NUSSI’S SALES NOTEウッシの営業ノート

NOTE 117 · 営業の実践ノート

「お気遣いありがとうございます」の意味と使い方:「お心遣い」との違い、取引先・上司への返事と断り方

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「お気遣いありがとうございます」は、相手がこちらの体調や都合を気にかけてくれたとき、品物や配慮をいただいたときに返すお礼です。辞書は「気遣い」を、あれこれと気をつかうこと、と説明しています。お礼の一言だけで終えず、相手が気にかけてくれたことへの答えを一文足すと、相手は安心できます。この記事では、「お心遣い」との違い、取引先・上司に使う形、断るときの言い方を、説明用の例と一緒にまとめます。

今日できるようになること

気にかけてもらった一件について、何に対するお礼かを決め、お礼の一文と、あとに続ける一文を書く。

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こんなときに 取引先や上司から、体調や都合を気づかう言葉をかけられたとき。品物や配慮をいただき、何と返せばよいか迷うとき。

この順番で進めよう
  1. 1

    相手が気にかけてくれたことを、一つ書き出す

  2. 2

    言葉・手配・品物のどれかを見て、お礼の形を選ぶ

  3. 3

    お礼のあとに、今の状況か次の行動を一文足す

  4. 4

    断るときは、お礼を先に言ってから理由を伝える

会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。

「お気遣いありがとうございます」の意味:気にかけてもらったことへのお礼

体調をくずして訪問を延期したあと、取引先から「その後、お加減はいかがですか」と書かれたメールが届いた。雨の日の訪問先で、「どうぞ、タオルをお使いください」と言われた。「お気遣いありがとうございます」は、こうした場面で返す一言です。

「気遣い」は、デジタル大辞泉(コトバンク)に「あれこれと気をつかうこと。心づかい。」とあります。用例には「どうぞお気遣いなく」が挙がっています。つまり「お気遣いありがとうございます」は、「私のことを、あれこれと気にかけてくださって、ありがとうございます」というお礼です。

形も見ておきます。「お気遣い」は、相手の「気遣い」に「お」を付けた形です。文化審議会答申「敬語の指針」(平成19年2月2日・文化庁)は、14ページで、尊敬語を「相手側又は第三者の行為・ものごと・状態などについて,その人物を立てて述べるもの。」と説明し、語例に「お導き」「御出席」「お名前」などを挙げています。「お気遣い」も、気をつかってくれた相手を立てる言い方です。

相手が気にかけてくれる場面は、大きく3つに分けられます。

場面相手がしてくれたこと(一例)こちらが返すこと
言葉体調をたずねる、天気や移動を心配するお礼と、今の状況
手配日程をこちらに合わせる、席や駐車場を用意するお礼と、何が助かったか
品物飲み物や傘を出す、手土産や贈り物をくださるお礼と、受け取ったこと(決まりがあれば上司に確認)

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

なぜ、お礼を言葉にするのでしょうか。相手は、気にかけたことが届いたかどうかを、返事でしか確かめられません。何も返さないと、相手は「余計なことを言ったか」と考えることがあります。お礼は、「あなたの気づかいは、届きました」と知らせる返事です。

「お気遣い」と「お心遣い」の違い:辞書から言える範囲

よく似た言葉に「お心遣い」があります。辞書の語釈を並べます。

言葉語釈(デジタル大辞泉)用例
気遣い1「あれこれと気をつかうこと。心づかい。」 2「よくないことが起こるおそれ。懸念。」「どうぞお気遣いなく」
心遣い1「あれこれと気を配ること。心配り。配慮。」 2「祝儀。心付け。」「温かい心遣い」
配慮「心をくばること。心づかい。」「配慮に欠ける処置」

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

語釈から言えることは、次の3つです。

  • 一つめの意味は、互いに近い。「気遣い」の語釈には「心づかい」が入っています。辞書は、二つをほぼ同じ意味の言葉として扱っています。
  • 「気遣い」には、「懸念」の意味がある。「よくないことが起こるおそれ」を心配する、という向きを持つ言葉です。体調や天気、移動を心配してもらったときに「お気遣い」が合うのは、この語釈とつながります。
  • 「心遣い」には、「祝儀。心付け。」の意味がある。同じページの精選版 日本国語大辞典には、「いろいろと、細かく気をつかうこと。また、相手のためになるように、暖かく好意的に配慮すること。」という説明もあります。品物をいただいたときに「お心遣い」と言うことは、この語釈とつながります。

