NOTE 75 · 営業の実践ノート
ビジネスマナーの基本:営業を始めた人が最初に押さえる9つと、覚える順番
公開:2026年10月3日/更新:2026年10月4日
広告:この記事にはアフィリエイトリンクが含まれます。リンク経由の購入により、当サイトに報酬が支払われる場合があります。
ビジネスマナーとは、仕事の場で、相手が気持ちよくやり取りできるようにするための振る舞いのことです。法律のような決まりではなく、広く行われている習慣なので、会社や相手によって違いがあります。この記事では、営業を始めた人が最初に押さえる9つを一覧にし、くわしい記事へ案内します。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 営業に配属されたばかりで、何から覚えればよいか分からないとき。
- 1
9つの一覧を見て、今週ある場面に印を付ける
- 2
印を付けたものについて、会社のやり方を先輩に聞く
- 3
くわしい記事を読み、言う言葉を一つ書く
- 4
やってみて、迷った所を記録する
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
ビジネスマナーとは:相手が安心してやり取りできるようにする振る舞い
ビジネスマナーとは、仕事の場での礼儀や作法のことです。マナーという言葉は、辞書(デジタル大辞泉「マナー」)に「態度。礼儀。礼儀作法。」とあります。
難しく聞こえますが、目的は一つです。相手が、余計な心配をせずに、用件に集中できるようにすることです。約束の時刻に来る。名前を名乗る。聞いたことを正しく伝える。こうしたことがそろっていると、相手は「この人に任せて大丈夫か」を心配せずに、話の中身に入れます。
営業は、会社の外の人と会う仕事です。相手から見ると、目の前のあなたが、その会社の代表です。あなたの振る舞いが、会社全体の印象になります。だから、商品の知識より先に、マナーを教わることが多いのです。
ビジネスマナーは、法律のような決まりではありません。広く行われている習慣です。会社や業界、相手との関係によって、やり方が違います。本やインターネットの説明と、自分の会社のやり方が違うこともあります。そのときは、会社のやり方と、目の前の相手に合わせるのが先です。
初めのうちは、覚えることが多く見えて、どこから手を付ければよいか分からなくなりがちです。全部を一度に覚える必要はありません。この記事では、最初に押さえる9つを一覧にし、覚える順番を示します。くわしいやり方は、それぞれの記事にまとめています。
最初に押さえる9つの一覧
次の表は、営業を始めた人が最初に出会う9つの場面と、まずやることの一例です。右の列から、くわしい記事へ進めます。
| 項目 | まずやること(一例) | くわしい記事 |
|---|---|---|
| 1. あいさつ | 自分から先に、相手の顔を見て、名前を名乗る | 簡単な自己紹介の例文 |
| 2. 時間 | 約束の時刻より少し前に着く。遅れそうなら、分かった時点で連絡する | アポイントとは |
| 3. 身だしなみ | 清潔であること。会社の決まりと、会う相手に合わせる | 営業の服装 |
| 4. 言葉遣い | ていねいな言い方(です・ます)を土台に、敬語を少しずつ足す | 尊敬語と謙譲語 |
| 5. 名刺 | すぐ出せる所に入れておく。名乗りながら、相手が読める向きで渡す | 名刺交換のやり方 |
| 6. 電話 | 会社の名乗り方で出る。相手の名前と用件を復唱し、メモを渡す | 電話対応の基本 |
| 7. メール | 件名で用件が分かるように書く。送る前に宛先と添付を確かめる | ビジネスメールの書き方 |
| 8. 訪問 | 約束を取り、受付で名乗り、案内を待つ。帰りにお礼を言う | 手土産の渡し方 |
| 9. 席順 | 入口から遠い席が上座。すすめられるまで、入口の近くで待つ | 上座・下座とは |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
9つは、大きく2つに分けられます。1〜4は、人と会う前に自分の側で整えておくことです。5〜9は、相手とやり取りする場面で使うことです。
覚える順番は、今週ある場面からで構いません。電話当番が先に来るなら電話から、訪問の同行が先なら名刺と席順からです。使う場面が近いものほど、覚えたことをすぐ試せます。
このほかに、社内での伝え方として報連相(報告・連絡・相談)があります。お客様へのマナーと同じくらい、最初の時期に求められるものです。
人と会う前に整える4つ:あいさつ・時間・身だしなみ・言葉遣い
1. あいさつ:自分から先に、名前を名乗る
あいさつは、「あなたに気づいています」「話す用意があります」と伝える合図です。相手から声をかけられるのを待つと、相手は、話しかけてよいかを迷います。
社内では、出社したときと帰るときに、自分から声をかけます。社外では、会社名と名前を名乗ります。「B社の田中と申します。本日はお時間をいただき、ありがとうございます」(説明用の例です)。
2. 時間:約束を守り、守れないときは早く伝える
相手は、あなたとの約束のために、ほかの予定を動かしています。遅れると、その時間を無駄にさせることになります。訪問先には、約束の時刻より少し前に着くようにします。早すぎる到着も、相手の準備を急がせるので、近くで時間を調整します。
遅れそうなときは、分かった時点で電話をします。約束の時刻を過ぎてから連絡すると、相手は待っているあいだ、何も決められません。「申し訳ございません。電車が遅れており、10分ほど遅れそうです」と、理由と見込みを伝えます(時間は説明用の例です)。締切も同じです。間に合わないと分かったら、締切の前に伝えます。
