NUSSI’S SALES NOTEウッシの営業ノート

NOTE 160 · 営業の実践ノート

PDCAとは:営業の一週間を、計画・実行・確かめる・直すの順で見直す型

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PDCAとは、計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Act)の4つをくり返して、仕事を少しずつ良くしていく型です。もとは生産や品質の管理で使われてきた考え方ですが、この記事では、営業初心者が「自分の一週間」を見直す場面に絞って説明します。大きな目標を立てるための話ではなく、今週やったことを数え、来週変えることを一つ決めるための使い方です。

今日できるようになること

今週の訪問や電話を数え、予定と比べて、来週変えることを一つだけ書く。

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こんなときに 毎週忙しく動いているのに、何が良くて何が足りなかったのかを、自分で説明できないとき。

この順番で進めよう
  1. 1

    週の初めに、今週の訪問先と、それぞれの目的を書く

  2. 2

    動いた日に、数えられる事実を一行で残す

  3. 3

    週の終わりに、予定と実際を数字と事実で比べる

  4. 4

    来週変えることを一つだけ決めて、次の計画に書く

会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。

PDCAとは:計画・実行・評価・改善をくり返す型

PDCA(ピーディーシーエー)は、「PDCAサイクル」とも呼ばれます。辞書では、次のように説明されています。「生産・品質などの管理を円滑に進めるための業務管理手法の一。(1)業務の計画(plan)を立て、(2)計画に基づいて業務を実行(do)し、(3)実行した業務を評価(check)し、(4)改善活動(act)が必要な部分はないか検討し、次の計画策定に役立てる。」(デジタル大辞泉「PDCAサイクル」)

同じ語釈に、名前の由来も書かれています。「PDCAは、plan-do-check-act(action)の略」です。4つめは、Act と書かれることも、Action と書かれることもあります。

英語辞書の日本語(デジタル大辞泉)この記事での呼び方
Plan計画計画する
Do実行実行する
Check評価確かめる
Act(Action)改善活動直す

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

大事なのは、4つめで終わらない点です。語釈の最後に「次の計画策定に役立てる」とあるように、直したことを次の計画に入れて、もう一度回します。別の事典も、「最後のActの実施を受け,次のPDCAサイクルのPlanに繋げることで,継続的に業務改善を実施していく。」(百科事典マイペディア「PDCAサイクル」)と説明しています。「サイクル」と呼ばれるのは、このためです。

由来については、事典に次の説明があります。「アメリカやヨーロッパでは、この考え方を提唱した統計学者デミングWilliam Edwards Deming(1900―1993)にちなんで、デミングサイクル、デミングホイールともよばれる。」(日本大百科全書(ニッポニカ)「PDCAサイクル」)

辞書の説明のとおり、もとは生産や品質の管理の言葉です。会社全体や部署の計画に使われることもあります。この記事では、そこまで広げません。営業初心者が、自分の一週間の仕事を見直す型として使う場面だけを扱います。

初めのうちは、毎日忙しく動いて、金曜の夕方に「今週は何をしたのだろう」と思うことがあります。動いた量はあるのに、何が良くて、何を変えればよいのかが言えない。PDCAは、その一週間を4つに区切って、言葉にするための型です。

営業の一週間に当てはめる

一週間に当てはめると、4つは次のようになります。右の列は説明用の例で、数字も例です。

段階やることいつ書き方の例(説明用)
計画する今週の訪問先・連絡先と、一件ごとの目的を書く週の初め(前の週の終わりでもよい)訪問10件。うち3件で新しい商品を案内し、次の打ち合わせの日を決める
実行する計画に沿って動き、その日のうちに事実を一行残す毎日火曜:A社を訪問。案内をした。次の日は決めずに帰った
確かめる予定と実際を、数字と事実で比べる週の終わり訪問8件(予定10件)。次の約束3件。見積1件
直す来週変えることを、一つ決める週の終わり案内をした訪問の終わりに、次に連絡する日を聞く

