NOTE 79 · 営業の実践ノート
御中の使い方:「様」「各位」「殿」との使い分けと、「行」を御中に直す書き方
公開:2026年10月3日
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御中(おんちゅう)は、封筒やはがきの宛名で、会社名や部署名の下に書き添える言葉です。宛名の最後が会社・部署なら「御中」、個人の名前なら「様」を付け、二つを重ねません。この記事では、「様」「各位」「殿」との使い分け、書き方の例、返信用封筒の「行」「宛」を御中に直す手順、メールの宛名での使い方を順に説明します。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 封筒やメールの宛名で、「御中」と「様」のどちらを付けるか迷ったとき。
- 1
宛名の最後が、会社・部署か、個人の名前かを見る
- 2
会社・部署なら「御中」、個人の名前なら「様」を選ぶ
- 3
二つを重ねていないか、社名と名前の字を名刺で確かめる
- 4
返信用の「行」「宛」は、二重線で消して書き直す
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
御中とは:会社や部署にあてるときの言葉
御中は「おんちゅう」と読みます。封筒やはがきの宛名で、会社名や部署名の下に書く言葉です。辞書(デジタル大辞泉「御中」)は、次のように説明しています。
「郵便物などで、個人名でなく、官庁・会社・団体などの宛名の下に書き添える語。」
同じページに載っている精選版 日本国語大辞典も、「個人でない官庁、会社、団体などへの手紙で、あて名の下に書き添える脇付の語。」と説明しています。どちらの辞書も、個人ではなく、組織にあてるときの言葉だとしています。
「その会社や部署の、どなたかに読んでいただきたい」という郵便物に付ける言葉、と考えると分かりやすくなります。担当の方が決まっていて、その人に読んでほしいなら、名前を書いて「様」を付けます。
営業を始めたばかりのころは、次のような場面で手が止まります。見積書を送る封筒に「A株式会社 御中 佐藤様」と書いてよいのか。取引先から届いた返信用封筒の「行」は、そのままでよいのか。メールの一行目にも「御中」は使うのか。
敬称は、相手への礼儀を表す部分です。宛名は、封筒を手にした相手が最初に見る所でもあります。ここが整っていると、中の書類も落ち着いて見てもらえます。逆に、相手の社名や名前の字が違っていると、中身を見る前に引っかかりが生まれます。
この記事では、使い分けの基本、書き方の例、「行」の直し方、メールでの使い方を順に説明します。封筒全体の書き方は封筒の宛名の書き方にまとめています。
「御中」「様」「各位」「殿」の使い分け
宛名に付ける言葉は、だれにあてるかで決まります。次の表は、辞書の説明と使う場面をまとめたものです。宛名の例は、説明用の例です。
| 言葉 | だれにあてるか | 辞書の説明 | 宛名の例 |
|---|---|---|---|
| 御中 | 会社・部署・団体 | 「郵便物などで、個人名でなく、官庁・会社・団体などの宛名の下に書き添える語。」(デジタル大辞泉) | A株式会社 営業部 御中 |
| 様 | 個人 | 「人を表す語(名詞・代名詞)または人名・役職名・団体名などに付いて、尊敬の意を表す。」(デジタル大辞泉) | A株式会社 営業部 佐藤様 |
| 各位 | 大ぜいの人の、一人ひとり | 「大ぜいの人を対象にして、その一人一人を敬って言う語。」(デジタル大辞泉) | 関係者各位 |
| 殿 | 個人(公用の文書など) | 「氏名・役職名などに付けて、敬意を表す。」「現代では、公用の文書や手紙などに多く用いる。」(デジタル大辞泉) | 会社の決まった書式に印刷されているとき |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
出典は、デジタル大辞泉「様」、デジタル大辞泉「各位」、デジタル大辞泉「殿」です。
「各位」は、それだけで敬う意味を持っています。同じ辞書の補説には、「「各位殿」という表現は、敬意が重複することになるので、好ましくない。」とあります。「各位様」も同じ考え方で、重ねない書き方が一般的です。
「殿」について、精選版 日本国語大辞典は「現代では、官庁など公の場で用いるほか、書面などでの形式的なもの、または下位の者への軽い敬称としても用いる。」と説明しています。受け取る人によって感じ方が分かれる言葉なので、取引先あての封筒では「様」を選ぶほうが迷いません。
基本の決め方は3つ
- 宛名の最後が、会社・部署・係の名前なら「御中」。「A株式会社 御中」「A株式会社 営業部 御中」のように、一番下に来る組織の名前に付けます。
- 宛名の最後が、個人の名前なら「様」。「A株式会社 営業部 佐藤様」のように書きます。このとき、会社名と部署名には何も付けません。
- 「御中」と「様」は重ねない。辞書のとおり、御中は「個人名でなく」組織の宛名に添える言葉です。個人の名前を書いたら、敬称は「様」の一つにします。
