NOTE 137 · 営業の実践ノート
テレアポとは:電話で会う約束を取る仕事の中身と、守る決まり
公開:2026年10月3日
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テレアポとは、電話で、訪問や商談の約束(アポイント)を取る仕事のことです。電話の中で商品を売り切るのではなく、会って話す日時を決めることが目的です。かけるときは、名乗りと用件を隠さず、断られたら引き下がり、二度かけない相手を記録に残します。個人あての電話での勧誘には、法律の決まりもあります。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに テレアポの担当になった、または求人でこの言葉を見て、どんな仕事で、何に気をつければよいかを知りたいとき。
- 1
自分の担当の範囲と、会社の決まりを確かめる
- 2
名乗り・用件・お願いしたい約束の中身を紙に書く
- 3
かけて、約束が決まったら日時と行く人を復唱する
- 4
断られたら引き下がり、相手の言葉と「連絡不要」を記録する
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
テレアポとは:電話で、訪問や商談の約束を取る仕事
テレアポは、電話で、訪問や商談の約束を取る仕事を指して使われる言葉です。その仕事をする人を指すこともあります。「アポ」は、会う約束という意味の「アポイント」を短くした言い方です。言葉の意味はアポイントとはにまとめています。
辞書には、「テレホンアポインター」という見出しがあります。デジタル大辞泉は、和製の言葉としたうえで、「電話で商品を売り込んだり、客に別の販売員を派遣する段取りをつけたりする電話接客員。」と説明しています(コトバンク「テレホンアポインター」)。「別の販売員を派遣する段取りをつけ」る、という部分が、約束を取る仕事に当たります。
こちらからかける電話は、「アウトバウンド」とも呼ばれます。同じ辞書は、この言葉の意味の一つを「転じて、勧誘・案内などの電話を外へかけること。」と説明しています(コトバンク「アウトバウンド」)。
語釈には「商品を売り込んだり」ともあるとおり、仕事の範囲は会社によって違います。約束を取る所までの仕事もあれば、電話の中で申込みまで受ける仕事もあります。自分の担当がどこまでかは、上司に確かめます。この記事では、約束を取る所までの仕事を説明します。
初めての人がつまずきやすいのは、電話の中で商品の良さを伝えきろうとすることです。相手は、手を止めて電話に出ています。長い説明は、最後まで聞いてもらえません。テレアポで決めるのは、買うかどうかではなく、会って話す時間をもらえるかどうかです。
営業電話全般との違いと、仕事の流れ
営業の担当がこちらからかける電話には、いろいろな目的があります。テレアポは、その中の一つです。次の表は、違いを比べた一例です。
| 比べる点 | 営業電話全般 | テレアポ |
|---|---|---|
| 目的 | 用件の連絡、確認、お礼、約束のお願いなど、いろいろ | 訪問や商談の約束を取ること |
| 相手 | 取引のあるお客様も、初めての相手も | 初めての相手が多い |
| 電話で話す中身 | 用件による | 誰が、何の用件で、どれくらいの時間をもらいたいか |
| 電話の終わり | 用件が済んだら終わる | 約束が決まるか、断られるか、かけ直す時刻が決まるか |
| 後に残すもの | 話した内容の記録 | 約束の中身、または断られた記録 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
電話という手段の動き(準備、取り次ぎ、不在、記録)は、営業電話のかけ方にまとめています。この記事は、約束を取ることにしぼった流れを説明します。
仕事の流れは、次の5つです。
- リストを読む。かける相手の一覧と、前の記録を読みます。「連絡不要」の印がある相手には、かけません。
- かけて、名乗りと用件を言う。誰からの、何の電話かを、最初に伝えます。
- 約束をお願いする。会うと相手が何を確かめられるかを一文で言い、時間の長さと候補の日時を伝えます。
- 決まったら、復唱する。日付、曜日、時刻、場所、時間の長さ、行く人の名前を、声に出して確かめます。
- 記録して、渡す。約束が取れた件は、訪問する人へ渡します。断られた件は、相手の言葉のまま書きます。
