NOTE 62 · 営業の実践ノート
ビジネスメールの締め:結びの一文で、相手の次の行動を決める
公開:2026年10月3日
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ビジネスメールの締めは、結びの一文と署名でできています。結びには、相手にしてほしいこと、いつまでか、返信が要るかどうかを書きます。「よろしくお願いいたします」の前にその一文を足すと、相手は読み終えた後に何をすればよいかが分かります。この記事では、お願い・回答・報告・おわびなど場面ごとの結びの表と文例、署名に書くこと、定型句で迷ったときの決め方を説明します。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 用件は書けたが、最後を「よろしくお願いいたします」だけで終えてよいか迷うとき。返事がほしいのに、どう書けばよいか決まらないとき。
- 1
相手に、読んだ後にしてほしいことを一つ決める
- 2
いつまでか、返信が要るかどうかを決める
- 3
結びの一文を書き、最後に挨拶の言葉を添える
- 4
署名を付け、期限の日付と曜日を見直す
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
締めの役割:相手が読み終えた後に知りたい3つ
メールを最後まで読んだ相手は、「それで、自分は何をすればよいのか」を考えます。締めは、その問いに答える場所です。相手が知りたいことは、次の3つです。
- 何をしてほしいのか。返事を書くのか、資料を見るのか、日程を選ぶのか、何もしなくてよいのか。
- いつまでか。今日中なのか、今週中なのか、急がないのか。日付がないと、相手は自分の予定に入れられません。
- 返信が要るのか。読むだけでよいメールに返事を書くのは、相手の手間になります。返信が要るのに書かれていなければ、相手は返さず、こちらは待ち続けることになります。
初心者がつまずきやすいのは、用件を書き終えた所で力を使い切り、「よろしくお願いいたします」だけで終えることです。この言葉は結びのあいさつとして広く使われていますが、何をよろしくなのかは書かれていません。相手は、本文を読み返して推測することになります。
締めは、2つの部品でできています。結びの一文(してほしいこと・期限・返信の要否)と、署名です。結びのあいさつ(「よろしくお願いいたします」など)は、結びの一文の後に添えます。
締めの言葉づかいにも、会社ごとの慣例があります。この記事の例は、一般に使われることが多い形です。先輩が送っているメールの形があれば、そちらに合わせてください。書き出しはビジネスメールの書き出し、全体の組み立てはビジネスメールの書き方にまとめています。
場面で決める:結びの表
結びの一文は、メールの場面で変わります。書く前に、「このメールは、お願いか、回答か、報告か」を一つ決めます。次の表は一例です。
| 場面 | 結びに書くこと | 結びの例 |
|---|---|---|
| お願いしたとき | してほしいこと、期限、難しい場合の逃げ道 | お手数ですが、◯月◯日(◯)までにご返信いただけますでしょうか。難しい場合は、ご都合のよい時期をお知らせください |
| 質問に回答したとき | ほかに不明な点があれば受けること、次に自分がやること | ご不明な点がありましたら、お知らせください。残りの1点は、◯月◯日(◯)までにご連絡します |
| 報告だけのとき | 返信が要らないこと | ご報告のみですので、ご返信には及びません |
| おわびのとき | 次に自分が何を・いつまでにするか | ◯月◯日(◯)までに、訂正した資料をお送りします。このたびは、申し訳ございませんでした |
| 返信不要にしたいとき | 返信が要らないことと、問題がある場合だけ連絡がほしいこと | ご確認のみで結構です。変更がある場合のみ、ご連絡ください |
| 日程の候補を出したとき | 選び方、どれも合わない場合の返し方 | ご都合のよい日を一つお知らせください。いずれも難しい場合は、候補をいただけますと幸いです |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
お願いのメールに「難しい場合」の一文を入れる理由は、相手が断りやすくなるからです。断る道がないと、相手は返事を後回しにしがちです。「できない」という返事でも、早く届けば、こちらは次の手を打てます。
おわびのメールでは、結びが「今後ともよろしくお願いいたします」だけになると、相手は、いつ直るのかが分かりません。おわびの言葉と一緒に、次の動きと日付を書きます。
期限を書くときは、日付と曜日を並べます。「来週中に」「なるべく早く」は、人によって受け取る日が違います。理由を一言添えると、相手は急ぎの度合いを判断できます。「◯月◯日の社内会議で使うため」のような、短い理由で足ります。
文例:用件の終わりから署名まで
4つの場面の締めを並べます。社名・人名・日付・用件は、どれも説明用の例です。[ ]と◯の所を、自分の案件に置き換えてください。
1. 確認をお願いしたとき
(用件:見積書を添付したこと、前回から変えた点)
お手数ですが、◯月◯日(◯)までに、この内容で進めてよいかどうかをご返信いただけますでしょうか。
期日のご都合が合わない場合は、お知らせください。
よろしくお願いいたします。
[署名]