3. 身だしなみ:清潔さと、相手に合わせること
身だしなみで見られるのは、おしゃれかどうかより、清潔かどうか、場に合っているかどうかです。服のしわ、靴の汚れ、髪や爪は、相手の目に入ります。整っていないと、「仕事も雑なのでは」と受け取られることがあります。
何を着るかは、会社の決まりと、会う相手で変わります。服装の決め方は営業の服装と営業の服装(女性)、肌・髪・爪の整え方は営業の身だしなみにまとめています。
4. 言葉遣い:ていねいな言い方を土台にする
敬語は、最初からすべて正しく使えなくて構いません。まず、「です」「ます」で終わる、ていねいな言い方を土台にします。そのうえで、よく使う言い方から覚えます。
相手の動きを高める言い方と、自分の動きをへりくだる言い方の違いは尊敬語と謙譲語にまとめています。返事でよく迷う「了解しました」の言い換えは「了解」の敬語を見てください。
敬語より大事なのは、相手の名前と会社名を間違えないことです。言い回しが少しぎこちなくても、名前が正しければ、相手は大切に扱われていると感じます。
やり取りで使う5つ:名刺・電話・メール・訪問・席順
5. 名刺:すぐ出せるようにしておく
名刺は、自分が誰で、どこに連絡すればよいかを、相手の手元に残すものです。かばんの底を探していると、相手を待たせます。名刺入れに入れ、すぐ出せる場所に持ちます。
渡す順番や、複数の人と交換するときの動きは名刺交換のやり方に、名刺入れの選び方は名刺入れの選び方にまとめています。
6. 電話:名乗る・復唱する・メモを渡す
電話は、声だけでやり取りします。顔が見えないので、聞き間違いが起こりやすくなります。相手の名前と用件を、声に出してくり返すことで、間違いを防ぎます。
受けるときの言葉と、伝言メモの書き方は電話対応の基本にまとめています。練習用の台本は電話台本が使えます。
7. メール:件名と、送る前の確認
メールは、相手の都合のよいときに読めて、記録が残ります。そのかわり、宛先や添付の間違いも、そのまま残ります。送る前に、宛先・相手の名前・添付・日付や金額を見直します。
組み立て方はビジネスメールの書き方にまとめています。書類を郵送やFAXで送るときは、送付状の書き方を見てください。
8. 訪問:約束・受付・帰り際
訪問は、相手の場所に入れてもらうことです。前もって約束を取り、受付で会社名・名前・約束の相手と時刻を伝え、案内を待ちます。約束の取り方から当日までの流れはアポイントとはにまとめています。
帰るときは、時間をもらったお礼を言います。手土産を持っていく場面は手土産の渡し方、初めての訪問の準備は営業初心者の基本を見てください。担当が変わるあいさつは担当変更のあいさつにまとめています。
9. 席順:入口から遠い席が上座
応接室や会議室では、一般的に、入口から遠い席が上座、入口に近い席が下座とされます。部屋の作りや会社で変わることがあるので、案内されたらそれに従います。訪ねたときは、すすめられるまで入口の近くで待ちます。迎えるときは、奥の席を手で示して案内します。
車やエレベーター、会食の席については上座・下座とはにまとめています。
場面で変わるところと、言い方の例
同じマナーでも、場面によって力を入れる所が変わります。次の表は一例です。
| 場面 | 力を入れる所 | 進め方(一例) |
|---|---|---|
| 初めて会う相手 | 名乗りと名刺 | 会社名と名前をはっきり言う。相手の名前の読み方が分からなければ、その場で聞く |
| 2回目以降の相手 | 前回の話を覚えていること | 「先日はありがとうございました」と、前回のお礼から入る。前回の宿題の結果を先に伝える |
| 上司と一緒の訪問 | 上司を先に立てる | 部屋に入る順番、名刺を出す順番は、上司が先。自分は入口に近い席に座る |
| オンラインの打ち合わせ | 始まる前の準備 | 少し前に入り、音と画面を確かめる。話すとき以外は音を切る。終わったら、決まったことをメールで送る |
| 相手が忙しそうなとき | 時間を取らせない | 「2分ほど、よろしいでしょうか」と、かかる時間を先に言う。長くなるなら、あらためて時間をもらう |
| 社内の人に対して | あいさつと報告 | お客様の前と同じように、あいさつ・時間・返事を守る。頼まれた仕事は、終わったら報告する |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
表の「2分ほど」は説明用の例です。社内だからと、あいさつや時間をゆるめると、いざお客様の前に出たときに、同じ動きが出にくくなります。ふだんの動きが、そのまま外でも出ます。
言い方を比べる
受付で・惜しい言い方:「すみません、佐藤さんいますか」
受付で・良い言い方:「B社の田中と申します。総務部の佐藤様と、14時にお約束をいただいております」
遅れるとき・惜しい言い方:(約束の時刻を過ぎてから)「すみません、遅れました」
遅れるとき・良い言い方:(遅れると分かった時点で電話して)「B社の田中です。申し訳ございません。電車が遅れており、10分ほど遅れそうです。お待ちいただけますでしょうか」
4つとも説明用の例です。受付の惜しい言い方は、自分が誰か、約束があるのかが分かりません。受付の人は、取り次いでよいかを決められません。良い言い方は、自分の会社名と名前・相手の部署と名前・約束の時刻の3つがそろっています。
遅れるときの惜しい言い方は、お詫びはしていますが、相手が待っているあいだの時間を取り戻せません。良い言い方は、先に知らせることで、相手が「待つ」「日を変える」を選べるようにしています。
迷いやすい判断と、失礼をしたあと
判断1:本で読んだやり方と、会社のやり方が違うときは?
