NOTE 64 · 営業の実践ノート
アポイントとは:意味と、取ってから当日までの流れ
公開:2026年10月3日
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アポイントとは、会う日時などを決めた約束のことです。「アポイントメント」を短くした言葉で、ビジネスでは、訪問や面談、オンラインの打ち合わせの約束を指して使われることが多く、「アポ」とも言います。約束は、取って終わりではありません。日時・場所・参加者・目的を決め、確認の連絡を送り、前日にもう一度確かめて当日を迎えます。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 「アポを取っておいて」と言われたが、何を決めて、当日まで何をすればよいか分からないとき。
- 1
会いたい理由を伝えて、日時をお願いする
- 2
日時・場所・参加者・所要時間・目的を決めて、声に出して確かめる
- 3
決まった内容を、文字にして相手へ送る
- 4
前日にもう一度確かめ、当日の後にお礼を送る
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
アポイントとは:会う日時などを決めた約束のこと
アポイントとは、会う日時などを決めた約束のことです。もとの言葉は「アポイントメント」で、辞書では、面会の約束や予約のことと説明されています(コトバンク「アポイントメント」デジタル大辞泉)。同じページにある別の辞書(精選版 日本国語大辞典)は、日時と場所を決めた、会合や訪問などの約束と説明しています。
ビジネスでは、訪問、面談、オンラインの打ち合わせの約束を指して使われることが多い言葉です。職場では、次のような言い方で出てきます。
- アポ:アポイントを短くした言い方。「明日はアポが2件ある」のように使われます。
- アポを取る:相手にお願いして、会う約束をもらうこと。「アポ取り」とも言います。
- アポなし:約束をせずに訪ねること。「アポなしで伺う」のように使われます。
- アポが入る:約束が決まって、予定に入ること。
社外の人には、「アポ」と略さず、「お約束」「お時間をいただく」と言うほうが、ていねいに聞こえます。「アポを取りたいのですが」ではなく、「お時間をいただけないでしょうか」と言います。
初めての人がつまずきやすいのは、日時が決まった時点で安心してしまうことです。相手から見ると、約束は「自分の時間を先に空けておく」ことです。場所や目的があいまいなままだと、相手は何を準備すればよいか分かりません。
この記事は、言葉の意味と、約束を決めてから当日までの段取りを説明します。会ってもらう理由をどう伝えるかは営業のアポ取り、電話そのもののかけ方は営業電話のかけ方にまとめています。
取ってから当日までの流れ
アポイントは、お願いしてから、会った後のお礼までがひと続きです。進め方は会社や相手で違いますが、広く行われている順番を6つの段階に分けます。右の列は、その段階を飛ばすと起きやすいことです。
| 段階 | やること | 飛ばすと起きやすいこと |
|---|---|---|
| 1. お願いする | 会いたい理由と、ほしい時間の長さを伝え、日時の候補を出す | 相手が、会うかどうかを決められない |
| 2. 中身を決める | 日時、場所、参加者、所要時間、目的を決め、その場で声に出して確かめる | 日付や場所の受け取り方が、お互いに違ったまま進む |
| 3. 確認の連絡 | 決まった内容を、メールなど文字で相手に送る | 聞き間違いに、当日まで気づけない |
| 4. 前日の確認 | 日時、場所、行き方、持ち物、相手の連絡先を見直す。必要なら相手にも一言伝える | 当日の朝に、場所や資料のことであわてる |
| 5. 当日 | 約束の時刻に間に合うように着く。終わりの時刻を守る | 相手の次の予定に、食い込む |
| 6. お礼 | 会った日のうちか次の日に、お礼と、決まったことを送る | 約束した宿題と期限が、文字で残らない |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
3番目の「確認の連絡」は、相手のためでもあります。相手は、上司や同席する人に、予定を知らせることがあります。文字で届いていれば、相手はそれを転送するだけで済みます。書き方はアポイントメールの書き方に、文例つきでまとめています。
