉が自分の解釈に変わります。
- 夕方、メモを見ながら、5つの項目に当てはめる。1件につき2〜3行で足ります。
- 「次にやること」に、期日を入れる。「検討する」「フォローする」ではなく、「◯日までに、見積もり2案を送る」と書きます。
- 困っていることを、一つ書く。無ければ「なし」と書きます。
- 読み返して、気持ちだけの文を、事実に直す。直し方は、次の章で説明します。
入力の形を先に決めておきたいときは、営業日報テンプレートを使えます。5つの欄に入力して、端末に保存できます。
惜しい例と良い例:「頑張りました」で終わらせない
同じ一日を、二通りに書いて比べます。会社名、人名、数字は、どれも説明用の例です。
惜しい例
A社、B社、C社を訪問。A社は感触が良かった。B社は厳しそう。C社は不在。明日も引き続き頑張ります。
訪問したことは分かります。けれども、「感触が良い」「厳しそう」は、書いた人の受け取り方です。何を見てそう思ったのかが書かれていません。「頑張ります」は気持ちで、明日何をするのかが分かりません。読んだ上司は、もう一度聞くことになります。
良い例
1. 訪問3件(A社・B社・C社)。電話2件。
2・3. A社:総務の佐藤様に、新商品の見積もりを説明。「来月10日の会議に出したい。数量が50個の場合と100個の場合の、2案がほしい」と言われた。
B社:購買の鈴木様から、「今の仕入先より1個あたり20円高い。このままでは切り替えは難しい」と言われた。今の仕入先の名前は聞けていない。
C社:担当の高橋様が不在。受付の方に名刺と資料を預けた。高橋様は、木曜の午後なら席にいるとのこと。
4. A社:◯日(水)までに、見積もり2案を送る。B社:値段について、課長に相談する(困っていることに記載)。C社:木曜の午後に電話する。
5. B社の値段。20円の差を埋める案を出してよいか、ほかの条件(納期・小分け)で提案するか、ご判断をお願いします。
違いは3つあります。相手の言葉が、そのまま書いてあること。数字が入っていること(50個、100個、20円、来月10日)。次にやることに、期日と相手が入っていること。分からなかったことを「聞けていない」と書いているのも、良い点です。次に何を聞けばよいかが、自分にも上司にも分かります。
運営者のウッシにも、似た経験があります。初めて受けたメーカーの研修で、厳しく否定されました。報告会で言えたのは、「毎日がんばりました」ということだけでした。そこから学んだのは、営業はデータ・数字・情報だ、ということです。そのときの話と、報告を事実と数字で書く型は、「頑張りました」しか報告できなかった研修に書いています。
気持ちだけの文を事実に直すには、自分に3つ聞きます。「何を見て、そう思ったのか」「相手は、何と言ったのか」「数えられるものは、何か」。答えが出たら、気持ちの文と入れ替えます。
| 気持ちの文 | 自分に聞くこと | 直した文(説明用の例) |
|---|---|---|
| 感触が良かった | 相手は、何と言ったのか | 「来月10日の会議に出したい」と言われた |
| 厳しそう | 何を見て、そう思ったのか | 「今の仕入先より20円高い」と言われた |
| たくさん回った | 数えられるものは、何か | 訪問3件、電話2件 |
| しっかりフォローする | だれに・何を・いつまでに | 木曜の午後に、高橋様へ電話する |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
短く書くコツと、書くことが無い日の書き方
日報は、長いほど良いわけではありません。読む上司は、何人分もの日報を読みます。短くても、判断の材料が入っていれば足ります。短く書くコツは、4つです。
- 1件を、3行までにする。相手と用件、相手の言葉、次にやること。細かい経緯は、商談の記録に書きます。