4つめで行く人の名前を言うのは、電話をかけた人と訪問する人が違うことがあるからです。相手が知らないまま当日を迎えると、「電話の人と違う」と戸惑わせます。約束の後に渡す内容はインサイドセールスとはに、約束を決めるときに確かめる項目はアポイントとはにまとめています。
法律の決まり:個人あての電話勧誘販売
個人の消費者に電話をかけて勧誘する仕事には、特定商取引法の「電話勧誘販売」の決まりがあります。消費者庁の特定商取引法ガイド「電話勧誘販売」は、電話勧誘販売を次のように説明しています。
「事業者が電話で勧誘し、申込みを受ける取引のこと。電話を一旦切った後、消費者が郵便や電話等によって申込みを行う場合にも該当します。」
同じページに書かれている決まりのうち、電話をかける人の動きに直接関わるものを、書かれている文のまま三つ挙げます。
1. 最初に告げること(法第16条)
「事業者は、電話勧誘販売をしようとするときは、勧誘に先立って、消費者に対して以下の事項を告げなければなりません。」
- 「事業者の氏名(名称)」
- 「勧誘を行う者の氏名」
- 「販売しようとする商品(権利、役務)の種類」
- 「契約の締結について勧誘する目的である旨」
会社の名前、自分の名前、何の商品か、勧誘の電話であること、の4つです。「勧誘に先立って」とあるので、説明を始める前に言います。
2. 断った人に、もう一度勧誘しない(法第17条)
「特定商取引法は、電話勧誘販売に係る契約等を締結しない意思を表示した者に対する勧誘の継続や再勧誘を禁止しています。」
「要りません」と言った人に話を続けること(勧誘の継続)も、日を改めてもう一度かけること(再勧誘)も、禁止されています。あとで説明する「二度かけない相手の記録」は、この決まりを守るためにも要ります。
3. 事実と違うことを言わない(法第21条)
禁止行為として、同じページは次の行為などを挙げています。
「契約の締結について勧誘を行う際、又は契約の申込みの撤回(契約の解除)を妨げるために、事実と違うことを告げること」
会社あての電話には、当てはまる?
同じページには、「適用除外(法第26条)」として、「以下の場合等には、特定商取引法が適用されません。」とあり、その一つめに「営業のため、又は営業として締結するもの」が挙げられています。ページに書かれているのは、ここまでです。
自分がかける電話が、この決まりに当たるかどうかは、相手や商品、契約の中身で変わります。約束を取るだけの電話がどう扱われるかも含めて、自分では判断しません。会社の決まりを読み、上司か法務の担当に確かめます。聞き方は、「私がかける電話は、特定商取引法の電話勧誘販売に当たりますか。当たる場合、最初に言うことと、断られた相手の記録の方法を教えてください」です。
ここに挙げたのは、ページの一部です。書面の交付やクーリング・オフなど、ほかの決まりも同じページに書かれています。
かける前の準備と、最初の名乗り・用件
かけてよい時間帯やリストの確かめ方など、電話の準備の全体は営業電話のかけ方に書いています。ここでは、約束を取るために、かける前に決めておく三つを説明します。
- 誰に会いたいのか。部署と役目で書きます。「総務で、事務用品の発注を担当されている方」のような形です(説明用の例です)。決まっていないと、受付の人は誰につなげばよいかが分かりません。
- 会うと、相手が何を確かめられるのか。一文で書きます。こちらが話したいことではなく、相手が得られることを書きます。作り方は営業のアポ取りの「会う理由の4つの部品」を使います。
- 誰が、何分、いつ行けるのか。訪問する人の予定を見て、候補の日時を二つ以上用意します。確かめずに約束すると、後から変更をお願いすることになります。
電話がつながったら、名乗り→営業の電話であること→用件→相手の都合の順に言います。
「初めてお電話いたします。◯◯商事の山本と申します。事務用品の補充についての、営業のご案内でお電話しました。今、1分ほどよろしいでしょうか」
(相手が「どうぞ」と答えた後)「補充の回数を変えると、手間と費用がどう変わるかを、御社の今のやり方に合わせてお見せできます。営業の田中が、20分ほどお時間をいただいて伺いたいのですが、◯月◯日(火)の14時か、◯月◯日(木)の10時は、いかがでしょうか」
社名・日時は説明用の例です。最初の一言で、初めての電話であることと、営業の案内であることを言っています。相手は、聞くかどうかを自分で決められます。用件をぼかして話を続けると、後で営業だと分かったときに、相手は「先に言ってほしかった」と感じます。
