NOTE 191 · 営業の実践ノート
入社の挨拶:転職した初日の、朝礼のひと言・席の周り・社内メール・客先への文例
公開:2026年10月4日
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転職して入った初日は、朝礼でのひと言、席の周りへの声かけ、社内メール、そして客先への最初のあいさつと、あいさつの場面が続きます。どの場面でも、伝えるのは、名前、配属と担当、「よろしくお願いします」の3つです。この記事では、場面ごとの文例と、前の日までの段取りをまとめます。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 転職先への入社日が近づき、初日に何をどう言えばよいかが決まっていないとき。
- 1
入社の案内を読み、あいさつの場面と、分からないことを書き出す
- 2
朝礼のひと言を、名前・配属と担当・よろしく、の3文で書く
- 3
席の周りへの声かけと、社内メールの文を用意する
- 4
客先へのあいさつは、上司や前任と順番を決めてから行う
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
入社の挨拶とは:これから一緒に働く人へ、名前と担当を知らせる
入社は、辞書に「会社にはいり、その社員となること。」(デジタル大辞泉「入社」)とあります。挨拶には、いくつかの意味があり、その一つは「相手に対して敬意や謝意などを表すこと。また、その動作や言葉。」(デジタル大辞泉「挨拶」)です。入社の挨拶は、これから一緒に働く人に、自分の名前と担当を知らせ、「お世話になります」という気持ちを伝えるものです。
転職して入る人は、一人で入ることが多く、まとまったあいさつの場が用意されないこともあります。そのため、場面ごとに、自分から短く伝えることになります。初日にありそうな場面は、次の4つです。
- 朝礼などで、部署の全員に。ひと言の時間をもらって話します。
- 席の周りの人に、一人ずつ。声をかけて名乗ります。
- 社内メールで、会えなかった人に。送る範囲は、上司に確かめます。
- 客先に。初日とは限りません。上司や前任と、順番を決めてから行います。
あいさつが大事な理由は、気持ちの問題だけではありません。周りの人は、だれが、何の担当で来たのかが分からないと、仕事を頼むことも、教えることもできません。名前と担当を先に知らせると、相手は声をかけやすくなります。
異動で部署が替わるときのあいさつは異動の挨拶に、取引先や社内での自己紹介の型は簡単な自己紹介の例文にまとめています。この記事は、転職して入った初日の場面を扱います。
前の日までに確かめること
初日は、手続きや説明が続き、落ち着いて考える時間が取りにくい日です。その場で「ひと言どうぞ」と言われて慌てないように、前の日までに次のことを確かめます。
- 集まる時刻と場所、最初に会う人。入社の案内を読み直します。
- 朝礼や、あいさつの時間があるか。朝礼は、辞書に「学校や会社などで、始業前に全員が集まってあいさつ・連絡などを行う朝の行事。」(デジタル大辞泉「朝礼」)とあります。朝礼の無い会社もあります。
- 配属先と、担当する仕事。ひと言の中で言うので、正しい呼び名を確かめます。
- 名刺が、いつ出来るか。客先へのあいさつの時期に関わります。
案内に書いていないことは、人事の担当者に聞いて構いません。聞き方を比べます。どちらも説明用の例です。
惜しい聞き方:「初日は、何をすればよいでしょうか」
良い聞き方:「〇月〇日に入社いたします、山田です。当日の朝に、部署の皆さまへごあいさつをする時間はありますでしょうか。ある場合は、短いひと言を用意してまいります」
惜しい聞き方は、相手が、一日の流れを一から説明することになります。良い聞き方は、聞きたいことが一つで、答えが「あります」「ありません」で済みます。
もう一つ、前の日までに決めておくことがあります。前の会社のことを、どこまで話すかです。前の会社のお客様の名前や、売上などの数字は、あいさつの中では言いません。前の会社の外に出してよい情報かどうかを、自分だけでは決められないからです。「前の職場でも、営業をしておりました」のように、職種までにしておきます(説明用の例です)。
朝礼でのひと言:組み立てと例
朝礼でのひと言は、次の3文で組み立てます。
- 名前。「本日入社しました、〇〇と申します」
- 配属と担当。「〇〇部で、〇〇を担当いたします」
- よろしくお願いします。「どうぞよろしくお願いいたします」
時間をもらえるときは、2と3の間に、前の仕事をひと言と、これからの姿勢を一文ずつ足します。長さに決まりはありませんが、朝礼は連絡のための時間でもあります。この記事では、3文から5文で用意することをすすめます。短ければ、聞く人は名前と担当を覚えやすくなります。
惜しい例:「山田です。前の会社では10年営業をやっていまして、大きなお客様も担当し、表彰も受けてきました。前の会社のやり方では、訪問の件数を毎日数えていましたので、こちらでもそうしたやり方を広めていければと思っています……」
良い例(3文):「おはようございます。本日入社しました、山田太郎と申します。営業部で、法人のお客様を担当いたします。どうぞよろしくお願いいたします」
良い例(5文):「おはようございます。本日入社しました、山田太郎と申します。営業部で、法人のお客様を担当いたします。前の職場でも営業をしておりましたが、こちらの商品と仕事の進め方は、一から教わるつもりでおります。分からないことをお聞きすることが多いと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします」
