NOTE 161 · 営業の実践ノート
5W1Hとは:いつ・どこで・だれが・なにを・なぜ・どのように、で抜けを確かめる型
公開:2026年10月4日
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5W1Hとは、いつ(when)・どこで(where)・だれが(who)・なにを(what)・なぜ(why)・どのように(how)の6つのことです。営業では、報告やメールを出す前に「抜けている所はないか」を確かめる型として使えます。6つを全部埋めることが目的ではありません。相手が動くのに要る情報が欠けていないかに、出す前に気づくための道具です。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 報告やメールを出した後に、「それ、いつの話?」「誰がやるの?」と聞き返されることが多いとき。
- 1
伝えたいことを、先に一文で書く
- 2
いつ・どこで・だれが・なにを・なぜ・どのように、に当てる
- 3
相手が動くのに要るのに、抜けている所を足す
- 4
分からない所は「未確認」と書き、結論から並べて出す
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
5W1Hとは:物事を正確に伝えるための六つの要素
5W1H(ごダブリューいちエイチ)は、辞書では次のように説明されています。「文章などで、物事を正確に伝えるための六つの要素。when(いつ)、where(どこで)、who(誰が)、what(何を)、why(なぜ)、how(どのように)の頭文字から。」(デジタル大辞泉「5W1H」)
Wで始まる言葉が5つ、Hで始まる言葉が1つなので、5W1Hと呼びます。
| 英語 | 日本語(辞書の語釈のとおり) | 営業の場面で当たるもの(例) |
|---|---|---|
| when | いつ | 訪問した日、納期、返事の期限、次に連絡する日 |
| where | どこで | 訪問先、納品先、打ち合わせの場所、オンラインかどうか |
| who | 誰が | 相手の担当者、決める人、社内でやる人、自分 |
| what | 何を | 商品、数量、決まったこと、頼みたいこと |
| why | なぜ | 相手が困っている理由、変更になった理由、頼む理由 |
| how | どのように | 進め方、連絡の手段、納品の方法 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
語釈には「正確に伝えるための」とあります。つまり、もとは伝えるときの確かめに使う言葉です。営業の仕事は、伝えることの連続です。上司への報告、お客様へのメール、会議の記録、社内への手配の依頼。どれも、相手はその場にいなかった人です。その場にいなかった人には、自分にとって当たり前のことが伝わっていません。
初めのうちは、報告の後に聞き返されることがよくあります。「それは、いつの話?」「誰が言ったの?」「で、いつまでに要るの?」。聞き返されるのは、話し方が下手だからではありません。自分の頭の中にある情報を、言葉にし忘れているだけです。5W1Hは、その言い忘れを、出す前に自分で見つけるための型です。
埋めるためではなく、抜けに気づくための型
5W1Hを習うと、6つの欄を全部埋めた文章を書こうとしがちです。けれども、6つを全部書くことは、目的ではありません。目的は、相手が動くのに要る情報が、抜けていないかに気づくことです。
たとえば、上司に「A社から電話がありました」と伝えるとき、場所(どこで)は要りません。一方で、「いつ、だれから、何の用件で、折り返しは要るのか」は要ります。要る・要らないは、相手が次に何をするかで決まります。
使い方は、次の4つの順です。
- 伝えたいことを、先に一文で書く。6つを考える前に、結論を書きます。先に結論があると、どの要素が要るかが決まります。
- 6つに当てる。下書きを読みながら、「いつは書いたか」「だれがは書いたか」と、一つずつ指でたどります。
- 抜けていて、相手が困る所を足す。抜けていても相手が困らない所は、足しません。足すほど長くなり、大事な所が埋もれます。