二つめの文は、相手が確かめられること、行く人、時間の長さ、候補の日時、の順です。商品の名前や特長は入れていません。詳しい説明は、会ってからにします。最初から最後までの台本はアポ取り電話の台本で作れます。声に出す練習はロールプレイングのやり方にまとめています。
受付で止まったとき・断られたときの終え方
会社あての電話では、最初に出るのは受付や別の部署の人であることが多くあります。その人の言葉ごとに、返し方と記録を決めておきます。次の表は一例です。
| 受付の人の言葉 | 返し方(一例) | 記録に書くこと |
|---|---|---|
| 「どのようなご用件ですか」 | 最初と同じ用件を、短くもう一度言う。言い方を変えて、営業であることをぼかさない | 聞かれたことと、答えた内容 |
| 「担当は席を外しています」 | 戻る時刻を聞き、こちらからかけ直すと伝える | 言われた時刻。聞けなければ「未確認」 |
| 「資料を送ってください」 | 送り先とあて名を聞く。届いた後に電話してよいかを聞く | 送り先、送る日、電話してよいかの答え |
| 「営業の電話は、お断りしています」 | 「承知しました。失礼いたしました」と言って切る | 相手の言葉のまま。会社の決まりに沿って印を付ける |
| 「担当の名前は、お伝えできません」 | それ以上聞かない。部署あてに資料を送ってよいかを聞く | 名前は「未確認」。聞いたことへの答え |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
受付の人は、自分の会社の決まりに従って答えています。食い下がると、その人の仕事を止めることになります。取り次ぎをお願いするときの言い方は、営業電話のかけ方にまとめています。
断られたときの終え方
担当者に断られたときは、次の順に終えます。
- 相手の言葉を、最後まで聞く。
- 「承知しました。お時間をいただき、ありがとうございました」と言う。
- 理由を問い詰めない。「一度だけでも」と続けない。
- 「失礼いたします」と言い、静かに切る。
引き下がるのは、相手がすでに答えを出しているからです。断った後も話を続けられると、相手は電話を切るために強い言葉を使うことになります。その記憶は、会社の名前と一緒に残ります。
二度かけない相手の記録
断られた相手は、切った後すぐに記録します。書くのは次の5つです。
- 日付と時刻
- 出た人(名前と部署。分からなければ「未確認」)
- 相手の言葉(言われたまま)
- 「連絡不要」と言われたかどうか
- 記録した自分の名前
大事なのは、自分のメモだけに書かないことです。同じリストを、ほかの人も使います。会社で決められた場所(リストの欄や、記録の画面)に印を付けないと、明日、別の人が同じ相手にかけてしまいます。印の付け方が分からなければ、その日のうちに先輩に聞きます。
「今は忙しい」のように、時間の都合を伝える言葉と、「もうかけないでください」という言葉の聞き分け方は、営業電話のかけ方の「迷いやすい判断」に書いています。
惜しい例と良い例、迷いやすい判断
場面ごとに、惜しい例と良い例を並べます。どれも説明用の例です。会社に決まった台本があれば、そちらを先に使ってください。
用件を言う
惜しい例:「事務用品のことで、アンケートのようなお電話なのですが」
良い例:「事務用品の補充についての、営業のご案内でお電話しました」
惜しい例は、営業の電話であることをぼかしています。話が進んでから約束のお願いをすると、相手は最初の言葉とのずれに気づきます。良い例は、最初に営業の案内だと言っています。
約束をお願いする
惜しい例:「ちょうど来週、近くまで行きますので、ごあいさつだけでも」
良い例:「補充の回数を変えた場合の違いを、20分ほどでお見せしたいのですが、◯月◯日(火)の14時はいかがでしょうか」
惜しい例は、何の話をするのか、何分かかるのかが分かりません。「ごあいさつだけ」と言って商品の説明をすれば、相手は約束と違うと感じます。良い例は、話す中身と時間の長さを先に伝えています。
断られた後
惜しい例:「そうおっしゃらずに、資料だけでもお持ちしますので」
良い例:「承知しました。お時間をいただき、ありがとうございました。失礼いたします」
惜しい例は、断りの言葉を受け取っていません。良い例は、受け取ったことと、お礼を言って終えています。
判断1:「資料だけ送って」と言われた。これは断り?
