NOTE 74 · 営業の実践ノート
送付状の書き方:見積書・契約書・請求書を郵送するときの項目と文例
公開:2026年10月3日/更新:2026年10月4日
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送付状とは、書類を郵送やFAXで送るときに、いちばん上に付ける一枚の案内です。誰が・誰に・何を・何枚送ったかを書きます。受け取った人は、送付状を見て、中身がそろっているかを確かめられます。この記事では、書く項目、文例、FAXやメールのときの違いを説明します。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 見積書や契約書を郵送することになり、何を添えればよいか分からないとき。
- 1
会社に決まった書式があるかを確かめる
- 2
宛名・日付・差出人・件名を書く
- 3
同封する書類の名前と部数を、「記」の下に書く
- 4
封をする前に、送付状と中身を一つずつ見比べる
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
送付状とは:何を・誰に・何枚送ったかを伝える一枚
送付状とは、書類を送るときに、いちばん上に付ける案内の紙です。「添え状」「送付案内」「書類送付のご案内」と呼ぶ会社もあります。辞書(精選版 日本国語大辞典「添え状」)には、添え状は「人または物に添えて送る簡潔な書状。」とあります。
似た言葉に「送り状」があります。辞書(デジタル大辞泉「送り状」)では、送り状は「商品発送の際に、荷送人が荷受人に対して作成する発送貨物の明細書。」と説明されています。荷物に貼る伝票を送り状と呼ぶこともあります。社内で「送り状を付けて」と言われたら、どちらのことかを聞いて確かめます。
送付状には、3つの役目があります。
- あいさつ。書類だけが入った封筒は、用件だけを置いていくような形になります。一枚添えると、対面で「こちらをお持ちしました」と言って渡すのと同じ役目をします。
- 中身の一覧。何が何部入っているかが書いてあれば、受け取った人は、足りないものがないかをその場で確かめられます。
- 誰の、何の件かの案内。封筒を開ける人と、担当者が別の人のことがあります。宛名と件名があれば、書類が迷わず担当者に届きます。
初めのうちは、「書類だけ入れて出してよいのか」「何を書けばよいのか」で手が止まりがちです。送付状は、書く項目がどの会社でもほぼ共通しています。項目を埋めれば形になります。
会社に決まった書式があることも多くあります。書式があれば、そちらが先です。この記事は、書式がないとき、または書式のどこに何を書くかを確かめたいときに使ってください。
書く項目と、書く順番
次の表は、郵送するときの送付状の項目の一例です。A4の紙1枚に、上から順に書きます。
| 項目 | 書く場所 | 書くこと | なぜ書くか |
|---|---|---|---|
| 日付 | 右上 | 書類を出す日 | いつ送ったものかが、後から分かる |
| 宛名 | 左上 | 相手の会社名・部署・役職・名前。名前の後に「様」 | 誰あての書類かが、開けた人に分かる |
| 差出人 | 右(日付の下) | 自分の会社名・部署・名前・住所・電話番号・メールアドレス | 問い合わせ先が、すぐ分かる |
| 件名 | 中央 | 「お見積書送付のご案内」など、何を送ったか | 本文を読まなくても、用件が分かる |
| あいさつと本文 | 件名の下 | 始めのあいさつ、書類を送ること、確認のお願い | 用件だけにせず、ていねいに渡す |
| 「記」と同封書類 | 本文の下 | 中央に「記」。その下に、書類の名前と部数 | 中身がそろっているか、確かめられる |
| 「以上」 | 右下 | 同封書類の一覧の後に「以上」 | ここで終わりだと分かる |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
それぞれの言葉には、決まった使い方があります。迷いやすい3つを、辞書で確かめます。
「御中」と「様」。御中は、辞書(デジタル大辞泉「御中」)に「郵便物などで、個人名でなく、官庁・会社・団体などの宛名の下に書き添える語。」とあります。担当者の名前が分かっているなら「株式会社A 総務部 佐藤様」、部署あてなら「株式会社A 総務部 御中」と書きます。一つの宛名に、御中と様の両方は付けない書き方が広く行われています(辞書に書かれた決まりではありません)。