- 分からない所は、「未確認」と書く。空けたままにすると、相手は「書き忘れ」なのか「分からない」のかを区別できません。「未確認。◯日までに確かめます」と書けば、それも一つの情報になります。
もう一つ、気をつける所があります。5W1Hは、並べる順番の型ではありません。「いつ、どこで、だれが…」の順に話すと、結論がいちばん後ろに来ます。伝える順番は、結論から始める型を使います(報連相とはの「結論→事実→自分の考え→お願い」)。5W1Hは、その中身に抜けが無いかを見る、点検の道具です。順番の型と、点検の型を、分けて使います。
営業での使い方:報告・メール・議事録・ヒアリング
場面によって、抜けやすい要素が違います。次の表は、よくある抜けの一例です。
| 場面 | 抜けやすい要素 | 抜けると起きること | 確かめ方 |
|---|---|---|---|
| 上司への報告 | いつ(期限)、だれが(言った人) | 上司が、急ぎかどうか、だれの意見かを判断できない | 「いつまでに」「だれが言ったか」を声に出して確かめる |
| お客様へのメール | いつ(日付と曜日)、なにを(してほしいこと) | 相手が返事をしない。日を取り違える | 日付は曜日と並べて書き、予定表で照らす |
| 議事録 | だれが、いつまでに | 全員が「だれかがやるだろう」と思い、止まる | 次にやることの行ごとに、担当と期限があるかを見る |
| ヒアリング(聞き取り) | なぜ、だれが(決める人) | 提案が、相手の困りごととずれる | 帰る前にメモを見て、聞けていない要素に印を付ける |
| 社内への手配の依頼 | どこで(届け先)、どのように(届け方) | 頼まれた人が、確認のために手を止める | 注文書や見積書と並べて、届け先と方法を写す |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
それぞれの書き方そのものは、別の記事にまとめています。メールの部品と確かめる順番はビジネスメールの書き方、会議の記録は議事録の書き方、書面での報告は報告書の書き方を見てください。この記事では、どの場面にも共通する「抜けの見つけ方」だけを扱います。
書く場面と、聞く場面では、使い方が少し違います。書く場面(報告・メール・議事録)では、出す前の点検に使います。聞く場面(ヒアリング)では、聞き終わる前の点検に使います。帰ってから「決める人を聞いていなかった」と気づくと、もう一度連絡することになるからです。
場面別の例:商談の報告・納期変更の連絡・ヒアリング
3つの場面で、当て方を見ます。会社名・人名・日付は、どれも説明用の例です。
1. 商談の報告
商談から戻って、上司に報告する場面です。下書きは「A社、いい感じでした。見積を出します」でした。6つに当てます。
| 要素 | 下書きにあったか | 足す内容(説明用の例) |
|---|---|---|
| いつ | なし | 今日の午後に訪問。見積は◯月◯日(金)までに出す約束 |
| どこで | 要らない | (上司が動くのに要らないので、足さない) |
| だれが | なし | 話した相手は総務の佐藤様。決めるのは、佐藤様の上司の課長 |
| なにを | 一部あり | 見積を出す。対象は◯◯を20個 |
| なぜ | なし | 今使っている物の納期が遅いことに、困っているため |
| どのように | なし | 見積はメールで送り、来週、課長も同席して説明する |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
足した後の報告です。
「A社の商談の報告です。見積を、◯月◯日(金)までに出すことになりました。お話ししたのは総務の佐藤様で、決めるのは上司の課長だそうです。今お使いの物の納期が遅いことに、困っておられます。見積はメールで送り、来週、課長も同席の場で説明します。数量は20個です。」
「いい感じ」という感想が消え、上司が次に判断できる事実が並びました。場所は足していません。
2. 納期変更の連絡
仕入れ先から「入荷が遅れる」と聞き、社内の関係する人へ知らせる場面です。変更の連絡では、「いつ」を、前と後の両方で書くことが要ります。新しい日だけを書くと、読んだ人は、自分の予定のどこを直せばよいかが分かりません。
