NOTE 98 · 営業の実践ノート
「承知いたしました」の意味と使い方:「承知しました」との違い、「委細承知」、返事に足す復唱と期限
公開:2026年10月3日/更新:2026年10月4日
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「承知しました」も「承知いたしました」も、丁寧な返事です。「承知しました」が失礼だと決めた記述は、文化庁の「敬語の指針」には見当たりません。より丁重に述べる形は「承知いたしました」なので、取引先への返事や、迷ったときはこちらを選べば足ります。「承知いたしました」は、「承知する」の「する」を「いたす」に代えて、「ます」を付けた形です。文化庁の「敬語の指針」では、「いたす」は謙譲語Ⅱ(丁重語)という種類の敬語で、自分側の行為を、相手に対して丁重に述べる言葉です。この記事では、「承知しました」との違い、「委細承知」の意味を確かめたうえで、返事のあとに足す復唱と期限の書き方を扱います。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 取引先や上司からの依頼に返事を書いていて、「承知しました」と「承知いたしました」のどちらにするか、その後に何を書くかで迷うとき。
- 1
頼まれた内容を読み、日付・数量・場所に印を付ける
- 2
全部受けられるか、一部だけかを確かめる
- 3
「承知いたしました」に、受けた内容の復唱を足す
- 4
次に自分がすることと、期限を足して送る
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
「承知いたしました」の意味
取引先から、「見積書の数量を変えて、出し直してください」とメールが来た。返事の最初の一言を「承知しました」にするか、「承知いたしました」にするか。書いたあと、その一言だけで送ってよいのか。この記事は、その二つを扱います。
まず、「承知」の意味です。コトバンクに載っている辞書の語釈を、そのまま写します。
- 「目上の人の命令などをうけたまわること。」(精選版 日本国語大辞典「承知」の1番目)
- 「依頼・要求などを聞き入れること。承諾。」(デジタル大辞泉「承知」の2番目)
- 「事情などを知ること。また、知っていること。わかっていること。」(デジタル大辞泉「承知」の1番目)
「承知」には、頼みを聞き入れるという意味と、事情を知っているという意味があります。「承知いたしました」は、頼まれたことを聞き入れた、と相手に伝える返事です。知っている、と伝えるときは「承知しております」の形になります。
「了解しました」を取引先や上司に使ってよいか、という話は、「了解しました」は敬語?で、辞書の語釈を並べて扱っています。この記事は、その先の、「承知いたしました」という形と、返事の書き方を扱います。
「承知しました」と「承知いたしました」の違い
二つの違いは、「する」と「いたす」の違いです。文化審議会答申「敬語の指針」(平成19年2月2日・文化庁)で、「いたす」の説明を確かめます。「 」の中は、指針の文をそのまま写したものです。
- 「いたす」は、謙譲語Ⅱ(丁重語)の例として挙げられています。謙譲語Ⅱの説明は、「自分側の行為・ものごとなどを,話や文章の相手に対して丁重に述べるもの。」(指針18ページ)です。
- 語の形としては、「いたす(←する)」とあり、一般の形として「……いたす(例,利用する→利用いたす)」が示されています(指針28ページ)。
- 「謙譲語Ⅱは,一般に「ます」を伴って使う。」(指針19ページ)。「承知いたしました」も、「いたす」に「ます」が付いた形です。
- 「です」「ます」は丁寧語で、説明は「話や文章の相手に対して丁寧に述べるもの。」(指針20ページ)です。
ここから、二つの形を並べます。
| 形 | 成り立ち | 指針での種類 |
|---|---|---|
| 承知しました | 承知する+ます | 丁寧語(ます) |
| 承知いたしました | 承知いたす+ます | 謙譲語Ⅱ(いたす)+丁寧語(ます) |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
どちらも、相手に丁寧に述べる形です。「承知いたしました」は、それに加えて、自分が承知したという行為を、相手に対して丁重に述べる形になっています。「承知しました」が失礼だ、という記述は、指針にはありません。指針の全文を検索しましたが、「承知」という言葉そのものが出てきません。
では、どう選ぶか。選び方の一例を書きます。決まりではありません。
- 取引先へのメールや、改まった場面:「承知いたしました」。丁重に述べる形なので、相手がどう受け取るか分からないときに選びやすい形です。
- 社内の上司や先輩:「承知しました」でも、丁寧に述べる形にはなっています。職場で使われている形に合わせます。
- 迷ったとき:「承知いたしました」に決めます。取引先にも上司にも使えるので、相手ごとに考え直す手間が減ります。
「いたす」が使えるのは、自分側の行為です。指針は、謙譲語Ⅱを相手側の行為に使うのは不適切だと説明しています(指針18ページ)。相手に「承知いたしましたか」とは尋ねません。相手が知っているかを尋ねるなら、「ご存じでしょうか」のような尊敬語の形になります。尊敬語と謙譲語の分け方は、尊敬語と謙譲語の違いにまとめています。
「委細承知いたしました」の意味と、使う場面
「委細承知いたしました」という返事を見かけて、意味を調べる人もいます。「委細」を辞書で引きます。
- 「細かく詳しいこと。詳しい事情。詳細。」(デジタル大辞泉「委細」の1番目)
