NOTE 128 · 営業の実践ノート
「申し訳ございません」の意味と使い方:すみません・失礼いたしましたとの違いと、あとに続けること
公開:2026年10月3日
広告:この記事にはアフィリエイトリンクが含まれます。リンク経由の購入により、当サイトに報酬が支払われる場合があります。
「申し訳ございません」は、「申し訳ない」を丁寧に言った形で、辞書では「言い訳のしようがない。弁解の余地がない。相手にわびるときに言う語。」と説明されています。この記事では、辞書の語釈をもとに、似たお詫びの言葉との違い、頼む前に置く「申し訳ございませんが」との違い、「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」のあとに続けること、謝りすぎないための基準を説明します。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに お詫びの言葉をどれにすればよいか迷うとき。「申し訳ございません」と言ったあと、何を続ければよいか分からないとき。
- 1
お詫びなのか、頼む前の一言なのかを分ける
- 2
何についてのお詫びかを、一文で言う
- 3
いまの対応と、次の連絡の日時を続ける
- 4
お詫びの言葉は重ねず、上司に見せてから伝える
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
「申し訳ございません」の意味:辞書で確かめる
約束した日に、見積書を送れなかった。取引先に電話をかけて、「申し訳ございません」と言った。そのあと、同じ言葉を三回くり返しただけで、電話が終わった。切ってから、いつ送るのかを伝えていなかったことに気づく。
先に、言葉の意味を辞書で確かめます。「申し訳ございません」は、「申し訳ない」を丁寧に言った形です。コトバンクに載っているデジタル大辞泉で「申訳無い」を引きました。「 」の中は、辞書の文をそのまま写したものです。
- 1番目の意味:「言い訳のしようがない。弁解の余地がない。相手にわびるときに言う語。」
- 2番目の意味:「相手に無理な依頼ごとをして、すまないという気持ちを表す語。」
意味は二つあります。1番目は、わびるときの言葉。2番目は、無理な頼みごとをするときの言葉です。この違いは、三つめの章で扱います。
「申し訳ございません」という形は、誤り?
「申し訳ない」で一つの言葉なのだから、「ない」だけを「ございません」に替えるのはおかしい、という話を聞くことがあります。デジタル大辞泉は、同じ項目の補説で、こう書いています。
「申し訳」に「ない」の付いた複合形容詞で一語とするが、「申し訳」は名詞としても使われ、「申し訳がない」「申し訳が立たない」という言い方もある。従って丁寧にしようとして「申し訳ありません」「申し訳ございません」と言うことは、一概に誤りとは言えない。
辞書は、一語の形容詞だとしたうえで、「一概に誤りとは言えない」としています。この記事でも、「申し訳ございません」を、ふつうに使える形として扱います。
「申し訳ありません」との違い
違いは、「ありません」と「ございません」の違いです。文化審議会答申「敬語の指針」(平成19年2月2日・文化庁)は、丁寧語の「です」「ます」について、「なお,これらと同じタイプで,更に丁寧さの度合いが高い敬語として「(で)ございます」がある。」と説明しています(指針20ページ)。
「ございません」のほうが、丁寧さの度合いが高い形です。わびる言葉であることは同じです。どちらを誰に使うか、という公的な決まりは見当たりません。職場で使われている形に合わせます。
「すみません」「失礼いたしました」「お詫び申し上げます」との違い
お詫びの言葉は、ほかにもあります。同じコトバンクのデジタル大辞泉で引き、語釈を並べます。
| 言葉 | 辞書の語釈 | 語釈から言えること |
|---|---|---|
| 申し訳ございません | 「言い訳のしようがない。弁解の余地がない。相手にわびるときに言う語。」(「申訳無い」の1番目) | 弁解の余地がない、と認めてわびる言葉 |
| すみません | 「「すまない」の丁寧語。相手に謝罪・感謝・依頼などをするときに用いる。」(「済みません」) | 謝罪にも、お礼にも、頼むときにも使う。使える幅が広い |
| 失礼いたしました | 「軽く謝るとき、人に何かたずねたり頼んだりするとき、また人と別れるときなどのあいさつの言葉。」(「失礼」の感動詞の説明) | 軽く謝るとき、と書かれている。あいさつにも使う |
