NUSSI’S SALES NOTEウッシの営業ノート

NOTE 173 · 営業の実践ノート

退職の伝え方:営業が上司に切り出す前に確かめることと、言い方の例

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退職は、まず直属の上司に、口頭で伝えます。切り出す前に、就業規則の退職の決まり、引き継ぎにかかる期間、担当している取引先の3つを確かめておくと、退職日の相談が、その場で具体的にできます。この記事では、言い方の例(説明用)と、退職の申し出の期限についての厚生労働省の説明、話がこじれたあとの公的な相談先をまとめます。辞めることをすすめる記事でも、止める記事でもありません。

今日できるようになること

就業規則の退職の決まりを読み、担当の取引先と進行中の件を書き出して、上司に時間をもらう一言を決める。

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こんなときに 退職すると決めたが、だれに・いつ・何と言えばよいのか分からないとき。

この順番で進めよう
  1. 1

    就業規則の退職の決まりを読む

  2. 2

    担当の取引先と、引き継ぎにかかる期間を書き出す

  3. 3

    直属の上司に時間をもらい、口頭で伝える

  4. 4

    退職日と引き継ぎの進め方を上司と決め、書面を出す

会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。

伝える前に確かめる3つ:就業規則・引き継ぎの期間・担当の取引先

退職すると決めた。けれど、だれに、いつ、何と言えばよいのか分からない。言ったあとに何が起きるのかも見えない。そういうときは、切り出す前に、次の3つを確かめます。

1. 就業規則の、退職の決まり

退職の手続きは、会社の就業規則に書かれていることが多くあります。見る所は、いつまでに申し出るか、だれに申し出るか、どんな書類を出すかの3つです。

就業規則をどこで見られるか分からないときは、総務や人事の担当に聞きます。厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A「給料のことで就業規則を見たいのですが。」には、「就業規則の内容については、常時各作業場の見やすい場所に掲示する等の方法により労働者に周知しておかなければなりません(労基法106)ので、就業規則を閲覧できるようになっているか会社に確認してみてください。」と書かれています(2026年10月4日に確認)。

2. 引き継ぎにかかる期間

営業の引き継ぎは、書類を渡すだけでは終わりません。後任と一緒に取引先を回る、進行中の件の経緯を伝える、という時間が要ります。担当の数と、訪問できる日を数えて、何週間かかりそうかを自分で見積もっておきます。上司から「いつまで居られるか」と聞かれたとき、根拠のある日付で答えられます。

3. 担当している取引先と、進行中の件

取引先ごとに、進行中の件と、次の期限を書き出します。見積もりの返事待ち、毎月の納品、決まっている商談の予定などです。上司が最初に心配するのは、取引先の仕事が止まらないかどうかです。一覧があれば、後任を決める話に、その場で入れます。書き方は、引き継ぎメモにまとめています。

退職の申し出の期限:法律と就業規則の関係

「何日前までに言えばよいのか」は、いちばん迷う点です。ここは、厚生労働省の資料に書かれている文を、そのまま引きます(2026年10月4日に確認)。この記事は、法律の助言をするものではありません。自分の場合にどうなるかは、就業規則と、会社の人事・上司に確かめてください。

厚生労働省「知って役立つ労働法」(令和8年4月更新版)には、こう書かれています。

「正社員などのように、あらかじめ契約期間が定められていない場合は、労働者は少なくとも2週間前までに退職届を提出するなど退職の申し出をすれば、法律上はいつでもやめることができます(会社の就業規則に退職手続きが定められている場合はそれに従って退職の申し出をする必要があります。)。」(56ページ)

同じページには、就業規則について、「一般的に就業規則などに「退職する場合は退職予定日の1か月前までに申し出ること」というように定めている会社も多いので、退職手続きがどうなっているか調べることも必要です。」とも書かれています。

契約期間が決まっている働き方(契約社員など)は、決まりが別です。同じ資料に、「退職の申し出に当たっては、契約期間の定めがある労働契約を結んでいた場合と、そうでない場合とで法律上異なったルールが定められています。」とあります。自分の契約がどちらに当たるかは、雇用契約書や労働条件通知書で確かめます。

