NOTE 162 · 営業の実践ノート
報告書の書き方:結論・事実・自分の考え・次にやることの順に書く
公開:2026年10月4日
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報告書は、読む人が次の判断をするための書類です。書く順は、結論→事実→自分の考え→次にやること・お願い、の4つにすると、読む人が知りたい順になります。この記事では、営業が書くことの多い、訪問・商談、出張、研修、月の報告を例に、書く前に確かめることと、事実と推測の分け方、数字と日付での書き方を説明します。会社に書式があれば、そちらが先です。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 報告書を出すように言われたが、何から書けばよいか分からず、したことを時間の順に並べてしまうとき。
- 1
読む人・その人が決めること・会社の書式を確かめる
- 2
結論を一文で書く
- 3
事実を、数字と日付で書く(推測は分ける)
- 4
次にやることとお願いを書き、見直してから出す
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
報告書とは:報告する事柄を記した文書
報告書は、辞書では「報告する事柄を記した文書。」(デジタル大辞泉「報告書」)と説明されています。もとになる「報告」は、「告げ知らせること。特に、ある任務を与えられた者が、その経過や結果などを述べること。また、その内容。」(デジタル大辞泉「報告」)です。
語釈には、「ある任務を与えられた者が」とあります。報告書は、仕事を任された人が、任せた人へ、経過や結果を文書で渡すものです。任せた人は、その場にいませんでした。報告書を読んで、初めて何があったかを知り、次にどうするかを決めます。
営業が書く報告書には、次のような種類があります。呼び方は会社によって違います。
- 訪問・商談の報告:お客様と何を話し、何が決まったか
- 出張の報告:出張で何をし、何が分かったか
- 研修の報告:研修で何を学び、仕事でどう使うか
- 月の報告(月報):一か月の動きと数字、次の月にやること
初めて書くときは、したことを朝から順に並べたり、「大変勉強になりました」のような感想で終えたりしがちです。どちらも、読む人が次に何を決めればよいかが書かれていません。
報告書は後に残り、後から別の人が読むこともあります。だから、日付と数字と名前を入れて書きます。口頭での報告・連絡・相談の伝え方は、報連相とはにまとめています。この記事では、文書にするときの書き方を扱います。
書く前に確かめる3つ
書き始める前に、3つを確かめます。ここを飛ばすと、書き上げた後に「知りたいのはそこではない」「書式が違う」と言われ、書き直しになります。
| 確かめること | 確かめ方 | 確かめないと、どうなるか |
|---|---|---|
| だれが読むか | 上司に「この報告書は、どなたまで回りますか」と聞く | 直属の上司だけが分かる略語で書き、ほかの部署の人が読めない |
| 何を決めるために読むか | 「この報告で、何を判断されますか」と聞く。聞きにくければ、前の報告書の後に何が決まったかを見る | 読む人が知りたい数字や事実が、入っていない |
| 会社の書式 | 共有フォルダを探す。先輩に、前に出された報告書を見せてもらう | 決まった項目が抜け、出し直しになる |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
二つめが、いちばん大事です。同じ訪問でも、読む人が決めることによって、書く中身が変わります。上司が「見積の条件を決めたい」のなら、相手の希望と数量と時期を厚く書きます。「次に同行するかを決めたい」のなら、相手の会社でだれが決めるのか、次の打ち合わせがいつかを厚く書きます。
報告書の書式は、会社ごとに違います。会社に書式があれば、項目の名前と順番は、それに合わせます。この記事の並びは、書式が無いときや、「所見」「報告事項」のような欄に何を書けばよいか分からないときの一例です。
並び:結論→事実→自分の考え→次にやること・お願い
中身は、次の4つの順に書きます。下の実践シートと同じ並びです。
- 結論。いちばん伝えたいことを、一文で書きます。「A社から見積の依頼を受けた」「研修で、見積書の確かめ方を学んだ」などです。読む人は、ここだけ読んでも要点が分かります。忙しい人は、最初の数行で、続きを今読むか後で読むかを決めます。
