NUSSI’S SALES NOTEウッシの営業ノート

NOTE 131 · 営業の実践ノート

「重ねてお詫び申し上げます」の意味と使い方:最初のお詫びがあって、結びでもう一度詫びる言葉

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「重ねて」は、辞書では「同じことを繰り返すさま。もう一度。再び。」と説明されています。「重ねてお詫び申し上げます」は、お詫びの文の結びで、「もう一度、お詫びします」と述べる言い方です。もう一度と言うからには、その前に、最初のお詫びが要ります。この記事では、使える条件、置く場所、「重ねてお礼」「重ねてお願い」との使い分け、「改めて」「深く」への言い換えを、辞書の語釈と説明用の例で確かめます。お詫びのメール全体の順番は、別の記事に任せます。

今日できるようになること

お詫びの文面を一通選び、最初のお詫びがどこにあるかを確かめて、結びに「重ねてお詫び申し上げます」を一度だけ置く。

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こんなときに お詫びのメールや手紙の最後を、どの言葉で締めればよいか迷うとき。先輩の文面にある「重ねてお詫び申し上げます」を、意味を知らずに写しているとき。

この順番で進めよう
  1. 1

    最初のお詫びが、文面の前半にあるかを確かめる

  2. 2

    事実と、これからの対応が書いてあるかを確かめる

  3. 3

    結びに「重ねて」を一度だけ置く

  4. 4

    声に出して読み、お詫びの回数を数える

会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。

「重ねてお詫び申し上げます」の意味を、辞書で確かめる

お詫びのメールの最後に、「重ねてお詫び申し上げます」と書く。先輩の文面にあったので、そのまま写している。けれども、「重ねて」が何を重ねているのかは、考えたことがない。そういう人のために、言葉を分けて確かめます。「 」の中は、辞書と資料の文をそのまま写したものです。

「重ねて」は、デジタル大辞泉「重ねて」の1番目に、「同じことを繰り返すさま。もう一度。再び。」とあります。用例は「重ねて注意する」です。同じページに載っている精選版 日本国語大辞典は、1番目の意味を「同じ行為、事実が二度繰り返されるさまを表わす。もう一度。再び。さらに。」と説明しています。

「詫びる」は、デジタル大辞泉「詫びる」に、「自分の非を認めて、相手の許しを請う。あやまる。」とあります。

「お詫び申し上げます」の形は、文化審議会答申「敬語の指針」(平成19年2月2日・文化庁)で確かめられます。指針は、謙譲語Ⅰの一般的な形の主な例に、「お(ご)……申し上げる」を挙げています(指針27ページ)。デジタル大辞泉「申上げる」の2番目には、「「お」や「御」の付いた自分の行為を表す体言に付けて、その行為の対象を敬う。」とあります。詫びる先の相手を立てて述べる形です。

合わせると、「重ねてお詫び申し上げます」は、「もう一度、お詫びします」と、相手を立てて述べる文です。

ここから、使い方の条件が出てきます。「もう一度」と言うには、一度目が要ります。同じ文面の前のほうで、または、その前の電話や訪問で、すでに一度お詫びをしている。そのうえで、結びにもう一度詫びる。それが、この言葉の使い方です。

なお、指針の全文を検索しましたが、「詫び」「おわび」という言葉は出てきませんでした。この記事の使い方の説明は、上の辞書の語釈から言える範囲のものです。

使える条件:最初のお詫びがあること、一度だけ、結びに置くこと

辞書の語釈から言える条件は、一つです。前に、最初のお詫びがあること。そこに、読みやすさのための目安を二つ足します。一通に一度だけ使うこと。結びに置くこと。順に説明します。

条件1:最初のお詫びが無い文では、使わない

惜しい例:「◯月◯日納品分に、数量の不足がありました。不足分は、◯月◯日にお届けします。重ねてお詫び申し上げます。」

良い例:「◯月◯日納品分に、数量の不足がありました。ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。不足分は、◯月◯日(◯)の午前中にお届けします。ご予定に影響を及ぼしましたことを、重ねてお詫び申し上げます。」

どちらも説明用の例です。惜しい例には、最初のお詫びがありません。「重ねて」が、何に重ねているのかが分からない文になっています。読む人によっては、決まり文句を貼っただけに見えます。良い例は、前半に「申し訳ございません」があり、結びがそれに重なっています。

