NOTE 103 · 営業の実践ノート
「ご自愛ください」の意味と使い方:「お体ご自愛ください」の重なり、言い換え、返事の例
公開:2026年10月3日
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「ご自愛ください」は、相手に「ご自分の体を大切にしてください」と伝える言葉です。辞書は「自愛」を「自分を大切にすること。自分の健康状態に気をつけること。」と説明しています。メールや手紙の終わりに、用件を書き終えた後で添える形が多く使われます。この記事では、意味を辞書で確かめたうえで、置く場所、季節の言葉との組み合わせ、相手ごとの選び方、言い換え、言われたときの返事を、説明用の例と一緒に並べます。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 季節の変わり目や年末のメールで、結びに相手の体を気づかう一言を入れたいとき。
- 1
相手の今の様子(元気か、休んでいるか、分からないか)を確かめる
- 2
用件と、相手にお願いすることを先に書き終える
- 3
季節や状況の一言と「ご自愛ください」を、結びに一文で添える
- 4
「お体」と重ねていないか、変換の間違いがないかを読み返す
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
「ご自愛ください」の意味:辞書で確かめる
季節の変わり目に、取引先へメールを書く。用件は書き終えたが、最後に一言、相手を気づかう言葉を足したい。「ご自愛ください」と書こうとして、意味をはっきり知らないことに気づく。営業を始めたばかりの時期に、起きやすい場面です。
まず、「自愛」を辞書で引きます。「 」の中は、辞書の文をそのまま写したものです。
| 辞書 | 語釈(1番目の意味) | 語釈から言えること |
|---|---|---|
| デジタル大辞泉 | 「自分を大切にすること。自分の健康状態に気をつけること。」例文は「時節柄ご自愛ください」 | 自分で自分の健康に気をつける、という意味 |
| 精選版 日本国語大辞典 | 「自分を大切にすること。自分の体に気をつけること。現代では、「御自愛」の形で、手紙の末文などで相手に向けて用いることが多い。」 | 手紙の終わりで、相手に向けて使う言葉だと説明されている |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
出典は、コトバンク「自愛」です。
「ご自愛ください」は、この「自愛」に「ご」と「ください」を付けて、相手に向けた形です。意味は「ご自分の体を、大切になさってください」となります。体に気をつけるのは相手自身なので、「自」の字が入っています。
大事なのは、使われる場所です。精選版 日本国語大辞典は「手紙の末文などで」と説明しています。用件を伝える言葉ではなく、用件を書き終えた後に添える、気づかいの言葉です。相手にとっては、無くても仕事は進みます。そのぶん、置く場所や相手の様子に合っていないと、形だけ入れたように見えます。
「お体ご自愛ください」は間違い?語釈から言える範囲
「お体ご自愛ください」「お体をご自愛ください」という書き方を見かけます。これは間違いだ、という説明を読んだことがある人もいると思います。辞書で確かめられる範囲を、先に書きます。
確かめられたこと。上の二つの辞書の語釈には、「自分の健康状態に気をつけること」「自分の体に気をつけること」と書かれています。「自愛」という言葉の中に、体に気をつけるという意味が、すでに入っています。そこへ「お体を」を足すと、体のことを二度言う形になります。
確かめられなかったこと。二つの辞書の「自愛」の項目に、「お体ご自愛ください」が誤りだ、という説明はありませんでした。文化審議会答申「敬語の指針」の全文も検索しましたが、「自愛」という言葉は出てきません。この記事でも、「誤りだ」とは言い切りません。
では、どちらを書くか。選び方を表にしました。決まりではなく、選び方の一例です。
| 書き方 | 意味の重なり | 選び方(一例) |
|---|---|---|
| どうぞご自愛ください | 重ならない | この形だけで、体を大切にという意味が足りる |
| お体ご自愛ください | 「体」を二度言う形になる | 意味は通じる。重なりを気にする人もいるので、「お体」を取ると引っかかる人が減る |