- 事実。見たこと、聞いたこと、数えたことを書きます。日付、数字、だれが言ったかを入れます。結論の裏づけになる部分です。
- 自分の考え。事実から、自分がどう考えたかを書きます。会社の書式では「所見」「考察」と呼ばれる欄です。事実とは、段落か欄を分けます。
- 次にやること・お願い。だれが、何を、いつまでにやるか。読む人に決めてほしいこと、手伝ってほしいことがあれば、ここに書きます。ここが無いと、報告書は「読んで終わり」になります。
事実と推測を分ける
辞書では、事実は「実際に起こった事柄。現実に存在する事柄。」(デジタル大辞泉「事実」)、推測は「ある事柄をもとにして推量すること。」(デジタル大辞泉「推測」)と説明されています。報告書では、この二つを混ぜないことが大切です。読む人は、書かれたことを事実として受け取り、それをもとに決めるからです。
| 種類 | 見分け方 | 書き方の例(説明用) |
|---|---|---|
| 事実 | 自分で見た、聞いた、数えた。記録で確かめられる | 佐藤様が「今の物は納期が遅い」と話した |
| 推測 | 事実から、自分が考えたこと | 納期の早さを示せば、比べてもらいやすいと考える(推測) |
| 未確認 | まだ確かめていないこと | ほかの会社にも見積を頼んでいるかは、未確認 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
見分けるときは、文の終わりを見ます。「〜と話した」「〜だった」「〜件」は事実、「〜と思われる」「〜だろう」「〜と考える」は推測です。相手の言葉は、言い換えずに、かぎかっこで書くと、事実のまま残ります。
数字と日付で書く
「多い」「近いうちに」「かなり」は、読む人によって受け取り方が違います。数えられるものは数字で、時期は日付と曜日で書きます。「多くの問い合わせ」ではなく「問い合わせ5件」、「来週」ではなく「◯月◯日(火)」です(説明用の例です)。数えていないものは、無理に数字にせず、「未測定」と書きます。出す前に、いつ・だれが・なにを、が抜けていないかを確かめる方法は、5W1Hとはにまとめています。
長さ
長さに、決まった基準はありません。目安は、読む人が決めるのに要る分だけです。会社の書式が一枚なら、一枚に収めます。経過を細かく残したいときは、本文には要点を書き、細かい記録は「別紙」として後ろに付けます。
惜しい例と良い例
同じ訪問を書いた、二つの例を比べます。どちらも説明用の例です。
惜しい例:
本日、A社を訪問しました。最初に会社の説明をし、その後、商品の説明をしました。佐藤様はとても熱心に聞いてくださり、良い雰囲気でした。いろいろとお話を伺うことができ、手応えを感じました。今後も、引き続き頑張ります。
良い例:
結論:A社から、見積の依頼を受けました。◯月◯日(金)までに出します。
事実:◯月◯日(火)14時に訪問。相手は総務の佐藤様。「今の物は納期が遅く、困っている」とのお話でした。数量は20個。決めるのは佐藤様の上司の課長で、来週の打ち合わせに同席される予定です。ほかの会社への見積の依頼は、未確認です。
考え:納期の早さを先に示すと、比べていただきやすいと考えます(推測)。
次にやること・お願い:私が◯月◯日(木)までに見積の案を作ります。納期を何日と書いてよいか、ご確認をお願いします。
違いは3つです。
- 結論が先にあるか。惜しい例は、したことの順に書かれ、何が決まったのかが出てきません。
- 事実が、数字と日付と名前で書かれているか。「良い雰囲気」「手応え」は、書いた人の感じ方です。読む人は、それをもとに決められません。
- 次にやることがあるか。「引き続き頑張ります」は、だれが・何を・いつまでに、のどれも入っていません。
感想を書くなら、「考え」の欄に、事実と分けて書きます。
場面別の短い見本:訪問・出張・研修・月の報告
場面ごとに、書く中身の重みが変わります。次の表は、その一例です。
| 場面 | 結論に書くこと | 事実に書くこと | 次にやること・お願い |
|---|---|---|---|
| 訪問・商談 | 何が決まったか、次に何をするか | 日時、相手、相手の言葉、数量、期限 | 見積や資料の期限、上司に決めてほしい条件 |
| 出張 | 出張の目的が、どこまで果たせたか | 行った先と日付、会った人、分かったこと | 持ち帰った宿題の担当と期限 |