迷ったら、宛名の一番下の行だけを見てください。そこが人の名前か、組織の名前か。見る所を一つに決めると、毎回同じ基準で選べます。
書き方の例:惜しい例と良い例
次の例は、すべて説明用の例です。会社名・人名は実在のものではありません。
例1:担当の方の名前が分かっている
惜しい例:A株式会社 御中 佐藤様
良い例:A株式会社 営業部 佐藤様
惜しい例は、「御中」と「様」が重なっています。会社にも敬意を表したい、という気持ちから起きやすい形です。個人の名前まで書くなら、「様」だけで足ります。
例2:部署にあてる
惜しい例:A株式会社 営業部 様
良い例:A株式会社 営業部 御中
請求書を「経理部」に送る、資料を「総務部」に送るなど、部署のどなたが受け取ってもよい場面です。宛名の最後が部署なので、「御中」を付けます。
例3:役職のある方にあてる
よく見る形:A株式会社 佐藤部長様
宛名で多い形:A株式会社 営業部 部長 佐藤様
辞書は、「様」が役職名にも付くと説明しています。「部長様」が誤りだとは言い切れません。ただ、封筒の宛名では、役職を名前の前に置き、名前の後に「様」を付ける書き方が多く見られます。名刺の並びのとおりに書けば、この形になります。
例4:担当の方の名前が分からない
書き方の一つ:A株式会社 営業部 御中
もう一つの書き方:A株式会社 営業部 ご担当者様
部署のどなたかに届けばよいなら「御中」。その件を担当している人に読んでほしいなら「ご担当者様」という書き方があります。「営業部 御中 ご担当者様」と重ねる形は避けます。
場面ごとの選び方
| 分かっていること | 宛名の書き方(一例) | 付ける言葉 |
|---|---|---|
| 会社名だけ | A株式会社 | 御中 |
| 部署まで | A株式会社 営業部 | 御中 |
| 担当の方の名前まで | A株式会社 営業部 佐藤 ◯◯ | 様 |
| 担当の方がいるが、名前が分からない | A株式会社 営業部 ご担当者 | 様 |
| 同じ会社の二人にあてる | A株式会社 営業部 佐藤 ◯◯/鈴木 ◯◯ | それぞれの名前に「様」を付ける書き方が多い |
| 大ぜいにあてた案内 | 関係者/お取引先 | 各位 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
返信用封筒・はがきの「行」「宛」を直す
取引先から届く返信用封筒や返信用のはがきには、相手の宛名の下に「行」や「宛」と書いてあることがあります。相手が、自分あての宛名に「様」や「御中」を付けないために書く字、と説明されることが多い言い方です。
そのまま出すと、相手を敬称なしで呼ぶ形になります。返す側が、「行」「宛」を消して、敬称に書き直します。
- 宛名の最後を見る。会社・部署・係の名前なら「御中」、個人の名前なら「様」です。決め方は、ここまでの説明と同じです。
- 「行」「宛」を二重線で消す。線を2本引きます。字が読めなくなるまで塗りつぶしません。
- 近くに「御中」か「様」を書く。消した字の横か下に、宛名と同じくらいの大きさで書きます。
- 裏に、自分の住所・会社名・名前を書く。だれから返ってきたのかが、開ける前に分かります。
線の引き方と、書き直す位置は、郵便の決まりではなく書き方の慣習です。一つに決まってはいません。次の表は、一般的に見られる書き方です。
| 封筒の向き | 消し方(一般的な例) | 書き直す位置(一般的な例) |
|---|---|---|
| 縦書き | 縦の二重線か、斜めの二重線 | 消した字の左か、下 |
| 横書き | 横の二重線 | 消した字の右 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
修正液や修正テープで消さず、二重線で消す書き方が一般的です。定規を当てると、線がそろいます。細かい向きに迷ったら、社内で前に返した人の書き方に合わせます。
受け取った返信用封筒を返すときの流れ全体と、こちらが返信用封筒を作るときの書き方は、返信用封筒の書き方にまとめています。
メールの宛名ではどうするか
メールの本文の一行目に書く宛名も、考え方は同じです。個人にあてるなら「様」、部署や窓口にあてるなら「御中」、大ぜいにあてるなら「各位」を使います。次の3つは、説明用の例です。
個人にあてる:A株式会社 営業部 佐藤様
部署や窓口にあてる:A株式会社 営業部 御中
大ぜいにあてる:関係者各位
問い合わせ窓口のように、どなたが読むか分からないアドレスへ送るときは、「A株式会社 ご担当者様」と書く形もよく使われます。メールでも、「御中」と「様」は重ねません。
一度やり取りが始まり、担当の方の名前が分かったら、次のメールからは名前に「様」を付けます。相手の署名に書かれた字を、そのまま写します。
宛名の後の挨拶や名乗りの書き方はビジネスメールの書き出し、メール全体の組み立てはビジネスメールの書き方にまとめています。
迷いやすい判断と、間違えたあとの立て直し
判断1:会社名に「様」を付けるのは間違い?