同じ資料は、「退職の意思を上司に伝え、書面で届け出る、仕事の引き継ぎをするなど社会的ルールを守ってやめることが、こうしたトラブルを防止する観点から大切です。」と書いています。就業規則の期限と、自分で見積もった引き継ぎの期間の、両方に間に合う日を、希望の退職日として持っていきます。

だれに・いつ・どこで・何と言うか

だれに:直属の上司に、最初に

最初に伝える相手は、直属の上司です(就業規則に別の決まりがあれば、それに従います)。同僚や取引先、上司の上の人に先に話すと、上司は、ほかの人から聞いて知ることになります。そうなると、退職日や引き継ぎの相談が、こじれた所から始まります。

いつ・どこで:時間をもらい、ほかの人に聞こえない所で

廊下や、商談へ向かう車の中で、急に切り出すのは避けます。先に、時間をもらいます。「ご相談したいことがあります。今日か明日、15分ほどお時間をいただけますか」と頼みます(説明用の例です)。場所は、会議室など、ほかの人に聞こえない所にします。

何と言うか:結論・希望の日・引き継ぎの順に

言う順番は、結論、希望の退職日、引き継ぎの考えです。理由は、聞かれたら短く答えます。次は説明用の例です。

惜しい例:「あの、ちょっと最近いろいろ考えていまして……。このまま続けていけるのか、自信がなくなってきたというか……」

良い例:「お時間をいただき、ありがとうございます。一身上の都合で、退職させていただきたいと考えています。就業規則を確かめ、引き継ぎの期間も考えて、〇月末日を希望しています。担当の12社と、進行中の3件を書き出してきました。引き継ぎの進め方を、ご相談させてください」

惜しい例は、相談なのか、退職の申し出なのかが分かりません。上司は「悩みを聞いてほしいのだな」と受け取り、励まして話が終わるかもしれません。辞めると決めているなら、「退職させていただきたい」と、最初に言い切ります。

良い例は、結論のあとに、日付と引き継ぎの材料を出しています。上司は、次に何を決めればよいかが分かります。まだ迷っていて、相談したい段階なら、退職の申し出とは分けて、「続けるかどうかで迷っています。相談させてください」と言います。迷いの整理は、営業を続けるか迷ったらにまとめています。

理由を聞かれたら、「一身上の都合です」で足ります。もう少し話すなら、会社や人への不満ではなく、自分がこれからしたいことを短く言います。

場面で変わるところ

場面伝え方(一例)気をつけること
上司が同じ職場にいる時間をもらい、会議室で口頭で伝える先にメールで「退職します」と送らない。メールは、時間をもらうお願いだけ
上司が別の拠点にいる・在宅勤務が中心電話かオンライン会議の時間をもらい、口頭で伝える話したあと、決まったことをメールで送り、記録に残す
上司が忙しく、時間が取れない「人事に関わるご相談です」と、急ぎの度合いを一言添えて頼む日が過ぎて、就業規則の期限に間に合わなくならないようにする

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

退職願と退職届

口頭で伝えたあと、書面を出します。「退職願」と「退職届」という、二つの名前を見かけます。

辞書(コトバンク)で二つの言葉を引くと、「退職願」「退職届」という項目そのものは、見当たりませんでした(2026年10月4日に確認)。もとになる言葉は載っています。「願い」は「手続きを踏んで願い出ること。また、その文書。「願いを出す」「退職願い」」(デジタル大辞泉「願い」)、「届け」は「学校・役所・会社の上役などに届け出ること。また、その書類。届け書。「欠席の届けを出す」「出生届け」」(デジタル大辞泉「届(とどけ)」)です。言葉の上では、願い出る書類と、届け出る書類という違いがあります。「辞表」は、「職を辞めたい旨を書いて出す文書。辞職願。」(デジタル大辞泉「辞表」)と説明されています。

厚生労働省の資料では、両方の言葉が使われています。厚生労働省「モデル就業規則」(令和7年12月版)の退職の条文の例(第52条)には、退職となるときとして「退職を願い出て会社が承認したとき」と「退職願」を出した場合が書かれています(70ページ)。厚生労働省「知って役立つ労働法」には、先に引いたとおり「退職届を提出するなど」とあります。

二つの書類の扱いの違いを、官公庁が定めた文は、見つけられませんでした。「退職願はこう、退職届はこう」という言い切りは、この記事ではしません。どちらを、どの書式で、だれに出すかは、就業規則と、上司・人事の指示に合わせます。上司に伝えた場で、「書面は、どの書式で、いつまでにお出しすればよいですか」と聞けば足ります(説明用の例です)。

