NUSSI’S SALES NOTEウッシの営業ノート

NOTE 112 · 営業の実践ノート

「ご承知おきください」の意味と使い方:取引先・上司に使ってよいか、言い換えと「ご了承ください」との違い

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「ご承知おきください」は、「これから先のために、あらかじめ知っておいてください」と伝える言い方です。相手に返事や作業を求める言葉ではありません。相手に不便や負担を受け入れてもらう連絡には、「ご了承ください」のほうが合います。この記事では、辞書の語釈と文化庁の「敬語の指針」で確かめられる範囲を示し、言い換えと、休業日・納期・価格改定・仕様変更の文例を、説明用の例として並べます。

今日できるようになること

これから送るお知らせ一通について、相手にしてほしいことが「知っておく」「受け入れる」「返事をする」のどれかを決め、結びの言葉を一つ選ぶ。

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こんなときに 休業日や納期、価格や仕様の変更を取引先に知らせるとき、「ご承知おきください」と書いてよいか迷うとき。

この順番で進めよう
  1. 1

    知らせる内容を、何が・いつから・相手にどう関わるかで書き出す

  2. 2

    相手にしてほしいことを、知る・受け入れる・返事をする、から選ぶ

  3. 3

    結びの言葉を、選んだものに合わせて一つ決める

  4. 4

    相手と自分の会社の習慣に合う形に直して、送る

会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。

「ご承知おきください」の意味:あらかじめ、知っておいてください

休業日のお知らせを書いていて、結びの一文で手が止まることがあります。「ご了承ください」と「ご承知おきください」の、どちらを書けばよいのか。似て見えますが、相手に頼んでいる中身が違います。辞書で、言葉を一つずつ確かめます。

「承知」は、デジタル大辞泉(コトバンク)に、1つ目の意味として「事情などを知ること。また、知っていること。わかっていること。」とあります。用例には「事の経緯を承知しておきたい」が挙がっています。2つ目の意味は「依頼・要求などを聞き入れること。承諾。」です。

「〜おく」は、動詞の後ろに付く「置く」です。同じ辞書の「置く」は、補助動詞としての意味を、「今後の用意のために、あらかじめ…する。」と説明しています。

合わせると、「ご承知おきください」は、「これから先のために、あらかじめ知っておいてください」という意味になります。ここでの「承知」は、1つ目の「知ること」の意味です。相手に、何かを引き受けてもらう言葉ではありません。

相手にしてもらうことは、「知っておく」ことだけです。だから、この言葉を書く前に、何を知っておいてもらうのかを、次の3つで書きます。

  1. 何が(休み、納期、価格、仕様など)
  2. いつから、いつまで
  3. 相手の仕事で、何が変わるか

3つ目が抜けると、相手は「知ったけれど、自分はどうすればよいのか」が分かりません。知らせる側には当たり前のことでも、相手の予定表に書ける形になっていなければ、知らせた意味が薄くなります。

「承知」の2つ目の意味を使う返事、「承知いたしました」については、「承知いたしました」の意味と使い方にまとめています。

取引先や上司に使ってよいか:辞書と指針で確かめる

「ご承知おきください」は、上から言っているように聞こえないか。そう気になる人もいます。確かめられる範囲を、先に書きます。

上の辞書の「承知」「置く」の語釈には、使う相手を限る説明はありません。文化審議会答申「敬語の指針」(平成19年2月2日・文化庁)にも、「承知」という言葉は出てきません。「ご承知おきください」を取引先や上司に使ってはいけない、と決めた公的な基準は、見当たりません。

そのうえで、形を見ます。この言い方は「ください」で終わります。「敬語の指針」は、49ページで、「取ってください。」という言い方を、「依頼や指示の表現」として扱っています。「ください」は、相手に直接求める形だということです。

同じ指針は、48ページで、責任者でない人が同僚に仕事を頼む場面について、「相手に判断をゆだねるような表現を用いる方が良いだろう。」と解説しています。お知らせは、仕事を頼む場面とは違います。ただ、「ください」の形が気になるときに、形をやわらげる考え方として使えます。