| 研修 | 何を学び、仕事のどこで使うか | 研修の名前・日付・内容の要点 | 明日から変える行動を一つ、分からなかった点の質問 |
| 月の報告 | その月の数字と、いちばんの変化 | 訪問や見積の数、決まった件、決まらなかった件 | 次の月に変えること、上司に相談したいこと |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
短い見本を3つ示します。項目の名前は、会社の書式に合わせて変えてください。どれも説明用の例で、日付・数字・人名も例です。
1. 訪問の報告
前の章の「良い例」が、そのまま見本になります。件名は、「◯月◯日 A社 訪問報告(見積の依頼)」のように、日付・相手・要点を入れます。
2. 出張の報告
件名:◯月◯日〜◯日 ◯◯方面 出張報告
結論:目的としていた3社への訪問のうち、2社で次の打ち合わせの日が決まりました。1社は担当の方が不在で、あいさつのみです。
事実:◯日(水)B社を訪問。鈴木様と面談。新しい商品の資料を希望され、◯日(月)までに送る約束をした。◯日(木)午前、C社を訪問。高橋様と面談。次回は◯月◯日(火)にオンラインで打ち合わせ。同日午後、D社を訪問。担当の方が不在で、名刺と資料を受付に預けた。
考え:D社は、事前に日時の約束をしていなかったことが原因と考えます。
次にやること:B社への資料は、私が◯日(月)までに送ります。D社へは、◯日(金)に電話をして、あらためて日時を伺います。
出張の報告は、読む人が「目的が果たせたか」を知りたいので、結論は目的に照らして書きます。
3. 研修の報告
件名:◯月◯日 見積書の作り方研修 受講報告
結論:見積書を出す前に確かめる項目を学びました。明日から、送る前に、有効期限と納期の2か所を、注文の記録と見比べます。
事実:◯月◯日(火)13時〜15時、本社の会議室で受講。講師は営業部の先輩。内容は、見積書の項目、よくある誤り、送る前の確かめ方の3つ。
考え:自分がこれまでに出した見積書には、有効期限を書いていない物がありました。
次にやること・質問:今週出す見積書から、確かめを始めます。有効期限を何日にするかの決まりがあるか、教えてください。
研修の報告は、「勉強になりました」で終わりやすい所です。学んだことを一つ選び、いつから、どの仕事で、何を変えるかまで書くと、読む人は研修の成果を判断できます。研修中の記録の残し方と、作業・事実・数字・分かったこと・質問の5行の型は、「頑張りました」しか報告できなかった研修にまとめているので、ここでは重ねません。
月の報告
月の報告は、数字が中心になります。「訪問32件、見積6件、受注2件」のように、同じ項目を毎月同じ順に並べます(説明用の例です)。項目をそろえておくと、前の月と比べられます。数字の後に、「次の月に変えること」を一つ書きます。一週間ごとに数えて見直す方法は、PDCAとはで説明しています。
ほかの書類との違いと、迷いやすい判断
報告書と似た書類が、いくつかあります。次の表は、辞書の語釈をもとにした整理の一例です。呼び方と使い分けは、会社によって違います。
| 書類 | 辞書の説明 | 中心になる内容 | くわしい記事 |
|---|---|---|---|
| 報告書 | 「報告する事柄を記した文書。」(デジタル大辞泉「報告書」) | 任された仕事の経過と結果、次にやること | この記事 |
| 日報 | 「毎日行う報告。」(デジタル大辞泉「日報」) | その日の動きと、次の日の予定 | 営業日報テンプレート |
| 議事録 | 「議事の内容・審議経過・議決事項などを記録したもの。会議録。」(デジタル大辞泉「議事録」) | 会議で決まったこと、担当、期限 | 議事録の書き方 |
| 顛末書 | 「顛末」は「事の最初から最後までの事情。一部始終。」(デジタル大辞泉「顛末」) | トラブルの経過、原因、再発を防ぐ手立て | 顛末書の書き方 |
| 始末書 | 「過ちをわびるために、事情を記して関係者に提出する書類。」(デジタル大辞泉「始末書」) | おわびと、事情の説明 | 始末書の書き方 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
上司から「報告書を出して」と言われても、中身はトラブルの経過を求められている、ということがあります。名前だけで決めず、「何について、どなたあてに書く書類ですか」と確かめます。それぞれの書き方は、表の右の記事を見てください。
判断1:うまくいかなかったことも、書く?