| お詫び申し上げます | 詫びる:「自分の非を認めて、相手の許しを請う。あやまる。」(「詫びる」)/御詫び:「わびる人、また、その相手を敬っていう語。」(「御詫び」) | 自分の非を認めて、許しを願う、と言葉で述べる形 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
「失礼」について、デジタル大辞泉は用法の説明で、「相手が目上・同輩・目下だれにでも使える。」とし、例に「お名前を読み間違えてたいへん失礼いたしました」を挙げています。「わびる」については、「謝る」の用法の説明に、「自分の気持ちを言葉や態度に表す意が強く、改まった言い方。重大な過失の許しを得る場合や、文章語として用いられる。」とあります。
「申し上げます」の「申し上げる」は、指針で謙譲語Ⅰの例に挙げられている言葉です(指針26ページ「申し上げる(←言う)」)。「お詫び申し上げます」は、お詫びを言う、という自分の行為を、相手を立てて述べる形です。
ここから言える範囲で、選び方の一例を書きます。決まりではありません。
- 小さな行き違いを、その場で軽く謝る:「失礼いたしました」。名前を読み間違えた、話をさえぎった、資料を渡す順を間違えた、などです。
- 相手に不利益や手間が出た:「申し訳ございません」。約束の日を過ぎた、金額を間違えた、待たせた、などです。
- 文書や、改まったメールの結び:「お詫び申し上げます」。辞書に、文章語として用いられる、とある言葉です。
- 社内で、軽く声をかける:「すみません」。謝罪にもお礼にも頼みにも使える言葉です。取引先へのお詫びでは、何の意味で言ったのかがぼやけることがあります。上司や先輩に使うことについて、公的な決まりは見当たりません。相手の仕事に影響が出たときは、「申し訳ありません」と言い、何が起きたかを続けます。
お詫びの「申し訳ございません」と、頼む前の「申し訳ございませんが」
辞書の1番目と2番目の意味は、文の形で見分けられます。
| 役目 | 文の形 | 続ける中身 |
|---|---|---|
| お詫び(1番目の意味) | 〜して、申し訳ございません。(文がそこで終わる) | 何が起きたか、いまの対応、次の連絡 |
| 頼む前の一言(2番目の意味) | 申し訳ございませんが、〜していただけますでしょうか。 | 何を・いつまでに。こちらの都合なら、その理由 |
| 断る前の一言 | 申し訳ございませんが、〜はお受けできません。 | 受けられない理由と、代わりにできること |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
2番目の意味の語釈は、「相手に無理な依頼ごとをして」です。ふつうの依頼ではなく、相手に無理をかける依頼、という所が大事です。
惜しい例:「申し訳ございませんが、添付の資料をご確認ください。」
良い例:「申し訳ございませんが、お約束していた金曜の打ち合わせを、来週の月曜に変更していただけますでしょうか。こちらの担当者の都合によるものです。」
2つとも説明用の例です。惜しい例は、資料を見てもらうという、ふつうの依頼です。「申し訳ございませんが」で始めると、相手は「何か問題が起きたのか」と身構えます。ふつうの依頼なら「恐れ入りますが」、相手に作業が生じるなら「お手数ですが」が合います。前置きの選び方は、「恐れ入りますが」の意味と使い方に、順番を付けてまとめています。
良い例は、こちらの都合で予定を変えてもらう依頼なので、語釈に合っています。
断る前の一言として使うときは、「申し訳ございませんが」のあとに、理由と代わりの案を続けます。「申し訳ございませんが、土曜のお届けはお受けできません。配送の便がないためです。金曜の午後でしたら、お届けできます」のような形です(説明用の例です)。まだ起きていないことを先に断る「ご容赦ください」との違いは、「ご容赦ください」の意味と使う場面にあります。
「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」のあとに続けること
「迷惑」は、デジタル大辞泉で「ある行為がもとで、他の人が不利益を受けたり、不快を感じたりすること。」と説明されています。「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」は、こちらの行為がもとで、相手に不利益や不快が出たことをわびる言葉です。
語釈に「ある行為がもとで」とあります。どの行為のことなのかを言わないと、相手は、何をわびられているのかが分かりません。そして、相手がいちばん知りたいのは、不利益がいつ終わるのかです。そこで、この一文のあとに、次の三つを続けます。
