NUSSI’S SALES NOTEウッシの営業ノート

NOTE 76 · 営業の実践ノート

「了解しました」は敬語?取引先・上司への返事と、承知しました・かしこまりましたの使い分け

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「了解しました」には、丁寧語の「ます」が入っています。一方で、文化庁の「敬語の指針」には、「了解しました」が失礼かどうかを決めた記述は見当たりません。公的な決まりは無い、というのが出発点です。相手がどう受け取るか分からない取引先や上司には、「承知いたしました」「かしこまりました」を選ぶと迷いません。ただ、辞書の語釈を比べると、「承知」「かしこまる」「承る」には、目上の人から受ける・謹んで受ける、という意味が入っています。この記事では、辞書から言える範囲で、相手と場面ごとの選び方を整理します。

今日できるようになること

今日返す返事を一つ決め、「受けた言葉+何を受けたか+次に自分がすること」の三つを書いてから送る。

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こんなときに 取引先や上司からの依頼に「了解しました」と返してよいか迷い、返事を書く手が止まるとき。

この順番で進めよう
  1. 1

    返す相手と、連絡の手段(メール・電話・チャット)を確かめる

  2. 2

    受けた言葉を一つ選ぶ(迷ったら「承知いたしました」)

  3. 3

    何を受けたかを、日付や数量と一緒に書く

  4. 4

    次に自分がすることと、期限を足してから送る

会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。

「了解しました」は失礼?指針と辞書で確かめる

取引先から「納品日を変更してください」とメールが来た。返事を書こうとして、「了解しました」でよいのか、「承知しました」に直すべきかで手が止まる。営業を始めたばかりの時期に、起きやすい迷いです。

先に、確かめられたことを二つ書きます。

一つめ。公的な決まりは見当たりません。敬語についての国の考え方は、文化審議会答申「敬語の指針」(平成19年2月2日・文化庁)にまとめられています。この指針の全文を検索しましたが、「了解」「承知」「かしこまりました」という言葉は出てきません。「了解しました」を目上の人に使ってはいけない、という記述もありません。この記事でも、「失礼だ」とは言い切りません。

二つめ。「了解しました」には、丁寧語が入っています。指針は敬語を5種類に分けていて、「です」「ます」は丁寧語です。丁寧語の説明は「話や文章の相手に対して丁寧に述べるもの。」(指針20ページ)です。「了解しました」は、「了解する」に「ます」が付いた形なので、相手に丁寧に述べる形にはなっています。

では、なぜ迷う人がいるのか。手がかりは、言葉そのものの意味にあります。次の章で、辞書の語釈を並べます。

指針には、言葉の受け取り方について、こう書かれています。「自分の基準だけで,相手や第三者の言葉遣いが丁寧過ぎる,あるいは逆に,失礼だなどということは決められない。」(指針35ページ)。受け取り方は人によって違う、ということです。相手がどう受け取るか分からないときに、どの言葉を選ぶと安心か。この記事は、その選び方を扱います。

四つの言葉を、辞書の語釈で比べる

コトバンクに載っている二つの辞書(デジタル大辞泉、精選版 日本国語大辞典)で、四つの言葉を引きました。「 」の中は、辞書の文をそのまま写したものです。

言葉辞書の語釈語釈から言えること
了解「物事の内容や事情を理解して承認すること。了承。」(デジタル大辞泉「了解」)分かったうえで認める、という意味。「目上」「謹んで」という言葉は、語釈に入っていない
承知「目上の人の命令などをうけたまわること。」(精選版 日本国語大辞典「承知」の1番目)/「依頼・要求などを聞き入れること。承諾。」(デジタル大辞泉の2番目)目上の人から受ける、という意味が語釈にある。頼みを聞き入れる、という意味もある
かしこまる「命令・依頼などを謹んで承る意を表す。承りました。」(デジタル大辞泉「畏まる」の3番目)謹んで受ける、という気持ちを表す言葉
承る「「受ける」の謙譲語。謹んで受ける。お受けする。」「「聞く」の謙譲語。謹んで聞く。拝聴する。」「引き受ける意の謙譲語。謹んでお引き受けする。」(デジタル大辞泉「承る」の1・2・4番目)「受ける」「聞く」の謙譲語。聞いた・引き受けた、と伝える言葉

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

デジタル大辞泉は、「了解」の使い方について「「了解」には、相手の考えや事情をわかった上で、それを認める意がある。」とも説明しています。

並べて分かるのは、「了解」の語釈には、相手を上に置く意味が書かれていないことです。「承知」「かしこまる」「承る」の語釈には、「目上の人」「謹んで」「謙譲語」という言葉が入っています。