条件2:一通の中で、何度も使わない

「重ねて」は「もう一度」です。二度、三度と書くと、「もう一度」が何度も出てくることになり、言葉の意味と合わなくなります。読む側は、事実と対応を探しているのに、お詫びの言葉ばかりが目に入ります。

お詫びの回数の目安は、お詫びメールの書き方に書いたとおり、最初に一度、結びに短く一度です。「重ねてお詫び申し上げます」は、その結びの一度に当たります。

条件3:置き場所は、事実と対応を書いた後の結び

お詫びのメールは、件名→お詫び→何が起きたか→原因→これからの対応と時期→結び、の順に書きます。くわしい順番と、それぞれに書くことは、お詫びメールの書き方にまとめています。「重ねてお詫び申し上げます」は、最後の「結び」に置く言葉です。

なぜ最後なのか。相手は、お詫びの言葉より先に、何が起きたのかと、これからどうなるのかを知りたいからです。それを読み終えた所で、もう一度お詫びがあると、文面がお詫びで始まり、お詫びで終わります。途中に置くと、対応の説明が、お詫びで途切れます。

場面によって、「重ねて」を使うかどうかが変わります。次の表は一例です。

場面最初のお詫びは、どこにあるか結び(一例)
納期の遅れ・数量の不足など、相手の仕事が止まった文面の前半重ねてお詫び申し上げます
電話でお詫びした後に、メールで内容を残す電話。メールの前半にも一文書く重ねてお詫び申し上げます
お詫びすることが二つある(誤りと、連絡の遅れ)一つ目のお詫びが前半にある◯◯につきましても、重ねてお詫び申し上げます
返信が一日遅れた書き出しの一文付けない。すぐ用件に答える
原因も対応もまだ分からない文面の前半「重ねて」より先に、次に報告する日時を書く
相手から苦情を受けた直後で、事実を確かめていないご不便へのお詫びを先に上司と決める。原因や責任には触れない

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

三つ目の「お詫びすることが二つある」について。精選版の語釈には、「もう一度。再び。」のあとに「さらに」も入っています。数量の不足をお詫びした後で、「ご連絡が遅くなりましたことも、重ねてお詫び申し上げます」と、別のことをもう一度詫びます。この場合も、一つ目のお詫びが前にあることが条件です。

最後の行は、苦情を受けた側の話です。事実が分からないうちは、お詫びの範囲を分けて考えます。分け方は、クレーム対応の基本の「お詫びの範囲を分ける」にまとめています。

「重ねてお礼申し上げます」「重ねてお願い申し上げます」との使い分け

「重ねて」は、お詫びだけの言葉ではありません。辞書の用例も「重ねて注意する」です。お礼にも、お願いにも付きます。どれも、前に一度目があることが条件です。

言い方前に要るもの合う場面(一例)取り違えると
重ねてお詫び申し上げます最初のお詫び納期の遅れ、誤りの訂正の結び—
重ねてお礼申し上げます最初のお礼お礼状やお礼メールの結び。訪問のお礼を述べた後で、資料をいただいたお礼を足すときお詫びの文面に書くと、何へのお礼かが分からない
重ねてお願い申し上げます最初のお願い依頼のメールの結び。期限のあるお願いを、最後にもう一度伝えるときお詫びの直後に書くと、詫びた側が念を押しているように読める

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

お詫びの文面で迷うのは、相手に何かをしてもらう必要があるときです。誤った見積書を破棄してもらう、訂正した版に差し替えてもらう、などです。お詫びとお願いが、一通に入ります。

惜しい例:「先にお送りした見積書は、破棄をお願いいたします。重ねてお願い申し上げます。」

良い例:「お手数をおかけしますが、先にお送りした見積書は、破棄していただけますでしょうか。このたびは、ご迷惑をおかけしましたことを、重ねてお詫び申し上げます。」

どちらも説明用の例です。惜しい例は、誤ったのがこちらなのに、結びが念押しのお願いになっています。相手は、手間をかけさせられたうえに、念を押された形です。良い例は、お願いを一度だけ書き、結びをお詫びにしています。こちらの誤りが元の文面は、結びをお詫びにする。これを基準にします。