辞書から言えるのは、ここまでです。「体調のときはお気遣い、品物のときはお心遣い」と分ける公的な決まりは、見当たりません。品物をいただいて「お気遣いありがとうございます」と言っても、語釈の一つめの意味には合っています。

自分で決めるための目安を、一例として書きます。心配の言葉をかけてもらったら「お気遣い」。品物や、手間のかかった手配をいただいたら「お心遣い」か「ご配慮」。迷ったら、どちらでも語釈から外れないので、何に対するお礼かを言葉で足すほうに力を使います。「体調までお気遣いいただき」「お席をご用意くださり」のように言うと、言葉選びの差より、お礼の中身が伝わります。

取引先・上司に使う形:お気遣いいただき・痛み入ります

「お気遣いありがとうございます」は、そのままで取引先にも上司にも使えるお礼です。相手や場面によって、次のように形を変えられます。表は一例です。

相手・場面形(一例)ひとこと
社内の先輩に、口頭でお気遣いありがとうございます短く、その場で
上司に、口頭やチャットでお気遣いいただき、ありがとうございます何に対してかを前に足す
取引先に、メールでお気遣いいただき、誠にありがとうございますあとに続ける一文を忘れない
取引先から、手厚い配慮を受けたお気遣い、痛み入ります/恐れ入ります改まった場面で。使う相手を選ぶ
品物をいただいたお心遣いをいただき、ありがとうございます受け取ったことも伝える

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

「お気遣いいただき」と「お気遣いくださり」

どちらも使えます。文化審議会答申「敬語の指針」(平成19年2月2日・文化庁)は、40ページで「御利用いただきまして」と「御利用くださいまして」を比べ、「基本的には,どちらもほぼ同じように使える敬語だと言ってよい。」と述べています。考え方は、「ご連絡ありがとうございます」の使い方で説明しています。

「お気遣い痛み入ります」

「痛み入る」は、デジタル大辞泉(コトバンク)に「相手の手厚い配慮・好意などに対して、深く感じいる。恐縮する。やや皮肉をこめていうときにも用いる。」とあります。用例は「御親切痛み入ります」です。

語釈から、二つのことが分かります。一つは、「手厚い配慮・好意」への言葉だということ。メールの結びの一言に返すには重く、わざわざ時間や手間をかけてもらったときに合います。もう一つは、皮肉として使われることもある、ということ。口頭で軽く言うと、受け取り方が分かれることがあります。使い慣れないうちは、「お気遣いいただき、ありがとうございます」で足ります。

「恐れ入ります」

「恐れ入る」は、デジタル大辞泉(コトバンク)に「相手の好意などに対して、ありがたいと思う。恐縮する。」とあります。訪問先でお茶を出してもらったときなど、口頭で短く返す場面に合います。「恐れ入ります。ありがとうございます」と、お礼の言葉を続けると、気持ちがはっきり伝わります(説明用の例です)。

褒められたときの返事は、別の話です。「とんでもございません」の使い方で扱っています。対応してもらったことへのお礼は、「ご対応ありがとうございます」の使い方にあります。

お礼のあとに続ける一文

お礼だけで終えると、相手が気にかけてくれたことに、答えていないことがあります。次の順に組み立てます。下の実践シートと同じ並びです。

  1. 相手が気にかけてくれたことを、一つ書き出す。相手の言葉を、そのまま写します。「その後、お加減はいかがですか」「日程は、ご無理のない日で」などです。
  2. 何に対するお礼かを決める。言葉か、手配か、品物か。二つあるなら、二つとも書きます。
  3. お礼の一文を書く。「お気遣いいただき」の前に、何に対してかを足します。「体調までお気遣いいただき、ありがとうございます」。
  4. 今の状況か、次の行動を一文足す。体調を聞かれていたら、今の体調を答えます。日程を待ってもらっていたら、候補の日を出します。

4番目が、抜けやすい所です。相手は、体調を知りたくて聞いています。答えがないと、相手は「まだ悪いのか、仕事を頼んでよいのか」が分からないままになります。

次の3つは、体調を気づかうメールへの返信の、説明用の例です。

  • 惜しい例1:「お気遣いありがとうございます。では、見積の件ですが……」
  • 惜しい例2:「お気遣いありがとうございます。実は先週から熱が続いて、病院に行ったところ……」(症状の説明が長く続く)
  • 良い例:「体調までお気遣いいただき、ありがとうございます。おかげさまで回復し、今週から通常どおり出社しております。延期をお願いした打ち合わせは、◯月◯日(◯)か◯月◯日(◯)でお願いできますでしょうか」