- 「(副詞的に用いて)細かいことまですべて。万事。」(デジタル大辞泉「委細」の2番目)
デジタル大辞泉は、2番目の意味の例として「委細承知した」を挙げています。「委細承知いたしました」は、細かいことまで、すべて承知しました、という意味になります。
語釈に「すべて」が入っているので、使う場面の基準を自分で決められます。
- 使える場面:相手が、日時・場所・数量・条件などを細かく書いてくれて、その全部を読み、全部受けられるとき。
- 使わない場面:条件の一部がまだ確かめられていないとき。添付の資料をまだ開いていないとき。
「委細承知いたしました」と返したあとで、「この条件は難しいです」と言うと、相手は「すべて承知した、と聞いたのに」と受け取ります。条件に一つでも未確認があるなら、「承知いたしました」と書いたうえで、受けた内容を一つずつ書くほうが、食い違いが起きにくくなります。
「委細承知いたしました」を使う場合も、その一言で終えず、日付や数量を一つは書き添えます。相手は、どの連絡への返事かを確かめられます。
「かしこまりました」との使い分けと、場面ごとの形
「かしこまりました」の「かしこまる」は、辞書で「命令・依頼などを謹んで承る意を表す。承りました。」(デジタル大辞泉「畏まる」の3番目)と説明されています。頼みや指示を受けた、と伝える言葉です。
頼まれごとを引き受ける返事としては、「承知いたしました」と「かしこまりました」のどちらも使えます。違いが出るのは、次の二点です。
- 「知っています」と伝えたいとき:「承知しております」が使えます。「かしこまる」の語釈には、知っているという意味はありません。
- 何を受けたかを一文に入れたいとき:「〜の件、承知いたしました」と、受けた内容を前に置けます。「かしこまりました」は、その一言で言い切り、次の文で内容をくり返す形が合います。
どちらが上、という決まりは見当たりません。職場や相手とのやり取りで、すでに使われている言葉に合わせます。言葉ごとの語釈の比べ方は、「了解しました」の記事の表にあります。
返事は、場面によって形が変わります。次の表は一例です。
| 場面 | 返事の形(一例) | そうする理由 |
|---|---|---|
| 頼まれたことを、全部受けられる | 〜の件、承知いたしました。+次にすることと期限 | 相手は、次の連絡を待てばよいと分かる |
| 一部だけ受けられる | 受けられる所を「承知いたしました」。残りは「確認して、◯日までにお返事します」 | 全部を承知した、と受け取られるのを防ぐ |
| 事情を知らせてもらった | 〜の件、承知いたしました。ご連絡ありがとうございます。 | 受けた、ではなく、知った、という返事。礼を添える |
| すでに知っている | 〜の件は、承知しております。 | 二度目の説明を、相手にさせずに済む |
| 電話で頼まれた | かしこまりました(承知いたしました)。+内容を声に出してくり返す | 聞き間違いを、その場で直せる |
| 急ぎの依頼 | 承知いたしました。◯時までに対応します。 | 長い返事より、いつ終わるかを先に知らせる |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
返事のあとに、復唱と期限を足す
「復唱」は、辞書で「確認のために、言われたことを繰り返して言うこと。」(デジタル大辞泉「復唱」の2番目)と説明されています。返事の中で、頼まれた内容をくり返すことです。
「承知いたしました。」だけの返事を受け取った相手は、返事が来たことは分かります。けれども、数量の変更が伝わったのか、期限まで伝わったのかは、確かめられません。次の順に書きます。
- 頼まれた文の、日付・数量・場所に印を付ける。復唱するのは、この三つです。数字は、相手の文から写します。自分の記憶で書くと、写し間違いが起きます。
- 全部受けられるかを確かめる。予定表、在庫、上司の了承が要るかを見ます。分からない所があれば、そこは「承知いたしました」に含めません。
- 「〜の件、承知いたしました」と、受けた内容を一文にする。相手は、何が伝わったかを、この一文で確かめられます。
- 次に自分がすることと、期限を足す。「◯日の午前中に、見積書をお送りいたします」のように書きます。期限があると、相手は自分の予定を組めます。
次の例は、すべて説明用の例です。取引先から、見積書の数量の変更を頼まれた場面です。
メール
- 惜しい例1:「承知いたしました。」
- 惜しい例2:「承知いたしました。至急対応いたします。」
- 良い例:「見積書の数量を150個へ変更する件、承知いたしました。単価を確認のうえ、[日付]の午前中に、あらためて見積書をお送りいたします。」
惜しい例2は、急ぐ気持ちは伝わりますが、「至急」がいつなのかが分かりません。良い例は、変更の中身と、見積書が届く時期が入っています。
電話
相手「見積もりの数量を、100個から150個に変えて、もう一度出してもらえますか」
自分「承知いたしました。数量を150個に変更して、見積書をお出しします。お届けは、あさっての午前中でよろしいでしょうか」
相手「はい、それでお願いします」
電話では、受けた言葉のすぐ後に、数字を声に出します。「150個」を「115個」と聞き違えていても、相手がその場で直せます。電話を切ったら、同じ内容をメモに書きます。
チャット
- 惜しい例:「承知です」
- 良い例:「承知しました。150個で見積書を作り直して、今日の17時までにここへ貼ります。」
社内のチャットは文が短くなります。短くても、数字と時刻を一つずつ足します。
迷いやすい判断と、返事のあとの直し方
判断1:全部は引き受けられないときも、「承知いたしました」と書いてよい?