4番目の前日の確認で、相手にも連絡するかどうかは、会社や相手との関係で違います。約束してから日が空いた場合や、初めて訪問する場合は、「明日◯時に伺います」と一言送ると、相手も予定を思い出せます。毎週会っている相手にまで送る必要があるかは、先輩に聞いて決めます。
5番目の当日の準備は初めての訪問で準備する3つのこと、出発前の見直しは営業訪問前チェックリストが使えます。当日の話の進め方は商談とは、6番目のお礼は営業のお礼メールにまとめています。
約束を決めるときに確かめる7つの項目
日時だけ決めて電話を切ると、後から聞き直すことが増えます。約束を決めるときに、次の7つを確かめます。下の実践シートは、この7つを5つの欄にまとめたものです。
| 項目 | 確かめること | なぜ確かめるか |
|---|---|---|
| 日時 | 日付、曜日、始まりの時刻 | 日付と曜日を両方言うと、どちらかの間違いに気づける |
| 場所/オンラインのURL | 建物の名前、階、受付のしかた。オンラインなら、どの道具を使うか、URLをどちらが送るか | 同じ会社でも、本社と支店、工場で場所が違うことがある |
| 参加者 | 相手側は誰が出るか。自分側は誰が行くか | 人数で、資料と名刺の数、部屋の広さが変わる |
| 所要時間 | 何分もらうか。終わりの時刻 | 相手が、次の予定を入れられる |
| 目的 | 何の話をして、何を決めたいか | 相手が、資料や同席する人を用意できる |
| 持ち物 | こちらが持って行く物。相手に用意してもらいたい物があれば、それも | 当日に「あの資料があれば」とならない |
| 連絡先 | 当日つながる電話番号(相手のものと、自分のもの) | 遅れそうなとき、道に迷ったときに、すぐ連絡できる |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
7つを一度に聞くと、相手は質問ぜめにされたように感じます。電話では、日時・場所・所要時間・目的を声に出して確かめ、参加者と持ち物は、確認のメールで「当日は、私と上司の2名で伺います」と知らせる形でも足ります。
決まったことは、電話を切ったらすぐ、予定表に書きます。書く場所は、会社で決まった予定表があれば、そこが先です。自分の手帳やノートにも書く場合は、会社の予定表と同じ内容にそろえます。二つの内容がずれると、後で述べる予定の重なりが起きやすくなります。
場面で変わるところ
6つの段階と7つの項目という骨組みは同じです。約束の取り方、相手との関係、会い方によって、気をつける所が変わります。次の表は一例です。
| 場面 | 気をつける所 | 進め方(一例) |
|---|---|---|
| 電話で取る | 聞き間違いが起きやすい | 切る前に、日付・曜日・時刻・場所・所要時間を声に出して確かめる。切った後に、同じ内容をメールで送る |
| メールで取る | 返事を待つ時間がかかる | 候補の日時、所要時間、目的を1通に入れ、相手が選ぶだけで返せる形にする |
| 紹介で取る | 紹介した人の顔も立てる | 紹介者が相手に伝えてくれているかを先に確かめる。日時が決まったら、紹介者にも知らせる |
| 初めての相手 | 相手は、こちらの顔も会社も知らない | 場所と受付のしかたを聞く。自分の携帯電話の番号を伝えておく。前日に一言送る |
| 取引のある相手 | 慣れで、確認を省きがち | いつもと違う点(場所、参加者、時刻)があるときは、そこだけ文字にして送る |
| 対面 | 移動の時間がかかる | 行き方と、かかる時間を前日までに調べる。前後の予定とのあいだを空ける |
| オンライン | URLと、つなぐ道具の確認が要る | URLをどちらが出すかを決める。始まる前に、音と画面を確かめる |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
電話で取る場合の会話の組み立てと、断られたときの返し方は、営業のアポ取りにあります。最初から最後までの台本はアポ取り電話の台本が使えます。
オンラインは、移動がない分、前後に予定を詰めやすくなります。前の予定が長引くと、そのまま遅刻になります。対面と同じように、前の予定とのあいだを空けて予定表に書きます。