書きます。報告書は、読む人が次を決めるための材料です。良いことだけを書くと、読む人は誤った前提で決めることになります。書き方は、事実→自分の考え→次にやること、の順です。「D社は担当の方が不在で、会えなかった。事前の約束をしていなかったため。次は、電話で日時を伺ってから訪問する」(説明用の例です)。
判断2:いつまでに出す?
会社に期限の決まりがあれば、それに合わせます。決まりが無ければ、頼まれたときに「いつまでにお出しすればよいですか」と聞きます。聞けなかったときは、記憶が確かなうちに、早めに出します。日がたつほど、相手の言葉や数字があいまいになるからです。急ぐ中身(お客様との約束の期限が近い、トラブルの気配がある)は、報告書を待たずに、先に口頭で伝えます。
判断3:メールやチャットで出してよい? 紙の書式が要る?
これも、会社の決まりによります。決まりが無ければ、上司に「メールの本文でよいですか、書式に入れて添付しますか」と聞きます。メールの本文で出すときも、並びは同じです。件名に日付と相手と要点を入れ、本文の最初に結論を書きます。出した報告書の控えは、後で月の報告や面談の資料に使えるので、探せる形で残します(書類の整理)。
出したあと1:数字や日付の誤りに気づいた
その場では:気づいた時点で、出した相手に伝えます。読んだ人が、その数字をもとに動き始めているかもしれないからです。「◯月◯日にお出しした訪問報告に、誤りがありました。見積の数量を30個と書きましたが、正しくは20個です。申し訳ございません。訂正したものをお送りします」(説明用の例です)。どこが、どう変わるかを書き、直した版を出します。直した版には、「◯月◯日 訂正」と入れ、前の版と区別できるようにします。
後の記録:なぜ間違えたかを、事実で書きます。「記憶で書いた。次からは、商談メモと見比べてから出す」のような形です(説明用の例です)。お客様へ出した書類の誤りにつながっていたら、先に上司へ報告します(営業で失敗したとき)。
出したあと2:推測を、事実のように書いていた
その場では:「◯◯の件は、相手に確かめたことではなく、私の推測でした」と伝えます。あわせて、いつ、だれに確かめるかを書きます。確かめた後で、結果をもう一度伝えます。
出したあと3:「知りたいのは、そこではない」と言われた
その場では:書き直す前に、聞きます。「失礼しました。どの点を、くわしくお知りになりたいですか」。全部を書き直すより、足りない所だけを足すほうが早く済みます。
後の記録:その上司が報告書で見る所を、メモに残します。「課長は、決める人と時期を先に見る」のような形です(説明用の例です)。次に書くときの「書く前に確かめる3つ」が、短く済みます。机の上で下書きや控えが散らかるなら、デスク周りの収納も見てください。
今日やることは一つです。これから書く報告書を一つ決め、読む人と、その人が決めることを書いてから、結論の一文を書いてください。
毎日の報告の書き方は、日報の書き方にまとめています。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
商談メモや予定表、見積書や注文書の控え、会社の報告書の書式(あれば、前に出された報告書も)。
記入例を見る(説明用)
読む人と、その人がこの報告書で決めること=課長。A社へ出す見積の条件を、このまま進めてよいかを決める/結論=A社から見積の依頼を受けた。◯月◯日(金)までに出す/事実=◯月◯日(火)14時に訪問。相手は総務の佐藤様。今使っている物の納期が遅いことに困っている、と佐藤様が話した。数量は20個。決めるのは佐藤様の上司の課長で、来週の打ち合わせに同席される予定。ほかの会社にも見積を頼んでいるかは未確認/自分の考え=納期の早さを先に示すと、比べてもらいやすいと考える(推測)。金額の希望は聞けていない/次にやること・お願い=私が◯月◯日(木)までに見積の案を作る。納期を何日と書いてよいか、木曜の午前までにご確認いただきたい。次回の訪問は◯月◯日(火)(日付・社名・人名・数量は説明用の例)。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
読む人と、その人が決めることが書いてあり、結論が一文で先に書いてあり、事実と自分の考えが分けてあり、次にやることに担当と期限が付いている。
うまく進まなかったときは?
結論が書けなければ、「この報告で、いちばん伝えたいことは何か」を声に出して言い、その言葉をそのまま書く。事実と考えが混ざるなら、「見た・聞いた・数えた」ことだけを先に書き出し、残りを考えの欄へ移す。書式が分からなければ、上司に「前に出された報告書を、一つ見せていただけますか」と聞く。