NOTE 81 · 営業の実践ノート
返信用封筒の書き方:同封するときの作り方と、受け取って返すときの直し方
公開:2026年10月3日
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返信用封筒には、二つの立場があります。書類を返してもらうために自分が作って同封する立場と、取引先から届いた返信用封筒を使って返す立場です。作る側は、自分の宛名の下に「行」と書き、切手を貼り、折って入れます。返す側は、「行」を二重線で消して「御中」か「様」に直し、裏に自分の住所と名前を書きます。この記事では、二つの立場を分けて説明します。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 契約書などを返してもらうために返信用封筒を入れるとき。または、取引先から届いた返信用封筒で書類を返すとき。
- 1
自分が、作る側か、返す側かを決める
- 2
作る側:自分の宛名に「行」と書き、切手を貼って折る
- 3
返す側:「行」を二重線で消し、「御中」か「様」に直す
- 4
中身と切手を確かめ、期限に間に合う日に出す
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
返信用封筒とは:二つの立場がある
返信用封筒は、相手に書類を送り返してもらうために、あらかじめ宛名を書いて同封する封筒です。営業の仕事では、契約書や申込書に署名・押印をもらって返してもらうときに使います。
返信用封筒には、二つの立場があります。
- 作って同封する側。自分の会社の住所と宛名を書き、切手を貼って、相手に送る書類と一緒に入れます。
- 受け取って返す側。取引先から届いた返信用封筒に、書類を入れて送り返します。
調べると、二つの立場の説明が混ざって出てくるので、初めのうちは混乱しがちです。「行」を書くのは作る側、「行」を消すのは返す側です。封筒の表に書かれた宛名が、自分の会社なら作る側、相手の会社なら返す側、と見分けます。
なぜ返信用封筒を入れるのか。相手が、封筒を探し、宛名を書き、切手を用意する手間を省くためです。こちらの都合で返してもらう書類なら、相手の手間と費用をこちらが引き受ける、という考え方です。宛名をこちらで書くので、返送先の書き間違いも起きにくくなります。
同封する側:返信用封筒の作り方
作る側の手順は6つです。
- 返してもらう書類が入る封筒を選ぶ。返ってくる書類の大きさと枚数を見て決めます。折り目を付けたくない書類なら、折らずに入る封筒にします。封筒の選び方は封筒の宛名の書き方にまとめています。
- 表に、自分の会社の宛名を書く。郵便番号、住所、会社名、部署名、自分の名前を書きます。部署と名前まで書くのは、返ってきた封筒が、社内で迷わず自分の手元に届くようにするためです。
- 宛名の下に「行」と書く。名前や部署名の下に、少し小さく「行」と書きます。「宛」と書く形もあります。自分あての宛名に、自分で「様」や「御中」を付けないための字、と説明されることが多い書き方です。
- 裏は書かない。裏の差出人は、返す相手が書く所です。空けておきます。
- 切手を貼る。返ってくる中身を入れたときの重さで、料金を確かめます。位置は、日本郵便のよくあるご質問にあるとおり、「郵便物の表面の左上部(横に長いものは、右上部)」です。
- 折って入れる。外の封筒より小さい返信用封筒は、そのまま入れます。同じ大きさなら、二つ折りや三つ折りにします。宛名を書いた面が内側になるように折ると、宛名がこすれにくくなります。
切手の料金は、返ってくる中身で決まる
日本郵便は、「手紙・封書」のページで「定形郵便物・定形外郵便物の料金は、重量制になっています。」と説明しています。返信用封筒の切手は、返ってくる書類を入れた状態の大きさと重さで決まります。空の封筒の重さではありません。
確かめ方は、返してもらう書類と同じ枚数の紙を返信用封筒に入れ、重さを量ることです。金額は改定されることがあるため、この記事には書きません。日本郵便の手紙(定形・定形外)の料金計算で確かめるか、中身を入れた封筒を郵便局の窓口へ持って行きます。
外の封筒の料金にも気をつけます。返信用封筒を入れると、その分だけ厚く、重くなります。外の封筒も、全部を入れた状態で量ります。
会社によっては、返信用の郵便に切手を使わず、別の方法を決めていることがあります。初めて作るときは、先輩に「返信用封筒は、切手を貼ればよいですか」と聞いてから進めます。
送付状に一言書く
返信用封筒を入れただけでは、相手は、何を・いつまでに返せばよいかが分かりません。送付状に、返してほしい書類、通数、期限を書きます。次は説明用の例です。
「契約書2通のうち1通に、ご署名とご捺印をいただき、同封の返信用封筒にて、◯月◯日までにご返送くださいますようお願いいたします。」
送付状の組み立ては、送付状の書き方にまとめています。
受け取った側:返すときの直し方