ここから言えるのは、次の範囲までです。「了解しました」は、分かって認めたことを丁寧に伝える言葉。「承知しました」「かしこまりました」「承りました」は、それに加えて、相手から受けたという向きが言葉の意味に入っている。この二つの辞書の「了解」の項目に、目上の人に使うと失礼だ、という説明はありませんでした。

「承知」には、「事情などを知ること。また、知っていること。わかっていること。」(デジタル大辞泉の1番目)という意味もあります。「その件は承知しております」は、引き受けたという意味ではなく、知っているという意味で使われます。

相手と場面で選ぶ:返事の三つの部品

辞書の違いをふまえて、相手ごとに選びやすい言葉を表にしました。決まりではなく、選び方の一例です。職場に決まった言い方があれば、そちらを先にします。

相手・場面選びやすい言葉(一例)そう選ぶ理由
取引先(メール)承知いたしました/かしこまりました相手がどう受け取るか分からない。受けた向きが意味に入った言葉なら、言葉で引っかかる心配が減る
取引先(電話)かしこまりました/承知いたしました声だけで伝わる。短く、はっきり言える言葉がよい
伝言や注文を預かった承りました「聞く」「受ける」の謙譲語。誰が受けたかを伝える場面に合う
上司・先輩承知しました/かしこまりました取引先と同じ言葉にそろえると、使い分けで迷わない
同僚・後輩了解しました/了解です分かって認めた、という意味がそのまま合う

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

言葉を選ぶのは、返事の入り口です。相手が知りたいのは、「何を受けてくれたのか」と「次に何が起きるのか」です。返事は、次の三つの部品で作ります。

  1. 受けた言葉を一つ選ぶ。上の表から選びます。迷ったら「承知いたしました」にします。取引先にも上司にも使えるので、相手ごとに考え直す手間が減ります。
  2. 何を受けたかを書く。日付、数量、場所を、相手の文から写します。言葉だけの返事では、相手は「どの件が伝わったのか」を確かめられません。
  3. 次に自分がすることと、期限を足す。「明日の午前中に、納品できる日をお返事します」のように書きます。相手は、次の連絡を待てばよいと分かります。

返事を読んだ相手が次に動けるかどうかは、二つめと三つめの部品で決まります。言葉選びに時間を使いすぎず、何を受けたかと、次にすることを書くほうに時間を使います。

メール・電話・チャットでの例

次の例は、すべて説明用の例です。取引先から、納品日の変更を頼まれた場面を想定しています。

メール

  • 惜しい例1:「了解しました。」
  • 惜しい例2:「承知いたしました。よろしくお願いいたします。」
  • 良い例:「納品日を◯月◯日(◯)へ変更する件、承知いたしました。配送の手配を確かめ、明日の午前中に、あらためてご連絡いたします。」

惜しい例2は、言葉は改まっています。それでも、何を承知したのかが書かれていません。惜しい例1との違いは、言葉が変わっただけです。良い例は、受けた中身と、次の連絡の時期が入っています。返信全体の組み立ては、ビジネスメールの返信にまとめています。

電話

相手「金曜の打ち合わせを、14時からに変えてもらえますか」

自分「かしこまりました。金曜の打ち合わせを、14時からに変更いたします。場所は、前回と同じ御社の会議室でよろしいでしょうか」

電話では、受けた言葉のすぐ後に、聞いた内容を声に出して繰り返します。聞き間違いがあれば、相手がその場で直せます。伝言を預かったときは、「◯◯が承りました」と自分の名前を添える形が使われます。受け方と伝言メモの手順は、電話対応の基本にあります。

チャット

  • 惜しい例:「了解です!」
  • 良い例:「承知しました。見積書は、今日の17時までに共有フォルダへ入れます。」

チャットは文が短くなります。短くても、何を・いつまでに、を一文足します。社内のチャットで使う言葉は、職場によって違います。上司や先輩が実際に書いている言葉を見て、合わせます。

迷いやすい判断

判断1:「了解いたしました」なら、よい?

「いたす」は、指針では謙譲語Ⅱ(丁重語)です(指針28ページ)。「する」の代わりに使う形で、謙譲語Ⅱの説明は「自分側の行為・ものごとなどを,話や文章の相手に対して丁重に述べるもの。」(指針18ページ)です。「了解いたしました」は、「了解しました」より丁重に述べる形になります。

ただし、変わるのは「する」の部分です。「了解」という言葉の意味は変わりません。相手の受け取り方が気になるなら、「承知いたしました」にすると、言葉の意味と形の両方がそろいます。

判断2:「承知しました」と「かしこまりました」は、どちらを使う?

どちらも、依頼を受けたときに使えます。辞書の語釈では、「かしこまる」は「謹んで承る意」を表す言葉です。頼まれごとや指示を受けた場面に合います。

自分で決める基準は二つです。頼まれごとを引き受けるなら、どちらでもよい。知っていると伝えたいなら、「承知しております」。「かしこまりました」には、知っているという意味はありません。迷うなら、取引先あての先輩のメールを一通見て、同じ言葉にします。

判断3:「承りました」は、いつ使う?