- 何が起きたか。約束したことと、実際に起きたことを、日付や数字で言います。「火曜にお送りするお約束の見積書を、まだお送りできておりません」。あいまいなままわびると、相手は、自分が知らない別の問題があるのかと心配します。
- いまの対応。こちらがいま何をしているかを言います。「単価の確認を進めており、本日の午前中に終わります」。分からないことは、「確認中です」と言います。推測で埋めると、あとで説明が変わります。
- 次の連絡。何を・いつまでに・どの方法で、を言います。「本日15時までに、メールでお送りします」。時刻があると、相手は、それまでほかの仕事に移れます。
三つを一文ずつ並べると、次のようになります(説明用の例です)。
このたびは、ご迷惑をおかけして申し訳ございません。
火曜にお送りするお約束の見積書を、まだお送りできておりません。
単価の確認を進めており、本日の午前中に終わる見込みです。
本日15時までに、メールでお送りいたします。
件名から結びまでの順番、原因の書き方、場面別の文例は、お詫びメールの書き方にまとめています。お詫びの連絡は、会社としての連絡になります。伝える前に、上司へ報告します。
場面によって、「ご迷惑をおかけして」が合わないこともあります。次の表は、分け方の一例です。
| 場面 | 合う言い方(一例) | 理由 |
|---|---|---|
| こちらの誤りや遅れで、相手に不利益が出た | ご迷惑をおかけして、申し訳ございません。 | 「迷惑」の語釈に合う。上の三つを続ける |
| 相手に、作業や手間をかけた | お手数をおかけして、申し訳ございません。 | 不利益というより、手間。何の手間かを言う |
| 苦情を受けたが、原因がまだ分からない | ご不便をおかけし、申し訳ございません。 | 相手が困っていることへのお詫びにとどめ、原因や責任は確認してから伝える |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
手間をかけたときの言い方は「お手数をおかけします」の使い方に、苦情を受けたときのお詫びの範囲の分け方はクレーム対応の基本にあります。
電話・メール・訪問の例と、謝りすぎないための基準
次の例は、すべて説明用の例です。
電話
自分「[自社名]の鈴木です。佐藤様、見積書の件でお電話いたしました。火曜にお送りするお約束でしたのに、まだお送りできておりません。申し訳ございません」
相手「ああ、待っていたんですよ。いつになりますか」
自分「本日の15時までに、メールでお送りいたします。お送りしたあと、届いたかどうかを、お電話で確認させてください」
電話では、名乗りのすぐあとに、何の件かと、お詫びを言います。相手が「いつになりますか」と聞いたら、そこから先は、お詫びではなく答えを言います。
メール
惜しい例:「このたびは誠に申し訳ございません。大変ご迷惑をおかけしておりますこと、深くお詫び申し上げます。今後はこのようなことがないよう努めてまいります。重ねてお詫び申し上げます。」
良い例:「火曜にお送りするお約束の見積書が遅れており、申し訳ございません。本日15時までにお送りいたします。」
惜しい例は、お詫びの言葉が三回出てきます。けれども、何が起きたのか、いつ直るのかが、一つも書かれていません。良い例は、お詫びは一回で、何についてのお詫びかと、次の連絡の時刻が入っています。結びに置く「重ねてお詫び申し上げます」の使いどころは、「重ねてお詫び申し上げます」の使い方にまとめています。
訪問
自分「本日は、お時間をいただきありがとうございます。先日は、納品の数量を間違え、ご迷惑をおかけしました。申し訳ございません」
(頭を下げる。相手の言葉を待つ)
自分「不足していた20個は、昨日お届けしました。今後は、出荷の前に、注文書と数量を二人で確かめます」
訪問してお詫びをするかどうか、誰が行くかは、上司が決めます。対面では、言葉を言い終えてから頭を下げ、相手が話し始めるのを待ちます。
謝りすぎないための基準
「敬語の指針」には、「敬語をたくさん使えば丁寧になるというわけではない。」(指針35ページ)とあります。お詫びの言葉も、数を増やせば気持ちが伝わる、というものではありません。自分で確かめられる基準を、二つ挙げます。
- 何についてのお詫びかを、言えるか。言えないまま「申し訳ございません」と言っているなら、口ぐせになっています。
- お礼に替えられないか。相手が親切で何かをしてくれたときは、お礼のほうが合います。資料を先に送ってくれた相手には、「お手間をおかけして申し訳ございません」より、「早々にお送りいただき、ありがとうございます」です(説明用の例です)。
迷いやすい判断と、言い間違えたあと
判断1:「申し訳ございませんでした」と「申し訳ございません」は、どう使い分ける?