取引先から返信用封筒が届いたら、返す側の手順で進めます。手順は5つです。
- 返す書類と期限を確かめる。送付状を読み、何を・何通・いつまでに返すかを確かめます。署名や押印が要る書類は、自分で書かず、上司に渡します。
- 「行」「宛」を二重線で消す。線を2本引きます。字が読めなくなるまで塗りつぶしません。
- 「御中」か「様」に書き直す。宛名の最後が会社・部署・係なら「御中」、個人の名前なら「様」です。辞書(デジタル大辞泉「御中」)は、御中を「郵便物などで、個人名でなく、官庁・会社・団体などの宛名の下に書き添える語。」と説明しています。
- 裏に、自分の住所・会社名・部署・名前を書く。相手が、開ける前に、だれから返ってきたのかが分かります。届けられなかったときの返し先にもなります。
- 中身を確かめて、封をする。返す書類がそろっているか、署名や押印の抜けがないかを見てから、のりで封をします。
「行」をそのままにして返すと、相手を敬称なしで呼ぶ形になります。相手は、自分あての宛名に自分で敬称を付けないように「行」と書いています。受け取ったこちらが敬称に直して返す、というのが一般的な流れです。
線の引き方と、書き直す位置は、郵便の決まりではなく書き方の慣習です。一つに決まってはいません。次の表は、一般的に見られる書き方です。
| 封筒の向き | 消し方(一般的な例) | 書き直す位置(一般的な例) |
|---|---|---|
| 縦書き | 縦の二重線か、斜めの二重線 | 消した字の左か、下 |
| 横書き | 横の二重線 | 消した字の右 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
修正液や修正テープで消さず、二重線で消す書き方が一般的です。定規を当てると、線がそろいます。「御中」と「様」の選び方は、御中の使い方にくわしくまとめています。
場面で変わるところ
次の表は、場面ごとの進め方の一例です。
| 場面 | 立場 | 進め方(一例) |
|---|---|---|
| 宛名が「A株式会社 営業部 行」 | 返す側 | 「行」を二重線で消し、「御中」と書く |
| 宛名が「A株式会社 営業部 佐藤 行」 | 返す側 | 「行」を二重線で消し、「様」と書く |
| 宛名が「◯◯係 行」 | 返す側 | 係は組織の名前なので、「御中」と書く形が一般的 |
| 「行」が印刷されている | 返す側 | 手書きのときと同じように、二重線で消して書き直す |
| 切手が貼られていない | 返す側 | こちらで貼るのか、貼り忘れなのかを、送付状で確かめる。分からなければ上司に聞く |
| 返してもらう書類が多い・厚い | 作る側 | 中身を入れて量り、大きさと厚さの区分を確かめてから切手を決める |
| 急いで返してほしい | 作る側 | 送付状に期限を書く。急ぐ理由があるなら、電話やメールでも一言伝える |
| 返信用封筒を入れ忘れた | 作る側 | 上司に報告し、後から送るか、相手の負担にならない別の方法にするかを決める |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
返す側で迷いやすいのは、切手です。貼られた切手で足りるかどうかは、返す中身の重さで変わります。送付状にない書類を一緒に入れるなど、相手が考えていた中身より重くなるときは、郵便局の窓口で確かめます。
書き方の例と、迷いやすい判断
次の例は、説明用の例です。会社名・人名は、実在のものではありません。
作る側の例
惜しい例:[自社の住所] [自社名] 営業部 田中 様
良い例:[自社の住所] [自社名] 営業部 田中 行
惜しい例は、自分の名前に「様」を付けています。相手は直す所がなくなりますが、自分で自分に敬称を付けた形になります。「行」と書いておき、敬称は相手に直してもらうのが、一般的な形です。
惜しい例:返信用封筒に、切手を貼らずに同封する
良い例:返ってくる書類の重さで料金を確かめ、切手を貼ってから同封する
切手がないと、相手が料金を調べて切手を用意することになります。返信用封筒を入れた目的の半分が、果たせなくなります。
返す側の例
惜しい例:「A株式会社 営業部 行」のまま、書類を入れて出す
惜しい例:「行」を消さずに、横に「御中」と書き足す
良い例:「行」を二重線で消し、その左に「御中」と書く。裏に、自分の住所・会社名・部署・名前を書く
二つ目の惜しい例は、「行 御中」と字が並び、直したのかどうかが分かりにくくなります。消してから書く、の順にします。
判断1:作る側。返信用の宛名は、会社名までか、自分の名前までか
基準は、返ってきた封筒が、社内でだれの手元に届けばよいかです。自分が受け取って次の作業をするなら、部署と名前まで書きます。契約書は別の部署が受け取る、と決まっている会社もあります。その場合は、「返信用封筒の宛名は、どの部署にすればよいですか」と先輩に聞きます。