お礼のメールの結びは商談後のお礼メール、お礼の手紙はお礼状の書き方にまとめています。お願いを強く伝える「何卒」の使い方は、「何卒」の意味と使い方にあります。

言い換え:改めて・深く・重ね重ね

結びのお詫びには、ほかの形もあります。辞書の語釈を並べると、言っている中身が違うことが分かります。語釈は、デジタル大辞泉からの引用です。

言い方元の言葉と語釈言っていること合う場面(一例)
重ねてお詫び申し上げます重ねての1番目:「同じことを繰り返すさま。もう一度。再び。」もう一度、詫びる最初のお詫びがある文面の結び
改めてお詫び申し上げます改めての1番目:「再び新しく行うさま。もう一度。別の機会に。」もう一度、あるいは、別の機会に詫びる電話で詫びた後のメールや手紙。後日の訪問を伝えるとき
深くお詫び申し上げます深いの2番目:「物事の程度や分量、また、かかわりなどが多い。」お詫びの程度が大きい最初のお詫び。結びにも使える
重ね重ねお詫び申し上げます重ね重ねの2番目:「念入りに相手に頼み込むさま。自分の心情の深さを相手に伝えようとするさま。くれぐれも。重々。」気持ちの深さを伝える会社の文例にこの形があるとき

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

「改めて」の語釈には、「別の機会に」が入っています。辞書の用例も「後日改めて書面を出します」です。このため、「改めて」は、場を変えてもう一度、というときに合います。電話でお詫びした後のメールで「先ほどはお電話で失礼いたしました。改めてお詫び申し上げます」と書く。メールの結びで「後日、改めてお詫びに伺います」と書く。こうした使い方です(説明用の例です)。訪問するかどうかは、自分で決めず、上司と決めてから書きます。

「深く」は、回数ではなく、程度を表します。そのため、最初のお詫びにも使えます。「重ねて」は、最初のお詫びには使えません。ここが違いです。

「重ね重ね」は、辞書の1番目に「同じようなことが繰り返されるさま。たびたび。」とあり、用例に「重ね重ねご迷惑をおかけしました」が挙がっています。2番目の用例は「重ね重ねおわび申し上げます」です。「たびたび」という意味と、気持ちの深さを伝える意味の、二つがある言葉です。どちらの意味で読まれるかは、文面によります。迷ったら、意味が一つに決まる「重ねて」か「深く」を選ぶと、書きやすくなります。

どれが最も丁寧か、どの場面でどれを使うべきかを決めた説明は、上の辞書にも指針にも見当たりませんでした。言葉の強さは、相手にかけた迷惑の大きさに合わせます。小さな行き違いに強い言葉を使うと、相手は、かえって身構えます。迷ったら、文面を上司に見せて決めます。

メールと詫び状の例

次の例は、すべて説明用の例です。[ ]と◯は、自分の件に置き換えます。どちらも、上司に報告し、内容を決めてから送る前提です。

メール:納品した数量が足りなかった

件名:【お詫び】◯月◯日納品分の数量不足について([自社名] [氏名])

A社 佐藤様

[自社名]の[氏名]です。先ほどは、お電話でお時間をいただき、ありがとうございました。

◯月◯日にお届けした[商品名]の数量が、ご注文より不足しておりました。ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。

ご注文の数量:◯箱 お届けした数量:◯箱

出荷の際に、数量の確かめが漏れておりました。不足分の◯箱は、◯月◯日(◯)の午前中にお届けいたします。

今後は、出荷の前に、注文書と数量を二人で確かめます。

ご予定に影響を及ぼしましたことを、重ねてお詫び申し上げます。

[署名]

最初のお詫びは4行目、結びのお詫びは最後の行です。その間に、事実、原因、対応と時期が入っています。結びは、最初のお詫びと同じ言葉をくり返さず、「ご予定に影響を及ぼしましたことを」と、相手に起きたことを一つ添えています。何について重ねて詫びているのかが、はっきりします。

詫び状:あらたまった手紙で送る

謹啓 このたびは、◯月◯日にお届けした[商品名]の数量に不足があり、多大なご迷惑をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。

不足分は、◯月◯日にお届けいたしました。経過と今後の対応は、別紙のとおりご報告いたします。

今後は、出荷の前の確認を見直し、同じことをくり返さないよう努めてまいります。

このたびのことを、重ねてお詫び申し上げます。

(右端)敬白

手紙でも、並びは同じです。最初に「深くお詫び申し上げます」があり、結びが「重ねて」です。最初のお詫びに「深く」、結びに「重ねて」と、言葉を分けています。

詫び状を出すかどうか、誰の名前で出すかは、会社が決めることです。新人が自分の判断で出す文書ではありません。「謹啓」と「敬白」の組み合わせや、書く位置は、拝啓と敬具の使い方にまとめています。経過をまとめる別紙は顛末書の書き方を見てください。

迷いやすい判断と、間違えたあと

判断1:小さな誤りにも、「重ねてお詫び申し上げます」を付ける?