惜しい例1は、聞かれた体調に答えていません。惜しい例2は、答えが長く、相手は読むのに時間を使います。良い例は、お礼→今の状況を一文→次の行動の順で、相手は安心して次の話に進めます。体調が戻っていないときも、一文で足ります。「まだ本調子ではありませんが、◯月◯日(◯)には出社の予定です」(説明用の例です)。

「お気遣いなく」と断るときの言い方

相手の申し出を受けないときにも、「お気遣い」を使います。辞書の「気遣い」の用例が「どうぞお気遣いなく」でした。「私のために、気をつかわないでください」という意味です。

似た言葉に「お構いなく」があります。「御構い」は、デジタル大辞泉(コトバンク)に「心にかけ、もてなすこと。おもてなし。お世話。」とあり、用例は「どうぞもうこれ以上はお構いなく」です。語釈から見ると、お茶や食事などのもてなしには「お構いなく」、送り迎えや品物などの申し出には「お気遣いなく」が、言葉の意味に合います。

断る言葉は、短いほど冷たく聞こえることがあります。次の順に言います。

  1. お礼を先に言う。「ありがとうございます」。申し出てくれたこと自体へのお礼です。
  2. 断る言葉を言う。「どうぞお気遣いなく」「お気持ちだけ、ありがたくいただきます」。
  3. 理由を一言足す。「このあと、すぐに次の訪問がございますので」「会社の決まりで、お受けできないことになっております」。
  • 惜しい例:「いえ、お気遣いなく」
  • 良い例:「ありがとうございます。駅まで歩いてすぐですので、どうぞお気遣いなく。お申し出、うれしく存じます」

どちらも説明用の例です。惜しい例は、言葉は丁寧でも、相手には「断られた」ことだけが残ります。良い例は、お礼・断り・理由がそろっていて、相手は申し出たことを後悔せずに済みます。

贈り物や食事の誘いは、会社に決まりがあることがあります。その場で自分だけで決めず、決まりを確かめます。受け取れない決まりがあるときの伝え方はお歳暮のお礼メールに、会社のルールの確かめ方は手土産・接待の準備にまとめています。

メール・電話・訪問先の例と、迷いやすい判断

メールの例:体調を気づかう一文が入っていた

A社 佐藤様

いつもお世話になっております。[自社名]の[氏名]です。

体調までお気遣いいただき、ありがとうございます。おかげさまで回復し、今週から通常どおり出社しております。

延期をお願いした打ち合わせは、◯月◯日(◯)か◯月◯日(◯)の午後でお願いできますでしょうか。

ご迷惑をおかけしました。どうぞよろしくお願いいたします。

説明用の例です。お礼の返し方の全体(返すかどうか、どこで終えるか)は、お礼メールへの返信にまとめています。この記事の例は、気づかいの言葉に答える部分だけを扱っています。

電話の例:日程を、こちらに合わせてもらった

相手:「遠くからお越しですから、午後のほうがよろしいですよね。14時にしましょうか」

自分:「お気遣いいただき、ありがとうございます。14時ですと、余裕を持って伺えます。では、◯月◯日(◯)の14時に伺います」

やり取りは説明用の例です。お礼のあとに、何が助かったか(余裕を持って伺える)を言い、決まった日時をくり返しています。

訪問先の例:飲み物や傘を出してもらった

相手:「雨の中、大変でしたね。タオルをどうぞ。温かいお茶をお持ちします」

自分:「お気遣いいただき、ありがとうございます。助かります。お茶は、どうぞお構いなく」

相手:「いえいえ、すぐお持ちしますので」

自分:「恐れ入ります。では、いただきます」

やり取りは説明用の例です。タオルは受け取り、お茶は一度「お構いなく」と言っています。相手がもう一度すすめてくれたら、お礼を言って受ける人もいます。何度も断ると、相手の用意が無駄になることがあるためです。

判断1:メールの結びの「ご自愛ください」にも、お礼を返す?