判断2:作る側。返信用封筒は、どの大きさにするか
基準は、返ってくる書類を、相手が折らずに済むかどうかです。折らずに送った書類は、折らずに返せる大きさにそろえると、相手は迷いません。小さい封筒を入れると、相手が「折ってよいのか」を考えることになります。
判断3:返す側。宛名が個人の名前で「行」のとき
「佐藤 行」のように、最後が個人の名前なら「様」に直します。「営業部 佐藤 行」を「営業部 御中 佐藤 様」とはしません。「御中」と「様」は重ねない、という基本は、返信用封筒でも同じです。
判断4:返す側。返信用封筒を汚した・書き損じた
基準は、宛名が読めるかどうかです。少しの汚れで、宛名がはっきり読めるなら、そのまま使います。宛名が読みにくくなったら、新しい封筒に宛名を書き写し、「様」「御中」を付けて出します。この場合、貼ってあった切手のことも含めて、上司に「返信用封筒を書き損じました。新しい封筒で返してよいですか」と確かめます(説明用の例です)。
出した後で気づいたときの立て直し
失敗は、その場の動きと、後の記録をセットで決めておきます。
失敗1:作る側。切手を貼り忘れた、返信用封筒を入れ忘れた
その場では:上司に報告し、相手への伝え方を決めます。電話やメールで、「返信用封筒に切手を貼らずにお送りしてしまいました。申し訳ございません。切手を貼った封筒を、あらためてお送りします」のように伝える形があります(説明用の例です)。どう対応するかは、上司と決めます。
後の記録:封をする前に見る項目を書きます。「送る書類、送付状、返信用封筒、返信用の切手」を声に出して数えてから、のりを付けます。
失敗2:返す側。「行」を消さずに出した
その場では:書類そのものは届きます。あわてて相手に連絡する前に、上司に一言伝えます。「A社への返送で、『行』を直さずに出してしまいました。ご連絡したほうがよいでしょうか」(説明用の例です)。連絡するかどうかは、上司の判断に合わせます。
後の記録:「返信用封筒は、表の『行』と、裏の差出人を見てから封をする」と、見る所を2つ書いておきます。
失敗3:返す側。書類を入れ忘れた、署名や押印が抜けていた
その場では:気づいた時点で上司に報告し、相手に連絡します。足りない書類を、いつ・どうやって届けるかを伝えます。相手は、返ってきた書類で次の手続きを進めるためです。お詫びの文面はお詫びメールの書き方が使えます。
宛先を間違えて出した場合は、郵便局で手続きができることがあります。日本郵便は、よくあるご質問で「あて名・あて先変更や取戻請求ができます。」「手続には手数料が必要になる場合があります。」と案内しています。
後の記録:送付状に書かれた「返す書類」を、封筒に入れる前に一つずつ指で確かめる、と書きます。いつ出したかも控えておくと、相手から「まだ届かない」と聞かれたときに答えられます。
今日やることは一つです。自分が「作って同封する側」か「受け取って返す側」かを決め、その立場の手順に沿って、返信用封筒を一通仕上げてください。
書類に印をお願いするときの言い方は捺印と押印の違いに、契約書を2通作るときの印は割印・契印・消印の違いにまとめています。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
返してもらう書類か、返す書類の現物、返信用にする封筒、自分の会社の郵便番号・住所・部署名が分かるもの(名刺など)、ペン、定規。
記入例を見る(説明用)
自分の立場と、相手=作って同封する側。A株式会社 営業部の佐藤様に、契約書を2通送り、1通を返してもらう/返してもらう書類と、封筒の大きさ=契約書1通。折り目を付けたくないので、折らずに入る角形2号を返信用にする。外の封筒も同じ大きさなので、返信用は二つ折りにして入れる(先輩に確認済み)/宛名と、その下に書く字=自社の郵便番号と住所、「[自社名] 営業部 田中」。名前の下に「行」。裏は、相手が書く所なので何も書かない/切手と料金の確かめ方=契約書1通を返信用封筒に入れ、会社のはかりで量った。日本郵便の料金計算のページで確かめ、その分の切手を総務でもらって貼る/入れ方・出す日・相手への一言=契約書2通、送付状、返信用封筒の順に重ねて入れる。◯月◯日に出す。送付状に「1通にご署名・ご捺印のうえ、同封の返信用封筒にてご返送ください」と書く。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
自分の立場が決まり、宛名の下の字(「行」か、「御中」「様」か)が立場に合っていて、切手と中身を確かめ、出す日が決まっている。
うまく進まなかったときは?
どちらの立場か分からなければ、封筒の表に書かれた宛名を見る。自分の会社の名前なら作る側、相手の会社の名前なら返す側。「行」をどう直すか迷ったら、宛名の一番下の行だけを見る。人の名前なら「様」、会社・部署・係なら「御中」。切手の金額が分からなければ、中身を入れた封筒を郵便局の窓口へ持って行く。