会社のやり方に合わせます。マナーには公的な決まりがなく、会社ごとに積み重ねてきたやり方があるからです。基準は、目の前の相手と、一緒に働く人が困らないほうです。
理由が知りたいときは、反論ではなく質問の形で聞きます。「名刺は先に出すと読んだのですが、うちでは課長の後に出す形でしょうか」のように、自分が知っていることと、確かめたいことを並べます(説明用の例です)。
判断2:先輩によって、言うことが違うときは?
どちらも、それぞれの経験からのやり方です。基準は、その場面で一緒に動く人のやり方に合わせることです。同行する先輩が決まっているなら、その人のやり方にします。
どちらに合わせるか決められないときは、直属の上司に聞きます。「AさんとBさんで、受付での名乗り方が違いました。私はどちらに合わせればよいでしょうか」と、違いをそのまま伝えます。
判断3:相手に「気を使わなくていいよ」と言われたら?
相手の言葉に合わせます。上座をすすめられたら座る、「さん付けでいいよ」と言われたらそうする、という形です。断り続けると、相手の気づかいを受け取らないことになります。
ただし、時間・名前・約束したことを守るという土台は、ゆるめません。言葉がくだけても、約束の時刻と期限は同じように守ります。
判断4:全部は覚えられない。何を先にする?
先にするのは、間違えると相手に実害が出るものです。約束の時刻、相手の名前と会社名、伝言の中身、書類やメールの宛先。この4つは、間違えると相手の仕事が止まります。
席順や名刺を出す順番は、間違えても、その場で直せます。大事ですが、後から覚えても間に合います。
失礼をしてしまったあと:その場と、後の記録
その場では:気づいたら、短くお詫びして、正しい動きに直します。「失礼いたしました」の一言で足りる場面が多くあります。長く謝ると、相手は「大丈夫ですよ」と言い続けることになり、話が進みません。
相手の名前を間違えた、約束の時刻に遅れた、伝言を渡し忘れた、といった相手の仕事に関わる失敗は、上司に報告します。一人で抱えると、次の対応が遅れます。最初に何を報告するかは営業で失敗したときにまとめています。
後の記録:その日のうちに、場面・起きたこと・次の動きを一行で書きます。「受付で、約束の時刻を言い忘れた。次からは、会社名・名前・相手の名前・時刻の4つを言う」のような形です(説明用の例です)。「気を付ける」とだけ書くと、次に同じ場面で何をするかが分かりません。
今日やることは一つです。9つの一覧から、今週いちばん近い場面に関わるものを一つ選び、会社のやり方を先輩に聞いて、下のシートに書いてください。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
今週の予定(訪問・来客・電話当番など)、メモ用紙、会社の決まりが書かれた資料があればそれ。
記入例を見る(説明用)
今週いちばん近い場面=木曜の午後、課長と一緒にA社を初めて訪問する/その場面に関わるマナー=名刺、訪問、席順/会社のやり方=先輩に聞いた。名刺は課長の後に出す。受付では課長が名乗る。応接室では、すすめられるまで入口の近くで待つ/自分が言う一言=「B社の田中と申します。本日はお時間をいただき、ありがとうございます」/やってみて迷ったことと、次に聞くこと=まだ行っていないので、帰ってから書く。名刺を出す順番が複数人のときどうなるかは、前の日に課長へ聞く。(会社名・人名・曜日は説明用の例です)
CHECK
ここまでできたら、次へ。
今週ある場面が一つ書いてあり、会社のやり方と、自分が言う一言が書いてある。
うまく進まなかったときは?
場面が思い付かなければ、「朝、出社したときのあいさつ」を選ぶ。会社のやり方が分からなければ、先輩が同じ場面でどうしているかを一度見て、そのまま書き写す。一言が決まらなければ、名乗りの一文「◯◯社の△△と申します」だけ書く。