基準は、「承知」が何にかかるかを、文で分けることです。受けられる所だけに「承知いたしました」を付けます。
「数量を150個へ変更する件は、承知いたしました。納期を一週間早める件は、工場に確認して、明日の午前中にお返事いたします」のように書きます(説明用の例です)。最初の一言だけを読んだ相手が、全部受けてもらえたと思い込むのを防げます。
判断2:内容がよく分からないまま、「承知いたしました」と言いそうなときは?
分からない所を、先に聞きます。「承知いたしました」は、聞き入れたという返事なので、言った時点で引き受けたことになります。
電話なら、「確認させてください。数量は150個、でよろしいでしょうか」と、分かった所をくり返して聞きます(説明用の例です)。メールなら、質問を一つに絞って返します。聞き方は、「ご教示」の使い方にまとめています。
判断3:「承知いたしました」に、ほかの言葉を重ねたほうが丁寧?
指針には「敬語をたくさん使えば丁寧になるというわけではない。」(指針35ページ)とあります。「かしこまりました。承知いたしました。」と重ねても、伝わる中身は増えません。受けた言葉は一つにして、残りの文を復唱と期限に使います。
判断4:同じ相手に、一日に何度も「承知いたしました」と返すのが気になる
受けた言葉は、同じでかまいません。毎回変わるのは、後ろに続く復唱と期限です。言葉を「かしこまりました」「了解いたしました」と入れ替えることに時間を使うより、何を受けたかを毎回書くほうが、相手の役に立ちます。
返事のあとで間違いに気づいたときの動きも、決めておきます。
場面1:「承知いたしました」と返したのに、期限に間に合わない
その場では:間に合わないと分かった時点で、期限の前に連絡します。「[日付]の午前中とお伝えした見積書ですが、単価の確認に時間がかかっております。[日付]の17時までにお送りいたします。申し訳ございません」と、新しい期限と理由を書きます(説明用の例です)。おわびの組み立ては、お詫びメールの書き方にあります。
後の記録:なぜ遅れたかと、次に期限を決めるときの直し方を書きます。「先輩への確認に半日かかった。次からは、確認の時間を足して期限を伝える」のような形です(説明用の例です)。
場面2:聞き違えたまま、承知していた
その場では:気づいたら、すぐに確かめます。「先ほど150個と伺いましたが、115個の誤りではないか、念のため確認させてください」と、数字を並べて聞きます(説明用の例です)。上司にも同じ内容を伝えます。
後の記録:復唱したかどうかを書きます。していなければ、「数字は声に出してくり返す」と一行残します。
場面3:「委細承知いたしました」と返したが、添付を開いていなかった
その場では:添付を全部読みます。受けられない条件が見つかったら、「先ほど委細承知とお返事しましたが、納品場所について一点確認させてください」と、確かめたい所を一つずつ伝えます(説明用の例です)。
後の記録:「添付を開いてから返事を書く。全部読むまでは、委細承知と書かない」と残します(説明用の例です)。
今日やることは一つです。今日返す返事を一つ選び、「承知いたしました」の前後に、何を受けたかの復唱と、次にすることの期限を書いてから送ってください。
「かしこまりました」を使う場面と、あとに続ける一言は、「かしこまりました」の使い方にまとめています。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
今日返事をする依頼のメール(または電話のメモ)。自分の予定表。受けられるかを確かめるための、在庫や日程の資料。
記入例を見る(説明用)
だれから、何を頼まれたか=[会社名]の[担当者名]様から、メールで。「見積書の数量を100個から150個に変えて、[日付]までに出し直してほしい」/全部受けられるか、一部だけか=数量の変更は受けられる。150個のときの単価は未確認。先輩に聞いてから答える/受けた内容の復唱=見積書の数量を150個に変更。提出は[日付]まで/次に自分がすることと、期限=今日中に先輩へ単価を確かめる。見積書は[日付]の午前中にメールで送る/返事の文=「見積書の数量を150個へ変更する件、承知いたしました。単価を確認のうえ、[日付]の午前中に、あらためて見積書をお送りいたします。」
CHECK
ここまでできたら、次へ。
返事の文に、受けた言葉が一つ、受けた内容の復唱、次に自分がすることと期限が入っている。
うまく進まなかったときは?
全部受けられるか分からなければ、受けられる所だけを「承知いたしました」と書き、残りは「確認して、◯日までにお返事します」と分ける。期限を決められなければ、先輩に「いつまでに返事ができると伝えてよいですか」と聞く。言葉で迷ったら「承知いたしました」に決めて、中身を書くほうに時間を使う。