NOTE 49 · 営業の実践ノート
見積書の書き方:項目の意味と、初めて作るときの手順
公開:2026年10月3日/更新:2026年10月4日
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見積書は、取引を始める前に、金額や条件を相手に示す書類です。書き方は、まず自分の会社の様式(決まった書式)に合わせます。そのうえで、宛名・件名・品名・数量・単価・合計・有効期限・納期・支払条件といった項目の意味を知り、「様式と承認の流れを確かめる→条件を確認する→下書きする→計算を確かめる→承認をもらう→送る」の順で作ります。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 初めて見積書を作ることになり、どの欄に何を書けばよいか分からないとき。
- 1
会社の様式と、承認の流れを確かめる
- 2
品名・数量・単価・納期などの条件を、先輩に確認する
- 3
依頼の記録を見ながら下書きし、計算を確かめる
- 4
承認をもらい、送る前の確認へ進む
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
見積書とは:取引の前に、金額と条件を示す書類
見積書(みつもりしょ)とは、取引を始める前に、「何を・いくつ・いくらで・どんな条件で」出せるかを相手に示す書類です。相手は見積書を見て、頼むかどうかを考えたり、ほかの会社と比べたりします。
初めて作るときは、欄の多い様式を前にして、手が止まりがちです。前に誰かが作った見積書を写し、数字だけ入れ替えて出す。その結果、相手から「この有効期限は、どういう意味ですか」と聞かれて答えられない、ということが起こります。
見積書は、自分がいない場でも読まれます。相手の担当者が、上司に見せて説明することもあります。だから、書いた本人がそれぞれの欄の意味を説明できることが大事です。
この記事では、見積書によく載っている項目の意味と、初めて作るときの手順を説明します。作った見積書を送る前の見直しと、送るときの文面は、見積書を送る前に確認する7項目にまとめています。
見積書の様式は、会社ごとに違います。この記事の項目は、よく見られる例です。自分の会社の様式と決まりを先に確かめ、そちらに合わせてください。
見積書によく載っている項目と、その意味
次の表は、見積書によく載っている項目の例です。会社の様式によって、欄の名前や順番が違ったり、載っていない項目があったりします。
| 項目 | 意味 | 書くときに確かめること |
|---|---|---|
| 宛名 | 見積書を出す相手。会社名、部署、担当者名 | 名刺やメールの署名と、一文字ずつ見比べる |
| 発行日 | 見積書を出す日 | 作った日ではなく、相手に出す日にするか。会社の決まりを聞く |
| 見積番号 | 会社が見積書を管理するための番号 | 番号の付け方。様式やシステムが自動で付けることもある |
| 件名 | 何についての見積かを一行で表したもの | 相手が依頼のときに使った言葉と合っているか |
| 品名 | 売る商品や、行う作業の名前 | 型番や仕様。依頼の内容と同じか |
| 数量 | いくつ出すか。個、箱、台、月などの単位を付ける | 単位。「10個」と「10箱」のような取り違えがないか |
| 単価 | 一つあたりの金額 | 価格表か、先輩に確かめた金額か。自分で決めない |
| 金額 | 単価に数量をかけた、その行の金額 | 計算し直して合っているか |
| 小計 | 各行の金額を足したもの | 足す行に、もれがないか |
| 消費税 | 小計にかかる消費税の額 | 表示のしかたは、会社の様式と経理の担当に確かめる |
| 合計 | 相手が支払う金額の合計 | 小計と消費税を足した数字と合っているか |
| 有効期限 | この金額と条件で出せる期限 | 会社で決まった期間があるか |
| 納期 | 商品を届ける日や、作業を終える日 | 在庫や作業の予定を、担当に確かめた日か |
| 支払条件 | いつ、どの方法で支払ってもらうか | 会社が認めている条件か |