- 文の終わりを、名詞や動詞で止める。「〜と言われた」「〜を送る」で終えます。「〜と思われます」「〜していきたいと考えています」は、短くできます。
- 全部を同じ重さで書かない。動きのあった件を先に、詳しく。変わりのなかった件は、「変わりなし」の一言で済ませます。
- 判断してほしいことは、最初か最後に、目立つ所へ書く。真ん中に埋めると、読み落とされます。
場面によって、書く中身が変わります。
| 場面 | 書くこと | 例(説明用) |
|---|---|---|
| 訪問が多い日 | 動きのあった2〜3件を詳しく。残りは件数と「変わりなし」 | 訪問8件。うち動きがあったのはA社とB社。ほか6件は定期の訪問で、変わりなし |
| 社内で作業をした日 | 何を・どこまで終えたか。残りと、終える予定 | 見積書を3件作成。2件は送付済み。1件は原価の確認待ち。明日の午前に送る |
| 同行した日 | 先輩が何を聞き、相手がどう答えたか。自分が気づいたこと一つ | 先輩は、最初に「前回の件、その後いかがですか」と聞いていた |
| 断られた日 | 断られた理由を、相手の言葉のまま | 「今期は予算が無い。来期の計画は2月に決まる」と言われた |
| 急ぎの悪い知らせがある日 | 日報を待たず、先に口頭か電話で報告する。日報には、報告済みと書く | 納期の遅れについて、15時に課長へ電話で報告済み |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
最後の行は、順番の話です。日報は、一日の終わりにまとめて読まれるものです。急ぐ話や悪い知らせを日報だけに書くと、上司が読むまで、何時間も止まります。急ぐ話は先に声で伝える、という考え方は、報連相とはで説明しています。
書くことが無い日は
訪問も電話も少なく、書くことが無い、と感じる日があります。そういう日は、次の3つから選んで書きます。
- 準備したこと。「明日のA社訪問のために、前回の商談メモを読み、質問を3つ書いた」(説明用の例です)。
- 待っていること。「B社の返事待ち。◯日に返事が無ければ、こちらから電話する」(説明用の例です)。
- 調べて分かったこと。「C社のホームページで、来月に新しい店舗が開くと知った。次の訪問で聞く」(説明用の例です)。
「特になし」とだけ書くと、上司は、本当に何も無かったのか、書くのを省いたのかを見分けられません。動きが無かったことも、「動きなし。理由は返事待ち」と書けば、一つの事実になります。
無いことを、あるように書かないでください。訪問していない先を書く、言われていない言葉を書く、といったことをすると、上司は間違った材料で判断することになります。
迷いやすい判断
判断1:うまくいかなかったことも、書く?
書きます。基準は、上司が後から知って困ることかどうかです。断られた、相手を怒らせた、約束の時間に遅れた。こうした話は、上司がほかの人から先に聞くと、対応が遅れます。書き方は、事実→自分がその場でやったこと→次にやること、の順です。「A社の訪問に10分遅れた。到着前に電話でおわびした。次回から、移動の時間を15分多く取る」のような形です(説明用の例です)。
判断2:自分の感想や考えを、書いてよい?
書いて構いません。ただし、事実と分けて書きます。「(考え)値段よりも、納期のほうを気にしているように見えた。理由は、納期の質問が3回あったから」のように、考えであることと、その理由を添えます(説明用の例です)。事実と考えが分かれていれば、上司は、その考えが合っていそうかを確かめられます。
判断3:日報に書けば、報告は済んだことになる?
なりません。日報は、読まれるまでに時間がかかります。今日中に判断が要る話、お客様に迷惑がかかる話、お金が動く話は、先に口頭や電話で伝えます。そのうえで、日報に「◯時に報告済み」と書きます。逆に、口頭で伝えた話も、日報に一行残します。あとで「いつ、何を伝えたか」を確かめられるからです。
判断4:上司から、何も反応が無いときは?