「拝啓」と「敬具」。拝啓は、辞書(デジタル大辞泉「拝啓」)に「手紙の初めに書くあいさつの語。文末はふつう「敬具」で結ぶ。」とあります。拝啓で始めたら、本文の終わりに敬具を書きます。
「時下」。辞書(デジタル大辞泉「時下」)に「多く手紙の冒頭のあいさつに用いる。」とあります。「時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます」のように使います。季節の言葉を選ばなくてよいので、仕事の送付状でよく使われます。
書く順番
- 会社の書式を探す。共有のフォルダや、先輩の過去の送付状を見ます。書式があれば、それを使います。
- 宛名を、名刺を見ながら書く。会社名は「(株)」と略さず、名刺のとおりに書きます。名前の漢字も、一字ずつ見比べます。記憶で書くと、似た字と取り違えやすいからです。
- 日付と差出人を書く。日付は、書類を出す日にそろえます。差出人には、相手がすぐ連絡できる電話番号を入れます。
- 件名と本文を書く。件名は、送る書類の名前をそのまま使います。本文は、あいさつ、送ること、お願いの3つを短く書きます。
- 「記」の下に、書類の名前と部数を書く。書類を机に並べ、上から順に書き写します。
- 封をする前に、見比べる。送付状の一行ごとに、実物を指で確かめます。宛名は、封筒・送付状・書類の3か所が同じかを見ます。
手順6を飛ばすと、「送付状には2部と書いてあるのに、1部しか入っていない」ということが起こります。相手は、入れ忘れなのか、書き間違いなのかが分からず、問い合わせることになります。見積書そのものの確かめ方は見積書を送る前に確認する7項目にまとめています。
文例:惜しい例と良い例
次の2つは、見積書とカタログを郵送するときの、説明用の例です。会社名・人名・日付は、実在のものではありません。
惜しい例
株式会社A 御中 佐藤様
書類をお送りします。ご確認ください。
株式会社B 田中
直したい所は4つあります。御中と様の両方が付いている。日付がなく、いつ送ったものかが分からない。何を何部送ったかが書かれておらず、中身がそろっているかを確かめられない。電話番号がなく、問い合わせ先が分からない。
良い例
(右上)◯年◯月◯日
(左上)株式会社A 総務部 佐藤様
(右)株式会社B 営業部 田中 / 住所 / 電話番号 / メールアドレス
(中央)お見積書送付のご案内
拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素より格別のお引き立てをいただき、厚く御礼申し上げます。
さて、先日ご依頼いただきましたお見積書を、下記のとおりお送りいたします。ご確認くださいますようお願い申し上げます。
ご不明な点がございましたら、田中までご連絡ください。
(右)敬具
(中央)記
・お見積書 1部
・製品カタログ 1部
(右)以上
良い例は、表の項目を上から順に埋めています。「先日ご依頼いただきました」と一言あるので、相手は何の件かを思い出せます。同封書類は一行に一つずつ書き、部数を付けています。
「平素より格別のお引き立てを」は、すでに取引がある相手に使う言い方です。初めての相手には、この一文を外すか、「先日はお時間をいただき、ありがとうございました」のように、実際にあったことへのお礼に替えます。
書類ごとに添える一言
送る書類によって、本文に添える一言が変わります。次の表は一例です。
| 送る書類 | 添える一言(一例) | 気を付ける所 |
|---|---|---|
| 見積書 | 「ご不明な点がございましたら、ご連絡ください」 | 見積書に有効期限があるなら、本文でも一言ふれると見落とされにくい |
| 契約書 | 「ご署名・ご捺印のうえ、1部をご返送くださいますようお願い申し上げます」 | 何部送り、何部を返してもらうのかを、数字で書く。押す場所や返送の方法は、会社の決まりを上司に確かめる |
| 請求書 | 「ご査収のほど、よろしくお願い申し上げます」 | 請求書の名前と、対象の月や件名を書く。金額は請求書そのものに書いてあるので、送付状に写さない会社も多い |
| カタログ・資料 | 「ご参考までにお送りいたします」 | 頼まれて送るのか、こちらから送るのかで書き方を分ける。頼まれたなら「ご依頼いただきました」と書く |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