3つとも説明用の例です。惜しい例は、実績の話が長く、前の会社のやり方を持ち込む話から始めています。聞く人は、この人に何を教えればよいのかが分かりません。良い例は、名前と担当が先にあり、「教わる」「聞く」という、これからの動きを伝えています。
「申します」「いたします」は、どんな敬語か
文化審議会答申「敬語の指針」は、「申す」「いたす」「参る」を、謙譲語Ⅱ(丁重語)として説明しています。該当する語の例は「参る,申す,いたす,おる」で、働きは「自分側の行為・ものごとなどを,話や文章の相手に対して丁重に述べるもの。」です(18ページ)。自分の名前や、自分がすることを、聞いている人に対して改まって述べる言い方です。朝礼のように、大勢の前で話す場面に合います。
同じ指針は、あいさつの言葉遣いの例として、「初めてお目に掛かります。○○と申します。」を挙げています(53ページ)。初めて会う人への名乗りは、「〇〇と申します」の形で足ります。
席の周りへの声かけと、社内メール
席の周りへの声かけ
朝礼であいさつをしても、席の近い人には、もう一度、一人ずつ声をかけます。朝礼では、相手の名前を聞けていないからです。相手が電話中や、急ぎの作業中のときは待ち、手が空いたときに声をかけます。
自分:「お仕事中に失礼します。本日入社しました、山田です。隣の席でお世話になります。よろしくお願いいたします」
相手:「鈴木です。よろしくお願いします」
自分:「鈴木さん、よろしくお願いいたします。一つ教えてください。電話が鳴ったときは、私も取ってよいでしょうか」
やり取りは説明用の例です。相手の名前を聞いたら、くり返して言い、その場でメモします。座席の並びを書いて、名前を入れておくと、次の日に呼びかけるときに困りません。聞くことは、今日から要ることにしぼります。電話の取り方、昼の休みの時間、質問をしてよい時間帯などです。
社内メール
会えなかった人や、ほかの部署の人には、メールであいさつを送ることがあります。送る前に、送ってよいか、宛先はどこまでかを、上司に聞きます。大勢にあてたメールの送り方に、決まりがある会社があるからです。上司が紹介のメールを送ってくれる会社もあります。
件名:入社のごあいさつ(営業部 山田太郎)
営業部の皆さま
お疲れさまです。本日、営業部に入社しました山田太郎と申します。
法人のお客様を担当いたします。前の職場でも営業をしておりましたが、こちらの仕事は一から教わるつもりでおります。
席は、窓側の列の、鈴木さんの隣です。お気づきの点がありましたら、お声がけください。
どうぞよろしくお願いいたします。
営業部 山田太郎(内線 〇〇〇)
これも説明用の文例です。件名に、何のメールか・だれからかを書いています。本文は、名前、担当、席の場所、連絡先の順です。席の場所を書くのは、相手が声をかけに来やすくするためです。惜しい例は、件名が「ごあいさつ」だけのメールです。相手は、開くまで、だれからの何のメールかが分かりません。
客先への最初のあいさつ
客先へのあいさつは、社内とは進め方が違います。自分一人で、先に連絡しません。お客様から見ると、知らない人から突然「担当になりました」と連絡が来ることになり、前の担当者との約束がどうなるのかが分からないからです。
順番は、上司や前任と相談して決めます。一例は、次のとおりです。
- 前任か上司が、担当が替わることを先に伝える。
- 前任か上司と一緒に、訪問する。名刺を渡して名乗ります。
- 訪問のあと、自分からメールを送る。名前と連絡先が、相手の手元に残ります。
訪問して、口頭で言う例:「このたび御社を担当いたします、A社の山田と申します。今月から、鈴木の後任として伺います。これまでの経緯は、鈴木から引き継いでおります。どうぞよろしくお願いいたします」
説明用の例です。ここでは、自分の会社の人を「鈴木」と呼んでいます。文化審議会答申「敬語の指針」は、取引先の社員に自分の会社の部長のことを話す場面について、名字だけで言うのは自分側の人物として扱う表現であり、部長「を呼び捨てにすることとは全く異なる。」と説明しています(44ページ)。お客様が知りたいのは、「これまでの話が、引き継がれているか」です。引き継ぎを受けたことを、ひと言入れます。
前任と後任それぞれの進め方は担当変更の挨拶に、名刺の渡し方は名刺の渡し方に、訪問のあとに送るメールの書き方ははじめましてのビジネスメールにまとめています。
名刺がまだ出来ていないときは、訪問の前に上司に伝えます。その場では、「名刺が出来上がっておらず、申し訳ございません。出来しだい、お渡しいたします」と言い、相手の名刺をいただいて、あとでメールで連絡先を送ります(説明用の例です)。
場面で変わるところ・迷いやすい判断・失敗したあと
名前・配属と担当・よろしく、の3つは同じです。場面によって、伝え方が変わります。次の表は一例です。
| 場面 | 進め方(一例) |
|---|---|
| 朝礼が無い | 上司に「皆さまへ、ごあいさつをしたいのですが、いつがよいでしょうか」と聞く。一人ずつ席を回ることもある |
| 初日が、自宅からのオンライン | 会議の画面に出す名前を、名字と名前にする。ひと言は3文で。会えなかった人には、上司に聞いてからメールを送る |
| 同じ日に入社する人が、ほかにもいる | 一人ずつが短く言う。ほかの人が言ったことを、くり返さない |
| 月末など、周りが忙しい日 | ひと言は3文にする。席の周りへの声かけは、相手の手が空いたときにする |
| ほかの拠点や、ほかの部署の人 | 上司と一緒に回るか、メールにするかを、上司に聞く |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
判断1:前の会社の名前や実績は、言ってよい?