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

手順にすると、次の5つです。下の実践シートと同じ並びです。

  1. 週の初めに、訪問先と目的を書く。「A社を訪問」だけでは、行けば達成になってしまいます。「A社で、次の打ち合わせの日を決める」のように、その訪問で何ができたら良いかまで書きます。目的が書いてあると、週の終わりに「できた・できなかった」を比べられます。
  2. 動いた日に、事実を一行残す。訪問の後や一日の終わりに、「誰に会い、何を話し、何が決まったか」を書きます。週の終わりにまとめて思い出そうとすると、月曜のことは思い出しにくくなります。
  3. 週の終わりに、数える。予定表と一行メモを見ながら、訪問の数、次の約束の数、見積の数などを数えます。数える物は、次の章にまとめています。
  4. 予定と違った所を一つ選び、理由を事実で書く。「頑張りが足りなかった」ではなく、「木曜に社内の急ぎの仕事が入り、2件行けなかった」のように、起きたことで書きます。気持ちで書くと、次に変えることが「もっと頑張る」しか出てこなくなります。
  5. 来週変えることを、一つ決める。決めたことは、来週の計画の一行目に書きます。ここで次の計画につながり、一回りします。

かける時間は、長くなくて構いません。週の終わりに、予定表を開いて数える所から始めます。予定を書く道具に迷うときはビジネス手帳の選び方、一日の記録には営業日報テンプレートが使えます。

「確かめる」に使う材料:自分で数えられるもの

4つのうち、いちばん抜けやすいのが「確かめる」です。「今週はまあまあだった」「うまくいかなかった」という感想で終わると、来週何を変えればよいかが決まりません。確かめるには、材料が要ります。

初めのうちは、売上や受注のような結果の数字は、自分の動きだけでは変わりにくく、一週間では動かないこともあります。そこで、自分の行動で、自分で数えられるものを材料にします。

材料数え方比べると分かること
訪問の数予定表で、実際に行った件数を数える予定どおりに動けたか。行けなかった理由は何か
電話・メールの数発信の履歴や送信済みの一覧で数える連絡の量が、週によって大きく違わないか
次の約束の数訪問や電話のうち、次の日時が決まった件数会って終わりになっていないか
見積の数出した見積書の控えを数える話が、提案や見積まで進んでいるか
約束を守れた数「◯日までに送る」と言った物を、期限までに送れた件数自分の約束の出し方に、無理がないか
事実のメモお客様が言った言葉、断られた理由を、言葉のまま書く数字だけでは分からない、うまくいかなかった理由

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

数字は、一つか二つで足ります。全部を毎週数えようとすると、数えること自体が負担になり、続きません。数えた数字には、「予定表で数えた」「記憶で数えた」のように、数え方を添えます。後で見返したときに、その数字をどこまで頼ってよいかが分かります。

材料を残していないと、後から確かめようがありません。この「営業ノート」を運営するウッシは、初めて受けたメーカーの1か月の研修の報告会で、「毎日がんばりました」としか言えず、何も数字で示せなかったと振り返っています(「頑張りました」しか報告できなかった研修)。確かめる材料は、週の終わりに作るものではなく、動いた日に残すものです。

数字が小さいことは、気にしなくて構いません。ここで数えるのは、人と比べるためではなく、先週の自分と比べるためです。数えた行動を、面談や自己評価の「実績」として書く方法は、営業実績の書き方にまとめています。

うまく回らない3つの理由

「PDCAを回そう」と言われて始めても、数週間で止まることがあります。止まる理由は、だいたい次の3つです。どれも、直し方があります。例は説明用です。

理由1:計画が大きすぎる

「今月の売上目標を達成する」「新規のお客様を増やす」は、一週間の計画としては大きすぎます。週の終わりに比べようとしても、できたのかどうかが分かりません。

惜しい例:「今週は、新規の開拓を頑張る」

良い例:「今週は、新しい会社5社に電話をかけ、資料を送ってよいかを聞く」

良い例は、件数と、相手にしてもらうことが入っています。金曜に「5社のうち何社にかけたか」「何社が送ってよいと言ったか」を数えられます。計画は、自分の行動で、数えられる形にします。

理由2:確かめる材料を残していない

週の終わりに振り返ろうとしても、記録が無いと、覚えているのは最後の一日と、いちばん印象に残った一件だけです。それをもとに決めると、たまたまの一件に引っぱられます。