| お体を大切になさってください | 重ならない | 「お体」と書きたいときは、「ご自愛」のほうを替える |
| お体にお気をつけください | 重ならない | やわらかく言いたいとき |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
なぜ短いほうを選ぶのか。読む人の中には、言葉の重なりに気づく人と、気づかない人がいます。「ご自愛ください」だけなら、どちらの人が読んでも引っかかりません。相手がどちらか分からないときは、引っかかる人が少ないほうを選んでおく、という考え方です。
相手が「お体ご自愛ください」と書いてきたときに、指摘する必要はありません。気づかいの言葉として受け取り、お礼を返します。
結びでの使い方:置く場所と、季節の言葉との組み合わせ
置く場所は、用件と、相手へのお願いを書き終えた後です。メールなら署名の前、手紙なら結語(「敬具」など)の前に入れます。
- 用件を書く。何の連絡かを先に書きます。
- 相手にお願いすることと、期限を書く。「◯月◯日までに、ご確認をお願いいたします」のように書きます。
- 気づかいの一文を添える。季節や状況の一言と、「ご自愛ください」をつなげます。
- 署名(手紙なら結語)で終える。
この順にする理由は、相手が読み終えた後に動けるようにするためです。気づかいの言葉を用件より前に置くと、期限やお願いが後ろに下がり、見落とされやすくなります。メールの終わり全体の組み立ては、ビジネスメールの締めにまとめています。
「ご自愛ください」だけでも使えますが、なぜ今その言葉を書くのかが分かる一言を前に置くと、形だけの言葉に見えにくくなります。次の表は、説明用の例です。
| 時期・状況 | 結びの一文(説明用の例) |
|---|---|
| 寒い時期 | 寒い日が続いております。どうぞご自愛ください。 |
| 暑い時期 | 暑さの厳しい日が続きます。どうぞご自愛ください。 |
| 季節の変わり目 | 朝晩の冷え込みが強くなってまいりました。どうぞご自愛ください。 |
| 年末 | 年末のお忙しい時期かと存じます。どうぞご自愛ください。 |
| 季節を問わない | 時節柄、どうぞご自愛ください。 |
| 相手が忙しいと聞いている | ご多忙の日が続いていると伺っております。どうぞご自愛ください。 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
「時節柄」は、デジタル大辞泉で「時節が時節なので。時分柄。」と説明され、例文に「時節柄おからだを大切に」が載っています(コトバンク「時節柄」)。季節を決めずに使える言葉です。
手紙では、「末筆ながら、ご自愛のほどお祈り申し上げます」のような形も使われます(説明用の例です)。「末筆」は、デジタル大辞泉で「文章、特に手紙の末尾にしるす文句。」と説明されています(コトバンク「末筆」)。手紙の書き出しに入れる季節の言葉(「〜の候」など)は、時候の挨拶 一覧に月別でまとめています。年末のメールの文面は、年末の挨拶メールにあります。
惜しい例と、良い例を並べます。どちらも説明用の例です。
惜しい例:「お世話になっております。季節の変わり目ですので、ご自愛ください。さて、先日の見積書の件ですが、ご確認いただけましたでしょうか。」
気づかいの言葉が用件の前にあり、結びに何も無いまま終わっています。お願いの期限もありません。
良い例:「見積書を添付いたします。◯月◯日(◯)までに、内容をご確認いただけますでしょうか。」
「朝晩の冷え込みが強くなってまいりました。どうぞご自愛ください。」
用件、期限、気づかいの順になっています。相手は、何をいつまでにすればよいかを読んだ後で、気づかいの言葉を受け取れます。
相手と場面で選ぶ:取引先・上司・体調を崩している相手
取引先や上司に使ってよいか。辞書は、「御自愛」の形で「相手に向けて用いることが多い」と説明していて、目上の人には使えない、という説明はありません。取引先や上司あての手紙・メールの結びにも使われています。
「ください」で終わる形が強く感じられるときは、お願いやお祈りの形に替えます。次の表は一例です。
| 相手 | 結びの言葉(説明用の例) | そう選ぶ理由 |
|---|---|---|
| ふだんやり取りしている取引先の担当者 | どうぞご自愛ください。 | 短く、用件の邪魔にならない |