「ご査収(さしゅう)」の査収は、辞書(デジタル大辞泉「査収」)に「金銭・物品・書類などを、よく調べて受け取ること。」とあります。使い慣れないうちは、「ご確認くださいますようお願い申し上げます」で足ります。意味がはっきりしない言葉を無理に使うより、分かる言葉で正しく書くほうが伝わります。
見積書の作り方は見積書の書き方にまとめています。
FAX・メール添付・郵送で変わるところ
送る方法によって、送付状の形と、力を入れる所が変わります。次の表は一例です。
| 送る方法 | 送付状の形 | 力を入れる所 |
|---|---|---|
| 郵送 | A4の紙1枚を、書類のいちばん上に重ねる | 同封書類の名前と部数。封筒・送付状・書類の宛名が同じか |
| FAX | FAX送付状(送信票)を1枚目にして送る | 相手のFAX番号、送る枚数(送付状を含めて何枚か)、相手の名前と部署 |
| メール添付 | 送付状は付けず、メールの本文が代わりになる | 添付したファイルの名前と数、見てほしい所、返事がほしい期限 |
| 手渡し | ふつうは付けない。口頭で伝える | 受付に預けるときや、本人が不在のときは、一枚添えると担当者に届きやすい |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
FAXのとき
FAXは、相手の会社の共用の機械に、紙が出てくることがあります。誰あてかが1枚目で分からないと、担当者に届きません。FAX送付状には、相手の会社名・部署・名前、自分の会社名・名前・電話番号、件名、送る枚数を書きます。
枚数は、「送付状を含めて3枚」のように、数え方が分かる形で書きます。相手は、途中で紙が切れていないかを確かめられます。あいさつは、郵送のときより短くて構いません。「いつもお世話になっております。下記の書類をお送りします」程度で足ります(説明用の例です)。
FAXは、番号を一つ押し間違えると、別の所に届きます。送る前に、番号を名刺や相手の書類と見比べます。金額や個人の情報が入った書類をFAXで送ってよいかは、会社の決まりを上司に確かめます。送った後に、電話で「今、3枚お送りしました」と伝えると、届いたかどうかがその場で分かります。
メールに添付するとき
メールで送るときは、本文が送付状の代わりになります。別に送付状のファイルを付けることは、ふつうしません。本文に、何を・いくつ添付したかを書きます。
惜しい例:「資料を添付します。ご確認ください。」
良い例:「お見積書(PDF・1点)を添付いたします。2ページ目に、納期と支払いの条件を記載しております。ご不明な点がございましたら、お知らせください。」
2つとも説明用の例です。惜しい例は、何がいくつ付いているかが分かりません。添付を忘れて送っても、相手は気づきにくくなります。良い例は、ファイルの種類と数、見てほしい場所を書いています。メール全体の組み立てはビジネスメールの書き方にまとめています。
郵送するとき:送る方法を、出す前に確かめる
書類の中には、法律で「信書」とされるものがあります。総務省の信書のガイドラインには、信書は「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と郵便法及び信書便法に規定されている、とあります。
同じページには、信書に該当する文書の例として「請求書の類」が挙げられ、その類例に納品書、領収書、見積書、契約書などが並んでいます。カタログは、信書に該当しない文書の例に挙げられています。日本郵便の「信書に該当するものを教えてください」にも、同じ内容の表があります。
つまり、営業が送る見積書・契約書・請求書は、信書に当たる書類です。どの送り方を使うかは、自分で決めず、会社の発送の決まりに合わせます。決まりが分からないときは、総務や上司に「見積書を送るときは、どの方法で出していますか」と聞きます。
迷いやすい判断
判断1:送付状を付けなくてよいのは、どんなとき?
基準は、受け取った人が、送付状がなくても「誰から・何が・何部」を迷わず分かるかです。対面で手渡しするとき、相手から「送付状は不要です」と言われているとき、相手が指定した書式や封筒で返送するときは、付けないことがあります。
迷ったら、付けます。付けて困る場面より、なくて相手が困る場面のほうが多いからです。
判断2:宛名は、「御中」と「様」のどちら?