基準は、聞く人が、これからの仕事に使える情報かです。「営業をしておりました」「法人のお客様を担当しておりました」までは、相手が仕事を教えるときの手がかりになります。前の会社のお客様の名前や数字は、言いません。会社の名前を言うかどうかは、上司に「前の職場の名前は、お伝えしてよいでしょうか」と聞いてから決めます。
判断2:「入社させていただきました」と言ってよい?
「させていただく」について、文化審議会答申「敬語の指針」は、基本的には、自分側が行うことを「ア)相手側又は第三者の許可を受けて行い,イ)そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合に使われる。」と説明しています(40ページ)。そのうえで、条件をどの程度満たすかによって、適切な場合と、余り適切だとは言えない場合がある、としています。
「入社させていただきました」が誤りだという決まりは、見当たりません。ただ、「本日入社しました」「本日入社いたしました」と言えば、短く、同じことが伝わります。迷うなら、短いほうを選びます。
判断3:お菓子などを、持って行ったほうがよい?
公的な決まりは、見当たりません。会社によって、習慣が違います。気になるときは、入社の前に、人事の担当者に「初日に、用意しておく物はありますか」と聞きます。持って行かなかったことを、あいさつの言葉で補う必要はありません。名前と担当を、はっきり伝えることのほうが先です。
判断4:客先に、「転職してきたばかりです」と言う?
基準は、聞かれたら、事実を短く答えることです。自分から不安を並べると、お客様は「この人に頼んで大丈夫か」と心配になります。分からないことを聞かれたら、「確認して、〇日までにお返事します」と、期限を付けて答えます(説明用の例です)。入ったばかりであることより、約束を守ることのほうが、相手に伝わります。
失敗したあと
名前や部署を、言い間違えた・言葉が出なくなった:その場で、「失礼しました。営業部の山田です」と、正しい言い方で言い直します。言い訳は足しません。朝礼のあとで、ひと言を紙に書き直し、もう一度声に出しておきます。次に名乗る場面は、すぐに来るからです。
あいさつをしそびれた人がいた:気づいた日のうちに、または次の日の朝に、「ごあいさつが遅れました。昨日入社しました山田です」と声をかけます(説明用の例です)。遅れた理由は、長く説明しません。
メールの宛先や、相手の名前を間違えた:気づいた時点で上司に伝え、直したものを送り直すかどうかを相談します。あとで同じことをしないよう、あいさつをした人と、まだの人を、座席のメモに印で書き分けておきます。
今日やることは一つです。初日のあいさつの場面を書き出し、朝礼で言うひと言を3文で書いて、声に出してください。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
入社の案内(メールや書類)、配属先と担当が分かるもの、メモ帳と筆記用具。
記入例を見る(説明用)
初日のあいさつの場面=9時の朝礼で、営業部の全員に。そのあと、席の周りの4人に一人ずつ。午後、部長と一緒に、ほかの部署へ。朝礼でひと言の時間があるかは未確認(前の日に、人事の佐藤様へメールで聞く)/朝礼のひと言=「おはようございます。本日入社しました、山田太郎と申します。営業部で、法人のお客様を担当いたします。どうぞよろしくお願いいたします」/席の周りの人に聞くこと=電話が鳴ったときの取り方。昼の休みの時間。質問をしてよい時間帯/社内メールを送る範囲と、確かめる相手=送る範囲は自分で決めない。課長に「部の方へ、あいさつのメールを送ってよいでしょうか。宛先は、部の全員でよいでしょうか」と聞く/客先へのあいさつの順番=前任の鈴木さんから、お客様へ先に連絡してもらう。そのあと、来週、鈴木さんと一緒に訪問する。自分からのメールは、訪問のあとに送る。(名前と日時は説明用の例)
CHECK
ここまでできたら、次へ。
初日のあいさつの場面が書き出してあり、朝礼のひと言が3文で書けていて、声に出して言えましたか。客先へのあいさつは、だれと・いつ行うかを、上司に確かめてから進めます。
うまく進まなかったときは?
場面が分からないときは、人事の担当者か上司に、「初日に、ごあいさつをする場面はありますか」と聞きます。ひと言が書けないときは、名前と「よろしくお願いいたします」の2文から始め、配属と担当を間に足します。