| あらたまった相手(役職の高い方、初めて手紙を出す相手) | ご自愛くださいますよう、お願い申し上げます。/ご自愛のほど、お祈り申し上げます。 | 「ください」で言い切らず、お願いやお祈りの形にする |
| 社内の上司 | どうぞご自愛ください。/お体にお気をつけください。 | 社内のメールでは、入れずに終える職場も多い |
| 社内の先輩・同僚 | 無理をなさらないでください。 | 話し言葉に近いほうが、気持ちが伝わりやすい |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
すでに体調を崩している相手には。辞書の語釈は「自分の健康状態に気をつけること」です。辞書に、病気の人には使えない、という説明はありません。ただ、休んでいる人や、けがをした人には、別の言葉が選ばれることが多いです。
よく使われるのは「お大事に」です。デジタル大辞泉は「御大事に」を「相手の体をいたわる心持ちを表すあいさつの言葉。」と説明しています(コトバンク「御大事に」)。もとの「大事」は、同じ辞書で「価値あるものとして、大切に扱うさま。」と説明され、例文に「どうぞ、お大事に」が載っています(コトバンク「大事」)。
書き言葉では、「どうぞお大事になさってください」の形にします。「ご養生ください」という言い方もあります。「養生」は、デジタル大辞泉の2番目の意味に「病気の回復につとめること。保養。」とあります(コトバンク「養生」)。
「体調を崩されたと伺いました。どうぞお大事になさってください。」
「ご返信は、ご回復されてからで結構です。お急ぎの件は、[上司の名前]様へご連絡いたします。」
やり取りは説明用の例です。休んでいる相手が気にするのは、自分の体と、止まっている仕事の両方です。返事を急がないことと、代わりの連絡先を書くと、相手は休むことに集中できます。代わりに誰へ連絡するかは、相手の会社から案内された人にします。分からなければ、自分の上司に聞いてから書きます。
言い換えと、言われたときの返事
同じ相手に、毎回「ご自愛ください」と書くと、決まり文句に見えてきます。言い換えを持っておくと、相手の様子に合わせて選べます。次の表は一例です。
| 言い換え(説明用の例) | 向いている場面 |
|---|---|
| お体にお気をつけてお過ごしください。 | やわらかく伝えたいとき |
| お体を大切になさってください。 | 「お体」という言葉を入れたいとき |
| 皆様のご健勝をお祈り申し上げます。 | 会社や部署の全員に向けた手紙・メール |
| お元気でお過ごしください。 | しばらく会わない相手へ |
| どうぞお大事になさってください。 | すでに体調を崩している相手へ |
| 無理をなさらないでください。 | 社内の先輩や同僚へ |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
「健勝」は、デジタル大辞泉で「健康で元気なこと。また、そのさま。すこやか。多く手紙文で、「ご健勝」の形で用いる。」と説明されています(コトバンク「健勝」)。「ご自愛ください」は相手に行動をお願いする形、「ご健勝をお祈り申し上げます」はこちらが祈る形、という違いがあります。
「ご自愛ください」と言われたときの返事
返事に決まった形はありません。お礼を言い、同じ気づかいを相手に返す形が、よく使われます。
「お気づかいいただき、ありがとうございます。佐藤様も、どうぞご自愛ください。」
説明用の例です。メールで言われた場合、その返事だけのために返信する必要があるかは、用件によります。相手のメールに質問やお願いがあれば、その答えを先に書き、最後にこの一文を添えます。用件が終わっているメールへ返すかどうかの決め方は、お礼メールへの返信にまとめています。
電話や対面で言われたときは、「ありがとうございます。佐藤様も、お気をつけてお過ごしください」と、その場で返します(説明用の例です)。
迷いやすい判断と、間違えて送ったとき
判断1:毎回のメールに、入れたほうがよい?
基準は、その言葉を書く理由が、今あるかどうかです。季節の変わり目、年末、相手が忙しいと聞いたとき、しばらく連絡しなくなるとき。理由があれば入れます。同じ日に何通もやり取りしている用件のメールには、入れない人が多いです。迷ったら、入れずに用件と期限で終えても、相手が困ることはありません。
判断2:相手が元気かどうか、分からないときは?