形を変えた言い方を並べます。次の表は一例です。

言い方形の特徴向く場面(一例)
ご承知おきください相手に直接求める形社内への連絡。大勢に向けた案内文
ご承知おきくださいますよう、お願い申し上げますお願いの形にする取引先への案内文。書面のお知らせ
ご承知おきいただけますと幸いです自分の気持ちを述べる形取引先や上司への、個別のメール
あらかじめ、お知らせいたします自分の動作として書く相手に求める形を避けたいとき

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

4つ目は、相手に「知っておいて」と求めるのをやめて、自分が「知らせる」と書く形です。主語が自分になるので、相手に求める形かどうかで迷うことがなくなります。「幸いです」を付ける形の強さの選び方は、「幸いです」の意味と使い方にまとめています。

どれを選ぶかは、相手や会社の習慣に合わせます。先輩が同じ取引先へ送ったお知らせを一通見せてもらい、結びの形をそろえるのが、早い決め方です。

「ご了承ください」との違い:知っておいてもらう/受け入れてもらう

「了承」は、デジタル大辞泉(コトバンク)に「事情をくんで納得すること。承知すること。承諾。」とあります。「承知おき」と並べると、次のようになります。「 」の中は、辞書の文をそのまま写したものです。

言い方元の言葉と語釈相手にしてもらうこと合う連絡(一例)
ご承知おきください承知:「事情などを知ること。また、知っていること。わかっていること。」あらかじめ、知っておいてもらう担当者の不在の日。会議の資料を先に送ること。手続きの流れ
ご了承ください了承:「事情をくんで納得すること。承知すること。承諾。」こちらの事情を、納得して受け入れてもらう休業で出荷が止まる日。価格の改定。対応できない範囲

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

分ける基準は、その連絡で、相手に不便や負担が出るかどうかです。出ないなら、知っておいてもらえば足ります。出るなら、受け入れてもらうお願いになります。

同じ休業日の連絡でも、中身で変わります。「その日は担当が不在ですが、ほかの者が対応します」なら、相手の不便は小さく、「ご承知おき」で足ります。「その日は出荷ができません」なら、相手は納品が一日遅れることを受け入れることになるので、「ご了承」が合います。

惜しい例:「◯月◯日(◯)より、価格を改定いたします。ご承知おきください」

良い例:「原材料の値上がりを受け、◯月◯日(◯)のご注文分より、価格を改定させていただきます。新しい価格は、添付の一覧のとおりです。ご負担をおかけしますが、何とぞご了承くださいますよう、お願い申し上げます」

どちらも説明用の例です。惜しい例は、相手の支払いが増える話なのに、「知っておいてください」とだけ伝えています。相手は、納得する材料がないまま、結果だけを知らされた形になります。良い例は、理由・いつから・どこを見れば分かるかを書いたうえで、受け入れてもらうお願いにしています。

「ご了承」には、「悪しからず」を添える形もあります。同じ辞書に「相手の希望や意向に添えない場合などに用いる語。悪く思わないで。気を悪くしないで。」とあり、用例に「どうか悪しからず御了承ください」が挙がっています。相手の希望に添えないときの言い方だと分かります。

言い換え:お含みおき・お知りおき・ご留意・あらかじめご了承

近い言い方を、辞書の語釈と一緒に並べます。語釈は、デジタル大辞泉(コトバンク)からの引用です。

言い方元の言葉と語釈相手にしてもらうこと
お含みおきください含み置く:「心に留めておく。了解しておく。」事情を、心に留めておいてもらう
お知りおきください知り置く:「知って覚えておく。了承しておく。」知って、覚えておいてもらう
ご留意ください留意:「ある物事に心をとどめて、気をつけること。」気をつけてもらう(相手の注意が要る)
ご了承ください了承:「事情をくんで納得すること。承知すること。承諾。」納得して、受け入れてもらう
あらかじめご了承ください予め:「物事の始まる前に、ある事をしておくさま。前もって。」事が起きる前に、受け入れておいてもらう

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

「含み置く」と「知り置く」は、辞書に見出しがある言葉です。用例も、それぞれ「以下の点、お―・きください」「よろしくお―・きください」の形で載っています(「―・き」は、見出しの言葉が入る所です)。どちらも、「ご承知おきください」と近い場面で使えます。