基準は、相手が、こちらの事情を知ったうえで書いているかどうかです。こちらが体調をくずしたと知って書いてくれた一文なら、「お気遣いありがとうございます」と返し、今の状況を一文足します。季節のあいさつとして書かれた結びなら、返信の結びに「佐藤様も、どうぞご自愛ください」と返すだけで足ります(説明用の例です)。結びの言葉の返し方は、「ご自愛ください」の意味と使い方にあります。

判断2:社内の上司や先輩にも使う?

使えます。社内では、短い形が合います。「お気遣いありがとうございます。明日は出社できます」(説明用の例です)。休んだあとなら、お礼に続けて、止めていた仕事の状況を一つ報告します。上司が知りたいのは、体調と、仕事がどうなっているかの両方だからです。

判断3:品物を差し出されたが、受け取ってよいか分からない

会社の決まりを知らないときは、その場で「いただけません」とも「いただきます」とも決めにくいものです。お礼を言ったうえで、上司に確かめることを伝えます。「お気遣いいただき、ありがとうございます。社内の決まりを確かめてから、あらためてお返事してもよろしいでしょうか」(説明用の例です)。戻ったら、開ける前に上司へ報告します。

間違えたあと1:お礼だけ返して、聞かれたことに答えていなかった

その場では:気づいたら、短い追伸を送ります。「先ほどのメールで、体調についてのお返事が抜けておりました。おかげさまで回復しております。お気遣いいただき、ありがとうございます」(説明用の例です)。

後の記録:「相手のメールの最後の一文を読み飛ばした。次からは、返信の前に、相手の文の『?』と『いかがですか』に印を付ける」と書きます(説明用の例です)。

間違えたあと2:「お気遣いなく」が、きつく聞こえたかもしれない

その場では:すぐに言葉を足します。「せっかくお申し出いただいたのに、失礼しました。ありがたいのですが、このあと次の訪問がございまして」(説明用の例です)。お礼と理由が後からでも入れば、相手は断られた理由が分かります。

後の記録:「断る言葉から先に言った。次からは、ありがとうございます、を先に言う」と書きます(説明用の例です)。

間違えたあと3:決まりを確かめずに、品物を受け取った

その場では:自分で返しに行く前に、上司に報告します。誰から、何を、いつ受け取ったか、開けたかどうかを伝え、どうするかの指示をもらいます。報告の順番は、営業で失敗したときにまとめています。

後の記録:受け取った日、相手、品物、上司の指示を書きます。「次からは、差し出された時点で、決まりを確かめてからお返事します、と伝える」と書きます(説明用の例です)。

今日やることは一つです。気にかけてもらった一件について、何に対するお礼かを決め、お礼の一文と、あとに続ける一文を書いてください。

YOUR TURN

自分の一件で、書いてみよう。

手元に用意するもの
相手からのメールや、言われた言葉のメモ。いただいた品物があれば、その送り状。贈り物の受け取りについての会社の決まり。

記入例を見る(説明用)

相手と、気にかけてもらったこと=A社の佐藤様。先週、こちらが体調不良で訪問を延期した。今日のメールの最後に「その後、お加減はいかがですか。無理のない日程で構いません」と書いてあった/何に対するお礼か=言葉(体調への気づかい)と、手配(日程を待ってくれたこと)の二つ/お礼の一文=「体調までお気遣いいただき、ありがとうございます」。取引先あてのメールなので「いただき」を入れた形にする/あとに続ける一文=「おかげさまで回復し、今週から通常どおり出社しております。延期をお願いした打ち合わせは、◯月◯日(◯)か◯月◯日(◯)でお願いできますでしょうか」。体調を聞かれているので、今の状況を先に答える/断る場合の言い方、または上司に確かめること=今回は断るものはない。延期のおわびは前回のメールで伝えたが、次に会ったときに口頭でももう一度伝える。

入力は自動保存されません。ページを移動する前に保存してください。保存した内容は他の人に自動送信されません。

CHECK

ここまでできたら、次へ。

気にかけてもらったこと、何に対するお礼か、お礼の一文、あとに続ける一文が書いてあり、相手が聞いていること(体調・都合など)に答えている。

うまく進まなかったときは?

何に対するお礼かが決まらなければ、相手の言葉をそのまま書き写し、相手がしてくれたことに線を引く。品物を受け取ってよいか分からなければ、開ける前に上司へ「A社の佐藤様から◯◯をいただきました。受け取ってよいでしょうか」と聞く。

NEXT NOTE

次に読むなら

お礼メールへの返信を準備する返信の最初のお礼を確かめる品物をいただいたときのお礼メールを準備する