出す前に写しを取り、いつ・だれに渡したかを、自分の記録に残します。あとで日付の話が食い違ったときに、確かめる材料になります。

引き止められたときと、退職日までの営業の仕事

引き止められたとき

退職を伝えると、引き止められることがあります。辞書では「慰留」といい、「退こうとする人をなだめて、思いとどまらせること。」(デジタル大辞泉「慰留」)と説明されています。引き止めの言葉に、どう答えるかを、先に決めておきます。

決めておくのは、何が変われば残るのか、何が変わっても辞めるのかです。条件(担当、勤務地、給料など)が変われば残る気持ちがあるなら、その条件を言います。気持ちが決まっているなら、「お気持ちはありがたいのですが、考えは変わりません。引き継ぎをきちんと進めたいので、退職日のご相談をさせてください」と、お礼と結論を一緒に伝えます(説明用の例です)。あいまいに「考えます」と答えると、話が何度もくり返されます。

「後任が決まるまで待ってほしい」と言われたら、待てる日付を自分で決めて答えます。「〇月末日までなら残れます。それ以降は難しいです」のような形です(説明用の例です)。

会社が認めないと辞められないのか、という点について、厚生労働省「モデル就業規則」の解説(第52条)には、こう書かれています。

「期間の定めのない雇用の場合、労働者はいつでも退職を申し出ることができます。また、会社の承認がなくても、民法(明治29年法律第89号)の規定により退職の申出をした日から起算して原則として14日を経過したときは、退職となります(民法第627条第1項)。」(71ページ)

これは、期間の定めのない雇用についての、一般的な説明です。自分の件がどうなるかを、この記事では言い切りません。話が進まないときは、あとの相談先に聞いてください。

残っている有給休暇

年次有給休暇について、厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A「年次有給休暇をとる条件は?パート労働者でももらえますか?」には、「年次有給休暇は、法定の要件を満たせば当然に権利が発生するもので、労基法が保障する労働者の権利であります。」と書かれています(2026年10月4日に確認)。

退職日までに、いつ・何日取るかは、引き継ぎの日程と一緒に、上司に相談します。「残りの有給休暇が〇日あります。引き継ぎを〇日までに終え、そのあとに取りたいと考えています」と、引き継ぎの案とセットで出すと、話がまとまりやすくなります(説明用の例です)。話がつかないときは、あとの相談先に聞きます。

退職日までの営業の仕事

退職が決まっても、退職日までは、担当の営業です。やることは、次の順番です。

  1. 社内と取引先に、いつから伝えてよいかを上司に確かめる。退職は、社内で発表される順番が決まっていることがあります。発表の前に、自分から取引先や同僚に話しません。
  2. 引き継ぎの材料を作る。取引先ごとに、進行中の件、次の期限、まだ確かめていないことを書きます。書き方は、引き継ぎメモを見てください。
  3. 取引先へのあいさつは、会社の発表のあとで、上司の指示に従う。だれに、メールで伝えるか、後任と訪問するかは、上司と決めます。文例は退職の挨拶メールに、後任との進め方は担当変更の挨拶にまとめています。
  4. 約束を残さない。退職日より後に期限が来る約束は、自分の名前で新しく引き受けず、後任か上司の名前で進めます。

取引先の連絡先、見積もり、やり取りの記録など、仕事で知った情報の扱いは、会社の決まりに従います。自分の判断で持ち出したり、私用のあて先へ送ったりしません。

迷いやすい判断と、話がこじれたあとの相談先

判断1:メールやチャットで伝えてもよい?

基準は、口頭が先、文字はあとです。厚生労働省の資料も、先に引いたとおり、上司に伝えることと、書面で届け出ることを挙げています。メールやチャットは、時間をもらうお願いと、話したあとの記録に使います。上司と会う機会がない働き方なら、電話かオンライン会議で話します。

判断2:転職先が決まっている。会社の名前を聞かれたら?

言うかどうかは、自分で決めて構いません。言わないなら、「落ち着きましたら、あらためてご報告します」と答える形があります(説明用の例です)。

判断3:仲のよい同僚や、取引先には、先に話してよい?