辞書にも指針にも、二つを分ける説明は見当たりません。自分で決めるなら、相手の不利益が、いまも続いているかを基準にできます。見積書をまだ送れていないなら、迷惑は続いているので「申し訳ございません」。訂正も済み、最後にもう一度わびるなら「申し訳ございませんでした」。これは一例で、どちらかが誤りということではありません。
判断2:自分のせいではないことでも、「申し訳ございません」と言う?
分けて考えます。相手が困っていることへのお詫びは、言います。相手と約束をしたのは、自分の会社だからです。一方で、「当社のミスです」「全額お返しします」のような、原因や補償についての言い切りは、確認と上司の判断が済むまで言いません。
判断3:相手から「申し訳ございません」と言われたら、何と返す?
困っていないなら、「ご連絡ありがとうございます。承知いたしました」と受けます(説明用の例です)。困ることがあるなら、黙って受け入れず、「金曜の午前に使う予定でした。木曜のうちに届く方法はありますでしょうか」と、日付を入れて一つ聞きます。
ここからは、言い間違えたあとの動きです。その場の立て直し方と、後の記録をセットで決めておきます。
失敗1:「申し訳ございません」だけをくり返して、電話を切った
その場では:相手は、いつまで待てばよいかを知らないままです。対応と時刻が決まったら、こちらからもう一度連絡します。「先ほどはお時間をいただき、ありがとうございました。お伝えできていなかった点をご連絡します。見積書は、本日15時までにお送りします」(説明用の例です)。
後の記録:お詫びの電話をかける前に、「何が起きたか・いまの対応・次の連絡」の三行を書く、と手順に足します。書けない行があれば、先に上司に相談します。
失敗2:原因を確かめる前に、「こちらのミスです。申し訳ございません」と言った
その場では:すぐ上司に報告します。「A社の佐藤様に、こちらのミスですと言いました。原因の確認の前でした」と、言った言葉のまま伝えます(説明用の例です)。相手への伝え直しが要るかどうかは、上司と決めます。
後の記録:「相手が困っていることへのお詫びと、原因についての言い切りを、分けて言う」と書きます。報告の順番は、営業で失敗したときにまとめています。
今日やることは一つです。お詫びが要る場面を一つ決め、何についてのお詫びかを一文で書き、そのあとに「いまの対応」と「次の連絡の日時」を続けて書いてください。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
お詫びが要る件のメモ(何が・いつ・どうなったか)。相手とのメールや電話の記録。自分の予定表(次の連絡の日時を決めるため)。
記入例を見る(説明用)
何についてのお詫びか=A社の佐藤様へ、火曜にお送りすると約束した見積書を、まだ送れていない。今日は水曜/お詫びか、頼む前の一言か=お詫び。約束の日を過ぎていて、相手はすでに待っている/使う言葉と理由=「申し訳ございません」。約束を守れなかったので、軽く謝る「失礼いたしました」では足りないと考えた/あとに続けること=いまの対応:単価の確認が今日の午前中に終わる。次の連絡:今日の15時までに、見積書をメールで送る。送ったあと、電話で届いたかを確かめる/上司へ確かめること=15時に送れるかを先輩に確認する(未確認)。伝えたあと、メモに「火曜の約束を一日過ぎた。次からは、確認にかかる日数を足して約束する」と書く。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
何についてのお詫びかが一文で書いてあり、そのあとに、いまの対応と次の連絡の日時が続いている。お詫びの言葉が、一つの連絡の中で重なりすぎていない。
うまく進まなかったときは?
何についてのお詫びかが書けなければ、「約束したこと」と「実際に起きたこと」を二行で並べる。使う言葉で迷うなら、相手がすでに困っているかどうかを一行書く。次の連絡の日時が決められなければ、先輩に「A社への見積書が一日遅れています。今日の15時に送ると伝えてよいですか」と聞く。