してほしいこと(進めてよいかの返信)、期限、難しい場合の返し方が入っています。相手は「この内容で進めてください」の一文で返せます。見積書を送るときの文面は、見積書を送る前に確認する7項目にもまとめています。
2. 質問に回答したとき
(用件:質問2点のうち、1点への回答)
もう1点の、設置にかかる日数は、担当に確認しています。◯月◯日(◯)までに、あらためてご連絡します。
ほかにご不明な点がありましたら、お知らせください。
よろしくお願いいたします。
[署名]
答えられなかったことを、誰が・いつまでに答えるかを書いています。これがないと、相手は「残りはどうなったのか」を聞くために、もう一通書くことになります。
3. 報告だけのとき
(用件:本日、資料を発送したこと。到着の予定日)
ご報告のみですので、ご返信には及びません。
到着後、内容に不足がありましたら、ご連絡ください。
引き続き、よろしくお願いいたします。
[署名]
返信が要らないことと、連絡がほしい場合の条件を分けて書いています。
4. 日程の候補を出したとき
(用件:打ち合わせのお願いと、候補日3つ)
ご都合のよい日を、一つお知らせいただけますでしょうか。
いずれも難しい場合は、ご都合のよい日時を2〜3ついただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
[署名]
相手は、日付を一つ書くだけで返せます。合わない場合の返し方も書いてあるので、やり取りの回数が減ります。会う約束のお願いのしかたは、営業のアポ取りにまとめています。
言い方の例と、署名に書くこと
次の4つは、説明用の例です。
- 惜しい例1:「以上、よろしくお願いいたします」
- 惜しい例2:「お忙しいところ恐縮ですが、ご確認のほど、何卒よろしくお願い申し上げます」
- 惜しい例3:「お手すきの際に、ご返信ください」(社内では明日の朝までに返事が要る)
- 良い例:「お手数ですが、◯月◯日(◯)までに、数量に変更がないかをご返信いただけますでしょうか。よろしくお願いいたします」
惜しい例1は、次の行動が書かれていません。相手は、返事が要るのかどうかを本文から探します。
惜しい例2は、言葉はていねいですが、何を確認して、どうすればよいのかが分かりません。確認した後に返事が要るのか、問題があるときだけ連絡すればよいのかも、相手が決めることになります。
惜しい例3は、こちらの本当の期限と、書いた言葉が合っていません。遠慮して期限をぼかすと、相手は急ぎではないと受け取り、こちらは後で催促することになります。期限があるなら、理由と一緒に書くほうが、相手にも親切です。
良い例は、何を(数量に変更がないか)、いつまでに、どうする(返信する)が一文に入っています。
署名に書くこと
署名は、相手が「この人に連絡するには、どうすればよいか」を調べる場所です。会社で形が決まっていれば、それを使います。決まりがない場合は、次のものを入れる形が多いです。
- 会社名と部署名
- 名前(読みにくい名前には、ふりがなを添える人もいます)
- 会社の住所
- 電話番号(外出が多い仕事では、会社の携帯電話の番号を入れるかを上司に聞く)
- メールアドレス
電話番号を入れる理由は、急ぎのときや、文で書きにくい話のときに、電話で返したい相手がいるからです。個人の携帯電話の番号や、個人のSNSを入れるかどうかは、自分で決めずに会社の決まりに従います。
署名を一度作ったら、部署や番号が変わった時に直します。古い番号のままだと、相手は連絡がつかず、困ります。返信のたびに署名を付けるか、2通目以降は短くするかは、職場の慣例に合わせます。
迷いやすい判断
締めには、決まった言い回し(定型句)がいくつかあります。意味を知ったうえで、使うかどうかは会社の慣例に合わせます。
判断1:「取り急ぎ」は使ってよい?
「取り急ぎ」は、「まずは急いで」という意味で、「取り急ぎご報告まで」のように、くわしい話は後にして要点だけを先に伝える場面で使われてきた言葉です。社内や、やり取りの多い相手との間で、よく使われます。
一方で、相手によっては、急いで済ませた印象を受けることがある、とも言われます。迷ったら、「まずは、ご報告いたします。くわしい内容は、◯月◯日(◯)までにあらためてご連絡します」のように、後で何を・いつ送るかを書く形にすると、どの相手にも意味が伝わります。
判断2:「ご査収ください」は、どんなときに使う?
「査収」は、よく調べたうえで受け取る、という意味の言葉です。書類や資料を送ったときに、「内容を確かめて、受け取ってください」という意味で使われることが多いです。
確かめる物(添付や同封の書類)があるときに使う言葉、と説明されることが多いです。使い慣れないうちは、「添付の見積書をご確認ください」のように、何を確認してほしいのかをそのまま書く形でも、用は足ります。先輩のメールで使われていれば、その場面に合わせて使います。
判断3:「ご自愛ください」は、いつ使う?
「ご自愛ください」は、体を大事にしてください、という意味の言葉です。季節の変わり目や、年末の挨拶など、相手の体を気づかう結びとして使われます。
「自愛」に体を大事にする意味が含まれるので、「お体をご自愛ください」と重ねない形が多い、と言われます。日々の用件のメールでは、入れずに終える人も多いです。入れるかどうかは、相手との関係と、会社の慣例で決めます。年末の挨拶の結びは、年末の挨拶メールにまとめています。
判断4:返信不要は、どう伝える?