反応が無いことと、読まれていないことは、同じではありません。確かめたいときは、日報の中に質問を一つ入れます。「B社の件、値段以外の条件で提案してよいでしょうか」のように、「はい・いいえ」で答えられる形にします(説明用の例です)。急ぐ話なら、日報に書いたうえで、直接聞きます。「日報にも書いたのですが、B社の件で、2分ほどよろしいでしょうか」という声のかけ方です(説明用の例です)。
日報を続けると、自分のやり方を見直す材料がたまります。一週間分を読み返して、次の週のやり方を一つ変える。この回し方は、PDCAとはで説明しています。出張や催しのあとにまとめて書く書類は、報告書の書き方にあります。
溜めてしまったあと、間違えて書いたあと
何日分も、溜めてしまった
その場では:まず、上司に伝えます。「◯日から◯日までの日報を、出せていません。今日中に出します」と、期間と、出す日を言います(説明用の例です)。黙ってまとめて出すより、先に一言あるほうが、上司は安心します。
書くときは、新しい日から先に書きます。今日の分は、記憶がはっきりしているからです。古い日の分は、予定表、メールの送信の記録、電話の履歴、商談のメモを見て、事実だけを書きます。思い出せない所は、作らずに「記録なし」と書きます。
溜めた分を全部、細かく書こうとすると、また止まります。古い日は、「訪問先・相手の言葉を一つ・次にやること」の3点だけで構いません。どこまで書けばよいか迷ったら、上司に「溜めた分は、要点だけでよいでしょうか」と聞きます(説明用の例です)。
後の記録:なぜ溜まったかを、一行で書きます。「夕方にまとめて書こうとして、帰りが遅い日に書けなかった。次からは、訪問の直後に3行だけ入力する」のような形です(説明用の例です)。溜まる理由は、気持ちよりも、書く時刻と場所にあることが多いので、そこを変えます。
間違ったことを書いて、出してしまった
その場では:金額、日付、相手の言葉を間違えて書いたと気づいたら、すぐに訂正を伝えます。上司が、その日報をもとに動いているかもしれないからです。「昨日の日報で、B社の値段の差を20円と書きましたが、正しくは12円でした。申し訳ありません」と、どこが・どう変わるかを言います(説明用の例です)。会社の決まりに従って、日報そのものも直します。
後の記録:「記憶で書いた。次からは、数字はその場でメモし、メモを見て書く」のように、原因と、次のやり方を書きます(説明用の例です)。
お客様の情報を、どこまで書いてよいか分からない
日報には、相手の会社の事情や、担当の方の個人的な話が入ることがあります。どこまで書いてよいか、だれが読めるのかは、会社の決まりで確かめます。迷ったときは、上司に「この話は、日報に書いてよい内容ですか」と聞いてから書きます(説明用の例です)。
今日やることは一つです。今日の訪問か電話を一件選び、相手の言葉をそのまま一つ書いて、次にやることに期日を入れてください。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
今日の予定表。訪問や電話の直後に書いたメモ。会社の日報の書式。
記入例を見る(説明用)
今日の訪問や連絡(どこの・だれに・何の用件で)=訪問3件、電話2件。A社の総務の佐藤様に、新商品の見積もりを説明した。B社の購買の鈴木様に、切り替えの提案をした。C社は担当の高橋様が不在/分かった事実(相手の言葉・数字)=A社:「来月10日の会議に出したい。50個の場合と100個の場合の、2案がほしい」。B社:「今の仕入先より1個あたり20円高い」。今の仕入先の名前は聞けていない/相手の反応(聞かれたこと・断られた理由)=A社:納期を聞かれた(その場で答えられず、確認中)。B社:「このままでは切り替えは難しい」。C社:受付の方から、高橋様は木曜の午後なら席にいると聞いた/次にやることと期日=A社:◯日(水)までに、見積もり2案と納期を送る。C社:木曜の午後に電話する/困っていること・判断してほしいこと=B社の値段。20円の差を埋める案を出してよいか、納期や小分けなど、ほかの条件で提案するか。課長に判断をお願いする。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
相手の言葉か数字が一つ以上書いてあり、次にやることに期日が入っていて、困っていること(無ければ「なし」)が書いてある。
うまく進まなかったときは?
相手の言葉を思い出せなければ、次の訪問から、直後に3行だけメモする。次にやることが決まらなければ、「◯日に、状況を聞く電話をする」と連絡する日だけ決める。書くことが無ければ、準備したこと・待っていること・調べて分かったことから一つ書く。