惜しい例:「今週は、あまり訪問できなかった気がする」

良い例:「訪問は8件(予定10件)。行けなかった2件は、どちらも木曜。社内の急ぎの見積作成が入った」

良い例は、数と、日と、理由が事実で書かれています。ここまで分かると、「急ぎの仕事が入ったとき、どちらを先にするかを上司に聞く」という次の動きが出てきます。

理由3:直すことが多すぎる

振り返ると、直したい所がいくつも見つかります。全部を来週の目標にすると、どれも中途半端になり、次の週に「何が効いたのか」も分からなくなります。

惜しい例:「来週は、訪問を増やし、準備を早くし、メールの返事も早くし、提案の仕方も変える」

良い例:「来週は、案内をした訪問の終わりに、次に連絡する日を聞く。これ一つにする」

一つに絞ると、やったかどうかが自分で分かります。次の週に、次の約束の数が変わったかも比べられます。残りの直したい所は、消さずにメモに残し、次の週以降の候補にします。

場面で変わるところと、上司への報告とのつなげ方

数える物と、計画の書き方は、仕事の形で変わります。次の表は一例です。

場面計画に書くこと確かめる材料
決まったお客様を回る仕事が中心訪問先と、一件ごとに聞くこと・案内すること訪問の数、案内をした数、次の約束の数
新しいお客様を探す仕事が中心電話や訪問をする先の数と、相手にしてもらいたいことかけた数、話せた数、会う約束が取れた数
社内での対応が中心受けた問い合わせに、いつまでに返すか受けた数、期限までに返せた数、持ち越した数
先輩に同行する週同行で見ること(質問の仕方、終わり方など)を一つ見て分かった事実と、自分で試したこと
休みや研修で、動ける日が少ない週動ける日数に合わせて、件数を減らして書く動けた日の中での数。前の週とは日数をそろえて比べる

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

上司への報告に、そのまま使う

一週間のPDCAは、自分だけの記録で終わらせず、上司への報告に使えます。4つは、報告の順番に並べ替えられます。

  1. 結論:今週の数字(確かめる)
  2. 事実:予定と違った所と、その理由(計画と実行の差)
  3. 自分の考え:来週変えること(直す)
  4. お願い:上司に決めてほしいこと、聞きたいこと

惜しい報告:「今週も、いろいろ回りました。来週も頑張ります」

良い報告:「今週の報告です。訪問は8件で、予定より2件少なくなりました。木曜に急ぎの見積作成が入ったためです。次の約束は3件です。来週は、訪問の終わりに次の連絡日を聞くことを試します。行けなかった2件を火曜に回してよいか、ご確認いただけますか」(説明用の例です)

惜しい報告は、上司が次に何を言えばよいかが分かりません。良い報告は、数字と理由と自分の案があるので、上司は「それでよい」か「こう変えて」と答えられます。報告の順番そのものは、報連相とはで説明しています。書面で出すときは報告書の書き方、抜けの確かめには5W1Hとはが使えます。

迷いやすい判断と、回せなかったあと

判断1:一週間ではなく、一日や一か月で回してもよい?

構いません。区切りの長さに、決まりはありません。目安は、数える物が、その期間で数件たまるかどうかです。訪問が週に数件なら、一日では比べる数が足りず、一週間か二週間が向いています。電話を一日に何件もかける仕事なら、一日ごとでも回せます。会社に週報や月報の決まりがあれば、その区切りに合わせると、報告と重ねて使えます。

判断2:数字が悪かった週は、計画を変える? 動き方を変える?

先に、計画どおりに動けたかを見ます。動けなかったのなら、変えるのは計画の立て方(件数や曜日の置き方)です。計画どおりに動けたのに、次の約束や見積が増えなかったのなら、変えるのは動き方(聞くこと、案内の順番、終わり方)です。一週間だけでは、たまたまのこともあります。同じことが二週続いたら変える、と決めておくと、毎週やり方が変わることを防げます。

判断3:上司から数字の目標が決められているときは?

上司から示された目標は、自分で変えられません。自分の一週間のPDCAは、その目標に向かうための自分の行動について回します。「目標に届かなかった」で終わらせず、「訪問は何件で、次の約束は何件だったか」まで分けて書きます。目標そのものが今の自分に合っていないと感じたら、数えた数字を持って相談します。聞き方の例です。「この3週間の訪問と見積の数です。この数で、目標に届く見込みがあるか、見ていただけますか」(説明用の例です)。

判断4:「OODA」という型も聞くけれど、どう違う?