基準は、相手の仕事が止まったか、相手に手間が出たかです。返信が一日遅れた、誤字があった、という程度なら、書き出しの「お返事が遅くなり、申し訳ございません」の一度で足ります。すぐ用件に答えるほうが、相手の助けになります。

毎回付けていると、大きな迷惑をかけたときに、使う言葉がなくなります。

判断2:電話でお詫びした後のメールで、いきなり「重ねて」と書いてよい?

電話のお詫びが一度目なので、言葉の意味としては合っています。ただ、メールは、電話に出ていない人にも回ります。相手の上司が読んだとき、最初のお詫びが文面にないと、何に重ねているのかが分かりません。

基準は、メールだけを読んだ人にも通じるかどうかです。メールの前半にも、お詫びを一文書きます。そのうえで、結びに「重ねて」を置きます。前の章のメールの例が、その形です。

判断3:「申し訳ございません」と「お詫び申し上げます」は、どちらを使う?

どちらが重いかを決めた公的な説明は、見当たりませんでした。会社の文例と、上司の指示に合わせます。この記事の例は、最初を「申し訳ございません」、結びを「お詫び申し上げます」にして、同じ言葉が続かないようにしています。「申し訳ございません」という言葉そのものは、「申し訳ございません」の記事で扱っています。

間違えたあと1:最初のお詫びが無いまま、「重ねて」と書いて送った

その場では:言葉の使い方だけを直すために、送り直すことはしません。相手にとって大事なのは、事実と対応です。その二つが書けているかを読み返します。抜けていたら、上司に報告したうえで、足りない内容を送ります。

後の記録:「結びを、過去のメールから写した。次からは、最初のお詫びがどこにあるかを指でさしてから、結びを書く」と残します(説明用の例です)。

間違えたあと2:読み返したら、お詫びの言葉が五回あった

その場では:送る前なら、数を減らします。残すのは、最初の一度と、結びの一度です。途中の「申し訳ございませんが」は、「お手数をおかけしますが」など、お願いの前置きに置き換えられることがあります。前置きの言葉は、「お手数をおかけしますが」の意味と使い方にまとめています。

後の記録:「送る前に、お詫びの言葉に印を付けて数える」と、点検の手順を一行足します。

今日やることは一つです。お詫びの文面を一通選び、最初のお詫びがどこにあるかを確かめて、結びに「重ねてお詫び申し上げます」を一度だけ置いてください。送る前に、上司に見てもらいます。

YOUR TURN

自分の一件で、書いてみよう。

手元に用意するもの
これから送る(または、過去に送った)お詫びのメールか手紙の文面。上司に見てもらう時間。

記入例を見る(説明用)

何についてのお詫びか(確認できた事実)=◯月◯日に届けた[商品名]が、注文より◯箱少なかった。出荷のときの数量の確かめが漏れていた(上司と確認済み)/最初のお詫びの一文(文面の前半に置く)=「◯月◯日にお届けした[商品名]の数量が、ご注文より不足しておりました。ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。」/これからの対応と時期=不足分を◯月◯日(◯)の午前中に届ける。出荷の前に、注文書と数量を二人で確かめる/結びの一文=「ご予定に影響を及ぼしましたことを、重ねてお詫び申し上げます。」/文面にお詫びの言葉が何回出てくるか、と直した所=数えたら4回あった。途中の「申し訳ございませんが」と「お詫びのしようもございません」を削り、最初と結びの2回にした。送る前に上司に見てもらう。

入力は自動保存されません。ページを移動する前に保存してください。保存した内容は他の人に自動送信されません。

CHECK

ここまでできたら、次へ。

文面の前半に、何についてのお詫びかが分かる最初のお詫びがあり、事実と対応が書いてあり、結びに「重ねてお詫び申し上げます」が一度だけ置いてある。

うまく進まなかったときは?

最初のお詫びが見つからなければ、結びの「重ねて」を外し、前半にお詫びの一文を足す。対応と時期が書けなければ、上司に「いつまでに何をすると書いてよいですか」と聞く。どの言葉で結ぶか決められなければ、文面を上司に見せて、「結びはこの形でよいでしょうか」と聞く。

NEXT NOTE

次に読むなら

お詫びメールの順番を確かめる苦情を受けたときの動き方を読むお詫びの手紙の頭語と結語を確かめる