違いが出るのは、「ご留意ください」です。語釈に「気をつけること」とあるとおり、相手に注意してもらう言葉です。知っているだけでは足りず、相手の側で気をつける点があるときに使います。「返信用の封筒には、切手が貼られていません。ご留意ください」のような形です(説明用の例です)。

「あらかじめご了承ください」は、まだ起きていないことを、先に受け入れてもらう形です。「数に限りがあるため、品切れの際は、お届けが遅れる場合がございます。あらかじめご了承ください」のように、起きるかもしれないことを書きます(説明用の例です)。

許してもらうお願いは、また別の言葉になります。「ご容赦ください」の意味と使い方にまとめています。

文例:休業日・納期・価格改定・仕様変更

4つの場面の例です。どれも説明用の例で、日付や内容は、自分の会社の決まりに合わせて書き換えます。相手に価格や納期を伝える文面は、送る前に上司に見せます。

1. 休業日(相手の不便が小さいとき)

◯月◯日(◯)は、社内研修のため、終日、電話に出ることができません。

メールでのご注文は、通常どおりお受けし、翌営業日に順にご返信いたします。

あらかじめ、ご承知おきいただけますと幸いです。

何が・いつ・相手の仕事で何が変わるか、の3つが入っています。出荷や納品が止まる休みなら、結びを「ご了承くださいますよう、お願い申し上げます」に変えます。年末の休みの案内は、年末の挨拶メールにまとめています。

2. 納期(まだ決まっていないことを、先に伝える)

ご注文の品は、◯月◯日(◯)のお届けを予定しております。

ただ、天候により、配送が一日ほど遅れる場合がございます。あらかじめ、ご承知おきください。

遅れが分かりましたら、その日のうちに、私からお電話いたします。

遅れる「かもしれない」ことを先に知らせる例です。分かったら、誰が・どの方法で知らせるかを足しています。相手は、ただ待つのではなく、連絡が来る前提で予定を組めます。すでに遅れが決まっているなら、これはお知らせではなく、お詫びの連絡です。お詫びメールの書き方を見てください。

3. 価格改定(受け入れてもらうお願い)

前の章の「良い例」の形です。相手の負担が増えるので、「ご承知おきください」ではなく、理由を書いたうえで「ご了承くださいますよう、お願い申し上げます」と結びます。新人が自分の判断で送る連絡ではありません。文面と送る時期は、上司の指示に合わせます。

4. 仕様変更(相手の側で、することがあるとき)

◯月◯日(◯)の出荷分より、箱の大きさが変わります。中身と入り数は、これまでと同じです。

新しい箱の寸法は、添付の資料のとおりです。保管の棚の高さに合うかどうか、ご確認をお願いいたします。

合わない場合は、◯月◯日(◯)までに、私までお知らせください。

変わる点と、変わらない点を、両方書いています。この例では、相手に確かめてもらうことがあるので、「ご承知おきください」では結んでいません。相手の作業や返事が要るなら、その作業を書くのが先です。

迷いやすい判断と、送ったあと

判断1:返事がほしい連絡に、「ご承知おきください」を使ってよい?

基準は、相手の返事がないと、自分の仕事が止まるかどうかです。止まるなら、「ご承知おきください」では結びません。この言葉が頼んでいるのは、知っておくことだけだからです。「ご確認のうえ、◯月◯日(◯)までにご返信をお願いいたします」と、返事と期限を書きます(説明用の例です)。

判断2:一通の中に、お知らせが3つあるときは?

基準は、相手にしてほしいことで分けることです。知っておいてもらうもの、受け入れてもらうもの、返事がほしいものを、混ぜて書きません。返事がほしいものを先に、番号を付けて書きます。お知らせは、その後ろにまとめ、最後に一回だけ「以上、ご承知おきください」と結びます。全部の文に付けると、どれが大事かが分かりにくくなります。

判断3:相手から「ご承知おきください」と届いたら、返事は要る?

言葉のうえでは、返事は求められていません。基準は、自分の仕事の予定が変わるかどうかです。変わるなら、「◯月◯日の件、承知いたしました」と短く返し、自分の予定表と、社内の関係する人に伝えます。変わらないなら、返信は一言で足ります。返信の順番は、ビジネスメールの返信にまとめています。

知らされた内容で困ることがあるときは、早く伝えます。「その日は、納品をお願いしている日です。前の日に受け取ることはできますか」のように、困る点と、聞きたいことを一つ書きます(説明用の例です)。

判断4:電話や対面では、どう言う?