「A社向けの商品の件で、ご連絡です。納品日が、◯月10日(火)から◯月17日(火)に変わります。仕入れ先の入荷が遅れるためです(くわしい理由は確認中)。納品先と数量は変わりません。A社への連絡は、課長と相談のうえ、私から本日中に行います。」
この文には、いつ(前と後)、なにを、なぜ(確認中であることも含めて)、だれが、どのように、が入っています。「変わらないこと」を一言書いておくと、読んだ人は、ほかを確かめ直さずに済みます。
3. ヒアリングで聞く順
聞く場面では、6つを上から順に聞くと、取り調べのようになります。答えやすい事実から聞き、理由は後に回します。
- なにを・どのように(今のやり方):「いまは、どのように発注されていますか」
- いつ・どこで(最近の一件):「直近では、いつごろ、どちらの拠点で、そのお困りごとがありましたか」
- なぜ(理由):「それは、どういった事情からでしょうか」
- だれが(決める人):「進める場合は、どなたにご確認いただくことになりますか」
- いつ(希望の時期):「いつごろまでに、整っているとよろしいですか」
「なぜ」を最初に、続けて聞くと、相手は責められているように感じることがあります。事実を聞いた後に、「どういった事情から」とやわらげて聞きます。質問の進め方と、答えの受け止め方は、商談ヒアリングにまとめています。聞いた内容の整理にはヒアリングシートが使えます。
惜しい例と良い例
よくある3つの形を比べます。どれも説明用の例です。
惜しい例1(いつ、が抜けている):「資料を、来週お送りします」
良い例1:「資料を、◯月◯日(水)の午前中までに、メールでお送りします」
「来週」は、月曜なのか金曜なのかで5日違います。相手は、資料を待って次の予定を組みます。日付と曜日があれば、相手は予定を決められ、自分も守ったかどうかを確かめられます。
惜しい例2(だれが、が抜けている):「サンプルの手配は、進めておきます」
良い例2:「サンプルの手配は、私が今日中に倉庫の担当へ依頼します。届く日が分かりしだい、ご連絡します」
主語の無い文は、日本語では自然に読めてしまいます。そのため、書いた本人も抜けに気づきにくい所です。「だれが」を足すと、自分の仕事なのか、相手に頼んでいるのかが、はっきりします。
惜しい例3(全部を埋めて、長くなった):「本日◯月◯日の14時に、A社の本社2階の会議室で、佐藤様と私が、見積について、ご検討の参考にしていただくために、対面で打ち合わせをしました。」
良い例3:「A社の佐藤様から、見積を◯月◯日(金)までにほしい、と言われました。数量は20個です。」
惜しい例3は、6つがそろっていますが、相手が知りたい「それで、どうなったのか」がありません。良い例3は、場所もやり方も書いていませんが、上司は次に動けます。そろっているかより、相手が動けるかで見ます。
営業では、6つに加えて、「いくらで」「いくつ」も確かめると、金額と数量の抜けに気づけます。見積や納期の話では、この2つを聞き返されることが多いからです。「なにを」の中に、数量と金額まで書いてあるかを見てください。
迷いやすい判断と、抜けたまま伝えたあと
判断1:どの要素を書いて、どれを省く?
基準は、「これが抜けていたら、相手は聞き返すか」です。聞き返されそうなら書き、聞き返されないなら省きます。迷ったときに残す順は、なにを → いつ → だれがです。この3つが抜けると、相手は動けません。場所とやり方は、いつもと違うときだけ書けば足りることが多くあります。
判断2:「なぜ」が分からないときは?
推測で埋めません。「理由は未確認です。◯日に、佐藤様へ伺います」と書きます。「たぶん予算の都合だと思います」と書くなら、「私の推測ですが」と前に付け、聞いた事実と分けます。理由を取り違えたまま提案を作ると、後で全部作り直すことになるからです。事実と推測を分けてメモする方法は、商談ヒアリングで説明しています。
判断3:「だれが」が、何人もいるときは?
役割ごとに分けて書きます。相手の会社なら、「窓口の人」「決める人」「実際に使う人」。自分の会社なら、「お客様に連絡する人」「手配する人」「確かめる人」です。「みんなで対応します」は、だれも書かれていないのと同じ結果になりがちです。やることの一行ごとに、名前を一人ずつ当てます。
判断4:口頭で伝えるときも、6つを確かめる?