| 発行者 | 見積書を出す自分の会社の名前、住所、連絡先、担当者名 | 押印が要るかどうかなど、会社の決まり |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
項目は多く見えますが、役目で分けると4つです。誰に出すか(宛名・件名)、何をいくらで出すか(品名・数量・単価・金額・小計・消費税・合計)、どんな条件か(有効期限・納期・支払条件)、誰が出したか(発行日・見積番号・発行者)です。
金額の欄は、上から順につながっている
単価に数量をかけたものが、その行の金額です。各行の金額を足したものが小計で、そこに消費税を足したものが合計になります。上の欄を一つ直すと、下の欄がすべて変わります。
消費税の書き方(税込か税抜か、税率ごとに分けるかなど)は、ここでは説明しません。税の表示は、会社の様式と経理の担当に確かめてください。様式に欄があれば、その欄のとおりに入れます。
条件の欄は、相手との約束になる
有効期限は、「この金額と条件で出せるのは、いつまでか」を示します。期限が書かれていないと、時間がたってから「あのときの金額でお願いします」と言われたときに、話がすれ違うことがあります。
納期と支払条件も、相手が社内で検討するときの材料になります。どれも、自分の考えで書く欄ではありません。会社が認めた内容を、確かめてから書きます。
備考の欄
様式に備考の欄があれば、金額や条件の前提を書きます。たとえば「設置作業は含みません」「送料は別途」などです(説明用の例です)。何を書くかは、送る前の確認の「対応範囲」と合わせて決めます。
初めて作るときの6つの手順
見積書は、様式を開いて上から埋める前に、確かめることがあります。順番は次のとおりです。
- 会社の様式と、承認の流れを確かめる。どの様式(ファイルやシステム)で作るか、相手に出す前に誰の確認が要るか、見積番号はどう付けるかを、先輩に聞きます。自己流の様式で作ると、作り直しになります。承認を通さずに出すと、会社が認めていない金額が相手の手元に残ります。
- 条件を先輩に確認する。品名、数量、単価、納期、有効期限、支払条件を、一つずつ確かめます。単価は自分で決めません。価格表があればそれを見て、載っていないものは先輩に聞きます。
- 依頼の記録を見ながら、下書きする。相手からのメールや商談メモを横に置き、様式の上から順に入れます。分からない欄は、想像で埋めずに「確認中」と自分用のメモを残します。想像で入れた数字は、あとで自分でも見分けがつかなくなるからです。
- 計算を確かめる。単価×数量、小計、合計を、電卓で計算し直します。表計算ソフトの様式でも、行を足したり消したりしたときに、合計の式がその行を含んでいないことがあります。
- 承認をもらう。下書きと、相手からの依頼の記録を、一緒に見せます。記録があると、確認する人は「頼まれた内容と合っているか」まで見られます。
- 送る前の確認をして、送る。宛名、対応範囲、版などを見直します。確認の項目は見積書を送る前に確認する7項目に、仕事中にすぐ使える形は見積提出前チェックにあります。
手順1と2を飛ばして下書きから始めると、手順5で「様式が違う」「この単価は誰に聞いたの」と戻されます。先に確かめるほうが、結果として早く出せます。
手順4の計算は、画面の数字を目で追うだけでなく、手元で計算し直すと、違いに気づきやすくなります。
場面で変わるところ
手順の骨組みは同じですが、場面によって、先にやることが変わります。次の表は一例です。会社に決まりがあれば、そちらを優先してください。
| 場面 | 気をつける所 | 進め方(一例) |
|---|---|---|
| 口頭で「だいたい、いくら」と聞かれた | その場で数字を作らない | 「条件を確認して、見積書でお伝えします」と答え、いつまでに送れるかを伝える |
| 相見積もりだと言われた | ほかの会社と比べやすい形にする | 相手が示した数量・仕様・提出の期限に合わせる。値引きは自分で決めない |
| 条件がまだ決まっていない | 決まっていないことを、決まったように書かない | 何が未定かを書き出し、未定のまま出してよいかを先輩に聞く |
| 数量や条件が変わり、作り直す | 前の見積書と区別がつくようにする | どこを変えたかを書き出し、番号や日付の付け方を先輩に聞く |