基準は、上司が「伝えてよい」と言った日より前には話さないことです。信頼している相手でも、話は広がります。上司がほかの人から聞いて知ると、そのあとの相談がやりにくくなります。

失敗のあと:感情的に切り出してしまった

その場では:しかられた直後などに、「もう辞めます」と言ってしまった。本当に辞めるつもりなら、日をあらためて、「先日は、失礼な言い方をしました。あらためて、退職のご相談をさせてください」と、言い方についておわびし、結論と日付から話し直します(説明用の例です)。辞めるつもりがなかったなら、早めに、「先日の発言を取り消させてください」と、はっきり伝えます。発言がどう扱われるかは、ここでは言い切れません。迷ったら、あとの相談先に聞きます。

あとの記録:いつ・だれに・何と言い、何と返されたかを、その日のうちに書きます。

失敗のあと:上司より先に、ほかの人から伝わってしまった

その場では:気づいたら、その日のうちに、自分から上司に時間をもらいます。「順番が逆になり、申し訳ありません。本来、最初にお伝えすべきでした」とおわびし、結論と希望の日を伝えます(説明用の例です)。

あとの記録:だれに、いつ話したかを書き、まだ話していない人には、上司の指示があるまで話さないと決めます。報告のしかたは、営業で失敗したときにまとめています。

話がこじれたあとの相談先

退職を受け取ってもらえない、退職日の話が進まない、というときは、一人で抱えず、社内の人事の担当か、公的な窓口に相談します。厚生労働省「知って役立つ労働法」には、「退職について、わからないことがありましたら、労働基準監督署や総合労働相談コーナーまでご相談ください。」と書かれています。

総合労働相談コーナーは、各都道府県の労働局や、労働基準監督署の中などにある窓口です。厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」には、「専門の相談員が面談もしくは電話で対応致します。」「予約不要、ご利用は無料です。」と書かれています(2026年10月4日に確認)。場所と電話番号は、同じページの一覧で確かめられます。相談するときは、いつ・だれに・何と伝え、何と返されたかの記録を手元に置きます。

今日やることは一つです。就業規則の退職の決まりを読み、担当の取引先と進行中の件を書き出して、上司に時間をもらう一言を決めてください。

上司に伝えたあとに出す書面は、退職届の書き方にまとめています。

YOUR TURN

自分の一件で、書いてみよう。

手元に用意するもの
就業規則(退職の章)、担当している取引先の一覧、進行中の件のメモ、今後の予定表。

記入例を見る(説明用)

就業規則の退職の決まり=社内の共有フォルダにある就業規則を読んだ。「退職する場合は、退職を希望する日の1か月前までに、所属長に退職願を出す」と書いてある。書式があるかは未確認(上司に聞く)/担当の取引先と、進行中の件=担当は12社。進行中は、A社の見積もり(返事待ち)、B社の毎月の納品、C社の来月の展示会の準備の3件/引き継ぎにかかりそうな期間と、希望の退職日=後任と一緒に12社を回るのに、3週間ほどかかりそう。希望の退職日は、再来月の末日。決めるのは、上司と相談してから/上司に時間をもらう一言と、最初に言う一文=「ご相談したいことがあります。今日か明日、15分ほどお時間をいただけますか」。会議室で「一身上の都合で、退職させていただきたいと考えています。再来月の末日を希望しています」と言う/上司と決めること・確かめること=退職日、出す書類と書式、後任、社内と取引先にいつから伝えてよいか、残っている有給休暇の取り方。

入力は自動保存されません。ページを移動する前に保存してください。保存した内容は他の人に自動送信されません。

CHECK

ここまでできたら、次へ。

就業規則の退職の決まりを読んであり、担当の取引先と進行中の件が書いてあり、上司に最初に言う一文と、希望の退職日が決まっている。

うまく進まなかったときは?

就業規則が見つからなければ、総務や人事の担当に「就業規則は、どこで見られますか」と聞く。希望の退職日が決められなければ、進行中の件の期限を書き出し、引き継ぎに要る週の数を数える。上司に切り出せないまま日が過ぎるなら、時間をもらう一言だけを、今日メールかチャットで送る。

NEXT NOTE

次に読むなら

退職の挨拶メールを書く引き継ぎメモを書く担当変更の挨拶をする