辞書は、「様」が団体名にも付くと説明しています。会話やメールの文中で「A社様」と呼ぶことは、実際によくあります。一方、封筒の宛名では、会社や部署には「御中」を使う書き方が一般的です。
基準は、宛名は「御中」、文中の呼び方は社内の言い方に合わせることです。文中での呼び方に迷ったら、先輩が書いたメールを一通見せてもらうと早く決まります。
判断2:「係」「窓口」「事務局」には、どちらを付ける?
「◯◯係」「◯◯窓口」「◯◯事務局」は、人の名前ではなく、仕事を受け持つ所の名前です。基準は同じで、宛名の最後が組織の名前なら「御中」です。「採用係 御中」「事務局 御中」のように書く形が一般的です。
判断3:会社の書式に「殿」が印刷されているときは?
見積書や請求書の宛名欄に、「殿」や「御中」が先に印刷されている書式があります。自分の判断で消したり、書き足したりしません。基準は、会社の書式は、会社の決まりに合わせることです。
聞き方の例です。「見積書の宛名欄に『殿』と入っています。個人の方にあてるときも、このままでよいですか」(説明用の例です)。答えは実践シートに書いておくと、次から迷いません。見積書そのものの書き方は、見積書の書き方にまとめています。
判断4:書いた後で、重ねていることに気づいたときは?
出す前に気づいたら、新しい封筒に書き直します。宛名を線で直した封筒は、相手に「書き間違えた物をそのまま送った」と見えます。封筒が残り少ないときや、社名入りの封筒を使ってよいか分からないときは、先輩に聞いてから書き直します。
出した後で、間違いに気づいたとき
その場では:まず、何を間違えたかを分けます。社名や名前の字を間違えた、別の人の名前を書いた、という場合は、上司に報告します。お詫びの連絡を入れるか、だれから伝えるかを決めてから動きます。報告のしかたは営業で失敗したときが使えます。
「御中」と「様」を重ねた、「行」を消し忘れた、という場合も、自分だけで決めず、上司に一言伝えます。「A社あての封筒で、『御中』と『様』を重ねて書いていました。ご連絡したほうがよいでしょうか」(説明用の例です)。
住所や宛先そのものを間違えて出した場合は、郵便局で手続きができることがあります。日本郵便は、よくあるご質問で「あて名・あて先変更や取戻請求ができます。」「手続には手数料が必要になる場合があります。」と案内しています。くわしいことは、出した郵便局に問い合わせます。
後の記録:取引先ごとに、宛名の控えを残します。「A株式会社 営業部 佐藤 ◯◯ 様。社名は株式会社が前。名刺で確認した日:◯月◯日」のように書きます(説明用の例です)。次に送るときは、控えを見て写せば、同じ間違いをくり返さずに済みます。
今日やることは一つです。これから出す封筒かメールを一通決め、宛名の最後が会社・部署か個人の名前かを見て、「御中」か「様」のどちらか一つを選んで書いてください。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
相手の名刺かメールの署名(会社名・部署名・役職・名前の正しい字が分かるもの)、これから出す封筒かメールの下書き、返信用封筒やはがきがあればその現物。
記入例を見る(説明用)
送る物と、送り先=見積書を一通、郵送する。A株式会社 営業部の佐藤様あて/宛名の最後は、会社・部署か、個人の名前か=個人の名前(佐藤様)。担当の方が分かっている/選んだ敬称と、その理由=「様」。宛名の最後が個人の名前なので。会社名と部署名には何も付けない。「御中」は使わない/清書した宛名=一行目「A株式会社」、二行目「営業部」、三行目「佐藤 ◯◯ 様」。役職は名刺に書かれていなかったので入れない/確かめたこと=名刺と見比べて、社名の「株式会社」が前に付くこと、佐藤様の名前の字を確かめた。「御中」と「様」は重ねていない。部署名は、先月の名刺のままでよいかを先輩に聞いた(変わっていないとのこと)。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
宛名の最後が会社・部署か個人の名前かを見て、「御中」か「様」のどちらか一つを選べており、社名と名前の字を名刺などで確かめてある。
うまく進まなかったときは?
どちらか決められなければ、宛名の一番下の行だけを見る。そこが人の名前なら「様」、会社・部署・係の名前なら「御中」。担当の方の名前が分からなければ、「営業部 ご担当者様」と書くか、先輩に「担当の方のお名前は分かりますか」と聞く。字が不安なら、名刺かメールの署名を見て書き写す。