| 急ぎで頼まれた | 承認にかかる時間を先に確かめる | 相手に「いつまでに必要か」を聞き、先輩に承認の時間を聞いてから、出せる日を答える |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
相見積もりのとき
相見積もり(あいみつもり)は、相手が複数の会社から見積を取って比べることです。相手は、同じ条件で並べて比べたいと考えています。数量や仕様を自分の都合で変えると、比べられない見積になります。
相手から条件の指定があれば、その条件のとおりに作ります。別の案も出したいときは、指定どおりの見積とは別に用意してよいかを、先輩に相談します。
作り直すとき
数量が変わった、作業を足した、というときは、見積書を作り直します。前の見積書と新しい見積書が相手の手元に両方残るので、どちらが新しいかが分かるようにします。
見積番号を新しくするのか、同じ番号に版を付けるのか、日付をどうするかは、会社の決まりに合わせます。送るときは、「数量を2台から3台に変更しました」のように、変えた所を一文で伝えます(説明用の例です)。
条件がまだ決まっていないとき
納期や作業の範囲が決まらないまま、見積を頼まれることがあります。未定のまま出してよいかどうかは、会社の方針によります。出す場合の書き方は、送る前の確認の納期の章を見てください。
言い方の例:良い言い方と惜しい言い方
見積書を作る途中では、先輩にも、相手にも、聞くことが出てきます。次の例は、すべて説明用です。社名、名前、金額は例です。
先輩に条件を聞く
惜しい言い方:「見積書って、どう書けばいいですか」
良い言い方:「A社の佐藤様から、本体2台の見積を頼まれました。様式は共有フォルダのものを使います。単価は価格表で確かめました。納期と有効期限の欄が分からないので、どなたに確かめればよいか教えてください」
惜しい言い方は、先輩が何から説明すればよいか分かりません。良い言い方は、誰の・何の見積か、自分で確かめた所、分からない欄の順に伝えています。先輩は、分からない欄だけ答えれば済みます。
相手に条件を確かめる
惜しい言い方:「では、とりあえず見積をお出ししますね」
良い言い方:「お見積りを作るにあたり、3点だけ確認させてください。数量は2台でよろしいでしょうか。納品の場所は本社でしょうか。ご希望の時期はございますか」
「とりあえず」で出すと、条件を想像で埋めることになります。良い言い方は、聞くことの数を先に伝えています。相手は、どれだけ答えればよいかが分かります。
その場で金額を聞かれた
惜しい言い方:「たぶん、10万円くらいだと思います」
良い言い方:「正確な金額は、条件を確認して見積書でお伝えします。◯月◯日(水)までにお送りします」
口頭で言った数字は、相手の記憶に残ります。あとで見積書の金額が違うと、「前に聞いた金額と違う」という話になります。おおよその金額を口頭で伝えてよいかどうかは、会社によって方針が違うので、先輩に確かめてください。
迷いやすい判断と、失敗のあと
判断1:分からない欄は、空けたままでよい?
基準は、その欄が、相手の検討に関わるかです。有効期限、納期、支払条件は、相手が頼むかどうかを考える材料になります。空けたまま出さず、確かめてから書きます。
様式にあっても、今回の取引では使わない欄もあります。その欄を空けてよいか、消してよいかは、「この欄は今回使わないと思うのですが、空欄のままでよいですか」と先輩に聞きます。
判断2:「一式」と書いてよい?
「一式」は、いくつかの品や作業をまとめて一行にする書き方です。基準は、何が含まれているかを、相手が見積書だけで分かるかです。分からないなら、内訳を分けて書くか、含むものを備考に書きます。
内訳をどこまで出すかは、会社の決まりがあることも多いので、過去の見積書を見るか、先輩に聞きます。
判断3:納期と有効期限は、自分で決めてよい?
決めません。ただし、決めてもらうための材料は、自分で集められます。相手の希望の日を聞く、在庫や作業の予定を誰が知っているかを調べる、の2つです。
そのうえで、「A社は来月上旬の納品を希望されています。この時期で見積に書いてよいか、どなたに確かめればよいですか」と聞きます(説明用の例です)。希望の日と、確かめた日は、別のものとしてメモします。
判断4:値引きを頼まれたら?