約束をせずに訪問するやり方は、準備と最初の一言が違います。飛び込み営業のやり方にまとめています。
言い方の例:お願い・復唱・前日の確認
ここに挙げる言い方は、どれも説明用の例です。自分の商品と相手に合わせて言い換えてください。
お願いするとき
惜しい言い方:「一度ごあいさつに伺いたいのですが、来週あたり、ご都合はいかがでしょうか」
良い言い方:「コピー用紙を小分けで納める場合の条件を、ご説明したく存じます。30分ほど、お時間をいただけないでしょうか。来週の火曜の14時か、木曜の10時はいかがでしょうか」
惜しい言い方は、ていねいですが、何の話で、何分かかるのかが分かりません。相手は、会う必要があるかどうかを決められず、「また今度」と答えやすくなります。良い言い方は、目的・所要時間・日時の候補の3つが入っています。相手は、予定表を見て選ぶだけで返事ができます。
決まった後の復唱
惜しい言い方:「ありがとうございます。では、来週の火曜に伺います。失礼いたします」
良い言い方:「ありがとうございます。確認いたします。◯月◯日、火曜日の14時から30分、御社の本社2階へ、私と上司の2名で伺います。同じ内容を、この後メールでもお送りします」
惜しい言い方は、時刻も場所も声に出していません。「来週の火曜」は、話している日によって、相手と自分で別の日を思い浮かべることがあります。良い言い方は、日付と曜日の両方を言っています。食い違いがあれば、相手がその場で直してくれます。
前日の確認
惜しい言い方:「明日はよろしくお願いします」
良い言い方:「明日◯月◯日(火)14時に、御社の本社2階へ、2名で伺います。小分けで納める場合の条件をまとめた資料をお持ちします。ご都合が変わられた場合は、下記の番号へお知らせください」
惜しい言い方でも気持ちは伝わりますが、確かめたい中身が入っていません。良い言い方は、日時・場所・人数・持って行く物を、もう一度文字にしています。相手の都合が変わっていた場合にも、相手が言い出しやすくなります。
迷いやすい判断と、失敗のあと
判断1:日程の候補は、いくつ出せばよい?
数に決まりはありません。基準は、相手が選べて、自分がどれも守れることです。候補が一つだけだと、合わなかったときにやり取りが一往復増えます。多すぎると、相手は読むのに手間がかかり、こちらは返事が来るまで、その時間を全部空けておくことになります。
候補を出したら、予定表に「仮」と書いて押さえます。同行する先輩がいるなら、候補を出す前に、先輩の予定も確かめます。相手の返事が来たら、選ばれなかった候補の「仮」をすぐ消します。
判断2:こちらの都合で、日程の変更をお願いしたいときは?
基準は、分かった時点で、すぐ伝えることです。早いほど、相手は空いた時間を別の予定に使えます。伝えるのは、おわび、変更をお願いしたいこと、代わりの候補の3つです。理由は、短く一言で足ります。
当日や前日など、日が迫っているときは、メールだけでなく電話でも伝えます。メールは、相手がいつ読むか分からないからです。変更してよいかどうかを自分で決められないときは、上司に「A社の◯日の約束が、別の予定と重なりました。どちらを動かせばよいですか」と、二つの予定を並べて聞きます(説明用の例です)。
判断3:相手から、変更の連絡が来たら?
まず、連絡をくれたことにお礼を言い、理由は問い詰めません。そのうえで、新しい日時を決めます。相手から候補が出ていなければ、こちらから候補を出します。
新しい日時が決まったら、7つの項目をもう一度確かめます。日が変わると、場所や参加者も変わることがあるからです。予定表の古い約束は消し、同行する人にも、その日のうちに知らせます。
判断4:当日、遅れそうなときは?
基準は、遅れると分かった時点で、約束の時刻より前に電話することです。間に合うかもしれない、と迷っているあいだに時刻を過ぎると、相手は理由が分からないまま待つことになります。
伝えるのは、おわび、着く見込みの時刻、待ってもらえるかの確認です。「申し訳ございません。電車が止まっており、14時15分ごろの到着になりそうです。お待ちいただくことは可能でしょうか」と言います(説明用の例です)。相手の次の予定によっては、日を改めることもあります。同行の先輩や上司にも、同時に知らせます。
判断5:同行者が増えるときは?