担当者の名前が分かっているなら、名前に「様」を付けます。名前が分からず、部署あてに送るなら「御中」です。「ご担当者様」と書く形もあります。
名前が分からないまま送ると、書類が担当者に届くまで時間がかかります。送る前に、「お送りする書類の宛名は、どなた様あてにすればよろしいですか」と電話かメールで聞いておくと、届くまでの回り道が減ります。
判断3:手書きとパソコン、どちらで作る?
仕事の送付状は、パソコンで作るのが一般的です。読みやすく、同じ書式をくり返し使えるからです。会社の書式があれば、それを使います。
急ぎで一筆だけ添えたいときは、手書きの短い一枚でも役目は果たせます。その場合も、宛名・日付・自分の名前・同封した書類の名前と部数の4つは書きます。
判断4:「拝啓」から書く?「前略」でよい?
取引先への送付状は、「拝啓」で始め「敬具」で結ぶ形が広く使われています。あいさつを省く書き方もありますが、初めのうちは、会社の過去の送付状と同じ形に合わせるのが安全です。
自分で決めにくいときは、書いたものを上司に見せて聞きます。「A社あての送付状です。書き出しはこの形でよいでしょうか」と、実物を見せると、相手は答えやすくなります。
入れ忘れや誤りに気づいたあと
送った後で誤りに気づいたら、まず上司に報告し、相手への連絡のしかたを決めます。報告の型は営業で失敗したときにまとめています。
失敗1:書類を入れ忘れた・部数が足りなかった
その場では:上司に報告した後、相手に電話かメールで伝えます。「本日お送りした封筒に、カタログを入れ忘れておりました。申し訳ございません。本日、別便でお送りいたします」(説明用の例です)。相手が気づく前に伝えれば、相手は探す手間がかかりません。
後の記録:「送付状を先に作り、封をする前に見比べなかった。次からは、送付状の一行ごとに実物を指で確かめてから封をする」と、抜けた手順を書きます。
失敗2:宛名の会社名や名前を、間違えた
その場では:上司に報告し、お詫びの連絡をします。言い訳を足さず、「お名前の字を誤って記載しておりました。大変失礼いたしました」と伝えます。書類そのものの宛名も誤っていたら、正しいものを作り直して送ります。お詫びのメールの書き方はお詫びメールの書き方にまとめています。
後の記録:何を見ずに書いたかを残します。「名前を記憶で書いた。次からは、名刺を横に置いて写す」のような形です(説明用の例です)。
失敗3:FAXを、別の番号に送ってしまった
その場では:気づいた時点で、すぐ上司に報告します。届いた先への連絡や、本来の相手への説明は、自分だけで決めず、上司と決めます。書類の中身によっては、会社としての対応が要るからです。
後の記録:どの番号を、何と見比べずに押したかを書きます。次からは、番号を押した後、送信のボタンを押す前に、画面の番号を名刺と見比べます。
今日やることは一つです。次に送る書類を一つ選び、宛名・件名・同封する書類の名前と部数を書き出して、送付状を一枚作り、上司に見てもらってください。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
送る書類の実物、相手の名刺(会社名・部署・名前の正しい書き方)、会社の送付状の書式があればそのファイル。
記入例を見る(説明用)
送る相手=株式会社A 総務部 佐藤様(名刺を見て写した)/送る方法と、送る日=郵送。◯月◯日に出す。送付状の日付も同じ日にする/件名=お見積書送付のご案内/同封する書類の名前と部数=お見積書 1部、製品カタログ 1部/相手にお願いすること・問い合わせ先=お願いは特になし。「ご不明な点がございましたら、田中までご連絡ください」と書き、電話番号とメールアドレスを差出人の所に入れる。出す前に、課長に見てもらう。(会社名・人名は説明用の例です)
CHECK
ここまでできたら、次へ。
宛名が名刺と同じ書き方になっており、同封する書類の名前と部数が、封筒に入れる実物と合っている。
うまく進まなかったときは?
書き出しが決まらなければ、会社の過去の送付状を一枚もらい、宛名・件名・同封書類の3か所だけ書き換える。書式がなければ、この記事の良い例を写して、上司に見てもらう。部数が不安なら、書類を机に並べて、送付状の一行ごとに指で確かめる。