声をかける前に、メモに3つだけ書きます。「なにを・いつ・だれが」です。短い報告なら、これで足ります。込み入った話は、6つに当てたメモを手に持って話し、話した後に同じ内容をチャットやメールで送ります。口頭だけだと、日付と数量が聞き違いになりやすいからです。メモを書く道具はビジネス手帳の選び方、控えの残し方は書類の整理も参考になります。
抜けたあと1:日付を書かずに、お客様へ送ってしまった
その場では:気づいた時点で、補うメールを送ります。相手から聞かれるのを待ちません。「先ほどのメールに、お届けの日を書いておりませんでした。失礼いたしました。◯月◯日(水)の午前中にお届けします」(説明用の例です)。件名の頭に【補足】と入れ、どのメールの補いかが分かるようにします。
後の記録:「日付を書かずに送った。次からは、送る前に『いつ』を指でたどる」と書きます(説明用の例です)。
抜けたあと2:「だれが」が抜けて、仕事が止まっていた
その場では:だれのせいかを探す前に、今から、だれがやるかを決めます。「◯◯の件、担当が決まっていませんでした。私が今日中に行います。よろしいでしょうか」と、関係する人に伝えます(説明用の例です)。期限に間に合わないなら、上司に先に報告します。
後の記録:打ち合わせの記録を開き、ほかにも担当の無い行がないかを見ます。あれば、その場で決めて書き足します。
抜けたあと3:「なぜ」を推測で埋めて、違っていた
その場では:違っていたと分かったら、すぐに訂正を伝えます。「先日、A社が見送った理由を予算の都合とお伝えしましたが、私の推測でした。佐藤様に伺ったところ、導入の時期が合わないため、とのことでした。申し訳ございません」(説明用の例です)。その推測をもとに作った資料があれば、使うのを止めます。誤りの報告の順番は、営業で失敗したときにまとめています。
後の記録:メモの書き方を変えます。「聞いたこと」と「自分の推測」の欄を分け、推測の欄には「未確認」と書き添えます。一週間の仕事の中で、同じ抜けが何度あったかを数えると、次に直す所が決まります(PDCAとは)。
今日やることは一つです。これから出す報告かメールを一つ選び、6つに当てて、抜けていた所を一つ足してから出してください。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
これから出す報告やメールの下書き、商談メモ、予定表(日付と曜日を確かめるため)。
記入例を見る(説明用)
伝えたいことを一文で=A社向けの商品の納期が、一週間遅れることになった/いつ・どこで=納品日が◯月10日(火)から◯月17日(火)に変わる。納品先はA社の第二倉庫で、変更なし。仕入れ先から連絡を受けたのは今日の午前/だれが・なにを=仕入れ先の入荷が遅れた。A社の佐藤様へは、まだ伝えていない。だれが伝えるかは未定。課長に決めてもらう/なぜ・どのように=遅れる理由は、仕入れ先からは「入荷の遅れ」とだけ聞いた。くわしい理由は未確認。今日中に仕入れ先へ電話で聞く。A社へは、電話で伝えた後にメールでも送る形を考えている/当ててみて、抜けていた所と、足した内容=下書きには「納期が遅れます」としか書いておらず、新しい日付と、だれがA社へ伝えるかが抜けていた。日付と曜日を足し、「どなたからお伝えするか、決めていただけますか」というお願いを足した(日付・社名・人名は説明用の例)。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
伝えたいことが一文で書いてあり、6つに当てて抜けていた所が一つ以上足してあり、分からない所には「未確認」と書いてある。
うまく進まなかったときは?
6つのどれに当たるか分からなければ、分け方にこだわらず、「相手が次に動くとき、何を聞き返してきそうか」を一つ書く。なぜ、が分からなければ、推測で埋めずに「未確認」と書き、だれに聞くかを添える。長くなったら、結論の一文と、日付と、だれが何をするか、を残して、ほかを削る。