分かった時点で、相手に知らせます。人数が変わると、相手は部屋や席を用意し直すことがあるからです。「当日は、上司の田中も同席いたします。3名で伺います」と、役職か立場、名前、合計の人数を伝えます(説明用の例です)。
上司が同席すると聞いて、相手も上の人を呼ぶべきか迷うことがあります。同席の理由を「ごあいさつのため」「条件のご説明のため」のように一言添えると、相手が判断しやすくなります。
失敗1:日時を、聞き間違えていた
その場では:気づいたら、すぐ相手に連絡します。「私の確認不足で、日時を取り違えておりました。申し訳ございません。正しくは◯月◯日の14時でよろしいでしょうか」と、おわびと、正しい日時の確認を言います。すでに約束の時刻を過ぎていた場合は、おわびのうえで、あらためて日時をお願いします。上司にも、その日のうちに報告します。
帰ってからの記録:「電話で『火曜』とだけ聞き、日付を確かめなかった。次からは、日付と曜日を声に出し、切った後にメールで送る」のように、原因と次の動きを書きます(説明用の例です)。
失敗2:場所を、間違えた
その場では:本社だと思って行ったら支店だった、ということがあります。気づいたら、まず相手に電話し、今いる場所と、着く見込みの時刻を伝えます。間に合わない場合の動き方は、遅れそうなときと同じです。
帰ってからの記録:相手の会社の記録に、「打ち合わせは◯◯支店の2階」のように、場所を書き足します。次に行く人が、同じ間違いをせずに済みます。
失敗3:同じ時間に、二つの約束を入れてしまった(ダブルブッキング)
その場では:気づいたら、自分だけで片方を断る前に、上司に相談します。どちらを動かすかは、先に決まっていた順番、相手の事情、代わりに行ける人がいるかで変わるからです。動かすと決まった相手には、判断2の順番で、すぐ連絡します。「別のお客様の予定がありまして」と、ほかの相手を優先したと聞こえる言い方は避け、「私の予定の確認不足で」とおわびします。
帰ってからの記録:なぜ重なったかを書きます。「候補として出した日時を、予定表に書いていなかった」「手帳と会社の予定表の、片方にしか書いていなかった」など、原因が分かれば、直す所が決まります。報告の順番は、営業で失敗したときにまとめています。
今日やることは一つです。次のアポイントを一件選び、7つの項目を書き出して、分からない所に「未確認」と書いてください。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
次のアポイントの予定(相手・日時)、自分と同行者の予定表、相手の連絡先。
記入例を見る(説明用)
相手と、会う目的=A社の総務の佐藤様。今のコピー用紙の買い方を伺い、小分けで納める場合の条件を説明する/日時と所要時間=◯月◯日(火)14時から30分。日付と曜日は、予定表を見て合っていることを確かめた/場所、またはオンラインのURL=A社の本社2階。受付で佐藤様を呼び出す。建物の入口は未確認なので、先輩に聞く/参加者と、持ち物=相手は佐藤様お一人の予定。こちらは先輩と自分の2人(相手に伝えた)。名刺、会社案内2部、条件をまとめた紙2部/相手の連絡先と、確認の連絡をする日=佐藤様の部署の電話番号を控えた。決まった内容は今日のうちにメールで送る。前日の◯月◯日(月)の午前に、もう一度確かめる。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
日付と曜日が合っていて、場所(またはURL)・参加者・所要時間・目的が書いてあり、確認の連絡をする日が決まっている。
うまく進まなかったときは?
分からない項目は「未確認」と書き、誰に聞けば分かるかを横に書く。相手に聞くことが複数あるときは、確認のメールにまとめて一度で聞く。日時がまだ決まっていないときは、先に「相手と、会う目的」だけ書き、会う理由の伝え方を「営業のアポ取り」の記事で確かめる。