基準は、相手が何もしなくても、こちらが困らないかどうかです。困らないなら、返信が要らないことを書きます。「ご返信には及びません」「ご確認のみで結構です」「ご返信はお気遣いなく」などが使われます。
「返信不要です」と短く書くと、冷たく感じる人もいる、と言われます。目上の相手や、取引先には、「ご返信には及びません」のように、相手の手間を気づかう形を選ぶ人が多いです。問題があるときだけ連絡がほしい場合は、その条件を足します。
自分が「返信不要」と書かれたメールを受け取ったときに、返すかどうかの決め方は、お礼メールへの返信にまとめています。
判断5:相手に期限を書くのは、失礼にならない?
期限を書くこと自体は、相手が予定を立てる助けになります。気をつけるのは、書き方です。「◯日までに返信してください」と命じる形ではなく、「◯月◯日(◯)までにご返信いただけますでしょうか」とお願いの形にし、理由と、難しい場合の返し方を添えます。
期限が近すぎるときは、メールだけに頼らないほうがよい場合があります。上司に「[会社名]様に、明日までの返事をお願いしたいのですが、メールの後にお電話もしたほうがよいですか」と、自分の案を添えて聞きます(説明用の例です)。
締めを間違えたとき
締めの間違いは、相手の動きに直接ひびきます。気づいたら、早めに直します。その場の動きと、後の記録をセットで行います。
失敗1:期限を書かずに送り、返事が来ない
その場では:相手が悪いわけではありません。こちらが期限を伝えていなかったので、相手は急ぎだと知りません。「先日お送りした見積書の件で、ご連絡しました。社内の手配の都合で、◯月◯日(◯)までに、進めてよいかどうかをお知らせいただけますでしょうか。ご連絡が遅くなり、申し訳ございません」のように、期限と理由を足して送ります(説明用の例です)。
後の記録:「期限を書かなかった。次からは、送る前に、結びに日付と曜日があるかを見る」と書きます。返事を待つ間の進め方は、「検討します」の後にまとめています。返事をお願いする文面は、催促メールも見てください。
失敗2:期限の日付と曜日が合っていなかった
その場では:相手は、日付と曜日のどちらが合っているのかが分かりません。気づいた時点で、「先ほどのメールで、期日の曜日を誤っておりました。◯月◯日(◯)です。失礼いたしました」と、合っているほうを一文で送ります(説明用の例です)。
後の記録:「曜日を頭の中で数えた。次からは、カレンダーを開いて日付と曜日を見てから書く」と書きます。
失敗3:「ご返信には及びません」と書いたが、返事が必要だった
その場では:相手は、書かれたとおりに、返信をしません。こちらから「先ほどのメールで、ご返信には及びませんと書きましたが、1点ご確認をお願いしたいことがありました。失礼いたしました」と、してほしいことと期限を書いて送り直します(説明用の例です)。急ぎなら、上司に相談のうえ、電話でも伝えます。
後の記録:「前のメールの結びを、そのまま写した。次からは、結びを書く前に、相手にしてほしいことを一つ書き出す」と書きます。
今日やることは一つです。これから送るメールを一通決め、相手にしてほしいこと・期限・返信が要るかを決めて、結びの一文を書いてください。
「取り急ぎご連絡まで」で結ぶときの考え方は、「取り急ぎ」の意味と使い方にくわしくまとめています。
結びに添える「ご自愛ください」は「ご自愛ください」の意味と使い方に、「よろしくお願いいたします」の形の違いは「よろしくお願いいたします」の使い方にまとめています。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
これから送るメールの下書き。相手にお願いしたいことと、その期限が分かるメモ(社内の締め切りなど)。会社で決まっている署名の形。
記入例を見る(説明用)
このメールの場面=お願い。取引先の[担当者名]様へ、見積書を送り、内容を見てもらう/相手にしてほしいこと(一つ)=見積書の数量と納期を見て、このまま進めてよいかどうかを返信してもらう/いつまでに(日付と曜日)と、その理由=◯月◯日(◯)まで。理由は、その翌日に社内で手配の締め切りがあるため。曜日はカレンダーを見て確かめた/返信が要るかどうかと、その伝え方=返信が要る。「進めてよいかどうかを、ご返信いただけますでしょうか」と書く。難しいときのために「期日のご都合が合わない場合は、お知らせください」を足す/結びの一文と、署名の確認=「お手数ですが、◯月◯日(◯)までに、進めてよいかどうかをご返信いただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。」署名は会社で決まった形。電話番号が今の番号かを確かめた。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
結びを読むだけで、相手が何を・いつまでにすればよいか、返信が要るかどうかが分かる。署名に、会社名・名前・連絡先が入っている。
うまく進まなかったときは?
してほしいことが書けなければ、「このメールを読んだ相手が何もしなかったら、自分は困るか」を考える。困らなければ報告のメールなので、「ご返信には及びません」などの結びにする。期限を自分で決められなければ、上司に「[会社名]様への返事の期限は、いつにすればよいですか」と聞く。