OODA(OODAループ)は、辞書に「合理的な意思決定を円滑に進めるための業務管理手法の一。(1)情勢を観察(observe)して、(2)方針(orient)を定め、(3)意思決定(decide)したのち、(4)行動(act)する。」(デジタル大辞泉「OODAループ」)とあります。語釈を比べると、PDCAは「計画」から始まり、OODAは「観察」から始まります。どちらが優れているかを決める公的な基準は、見当たりません。一週間の仕事を数えて見直す、という使い方なら、この記事の手順で足ります。

回せなかったあと1:一週間、何も書けなかった

その場では:さかのぼって全部を埋めようとしません。予定表を開き、訪問の件数だけを数えて、一行書きます。「訪問6件。記録なし」でも、ゼロよりは次の週に比べる材料になります(説明用の例です)。

後の記録:書けなかった理由を、事実で書きます。「一日の終わりに書くつもりで、帰りが遅くなった。次からは、訪問の直後に、車や駅で一行だけ書く」のように、書く時点を変えます(説明用の例です)。

回せなかったあと2:計画どおりに、ほとんど動けなかった

その場では:自分を責める前に、何に時間を使ったかを予定表で確かめます。急ぎの社内の仕事、クレームの対応、移動などが出てきます。それも事実です。お客様への約束が守れていない物があれば、振り返りより先に、上司へ伝えます(営業で失敗したとき)。

後の記録:来週の計画を、今週実際に動けた件数に合わせて書き直します。計画を小さくするのは、後ろ向きなことではありません。守れる計画にして、初めて比べられます。

回せなかったあと3:何週間も空いてしまった

その場では:空いた週を取り戻そうとせず、今週から始め直します。直すことは、「金曜の帰る前に、予定表を開いて訪問を数える」の一つにします。

後の記録:続かなかった形を、一行で残します。「項目を増やしすぎた」「書く時間を決めていなかった」などです。なお、振り返るたびに気持ちが沈む、眠れない日が続く、というときは、見直しの型の話ではありません。営業を続けるか迷ったらを先に読み、人に相談してください。

今日やることは一つです。今週の予定表を開いて訪問を数え、予定と比べて、来週変えることを一つ書いてください。

振り返りで見る数字の決め方は、KPIとはにまとめています。

YOUR TURN

自分の一件で、書いてみよう。

手元に用意するもの
今週の予定表(手帳やカレンダー)、商談メモや日報、出した見積書の控え。

記入例を見る(説明用)

計画=既存のお客様への訪問10件。目的は、うち3件で新しい商品の案内をして、次の打ち合わせの日を決めること/実行=訪問は8件。木曜の2件は、社内の急ぎの見積作成が入り、行けなかった。新しい商品の案内は3件で実施/確かめる=訪問8件(予定は10件)。次の約束が決まったのは3件。見積を出したのは1件。案内をした3件のうち、次の日を決められたのは1件。残り2件は「検討します」で終わり、日を聞かずに帰った/直す=来週は、案内をした訪問の終わりに「次は◯日ごろ、ご都合を伺ってもよろしいですか」と聞く。これ一つにする/上司に伝えること・聞きたいこと=木曜に行けなかった2件を、来週の火曜に回してよいか。急ぎの見積が入ったとき、訪問とどちらを先にすればよいか(数字はすべて説明用の例)。

入力は自動保存されません。ページを移動する前に保存してください。保存した内容は他の人に自動送信されません。

CHECK

ここまでできたら、次へ。

計画・実行・確かめる・直すの4つが書いてあり、確かめる欄に自分で数えた数字が一つ以上あり、直すことが一つに絞ってある。

うまく進まなかったときは?

数字が出てこなければ、予定表を開いて、今週の訪問と電話の件数だけを数える。直すことが決まらなければ、予定と実際がいちばん違った所を一つ選び、「次は、どの時点で、何をするか」を一文で書く。それでも決まらなければ、書いた一枚を先輩に見せて、「来週、一つ変えるならどこですか」と聞く。

NEXT NOTE

次に読むなら

報連相の伝え方を確かめる5W1Hで抜けを確かめる報告書の書き方を見る