辞書では、「承る」は「受ける」「聞く」の謙譲語です。注文を受けた、伝言を預かった、用件を聞いた、という場面に合います。「ご注文を承りました」「ご伝言は、私、◯◯が承りました」のような形です(説明用の例です)。

日程の変更を頼まれて「引き受けます」と答える場面では、「承知しました」「かしこまりました」のほうが、短く伝わります。

判断4:相手が「了解です」と書いてきたら?

そのまま受け取ります。取引先や上司が「了解です」と返してきても、言葉を直してもらう必要はありません。先に引いた指針の文のとおり、自分の基準だけで、相手の言葉遣いを失礼だと決めることはできません。

後輩や同僚の言葉が気になったときも、同じです。取引先あての文で気になるなら、「うちの課では、取引先には『承知しました』でそろえているよ」と、職場の使い方として伝えます(説明用の例です)。

判断5:改まった言葉を重ねたほうが、丁寧に見える?

指針には「敬語をたくさん使えば丁寧になるというわけではない。」(指針35ページ)とあります。「かしこまりました。承知いたしました。」と二つ重ねても、伝わる中身は増えません。受けた言葉は一つにして、残りの文で、何を受けたかを書きます。

「了解しました」と送った後・指摘されたとき

場面1:取引先に「了解しました」と送ったことに、後で気づいた

その場では:言葉を直すためだけのメールは、送らなくて足ります。相手は、もう一通読むことになるからです。次の連絡から、選んだ言葉に変えます。送った返事に、何を受けたかが抜けていたときは、「先ほどの件、納品日は◯月◯日(◯)で手配いたします」と、中身を伝える連絡を足します(説明用の例です)。

後の記録:「取引先への返事は、承知しました、にする。日付を一緒に書く」と、自分のメモに一行残します(説明用の例です)。

場面2:上司や取引先から、「了解は失礼だよ」と言われた

その場では:「失礼いたしました。承知しました」と言い直します。その場で、公的な決まりの有無を話し合う必要はありません。その相手には、次から「承知しました」「かしこまりました」を使います。

後の記録:誰に言われたかと、その人に使う言葉を書きます。相手ごとの受け取り方を残しておくと、次に迷いません。

場面3:言葉を直すことに気を取られて、返事が遅れた

その場では:言葉は「承知しました」に決めて、すぐ返します。相手は、言葉の選び方より、届いたかどうかを先に知りたいからです。

後の記録:「返事の言葉は一つに決めた。迷ったら、中身と期限を先に書く」と残します(説明用の例です)。

相手の動作と自分の動作で言葉を変える、尊敬語と謙譲語の使い分けは、尊敬語と謙譲語の違いにまとめています。

今日やることは一つです。今日返す返事を一つ選び、受けた言葉の後に、何を受けたかと、次に自分がすることを書いてから送ってください。

「承知しました」と「承知いたしました」の違いは、「承知いたしました」の使い方にまとめています。

褒められたときやお礼を言われたときの返事は、「とんでもございません」は使ってよい?にまとめています。

YOUR TURN

自分の一件で、書いてみよう。

手元に用意するもの
今日返す予定のメールやチャット。相手の名前と、頼まれた内容(日付・数量・期限)が分かるもの。職場の先輩が取引先へ送ったメールが見られるなら、その返事の言葉。

記入例を見る(説明用)

返す相手と、連絡の手段=A社の佐藤様。メール。納品日の変更を頼まれた/受けた言葉=承知いたしました/何を受けたか=納品日を◯月◯日(◯)から◯月◯日(◯)へ変更する件。数量は変更なし/次に自分がすることと、期限=配送の手配を確かめ、明日の午前中に、変更後の日で納品できるかを返事する/職場で使われている返事の言葉=先輩の取引先あてのメールは「承知いたしました」が多かった。社内のチャットは「了解です」「承知しました」の両方が使われていた。上司あてにどちらを使うかは未確認。今日、先輩に聞く。

入力は自動保存されません。ページを移動する前に保存してください。保存した内容は他の人に自動送信されません。

CHECK

ここまでできたら、次へ。

返す相手に合わせて受けた言葉を一つ選び、何を受けたかと、次に自分がすることが、返事に書いてある。

うまく進まなかったときは?

言葉を選べなければ、「承知しました」にして先へ進む。何を受けたかが書けなければ、相手の文から日付と数量を写す。職場の使い方が分からなければ、先輩に「取引先への返事は、承知しました、でそろえていますか」と聞く。

NEXT NOTE

次に読むなら

尊敬語と謙譲語の違いを確かめるメールの返信の順番を決める電話の受け方を確かめる