「ご自愛ください」は、元気な相手にも使える言葉なので、そのまま使えます。避けたいのは、「お元気そうで何よりです」のように、様子を決めつける一文です。久しぶりに連絡する相手なら、ご無沙汰しておりますの使い方にある書き出しと組み合わせます。
判断3:社内の上司に書くと、かたすぎる?
基準は、先輩がその上司に、どう書いているかです。社内のメールは、用件だけで終える職場も多いです。長い休みの前や、上司が出張から戻った後などに一言添えるなら、「どうぞご自愛ください」か「お体にお気をつけください」で足ります。分からなければ、先輩に「部長あてのメールの最後に、体を気づかう一言を入れてもよいですか」と聞きます(説明用の例です)。
判断4:チャットや短い返信でも、使う?
チャットは、短く速くやり取りする場です。「ご自愛ください」のような手紙の言葉は、合わないことがあります。相手が休む、と書いてきたときは、「承知しました。お大事になさってください」のように、話し言葉に近い形にします(説明用の例です)。
失敗1:休んでいる相手に、「ご自愛ください」と送った
その場では:辞書に、使えないという説明はありません。訂正のメールは送らないことが多いです。次に連絡するときに、「その後、お加減はいかがでしょうか」と、相手の様子をたずねる一文から始めます(説明用の例です)。
後の記録:「相手が休んでいることを、送る前に確かめなかった。次からは、結びを書く前に、前回のやり取りを読み返す」と書きます。
失敗2:「お体ご自愛ください」と書いて送った
その場では:意味は通じています。訂正だけのメールを送ると、相手の受信箱を増やすだけになります。そのままにして、次のメールから「どうぞご自愛ください」にします。
後の記録:よく使う結びの文を、正しい形で一つ、自分用のメモに保存します。
失敗3:「ご慈愛ください」と変換して送った
その場では:「慈愛」は、読みは同じですが別の言葉です。デジタル大辞泉は「親が子供をいつくしみ、かわいがるような、深い愛情。」と説明しています(コトバンク「慈愛」)。意味が通らなくなるので、気づいた時点で上司に伝えます。あらたまった手紙や、大事な相手へのメールなら、「先ほどのメールの結びに、変換の誤りがありました。失礼いたしました」と短く送ります(説明用の例です)。ふだんのやり取りなら、次のメールで正しく書けば足りる場合もあります。どちらにするかは、上司と決めます。
後の記録:「送る前に、結びの一文を声に出さずに一字ずつ読む」を、送信前の手順に足します。間違えたときの報告のしかたは、営業で失敗したときにまとめています。
今日やることは一つです。これから送るメールか手紙を一通選び、相手の様子を確かめてから、結びに添える気づかいの一文を書いてください。
気づかいの言葉をもらったときの返事は、「お気遣いありがとうございます」の使い方を見てください。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
これから送るメールか手紙の下書き。相手の最近の様子が分かるメモ(前回のやり取り、休みの連絡など)。
記入例を見る(説明用)
送る相手と、相手の今の様子=A社の佐藤様。先週の打ち合わせでは元気そうだった。体調を崩したという話は聞いていない/用件と、相手にお願いすること=見積書を送る。◯月◯日(◯)までに、内容の確認をお願いする/季節や状況の一言=朝晩が冷えるようになってきた/結びの一文=「朝晩の冷え込みが強くなってまいりました。どうぞご自愛ください。」を、期限のお願いの後、署名の前に置く/送る前に確かめたこと=「お体」と重ねていない。「ご慈愛」と変換されていない。期限の一文が、気づかいの一文より前にある。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
相手の様子を確かめたうえで、用件の後に、季節や状況の一言と気づかいの言葉が一文で書いてあり、読み返しも済んでいる。
うまく進まなかったときは?
相手の様子が分からなければ、「皆様お変わりなくお過ごしでしょうか」のように決めつけない形にするか、気づかいの一文を入れずに用件だけで終える。すでに休んでいる相手なら、「お大事になさってください」に替える。言葉に迷ったら、先輩がその相手に送ったメールの結びを見せてもらう。