言葉だけでは、どちらとも決められません。基準は、届いた後に連絡してよいかを、相手に聞くことです。「お送りします。届いたころに、一度お電話してもよろしいでしょうか」(説明用の例です)。「いえ、必要ならこちらから連絡します」と言われたら、こちらからはかけません。その言葉を記録します。
判断2:電話で詳しく聞かれた。その場で説明してよい?
基準は、自分が答えてよいと言われている範囲かどうかです。資料に載っていることは答えます。価格の相談や、相手の事情に合わせた提案は、訪問する人の仕事です。「そこは、資料をお見せしながら田中からご説明したいので、20分ほどお時間をいただけないでしょうか」と、約束のお願いに戻します(説明用の例です)。
判断3:件数が足りない日。断られた相手に、もう一度かけてよい?
かけません。基準は、自分の件数ではなく、相手の言葉と会社の決まりです。上で見たとおり、個人あての電話勧誘販売では、契約しない意思を示した人への再勧誘が禁止されています。会社あての電話でも、「連絡不要」の相手にかけないことを、決まりにしている会社があります。
件数が足りないときは、上司に「今日は◯件かけて、話せたのが◯件、約束が◯件でした。名乗りの後で切られることが多いです」と、数と起きたことを伝えます(説明用の例です)。言い方を直す相談になります。
失敗1:約束は取れたが、相手は「営業の訪問」と思っていなかった
その場では:訪問した人から連絡を受けたら、自分が電話で何と言ったかを、記録を見てそのまま伝えます。用件をぼかしていたなら、そう報告します。
後の記録:台本の用件の一文を見直します。「営業のご案内」という言葉が入っているか、話す中身と時間の長さを言っているかを確かめ、直した文を先輩に見てもらいます。報告のしかたは営業で失敗したときにまとめています。
失敗2:「連絡不要」の印を、付け忘れていた
その場では:気づいた時点で、すぐに印を付け、上司に報告します。「昨日、B社から『もうかけないでください』と言われましたが、リストに印を付けていませんでした。今、付けました」(説明用の例です)。ほかの人がすでにかけていないかを、上司に確かめてもらいます。
後の記録:印を付けるのを、電話を切った直後の手順に入れます。次の電話をかける前に書く、と決めておくと、抜けにくくなります。
今日やることは一つです。かける相手を一件決め、名乗り・用件・お願いしたい約束の中身を紙に書き、断られたときの一言と、記録に書く項目を決めてください。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
会社から渡されたリストと台本(あれば)。会社の決まり(かけてよい時間帯、断られた相手の扱い)。訪問する人の予定表。メモ用紙とペン。
記入例を見る(説明用)
かける相手と、自分の担当の範囲=B社の総務。担当者の名前は未確認。自分の担当は、約束を取る所まで。訪問は営業の田中が行く/名乗りと用件の一文=「初めてお電話いたします。◯◯商事の山本と申します。事務用品の補充についての、営業のご案内でお電話しました」/お願いしたい約束の中身=営業の田中が、今の補充のやり方を伺いに、20分ほど訪問したい。候補は◯月◯日(火)14時と、◯月◯日(木)10時/断られたときの一言と、記録に書くこと=「承知しました。お時間をいただき、ありがとうございました」。記録には、日付・出た人・相手の言葉・「連絡不要」と言われたかどうかを書く/結果と、次にやること=受付の方が「担当は外出中です。15時ごろ戻ります」。15時半に、こちらからかけ直す。担当者の名前は聞けなかった(未確認)。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
名乗りと用件が一文で書いてあり、お願いしたい約束の中身(誰が・何を話しに・何分・候補の日時)が決まっていて、結果が相手の言葉のまま記録され、「連絡不要」の相手に印が付いている。
うまく進まなかったときは?
用件が一文にならなければ、商品の説明を削り、「何についての、営業の案内か」だけを残す。断られた相手にもう一度かけてよいか迷ったら、相手の言葉をそのまま先輩に見せて聞く。法律の決まりが自分の仕事に当たるか分からなければ、上司に確かめる。