その場で答えません。自分でできるのは、相手の希望を正確に聞き取ることです。いくらなら検討できるのか、数量や時期は変わらないのか、いつまでに返事が要るのかを聞き、「社内で確認して、◯日までにお返事します」と伝えます。
上司には、相手の言葉、数量、返事の期限をそろえて相談します。承認が出てから、見積書を作り直します。
失敗1:送る前に、計算の違いに気づいた
その場では:直した所だけでなく、その下の小計と合計も計算し直します。すでに承認をもらっていた場合は、直した見積書を、もう一度承認する人に見せます。「合計の金額が変わりました」と、変わった所を先に伝えます。
あとの記録:「行を一つ足したとき、合計の式に入っていなかった。次回から、行を足したら電卓で合計を計算し直す」のように、原因と次の動きを書きます(説明用の例です)。
失敗2:承認をもらう前に、送ってしまった
その場では:気づいた時点で、上司に報告します。自分だけの判断で、相手に取り消しの連絡をしたり、直して送り直したりしません。相手への伝え方は、上司と決めます。報告の順番は営業で失敗したときにまとめています。
あとの記録:いつ、何を、誰に送ったか。上司に報告した時刻と、決まった対応を書きます。あわせて、「下書きのファイル名に『承認前』と付ける」など、次に同じことが起きにくくなる工夫を一つ書きます。
失敗3:相手から「この欄はどういう意味ですか」と聞かれて、答えられなかった
その場では:想像で答えません。「確認して、本日中にお答えします」と伝え、先輩に聞いてから折り返します(期限は説明用の例です。守れる期限を伝えます)。
あとの記録:聞かれた欄と、その答えを、自分のノートに書きます。次に同じ様式で作るとき、その欄の意味を確かめてから出せます。
今日やることは一つです。会社の見積書の様式を開き、それぞれの欄に「何を書くか」と「誰に確かめるか」を、下のシートに書いてください。見積を出したあとの進め方は、「検討します」の後にまとめています。
見積書を郵送するときに添える一枚は、送付状の書き方にまとめています。
見積書を送るメールの「ご査収ください」という言い方は、「ご査収ください」の意味と使い方にまとめています。
こちらから仕入先やメーカーへ見積を頼むときは、見積依頼メールの書き方を見てください。
見積の金額を決めるときに出てくる言葉は、粗利とはと掛け率とはにまとめています。
価格を上げることをお客様へ伝える文書は、値上げのお知らせの書き方にまとめています。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
相手からの依頼メールや商談メモ、会社の見積書の様式、価格表(あれば)。
記入例を見る(説明用)
使う様式と、承認してもらう人=共有フォルダにある会社の様式を使う。送る前に課長の確認が要る、と先輩に聞いた。見積番号の付け方は未確認(明日、先輩に聞く)/見積の相手と、件名=A社 総務部の佐藤様。件名は「事務所用の機器2台の納品」/品名・数量・単価=本体2台。単価は会社の価格表で確かめた。送料は価格表に載っていないので未確認(先輩に聞く)/有効期限・納期・支払条件=有効期限と支払条件は、会社でいつも使っている書き方があると先輩に聞いた。納期は、倉庫に在庫を確認中。佐藤様の希望は来月の上旬/まだ決まっていないことと、次にやること=設置作業が必要かどうかを、佐藤様に聞いていない。明日の午前に電話で確かめる。そのあと下書きを作り、依頼メールと一緒に課長へ見せる。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
使う様式と承認する人が分かっていて、品名・数量・単価・有効期限・納期・支払条件のそれぞれに「どこで、誰に確かめたか」が書いてあり、分からない欄には「未確認」と確かめる先が書いてある。
うまく進まなかったときは?
様式が見つからなければ、先輩に「見積書はどの様式で作りますか」と聞く。単価や納期が分からなければ、自分で数字を入れず、誰に聞けば決まるかを先輩に聞く。相手の希望があいまいなら、数量・納品の場所・希望の時期の3つだけ、相手に確かめる。