口で言うときは、「先にお伝えしておきます」「◯日は電話に出られませんので、メールでお願いできますか」のように、何をしてほしいかを、ふだんの言葉で言えば伝わります。口で伝えたお知らせは、聞きもらしが起きやすいので、後からメールでも送ります。

失敗1:知らせたのに、相手が知らなかった

その場では:「お知らせしたはずです」とは言いません。ほかのメールにまぎれて、読まれなかったのかもしれないからです。「お知らせの出し方が分かりにくく、失礼いたしました」と伝え、今からできることを先に話します。

後の記録:「長いメールの最後に、休みの案内を書いた。次からは、件名に【お知らせ】と日付を入れ、お知らせだけで一通にする。相手の予定に関わる日は、前の週にもう一度伝える」と、次の手順の形で残します(説明用の例です)。件名の付け方は、メールの件名の付け方にあります。

失敗2:受け入れてもらう話を、「ご承知おきください」で送った

その場では:相手から固い返事が来たら、言葉を言い直すより先に、足りなかった説明を足します。理由、いつから、相手への影響、問い合わせ先です。自分で条件を変える約束はしません。すぐ上司に、送った文面と、相手の返事を見せて報告します。報告の順番は、営業で失敗したときにまとめています。

後の記録:「相手の負担が増える連絡を、お知らせの形で送った。次からは、送る前に、相手に不便が出るかを一行書く」と残します(説明用の例です)。

失敗3:知らせた日付が、間違っていた

その場では:気づいたら、すぐ訂正を送ります。相手は、間違った日付で予定を組みはじめているかもしれません。件名に【訂正】と入れ、誤った日付と正しい日付を並べて書きます。文面は、お詫びメールの書き方の「資料や金額に誤りがあった」の形が使えます。

後の記録:「記憶で日付を書いた。次からは、社内の予定表を開いて、日付と曜日を見比べてから送る」と書きます(説明用の例です)。

今日やることは一つです。これから送るお知らせ一通について、相手にしてほしいことが「知っておく」「受け入れる」「返事をする」のどれかを決め、結びの言葉を一つ選んでください。

相手に負担の出る知らせの結びは、「ご理解賜りますよう」の意味と使い方を見てください。

YOUR TURN

自分の一件で、書いてみよう。

手元に用意するもの
これから送るお知らせの下書き。知らせる内容の元になる資料(休業日の予定、納期の回答、価格や仕様の変更の通知)。先輩が取引先へ送ったお知らせのメール一通。

記入例を見る(説明用)

知らせる内容=◯月◯日(◯)は、社内研修のため、終日、電話に出られない。メールは翌日に返信する/相手にどう関わるか=A社の佐藤様は、急ぎの注文を電話でくださることがある。この日は電話がつながらない。注文そのものは、メールで受けられる/相手にしてほしいこと=知っておいてもらう。受け入れてもらう不便は小さい(メールで受けられるため)。返事は要らない/結びの言葉と、その理由=「ご承知おきいただけますと幸いです」。返事が要らないお知らせで、取引先あての個別のメールなので、「ください」より、やわらかい形にする/送る前に確かめること=研修の日付を、社内の予定表で見る。急ぎのときの連絡先を書いてよいか、上司に聞く(未確認)。先輩が前に送ったお知らせの結びを見せてもらう。

入力は自動保存されません。ページを移動する前に保存してください。保存した内容は他の人に自動送信されません。

CHECK

ここまでできたら、次へ。

知らせる内容、相手への関わり、相手にしてほしいことが書いてあり、結びの言葉を一つ選んで、理由を一文で書いてある。

うまく進まなかったときは?

相手にしてほしいことが決まらなければ、「このお知らせを読んだ相手は、何か損をするか、手間が増えるか」を考える。増えるなら「ご了承」、増えないなら「ご承知おき」から選ぶ。それでも迷うときは、先輩に「この連絡は、ご了承とご承知おきの、どちらで結べばよいですか」と、下書きを見せて聞く。

NEXT NOTE

次に読むなら

「幸いです」の使い分けを確かめる「ご容赦ください」の使い方を確かめる「承知いたしました」の返事を確かめる